こんにちは、ワンキャリア編集部です。
日本の政府開発援助の実施機関として名高いJICA(独立行政法人 国際協力機構)。
この記事では、JICAの特徴から選考対策の具体的なポイントをまとめてお伝えします。エントリーシート(ES)から、Webテスト、面接それぞれのポイントを解説するので、選考前にぜひ一読ください。
<目次>
●JICAの社風
●JICAの本選考のポイント
●JICAの本選考のフロー
・エントリーシート(ES)
・Webテスト
・筆記テスト
・1次面接
・2次面接
・最終面接
●おわりに
JICAの社風:ビジネス要素を重視せず途上国の目線で活動できる機関
開発途上国の「国創り」を行う日本代表
JICAは150億ドル程度を予算としてODA(政府機関開発)(※1)を行う、外務省所管の独立行政法人です。
途上国への支援を行うチームは「地域部」と「課題部」の2つ。地域部は国や地域を担当しつつ現地政府と外務省の仲介となる部隊で、課題部は国内外の有識者とのネットワークをもとにプロジェクトの企画立案やモニタリングを行う部隊です。
JICAの仕事内容に関して、ある職員は「これほどの規模感でビジネスの要素を重視せず、途上国目線でプロジェクトができるのはJICAだけ」と話していたそうです。
壮大な課題部のプロジェクト、きめ細かい地域部の実効的なプロジェクト双方に携われ、「本当の意味で途上国のためになる支援ができる」ことはJICA特有の大きな魅力でしょう。
(※1)……ODAはOfficial Development Assistanceの略で、開発途上国の「開発」に協力することを目的に政府が用意した公的資金のこと
興味のある分野の開発プロフェッショナルに。海外赴任、出向、留学などさまざまなキャリア構成
JICAの職員は入構後の約10年間、2〜4年単位のジョブローテーションを通してさまざまな部署で興味関心や適性を見極める機会が与えられます。その後は、マネジメント職かエキスパート職の2コースに分かれてキャリアを積んでいくそうです(選考対策ページより)。
JICAではさまざまな経験を経てキャリアを構築しつつ、国際開発のプロフェッショナルを目指すことができる人材育成制度があります。
たとえば、入構1年目に新入職員全員が開発途上国に短期間赴任する「海外OJT」や、海外留学などの学費や渡航費の支援をする「学位取得支援」(※2)。また官公庁や世界銀行、大使館といった機関への「出向」などが挙げられます。
JICAが提供する多様なリソースをフル活用し、開発のプロフェッショナルになることができるでしょう。
(※2)参考:JICA「人材育成制度」
ワークライフバランス重視! 基本19時には帰宅
JICAはワークライフバランスが整っているのも魅力。部署にもよりますが、基本的に19時までには帰宅できるそうです。OB・OG訪問の際にある職員が「課長が18時半に帰ることもある」と話しており、上層部の方も早々に退勤する場合もあります。
また、「女性が働きやすい環境」が整っているのもJICAの特徴。実際に2度の育児休業を取得したのち、国内や海外出張がある部署を希望して復職した職員もいるそうです(※3)。
部活動も充実しており、普段は関わりが少ない職員や違う開発分野の専門家と話せる機会もあるようです。交友関係を深めつつ、仕事につなげることもできるでしょう。
(※3)参考:JICA 新卒採用サイト「DIVERSITY」
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JICAの本選考のポイント:志望動機を作り込めるかが鍵
開発への圧倒的な熱意を示せるか。志望動機とキャリアパスのセットでアピールしよう
JICAの使命は、開発を通じた「国創り」です(※2)。日本のためというよりも、開発を通じて発展途上国に変革をもたらしたいという思いを説明することが大変重要になってきます。
実際の選考過程においても、「志望動機や入構後何がしたいのかをたびたび聞かれる」と内定者が話しています(選考対策ページより)。
志望動機とキャリアパスについては、以下の点に注意して用意しましょう。
(1)なぜ発展途上国向けの開発なのか、原体験を説明する
「実際に発展途上国に出向いて課題意識を持った」「研究のテーマが開発である」「被災地で社会的に困っている立場の人を救いたいと思った」など、原体験を説明するきっかけを用意しましょう。
(2)JICAを通じて何を成し遂げたいのかを明確にしておく
開発はJICAでなくてもできる分野です。JICAを通じて実現したいことを説明し、JICAしかできないということを説明できるようにしておきましょう。
相手の視点に立って考えられることを示せるか
相手の立場から物事を考えられるか、理論ベースだけでなく実現可能性を考えられるかどうかは、JICAの選考において大変重要なポイントです。
実際に、内定者が面接で途上国ボランティアの話をした際、「どのように途上国の人々と接したか」「何を話し合って問題解決を目指したか」などの人間関係構築のプロセスについて深掘りされたといいます。
その際、内定者は「相手の話をとりあえず聞く」「足を運んで信頼関係を構築する」の2点を強調して説明したそうです。
相手の視点に立ったことで、他者を巻き込んで何かを成し遂げた経験、または他者のために何かを行った経験を説明できるようにしておきましょう。また、経験の中で感じた苦労に対して自分がどのように乗り越えたか、その過程を示せるとベターです。
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JICAの本選考フロー
JICAの選考フローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. Webテスト
3. 筆記テスト
4. 1次面接
5. 2次面接
6. 最終面接
それでは選考ごとに見ていきましょう。
1. エントリーシート(ES):具体的なエピソードを重視して念入りな対策を
2021年卒のJICAの本選考では、ESに以下の質問がされました。
(1)志望動機(400字以内)
(2)これまでに、あなたが一番力を入れて取り組んだことを記述してください(400字以内)
(3)自己PRを記述してください(400字以内)
(4)ゼミ・卒論・修論のテーマ(250字以内)
(5)あれば、海外での経験について※出典:JICA(独立行政法人 国際協力機構)|総合職2021卒本選考のES
JICAのESは後の選考でも中心的に利用されます。各設問の分量はそれほど多くありませんが、面接で深掘りされたときにも回答できるよう具体的なエピソードを用意しておきましょう。
設問(1):「なぜJICAで途上国向けの開発がしたいか」が問われる
ESの中でも志望動機は面接の中で繰り返し深掘りされる最重要ポイントです。
ある内定者は「『なぜ開発をしたいのか』を詰めることができないと突破は難しい」と話しています。本選考のポイントでも記載した通り、「なぜ発展途上国向けの開発なのか」「JICAを通じて何を成し遂げたいか」の2点に注意して、開発への意欲を示しましょう。
設問(2)(3):「相手の視点」「主体性」「タフさ」の3つを意識しよう
「一番力を入れたこと」と「自己PR」は「相手の視点」「主体性」「タフさ」の3つを重視しましょう。
1つ目の「相手の視点」では援助される国の人々の視点に立って考えられるかどうかを判断されます。他者を巻き込んだ経験を具体的に説明できるようにしておくのがおすすめです。
2つ目の「主体性」では「自分から行動に移せるか」を見られます。実際にアクティブな活動をした経験を伝えられるといいでしょう。
3つ目の「タフさ」では環境の変化や困難に耐えて乗り越える力をアピールするポイントです。JICAで生涯働き続けると、人生の約1/3の期間を途上国で過ごすことになると考えられます。そのため「日常とはかけ離れた場所で生活する強さ」を持っている資質を示す必要があります。過去の苦しかった経験に対して、自分はどう乗り越えたかを説明できるように準備しておくといいでしょう。
「相手の視点」「主体性」「タフさ」は後々の面接でも掘り下げられる可能性があるので、ESにも入念にアピールしておくのが秘訣(ひけつ)です。
設問(4)の選考基準:専門的な学問を専攻した学生は研究内容も説明できるようにしよう
学生時代に勉強したことは、学生によって深掘りされるかされないかが変わります。特に、大学院生で研究をしていた学生は、その研究内容についてかなり深掘りされたという内定者情報もあります。
開発系の研究ではない場合でも、研究内容が志望動機にどのようにつながるのか、質問されることもあるようです。
専門性が高い学問を研究している学生は、自分の研究内容をきちんと説明できるようにしておきましょう。
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2. Webテスト:短時間で正確に回答できるように準備しよう
JICAのWebテストはGAB形式で、内容は言語、非言語、英語、性格。所要時間は90分程度でした。
このテストは制限時間に対する、問題数の多さが特徴です。時間配分に注意をしながら「解くべき問題」と「解けない問題」を見極めなければなりません。
中でも英語に関しては、留学経験者でも時間内に解き終わるのが難しいボリュームのようです。
全て解ききれないことを認識したうえで、ミスせず着実に正解を導く力が大切になるでしょう。
▼おすすめの問題集はこちら
・【Web-CAB・GAB Compact・IMAGES対応】 これが本当のCAB・GABだ! 2023年度版
3. 筆記テスト:評価基準は「構造化されている文章が書けているかどうか」
Webテストの後に制限時間30分程度の筆記テストがありました。この筆記テストは、与えられた4つのテーマから1つのテーマを選び、800〜1000字程度で小論文を書くという形式になっています。テーマは開発や国際政治に関する内容だけでなく、「色について」や「レンズについて」などユニークな内容もあるとのこと。
評価基準は「論理的な文章が書けているか」だそうで、職員が「内容よりも分かりやすく構造化されている文章を書けているかどうかを見ている」と内定者に話していたそうです。自分の主張と、それを読み手に納得させるだけの根拠を提示できるテーマを選ぶといいでしょう。
文章の質を高めるためには「開発」に関する知識を事前に蓄えておく必要があります。予備知識がなければ文章のクオリティが下がるだけでなく、時間内に終わらない可能性もゼロではありません。日頃から発展途上国の開発に関する情報を、Web上の記事やニュースを駆使して集めておくと書きやすくなるはずです。
4. 1次面接:倍率は約5倍! ESの内容をベースに準備しよう
2021年卒のJICAの1次面接は、職員1人:学生1人でオンラインで行われました。
所要時間30分程度で、以下のような質問がされました。
・自己PRに関する質問
・学生時代に乗り越えた困難について
・なぜ学生時代に頑張ろうと思ったのか
・これまでの人生で意見の対立をどう乗り越えてきたのか
・就活の軸は何か
・他社の選考状況
など※出典:JICA(独立行政法人 国際協力機構) |総合職2021年卒の1次面接
基本的にESに記載した内容を中心的に掘り下げられるようです。「なぜ発展途上国の開発なのか」「なぜJICAなのか」などのESの選考基準で触れたポイントを意識して回答するといいでしょう。
内定者が人事に聞いた情報によると、1次面接の倍率は約5倍といわれています。2次面接の面接官の様子から鑑みると、1次面接の面接官から「なぜこの学生を採用すべきか」を説明した「推薦ポイント」を作ってもらうことが重要であるとのこと。面接官が社内で自分を推薦しやすいように、具体的なエピソードも踏まえつつ説得力を持ってアピールするのが大切です。
5. 2次面接:1次面接回答の掘り下げに対応できるように対策しよう
2021年卒のJICAの2次面接は、職員2人:学生1人でオンラインで行われました。
所要時間30分程度で、以下のような質問がされました。
・志望理由
・留学の理由
・ES内の経験についての整理
・JICA職員にどんなイメージを持っているか
・対立をどう解決したか
・入社後に何を成し遂げたいか
・高校生の時の経験
・長所や短所
・苦手な人に対してどう対処するか
・他社の選考状況
・語学力の質問(第二外国語もあれば)
など※出典:JICA(独立行政法人 国際協力機構)| 総合職2021年卒の2次面接
1次面接の回答内容について「なぜ」と深掘りされるようです。ESで記載した志望動機の内容を予習し「なぜ開発なのか」「なぜJICAなのか」をより具体的に答えられるように準備しておきましょう。
2次面接では逆質問の時間が用意されるようなので、事前に質問内容を考えておくのをおすすめします。
6. 最終面接:万全な対策をして役員からの高評価を獲得しよう
2021年卒のJICAの最終面接は、職員4人:学生1人で東京オフィスで行われました。
所要時間45分程度で、以下のような質問がされました。
・志望動機
・学生時代にやってきたこと
・半年から1年で一番難しかった意思決定
・他社の選考状況
・大学で学んだことと、途上国の貧困解決のために何が大事だと思うか
・JICAの課題は何だと思うか
など※出典:JICA(独立行政法人 国際協力機構)| 総合職2021年卒の最終面接
面接官4人の中には、役員級の職員も含まれており、やや圧迫した雰囲気が感じられる場合もあるそうです。
内定者が職員に聞いた話によれば倍率は2倍程度で、人事は2次面接通過者の採用を前向きに検討しているとのこと。役員に評価してもらえるかが、合否の決め手になるといえます。
1次面接・2次面接で回答した内容をもとに、自信をもって明るく回答するといいでしょう。内定者も「面接官を笑わせられたことが高評価につながったと思う」と話していました。
「なぜ開発なのか」「なぜJICAなのか」といった今までの選考で重視すべきポイントを意識しつつ、万全な対策をして臨むのが内定獲得の秘訣(ひけつ)です。
▼JICAの選考ステップをさらに詳しく知りたい方はこちら!
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▼最終面接について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
・【第3弾】いつも最終面接までいい感じで進むのに、最終で落ちることがよく分からない:就活道場
おわりに
いかがでしたか? ここまで、JICAの本選考を突破するポイントをお届けしました。みなさんの選考対策のお役に立てたら幸いです。
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※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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(Photo:Syafiq Adnan/Shutterstock.com)