「この情報は、本当に就活生のためになるのか」
ワンキャリアのメンバーとして企業を取材するときは、自戒を込める意味で、いつも自問自答しています。
取材される人も人間です。企業に属している以上、その企業にとって不利になるような話は、そう簡単には出てきません。
彼らの気持ちを読者に届けることが、ライターである私の仕事なのですが、企業が届けたい側面だけをそのまま文章にすることが好ましいことなのか。そして、それは本当に学生と企業にとってもいいことなのか……。
そんなときに目にしたのが、TwitterやYouTubeなどのSNSで、積極的に情報を発信する総合商社の「卒業生」たち。
組織を飛び出した彼らが、自身の伝えたい思いや気持ちを、自分が望むスタイルで社会へと発信し続けている。企業中心の情報発信になりがちな就活メディアにおいて、欠けていたピースの一つを見つけたように思いました。
辞めた会社に「感謝」している6人。その理由はどこにあるのか?
ワンキャリアの就活ランキングでも、毎年上位入り続けている「総合商社」。国家規模のプロジェクトへの参画、世界を股にかける事業、トップクラスの好待遇など、就活生を魅了する要素は、枚挙に暇がありません。
そんな商社を若くして辞めた彼らです。さぞかし不満があったのだろうと話を聞いてみたのですが、結果は真逆。皆が商社に感謝していました。しかも、「もう一度就活をするとしても商社を選ぶ」と口をそろえて言うのです。一体なぜでしょうか。
詳しく話を聞いてみて分かったのは、彼らは商社を上手に「使っていた」ということ。商社で得られた経験や知識をキャリアに生かしていたのです。しかし、その一方で、会社に使われるだけで終わってしまう人も少なくないとも言います。
ワンキャリ編集部が、2020年商社特集「転職時代に、なぜ商社」と併せてお届けする、卒業生が主役の「辞め商特集」。そのテーマは「商社を喰うか、喰われるか」です。総合商社を卒業し、活躍している方々に今だから話せる「ぶっちゃけ話」やキャリア観を聞きました。
商社の中だけではなく、外からも見ること。光だけではなく、闇も見つめること。これがあって初めて、総合商社のリアルを伝えられると信じています。商社志望の就活生はもちろん、そうでない人も楽しめるはず。ぜひご覧ください。
【2月12日(水)公開】ヒマラヤ登頂が認められずに新卒3年目で辞めた男が、それでも三菱商事に感謝している理由
「3年目で辞めた後のキャリア……登山、ベンチャー企業、YouTube配信。どれも商社と無関係に思えますが、それでも三菱商事にとても感謝しているんです」
こう話すのは、新卒3年目で三菱商事を退職し、ヒマラヤ山脈未踏峰に成功したKAIGO FIRST代表取締役の萩原鼓十郎さん。総合商社への感謝や就活生への警鐘などを、実体験から語っていただきました。
【2月14日(金)公開】ビビリの僕が、双日を辞めて起業するまで。自分の「プライド」を崩し続けた3年間
少し照れながら自身を「ビビり」と称するのは、双日に新卒入社し、25歳でビジネスパーソン向けのお店選びサービスを提供するLerettoを起業した辰巳衛さんです。「自分だけでは、商社を飛び出す勇気はなかった」と語る同氏が、なぜ商社を飛び出し、起業に挑戦できたのか……。プライドを切り崩す3年間の中で、何を商社で学び、感じたのかを伺いました。
【2月18日(火)公開】「伊藤忠の魅力」の前に霞んだ起業家精神──気鋭のYouTube事業家が、就活生に絶対に伝えておきたいこと
元伊藤忠商事の長内孝平さんは、「おさとエクセル」「トップ就活チャンネル」にて活躍するYouTube事業家です。長内さんは配属ガチャによって、バックオフィスへと新卒配属されました。与えられた環境でも腐らず起業準備を進める心をぐらつかせた商社が持つ「毒」、そこに秘められた本当の商社の魅力を探っていきます。
【2月20日(木)公開】三菱商事歴28年商社マンの決断。大企業の経営人材が選んだ「キャリアへのこだわり」
50歳を機に28年勤務した三菱商事を飛び出したのは、世界最大の不動産総合サービスプロバイダー、シービーアールイー(CBRE)のキャピタルマーケット部門長である辻貴史さん。子会社社長の経験もあり、三菱商事で定年まで経営人材として生きる道もあったはず。なぜ今、初めての転職を決意したのか。商社時代から現在までを振り返りながらお話しいただきます。
【2月25日(火)公開】起業したいなら、商社は「2社目」がちょうどいい──双日出身社長が語る「中継ぎの商社論」
新卒採用市場で人気が高い総合商社ですが、転職して中途で入るというキャリアパスもあります。
イグナイトアイ代表取締役社長である吉田崇さんもそんな1人。1社目にベンチャー企業、そして2社目に双日を選んだ彼は「起業するなら、商社は2社目がちょうどいいかもしれない」と語ります。新卒ベンチャーと大企業、どちらも経験しているからこそのキャリア論を、余すことなく伺いました。
【2月27日(木)公開】三井物産出身の起業家が断言「今、商社に行く学生はセンスがない」
「今、商社は大人気で『ストップ高』のような状態。そこに入ろうとするなんて、センスがないと思いませんか?」
冒頭から衝撃的な一言を投げかけてきたのは、貿易業務の効率化に取り組むShippio代表の佐藤孝徳さん。三井物産に10年勤めた彼が、「今、商社を選ぶ学生はセンスがない」と断言する理由に迫ります。
(Photo:TungCheung,Darinmarch/Shutterstock.com)