皆さん、こんにちは。アーサーです。
新卒で総合系コンサルに就職し、ITコンサルタントとして3年目を迎えました。
前回の記事では、ITコンサルタントの具体的な業務内容をお話ししましたが、今回取り上げるのは「文系でもITコンサルタントになれるのか」について。
デジタルトランスフォーメーション(DX)(※1)という単語が盛んに用いられているように、最近はITコンサルタントのニーズが劇的に増えており、採用ページに「文系も大歓迎」といった言葉を見ることも増えてきました。とはいえ、「プログラミングは理系の領域じゃない?」と不安に思う方も少なくないでしょう。
(※1)……ビジネス環境の変化に対応するため、企業がデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、同時に組織や業務プロセス、企業文化を変革すること。
結論から言えば、文系でもITコンサルタントになれます。
私自身も文系学部出身ですが、入社前は「文系の自分が果たしてやっていけるのか」と不安でした。
今回は、同じような悩みを抱えている皆さんの不安を少しでも払拭(ふっしょく)できるように、入社後の研修内容やITスキルを身につける方法、さらには「入社前に少しでもプログラミングはやっておいた方がいいのか」といったトピックにも触れて、説明していきたいと思います。
文系学生でも、研修とOJTで必ずプログラミングができるように
総合(IT)系コンサルティングファームに入るのは、情報系の学部出身の人なのでは──。そう思われがちな一番の理由が「プログラミング」でしょう。
あくまで自分の感覚での話にはなってしまいますが、プログラミング未経験の文系学生でも研修などを通じて、プログラムは書けるようになります。
大体の場合、総合コンサルでは入社後に1〜2カ月ぐらいの研修があります。そのうちの半分はExcelやPowerPointの基本的な使い方を学び、残りの半分はプログラミングやITスキル関係の研修に費やされます。
Java、R、Python、JavaScriptなど、扱うプログラミング言語は会社によって違いますが、研修は、基本的な文法を数日間かけて学んだ後に、共通の課題が設定され、個人やチームで取り組むという流れで行われることが多いです。初めての用語だらけで面食らうかもしれませんが、内容自体は、特段難しいものではありません。
研修を終えるとプロジェクトに配属されます。最初は既存のプログラムを参考にしながら、見様見真似でコードを書くことが多いです。1からプログラムを作るものがあったとしても難易度はあまり高くないはず。新入社員の配属先は、各々のスキルが考慮されているので、いきなり難しい内容の仕事を割り振られることはまずありません。
また、ほとんどのプロジェクトでは「コードレビュー」といって、自分の書いたコードを上司が見て、コメントや修正をしてくれます。
このように、プロジェクトに配属された後も少なくとも1年は修行期間として、少しずつプログラミングスキルやITの知識を深めることができるのです。なかなか手厚いサポートだと思いませんか? 文系だからといって、ITコンサルタントを諦めるのはもったいないです。
ただし、ここまでお伝えしてきた研修内容や、プロジェクトの配属については、あくまで大手の総合コンサルやシンクタンクなどの話です。中規模以下のファームの場合は、即戦力が期待される可能性もあるためご注意ください。
本当の「プログラミング未経験」は避けたい。志望度が低いと思われる
さて、文系でもITコンサルタントを目指せると分かったところで、実際の選考ではどうでしょうか。ITスキルは不問と明記してあったとしても、全くの未経験で選考を通過できるか不安に思うかもしれません。
これは私自身の考えですが、ほんの少しでもいいのでプログラミングをした経験があった方が良いと考えています。
というのも、プログラミングやITの知識が必要な仕事だと分かっていながら、学生時代にプログラミングに触れた経験が全くないという話を聞くと、面接官にIT自体に興味がなく、適性がないと思われる可能性があるからです。
たとえ面接で「御社でITコンサルタントとして、こういうことができると思います」と話したとしても、特別な理由もなしにプログラミング経験が全くないとなれば、その言葉を信用することは難しいでしょう。
もし、言語やコードも全く分からないという初心者の方なら、面接までに時間が許せば、少しでもいいのでプログラミングを経験してみることを強くお勧めします。少し触っておけば自分なりの意見や感想が持て、志望動機の説得力が増すからです。
スキルは「必要性」があってこそ身につく、むやみにスクールに行くことはない
とはいえ「面接前にプログラミングを経験しておいた方がいい」といっても、どれぐらいのレベルまで学べばいいのか迷いますよね。
また、内定してから入社までにプログラミングスクールに通うことを検討している方もいるかもしれません。私も同期についていけるか不安だったため、数万円の入会金を払ってスクールに通っていました。
しかし、結果としてスキルが身につくことはありませんでした。理由は目的も決めず、何となく受講していただけだったから。今振り返れば、通う必要はなかったと思います。
プログラミングスキルは、それが必要な場面に遭遇して初めて身につくものだと私は考えています。
スクールに通ってただ作業をするよりも、無料で使えるプログラミング学習サービスなどで基本を学んだあとに、自分でWebページを作成するといったアウトプットを用意する方が、よっぽど身につくし、面接や入社後に生きてくると思います。細かな部分は入社後に必要に応じて学べばいいのです。
ITコンサルを目指すなら、「進化が止まらないIT」を学び続ける覚悟が必要だ
総合コンサルの場合は、戦略部門でもない限りは上流だけ関わるといったことはほぼありません。ほとんどの人が開発の仕事に関わっており、ITの知識やプログラミングの知識が必要です。
たとえ開発をするポジションではなく、お客さまに提案する解決策を提案するようなポジションだったとしても、提案内容の多くは新しいシステムについてです。ITの知識がなければ提案の説得力が出てきませんし、お客さまからの質問に即答できず、不信感を抱かせることも起こり得ます。
いまや、ほとんどのプロジェクトがITに関わりがあるので、総合コンサルに勤める限り、ITの知識から逃れることはできません。
だからこそ、文系理系や得意不得意で決めるよりも、ITという際限がなく頻繁にアップデートされていく領域を、長きにわたって学んでいく覚悟があるかないかで総合コンサルを目指すこと、もしくはITコンサルタントになることを決めるべきではないかと考えます。
コンサルタントは頭脳労働なので、日々成長を求められ、つらいこともあるでしょう。一方で、自分にできることが日々蓄積されて、市場価値を高めることができますし、お客さまから感謝されることも度々ある、とても魅力的な職業だと思います。
文系理系に関わらず、ITに興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。
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(Photo:agsandrew, MIND AND I, Ollyy/Shutterstock.com)