大手か、ベンチャーか──。
この二者択一は、就活生の間で議論され続けている永遠のテーマでしょう。
これを考える上でヒントになるのは、大手からベンチャーに転職した人たちの言葉です。こう聞くと「安定ではなく成長が大事」という話だろうと思うかもしれませんが、GA technologiesで働く電通・東京海上・野村證券出身者からは意外な答えが返ってきました。
「ベンチャーにできて大手にできないことは、片手で数えるほどしかない」
「両者を比較して点数を付けたら、100対0でベンチャーが負ける」
「成長したいなんて、面接で絶対言わないほうがいい」
まるでベンチャーを否定するかのような発言。
しかし、彼らは「不動産×IT」の領域でトップランナーとして活躍しており、まさに「大手にはできない仕事」に挑戦している人材です。発言の真意は何なのか。それでもベンチャーで働く意味はどこにあるのか。永遠の論争である「大手かベンチャーか」問題に、その双方を知る男たちが答えを出します。
<目次>
●ベンチャーの面接では、絶対に「成長したい」と口にしてはいけない
●ベンチャーに行くべきは「根拠なんてなくても、自分に自信がある人」
●全ての面で大手に負けている。それでもベンチャーに飛び込んだ理由とは?
●「世界的企業を作る」というハッタリさえ、実現できるとしか思えなくなってしまった
●新卒4年目で重要拠点の責任者に。会社に将来を賭けた新卒が、会社の根幹になる
ベンチャーの面接では、絶対に「成長したい」と口にしてはいけない
──「自分が成長するために大手に行くべきか、それともベンチャーに行くべきか」で悩む学生は少なくないと思います。大手とベンチャーの両方を経験されている皆さんは、この点についてどうお考えですか?
川村 佳央(かわむら よしひろ):学習院大学卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社し、子会社の代表取締役社長や営業マネージャーを歴任。その後電通に移籍し、コミュニケーション・デザイン・センター(当時)に所属。広告やキャンペーンの企画制作から新商品開発、商業施設開発などの事業領域も担当。2018年7月よりGA テクノロジーズにジョインし、現在はChief Communication Officerとして社内外に向けられる全てのコミュニケーションの責任者として活躍。
川村:ベンチャー企業に応募する学生は、皆決まって「成長できる環境を求めています」と言いますよね。私はそういう学生に「成長したいなんて、面接で絶対言わないほうがいい」と伝えています。そんなお決まりのせりふ、人事は誰も真に受けません。第一、会社は学ぶための場所ではありませんし、社員は会社から給料をもらうのですから、それ相応の価値を会社に提供しなければなりません。つまり、会社があなたを成長させるのではなく、あなたが会社を成長させなければいけないわけです。
永守 賢吉(ながもり けんきち):早稲田大学を卒業後、新卒で東京海上日動火災保険株式会社に入社。代理店営業を経験後、営業企画として会社の事業計画や営業方針立案、組織統括などに従事。2018年1月にGAテクノロジーズにジョインし、投資セールス部門のマネージャーとして活躍後、営業企画・推進部門を立ち上げ。現在は営業企画・推進部門と、新規保険事業の2部門で責任者を務める。
永守:私は「大手かベンチャーか」という比較自体に意味がないと思っています。
歴史・規模・業態・カルチャーが全く違う会社同士を比べるのは適切だと思えません。それでも、あえて両者を比較して画一的に点数を付けたら、100対0でベンチャーが負けると思います。
「大手とベンチャーのどちらが良いですか」と学生に聞かれても「知りません」という話で、自分が将来ありたい姿から考えてほしいです。私は東京海上から転職しましたが、東京海上は本当に素晴らしい会社で、今でも愛情を持っています。東京海上は既に世界的な企業だと思いますが、私たちはそのような世界的企業を目指しているフェーズ。あなたはどちらにワクワクするか、という問題です。
鈴木 雄也(すずき ゆうや):青山学院大学卒業後、野村證券株式会社に入社。入社から2年間営業成績トップを維持し続ける。2018年GAテクノロジーズに入社。投資用マンションのセールスとして最高成績を次々更新し、2019年に半期で最も活躍したセールスとして表彰。現在はセールスと並行しグループリーダーとしてメンバーのマネジメントを務める。
鈴木:2人の考えとはちょっと違うかもしれませんが、私は前職の野村證券よりもGA technologiesの方が成長できていると感じます。確かに野村證券は素晴らしい会社だと思いますし、扱う案件の規模も今よりはるかに大きかった。しかし、野村證券では毎月同じ売り上げ目標を追いかければよかったので、しばらくすると、目標達成に慣れてしまいました。一方、GA technologiesは事業自体が急速に成長しているので、目標はどんどん上がっていきます。そうやって事業の成長に合わせて常に高いレベルの目標に挑んでいるうちに、ビジネスパーソンとしての力量も上がってきていると実感しています。
ベンチャーに行くべきは「根拠なんてなくても、自分に自信がある人」
──とはいえ、大企業とベンチャー企業とでは、実際にはさまざまな違いがあるかと思います。皆さんは、どんな学生がベンチャーに向いていると思いますか?
川村:1つの判断基準として、自分に自信のある人はベンチャーに向いているかもしれません。根拠なんてなくてもいいから、「自分はビジネスパーソンとして一流になりたい」「この会社を自分の手で成長させたい」という気持ちを持ってる人であれば、ベンチャーに来た方がいい。その強い意志と意欲が大切です。
一方で、自分に自信がない人は、大企業に行った方が無難だと思います。大手は育成の仕組みが整っていて、キャリアパスもある程度明確になっている。突出した努力をしなくても、それなりの人材にはなれる。それに、大企業は体力がありますから、多少の「余剰人材」も受け入れてくれるでしょう。一方、ベンチャーは余裕がないですから、全員が全力でやっていく必要があります。
ただ、大企業でも本当に活躍している人は、だいたい圧倒的な行動をしている人だと思います。これはどこでも変わらないですよね。
鈴木:逆に言うと、ベンチャー企業は余裕がない分、いや応なしにやらざるを得ない環境があります。野村證券には、社員が自ら勉強できるようなさまざまな制度があり、普通は見られないような貴重な情報にアクセスできる環境がありました。しかし、正直、私を含めてそれを活用していた社員はほとんどいなかったのです。
一方、現職に移ってからは、ありとあらゆる仕事を学びの機会にしています。当時と比べて意識が高まったというよりは、ベンチャーの「やらなければいけない環境」に突っ込んでしまうことで、日々自分を追い込めているのです。逆に、安定した大手にいながら、貪欲に学ぶ意欲を保つのは簡単なことではないと思います。
全ての面で大手に負けている。それでもベンチャーに飛び込んだ理由とは?
──皆さんが「一流企業の社員」というステータスを捨ててでも、GA technologiesに転職しようと思わせたものは一体何だったのでしょうか?
川村:前提として、ベンチャー企業を単純に大企業と比較すれば、人・モノ・金、すべての面において圧倒的に負けていますし、正面から渡り合ったら絶対に勝ち目はありません。例えば、「GA technologiesにできて、僕がいた電通にできないこと」を挙げても片手で数えられるほどしかないのですが、そのうちの1つが「たった今産声をあげたばかりの市場を、巨大産業に変えられるかもしれない」というワクワク感です。
GA technologiesが挑戦している「不動産×IT」という領域は、世界的にもまだやっと芽吹いたばかりのビジネスですが、無限の可能性を秘めています。不動産というのは、人間の生活にとって不可欠な「衣食住」の一角ですから、絶対になくなりません。にもかかわらず、この業界ではITの導入がまだほとんど進んでいない。膨大な規模の潜在市場が目の前に横たわっているわけです。
──とはいえ、大手デベロッパーなども新規事業創出に積極的ですが?
川村:大手の参入はそう簡単ではありません。「イノベーションのジレンマ」というのですが、大企業が新たな分野に乗り出すと、結果的に既存ビジネスを壊してしまう恐れがあるため、どうしてもイノベーティブなビジネスが生まれにくいのです。
不動産×テクノロジーという全く新しい市場から、ゲームの盤面を一気にひっくり返すぐらいのイノベーションを起こせるかもしれない。私はまさにこの一点に自分の人生を賭けてみたいと思い、電通からGA technologiesへの転職を決めました。
「世界的企業を作る」というハッタリさえ、実現できるとしか思えなくなってしまった
──永守さんはどのような経緯でGA technologiesに入社したのでしょうか?
永守:私は東京海上に新卒で入社し、そのまま定年まで勤め上げるつもりでしたし、よその会社に移るということは全く考えていませんでした。しかし、顧客としてGA technologiesの物件を購入した縁で、社長の樋口と話をしたのがきっかけで考えが変わりました。樋口は「世界的企業を作る」というビジョンを熱心に語ってくれたのですが、当時GA technologiesはまだ社員100人くらいの小さな会社で、「とんでもないハッタリだ」というのが正直な印象でした。でもよくよく聞いてみると、それまで設定してきた「社員100人」「売り上げ100億円」といった中間目標をすべて達成してきていて、上場の目標も達成間近まで来ていました。
──その「目標達成力」に引きつけられたと。
永守:その通りです。私は大学までずっと野球をやっていて、本気でプロ野球選手を目指していましたが、残念ながら希望はかないませんでした。前職の東京海上でも、売上目標を達成できないことは珍しくありませんでした。
そんな時、「やると言ったことをすべてやり遂げてきた事実」を目の前にすると、「世界的企業を作る」という壮大な目標すら、もはやできるとしか思えなくなってしまったのです。これがGA technologiesへの転職を決めた理由です。
──鈴木さんはいかがでしょうか?
鈴木:学生時代、特にやりたいことがなかった私は、目標や実績がランキングという形で明確に表れる世界に身を置こうと思い、野村證券に入社しました。野村では、同期600人のなかで1カ月目からトップを獲得し、それ以来一度もその座を譲ったことはありません。「日本トップの証券マンになれたので、次は外資系企業に転職し、世界トップになろう」と考えていました。
そんな時、社長の樋口から話を聞いたんです。樋口のビジョンを聞くうちに、ランキングの世界で戦い続けるより、「この人の夢に乗っかってみたい」という気持ちが湧いてきました。不動産業界のことはよく分かりませんでしたが、樋口に出会って、初めて自分の夢や目標を具体的にイメージできたことが転職の理由です。
新卒4年目で重要拠点の責任者に。会社に将来を賭けた新卒が、会社の根幹になる
──GA technologiesには皆さんのように前職での実績を評価されて入社した中途社員の方が多いと思います。そんな中、新卒入社した若手は活躍できるのでしょうか?
鈴木:結論、新卒が活躍するチャンスはたくさんあります。新卒を大事にするのは、GA technologiesが最も大切にしていることの1つだと思います。
実際、新卒4年目、5年目の社員が、札幌や福岡という重要拠点の営業責任者を任されていますし、先日は第二新卒で入社した社員が執行役員に就任しました。社長をはじめ経営陣も新卒と密にコミュニケーションを取っていますし、その成長ぶりを見守っています。
川村:弊社は2013年に創業しましたが、その翌年にはもう新卒採用を始めていて、まだ5人の社員しかいないのにもかかわらず10人以上の新卒を採用しました。それ以来、毎年コンスタントに新卒採用を続けてきており、現在では全社員の3割ほどを新卒が占めています。いずれはこの割合が半々になり、最終的には逆転するでしょう。
大学時代、あまたある選択肢の中からこの会社を選び、将来を賭けた。そういう強い意志を持った人が、この会社の根幹になっていくと思っています。
永守:私たちのように、さまざまなバックグラウンドを持つ中途の社員がダイバーシティを高めている一方で、会社のビジョンやカルチャーを育んで継承していくのは、まっさらな状態で入ってきた新卒社員に他なりません。
それに、さまざまな業界の第一線で活躍してきた中途社員が周りにいますから、1つの会社にいながら、多くの業界のノウハウを盗むことができます。新卒入社するには面白い環境だと思いますよ。
──では最後に、この記事を読む就活生にメッセージをお願いします。
川村:「成長できる環境」と同じく、就活でよく使われる言葉に「裁量」というものがあります。特にベンチャーを志望する学生は、「若いうちに裁量を与えてくれる環境がいい」と言うのですが、よく考えれば、就活ほどの裁量を持てる機会は20代では他にないでしょう。自分の一生を左右する最初の会社を自分の意志で選べるわけですから。自分の人生を自分の手で決められる最大のチャンスなので、楽しんで取り組んでほしいですね。そうやって自分が進む道を決めたら、あとはもう、一生懸命頑張って結果を出すだけですよ。
永守:私も就活というのは、「自分自身のことを考えるために、最大限の時間とエネルギーを割ける時期」だと考えています。ですから、この貴重な時間とエネルギーを最大限に活用して、「自分は将来何になりたいのか」「それを実現するためには、何をどう決断していけばいいのか」について徹底的に考え抜いてほしいですね。さまざまな情報に惑わされることもあると思いますが、それらはあくまでも他人の言葉です。他人ではなく自分自身の人生を考えて、意思決定してほしいです。
鈴木:学生の段階で、会社の事業計画などを理解するのは難しいかもしれませんが、その会社が掲げているビジョンにワクワクできるかは判断できるはずです。自分の夢や目標が分からない学生には、「夢を見させてくれそうな会社」を選ぶことをお勧めします。私にとってGA technologiesがそうでした。そういう会社で働けば、徐々に自分自身の目標も見えてくるのではないでしょうか。
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【ライター:吉村哲樹/編集:辻竜太郎/カメラマン:保田敬介】