ワンキャリ編集部が、総力をあげてお届けする【最新版:業界研究】。
今回はテレビ業界(民放キー局)について、「フジテレビ・日本テレビ・TBSテレビ・テレビ朝日」についてご紹介します。
<目次>
●テレビ業界(キー局)の知っておきたい基本
・民放キー局とは?
・命運を分ける「3つの時間帯」の視聴率
・部署/職種ごとの業務内容
●テレビ業界(キー局)各社の業績比較・順位
・「テレビ離れ」対策:ネット配信の強化
●テレビ業界(キー局)各社の特徴・強み
・フジテレビ
・日本テレビ
・TBS
・テレビ朝日
●キー局各社の社風の違い
・フジテレビ
・日本テレビ
・TBS
・テレビ朝日
●テレビ業界(キー局)各社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数
●テレビ業界(キー局)の選考対策ページ・記事
●テレビ業界(キー局)以外の業界研究記事
テレビ業界(キー局)の知っておきたい基本
テレビ局に関する基本的な知識を見ていきましょう。
民放キー局とは?
民放キー局とは、全国ネットでの放送権利を有する企業を指します。その広告収入(CM放映権など)が収益の半分以上を占めます。そのため、視聴率に関わるコンテンツ(番組)の質は収益の増減に多大に影響を与えます。
しかし、近年ではスマートフォンやタブレットなどの台頭でインターネットを利用する時間が増加したことにより、相対的にテレビを見る時間が減少しています(※1)。つまり、テレビ局は今までどおりのクオリティのコンテンツでは収入が減少していく可能性が高いということです。
キー局全体として、視聴率が低下している現状を打破するために、今まで以上に質の高いコンテンツを作ることへの課題感があるといえます。
(※1)参考:総務省「利用時間から見るメディア利用の変化」
命運を分ける「3つの時間帯」の視聴率
テレビ番組の視聴率は時間帯ごとに、こちらの3つの時間帯に分かれています。
・全日帯(6時〜24時)
・G帯(ゴールデンタイム)(19時〜22時)
・P帯(プライムタイム)(17時〜23時)
└NP帯(ノンプライムタイム)(全日帯からP帯を除外した時間帯)
視聴率は、CM枠の販売価格(=広告収入)を決定する上での重要な要素です。すなわち、視聴率はテレビ局の経営にそのまま直結するといっても過言ではありません(※2)。
また、テレビ業界ではこの3つの時間帯すべてで視聴率1位になることを「視聴率三冠王」と呼びます(※3)。月間・年間と区分され、後述の通り日本テレビが現在、年間視聴率三冠を獲得している状況です。
(※2)参考:フジテレビ「2018年度有価証券報告書 P.12」
(※3)……「NP帯」を入れると四冠という表現もあり
部署/職種ごとの業務内容
テレビ局のコンテンツ制作といってもさまざま。部署分けは会社によって異なりますが、大まかに以下に分類できます(※4)〜(※8)。
・制作
バラエティ番組やドラマ、情報番組などを制作する部署です。バラエティー番組とは、トーク番組、お笑い番組、クイズ番組、歌番組、旅番組など。ドラマは連続ドラマの他、特番ドラマも制作します。
・スポーツ
オリンピックやワールドカップ、プロスポーツや高校野球など、1年を通してさまざまな試合やスポーツイベントを放送する部署。スポーツ番組のほか、報道番組のスポーツニュースの制作も行います。
報道
政治部・経済部・社会部・国際部などの記者や報道カメラマンが現場で取材した情報や映像を編集し、ニュース番組やドキュメンタリー番組として放送します。海外特派員も報道局の社員であることが多いです。
・アナウンス
テレビ・ラジオの報道番組のキャスター、バラエティ番組の司会、スポーツ番組の実況などを行うアナウンサーが所属する部署。会社によって、編成局や制作局に含まれることもあります。
・技術
「カメラ」「音声」「VE」「CG」「編集」「報道技術」といった番組制作に関わる技術のほか、4KやVRといった最新技術の研究・開発、今後のメディア戦略などにも携わります。
・編成
さまざまなジャンルの番組を、いつどの時間で放送するか、どんな新番組を立ち上げるのかを決定する部署。地上波のみならずBS(放送衛星)・CS・配信メディアなどでの展開も視野に入れたコンテンツの開発・展開も行います。
・営業
スポンサーへのCM枠のセールスを担当する部署です。スポンサーと番組双方の価値があがるような、コラボレーションCMやPRイベントを企画立案することもあります。
・イベント(IPビジネス)
展覧会やライブ・舞台などの企画、運営をする部署です。IPビジネス事業では番組ソフトの2次利用や関連グッズの開発をします。ドラマや音楽番組などとコラボレーションした企画も生み出せます。
・配信
「FOD」や「Hulu(フールー)」といった番組配信サービスをつかさどる部署です。プラットフォームの構築やコンテンツ内容、会員獲得のためのマーケティング戦略を考案します。近年において、各社が力を入れている分野です。
・デジタル
番組のパートナーとして連動デジタル施策やプロモーション施策をプランニング・実行します。ウェブサイトの運営やアプリの企画、クリエイティブのディレクションを担当。関連会社として独立していることもあります。
(※4)参考:日テレ 採用サイト「日テレの仕事」
(※5)参考:FUJI TELEVISION RECRUIT「WORKS」
(※6)参考:TBS RECRUIT「社員紹介」
(※7)参考:日本テレビ放送網株式会社「デジタルマーケティング・コンテンツマーケティング部門」
(※8)参考:tv asahi mediaplex「DX」
テレビ業界(キー局)各社の業績比較・順位
キー局各社の売上高と営業利益を見てみましょう。
それぞれ各社のホールディングスを以下の通り、略記しております。
・フジ・メディア・ホールディングス → フジテレビ
・日本テレビホールディングス → 日本テレビ
・TBSテレビ → TBS
・テレビ朝日ホールディングス → テレビ朝日
※出典:バフェット・コード「企業比較」
※全て連結決算の数値です
売上高ではフジテレビが1位でした。メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業の増収により、前年同期比2.0%増の約5,356億円を記録しました(※9)。一方、営業利益では日本テレビが1位。同社の前連結会計年度と比較すると約121億円の減益となっていますが、首位を奪取しています(※10)。
(※9)出典:フジテレビ「有価証券報告書-第82期(2022/04/01-2023/03/31) P.18」
(※10)出典:日本テレビ「有価証券報告書 2022年4月1日~2023年3月31日 P.34」
「テレビ離れ」対策:ネット配信の強化
インターネットやスマートフォンの急速な普及に伴う「テレビ離れ」の影響を受け、テレビ業界コンテンツ事業の展望は決して明るいといえません(※11)。しかし、各社そろって、テレビのコンテンツを最大限に生かせる、ネット配信企業との連携で生き残りをかけています。
<キー局の他社とのネット配信の取り組み>
・日本テレビ → 2014年「Hulu」の日本事業を買収(※12)。
・フジテレビ → 2015年「Netflix」と制作合意(※13)。
・テレビ朝日 → 2016年「AbemaTV」(2020年にサービス名を「ABEMA」へと変更)をサイバーエージェントとの共同出資で開局(※14)。2020年「TELASA」をKDDIと共同出資(※15)。
・TBS → 2017年「Paravi」を6社で共同出資(※16)。2023年「Paravi」と「U-NEXT」が経営統合。TBSはU-NEXT株式の20%を取得し、パートナーシップ協定を締結(※17)。
その他に、民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」は、2023年4月にスマートフォン・タブレットアプリ、コネクテッドTVを合わせた累計のアプリダウンロード数が6,000万を突破しました。さらに、2023年8月には、月間動画再生数が3.9億回を達成し、ユーザー数においても3,000万MUBの最高記録を更新しました(※18)。
各社とも、テレビ番組のリアルタイム配信や放送終了後に一定期間無料で視聴可能なVOD(ビデオ・オン・デマンド:Video On Demand)、数多くのアーカイブ作品を視聴できる有料VODなどのネット配信に取り組んでいます。業界全体で「テレビだけでなくネットからも」というアプローチがスタンダードになっているといえます。
(※11)出典:総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要> P.4」
(※12)参考:日本テレビ「Huluの日本市場向け事業を承継し定額制動画配信に参入~Huluの作品ラインアップも大幅強化~」
(※13)参考:フジテレビ「フジテレビと米・Netflix(ネットフリックス)がオリジナルコンテンツの制作で合意」
(※14)参考:テレビ朝日「テレビ朝日とサイバーエージェントが2つの新会社設立へ!」
(※15)参考:KDDI「KDDI×テレビ朝日 通信と放送の融合が加速、新しい動画配信プラットフォーム『TELASA (テラサ)』を4月7日から開始」
(※16)参考:プレミアム・プラットフォーム・ジャパン「リッチな新作を毎日 4社で競作・共作ライブ・ラジオ・ニュースも」
(※17)出典:TBS「TBSグループ 統合報告書2023 P.21」
(※18)参考:TVer「[TVer] 2023年8月 歴代最高3,000万MUBを記録~CTVの再生数は昨年から約2倍に!~」
テレビ業界(キー局)各社の特徴・強み
それではテレビ業界(キー局)各社の特徴を見ていきましょう。
各局ともにテレビ放送による広告収入依存型経営からの脱却を図り、新たなるコンテンツ制作への提携や挑戦が続いている傾向です。
フジテレビ:映画や配信など、コンテンツ事業の強化で収益の拡大を図る
フジテレビは、1957年に株式会社富士テレビジョンとして設立され、翌年1958年に株式会社フジテレビジョンに社名変更。1963年に国産初のアニメーション番組『鉄腕アトム』を、1969年には現在も続く『サザエさん』を放送開始するなど、日本を代表する番組を数多く抱えています(※19)。
アニメ以外にも、『SMAP×SMAP』や『森田一義アワー 笑っていいとも!』『めちゃ²イケてるッ! - What A COOL we are!-』など、人気の番組を輩出してきました(※20)。
※出典:フジテレビ「有価証券報告書-第82期(2022/04/01-2023/03/31) P.19」
メディア・コンテンツ事業と都市開発・観光事業が主な売り上げを占めるフジテレビ。メディア・コンテンツ事業では、シルク・ドゥ・ソレイユの大型作品『アレグリア ─ 新たなる光 ─』などの催物事業収入や、『ONE PIECE FILM RED』『沈黙のパレード』『Dr.コトー診療所』などのヒット作が続いた映画事業収入、FODプレミアムやFNNプライムオンラインのデジタル事業収入などが前年を上回っています。また、TVerなどを通じた配信広告セールスにおいても、『silent』をはじめとした連続ドラマの再生回数の影響で大きな伸びを見せました(※21)。
都市開発・観光事業では、特に観光分野に注力しています。コロナ禍で赤字を計上していた株式会社グランビスタホテル&リゾートの業績が回復。2022年度は4期ぶりに黒字を計上しています。また、2024年の開業を目指し、「神戸須磨シーワールド」(須磨海浜水族園・海浜公園)の再整備事業や、需要の回復に合わせてホテル開発を進めるとしています(※22)。
(※19)参考:フジテレビ「沿革」
(※20)参考:J:COM 番組ガイド「テレビ番組から振り返る平成」
(※21)出典:フジテレビ「有価証券報告書-第82期(2022/04/01-2023/03/31) P.19」
(※22)出典:フジテレビ「有価証券報告書-第82期(2022/04/01-2023/03/31) P.11」
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日本テレビ:12年連続の三冠王! あらゆる部門で人気番組を保持
1952年に日本初の民間テレビ放送免許を獲得した日本テレビ(※23)。長い歴史を誇る日本テレビは、「感動×信頼のNo.1企業へ」というビジョンを掲げています(※24)。
2018年9月に58カ月連続で月間視聴率三冠を達成し、在京民放テレビ局の歴代最長記録を樹立(※25)。さらに、「2022年 年間個人視聴率(2022年1月3日~2023年1月1日)」において、全日・プライム・ゴールデンの全3部門で1位を獲得。個人3冠は12年連続を記録しています(民放のみの比較)(※26)。
また、上述した通り、2022年度の営業利益では約466億円で首位に立っており、ビジネス観点でも圧倒的な強さを誇っているといえます。ある役員は「バラエティのフジ、ドラマのTBS、スポーツのテレ朝というイメージがあるが、日本テレビはオールマイティーに各部門に強みがある」と言及しています(選考対策ページより)。
※出典:日本テレビ「有価証券報告書 2022年4月1日~2023年3月31日 P.41」
『世界の果てまでイッテQ!』(バラエティー)(※27)、『news zero』(ニュース・情報)(※28)、『金曜ロードショー』(映画)(※29)、『Going! Sports&News』(スポーツ)(※30)など、あらゆる部門で人気番組を保持する日本テレビ。メディア・コンテンツ事業は、売上高の9割以上を占めています。
また、2014年にインターネット動画配信サービス会社「Hulu」の日本事業を買収し、SVOD(Subscription Video On Demand:定額制動画配信)事業に本格的に参入しました(※12)。また、その他にも、日テレ系の見逃し番組を無料で視聴できる動画サイト「日テレ無料(TADA)by 日テレオンデマンド」や「アンパンマンとこれ なあに?」などのデジタルコンテンツ(※31)にも注力しています。
さらに、2023年9月には、スタジオジブリの株式を取得し子会社化したことを発表。「スタジオジブリの自主性を尊重し、スタジオジブリは今後ともアニメーション映画の制作、ならびにジブリ美術館、ジブリパークの運営に専念していく(※32)」としています。
(※23)参考:日本テレビ「日本テレビ略史」
(※24)参考:日本テレビ「トップメッセージ」
(※25)参考:日本テレビ 企業・IR情報「プレスリリース 2018年 年間視聴率『三冠王』を獲得いたしました!」
(※26)参考:日本テレビ 企業・IR情報「プレスリリース 2022年 年間個人視聴率『三冠』を獲得いたしました!」
(※27)参考:日本テレビ「バラエティ・音楽」
(※28)参考:日本テレビ「ニュース・情報」
(※29)参考:日本テレビ「映画」
(※30)参考:日本テレビ「スポーツ」
(※31)参考:日テレ公式 デジタルコンテンツサイト「アプリ」
(※32)引用:スタジオジブリ「日本テレビによるスタジオジブリの株主取得に関するお知らせ」
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TBS:不動のドラマ王! 国内外の配信事業も好調
TBSは1951年に株式会社ラジオ東京として設立され、ラジオ本放送を開始しました。1955年にテレビ本放送を開始。カラー本放送を開始した1960年に、社名を株式会社東京放送(略称TBS)に変更しました(※33)。
ドラマ制作に強みを持つTBSは近年、王道のドラマ枠「日曜劇場」でヒットを連発しています。2021年度は金曜ドラマ『最愛』が「2022年 日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ 最優秀賞」(※34)「Tverアワード2021 ドラマ大賞」(※35)を受賞。さらに、2022年度は『TOKYO MER~走る緊急救命室~』、2023年度は『アトムの童(こ)』が「コンテントアジア賞 ベストアジアドラマ部門 最優秀賞」を受賞しています(※36)(※37)。
実際に、ある社員も「撮影期間に余裕があるなど、他局に比べて内容にこだわったドラマ作りができる」と語っていたそうです(選考対策ページより)。
また、「2022年度 新ファミリーコア視聴率(4〜49歳)」のG帯P帯で2位を獲得しており、幅広い世代に人気を博しているといえます(※38)。
※出典:TBS「2023年3月期 有価証券報告書 P.23」
売上高の7.5割以上を占めるメディア・コンテンツ事業。2022年度は、国内の無料動画配信や国内外の有料動画配信の好調に加え、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のロングラン上演開始、サッカー「パリ・サン=ジェルマン ジャパンツアー 2022」の成功などにより増収しています。また上述した通り、U-NEXTの株式を20%取得したことにより、オリジナルコンテンツの企画・制作力の向上など、今後さらなる成長を目指しています(※39)。
また、売上高の2割弱を占めるライフスタイル事業においては、従来の雑貨小売販売事業やビューティ&ウェルネス事業に加え、知育・教育事業へ本格参入。「知育・教育コンテンツを通し、子どもたちに多くの夢や希望、そして生きる力を伝えていきたい」としています。これに伴い、2023年6月、やる気スイッチグループホールディングスを連結子会社化しています(※40)。
(※33)参考:TBS「沿革」
(※34)参考:TBS「『最愛』が日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ 最優秀賞を受賞!」
(※35)参考:TVer PLUS「『TVerアワード2021』発表!ドラマ大賞は『最愛』バラエティ大賞は『水曜日のダウンタウン』」
(※36)参考:TBS「『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』がコンテントアジア賞2022でベストアジアドラマ部門最優秀賞を受賞!」
(※37)参考:TBS「『アトムの童』がコンテントアジア賞2023でベストアジアドラマ部門最優秀賞を受賞!」
(※38)出典:TBS「TBSグループ 統合報告書2023 P.3」
(※39)出典:TBS「TBSグループ 統合報告書2023 P.46」
(※40)出典:TBS「TBSグループ 統合報告書2023 P.47-48」
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テレビ朝日:テレビコンテンツとネット放送で幅広い年齢層を掴(つか)む
テレビ朝日は、1957年に株式会社日本教育テレビとして創立されました。1966年には『題名のない音楽会』、1976年には『徹子の部屋』、1979年には『ドラえもん』と、現在も続く人気番組を放送開始しています(※41)。
2022年度は、全日・プライム・ゴールデン(世帯)で3冠を達成。特に、「サッカーW杯カタール2022 地上波10試合・ABEMA全64試合中継」「2023WBC 中継4試合」の大型スポーツイベント中継が歴史的な高視聴率を獲得しました。その他にも『相棒season21』や『特捜9 season5』をはじめとするドラマ6作品が「民放連続ドラマ トップ10」にランクインしたり、週末に放送される『スーパーバラバラ大作戦』などのバラエティ番組を中心に安定な高視聴率を獲得したりしました(※42)。
※出典:テレビ朝日「2023年3月期 決算説明会 P.25」
テレビ放送事業とインターネット事業が、売上高の8割以上を占めるテレビ朝日。番組連動CM企画や、『動画、はじめてみました』をはじめとするネット連動企画など、積極的な「コンテンツ360°展開」が収益に貢献しているとしています(※43)。
インターネット戦略においては、「ABEMA」が9,600万ダウンロードを突破(2022年度時点)、「TELASA」も2023年度中に会員数200万人達成を目指す勢いです。その他にも、オウンドメディアの「テレ朝news」「テレ朝動画」「ANN NEWS」、動画広告配信プラットフォームの「UltraImpression」など、データ利活用を促進しています(※44)。
また、2022年7月には「メタバース部」と「アニメ・ゲーム事業部」を設立。2023年には、エンタテイメントとテクノロジーが融合する発信拠点として「東京ドリームパーク」を着工予定です(※45)。これらの取り組みから、テレビ番組やインターネット配信以外にも注力していることが伺えます。
(※41)参考:テレビ朝日「社史」(※42)出典:テレビ朝日「2023年3月期 決算説明会 P.5-6」
(※43)出典:テレビ朝日「2023年3月期 決算説明会 P.8」
(※44)出典:テレビ朝日「2023年3月期 決算説明会 P.13-15」
(※45)出典:テレビ朝日「2023年3月期 決算説明会 P.17-19」
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キー局各社の社風の違い
各企業の社風を見ていきましょう。
フジテレビ:「楽しさ」を生み出す、明るく闊達な社風
フジテレビには、「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンがあります(※46) 。その言葉通り、同社には「楽しさ」を生み出す、明るく闊達(かったつ)な社風があるようです。 実際に、同社の社員は「仕事を超えた楽しさがある」、「仕事が忙しくなると余裕がなくなりがちだが、張り詰める感じではなく、楽しんで仕事をしている印象がある」と語っています(※47)。
一方で、テレビ局というと、一般的には「激務で大変そう」というイメージを持つ学生も多いのではないでしょうか? しかし、新入社員が「入社してみて感じた就活時とのギャップ」について「勤務時間がしっかりと管理されている」ところだと語っていることからも(※48)、同社が働く環境の整備に努めていることが伺えます(選考対策ページより)。
(※46)参考:日刊スポーツ「フジテレビ4月期改編は原点にしてDNA『楽しくなければテレビじゃない』で巻き返す」
(※47)参考:RECRUIT FUJI TELEVISION「技術の仕事 特別編 ワールドカップバレー×技術社員」
(※48)参考:RECRUIT FUJI TELEVISION「2022年新入社員アンケート企画 ガリ就活博士『新人徹底分析するガリ』編」
日本テレビ:部門に縛られず、社員全体にあふれる仲の良さ
日本テレビには、素材やノウハウを部門間で共有する文化が根付いています。社内での交流の多さから社員同士の距離が近い傾向にあり、チームワークの良さを形成しているようです。
実際に、制作局の社員は「昨日の番組を見たか? などの話で、いつも子どものように盛り上がっている」と語っています(※49)。
これに加え、内定者は「任意研修にほとんどの人が集まるほど仲が良い」と述べています。よって、部門に縛られず、みんなで良いものを作ろうとコンテンツに向き合える環境だと考えられるでしょう(選考対策ページより)。
(※49)参考:日本テレビ「SPECIAL TALK 制作局座談会」
TBS:堅実で個性が大事にされる社風
TBSには、全体的に堅実で落ち着いた雰囲気があります。内定者によると「社員さんは全くギラギラせずに、真面目で落ち着いている人が多い」そうです。堅実な社風の会社で、着実にキャリアを積み重ねていきたいと考える学生には最適な企業といえるでしょう。
また、内定者いわく「個性が大事にされる風潮がある」そうです。そのため、社員一人一人の思いが番組に反映されやすいといえます。 実際に、内定者は「競合他社は大人数での会議を繰り返して番組案を作っている。一方、TBSは個人が考えた案の骨子がそのまま残って番組になることがある」と述べています。 これが功を奏し、『水曜日のダウンタウン』や『クレイジージャーニー』(※50)など、他局にはない独特の番組作りが実現できているといえます(選考対策ページより)。
(※50)参考:TBS「TBSテレビ番組表」
テレビ朝日:協議主義、「全員で考えて勝つ」番組制作
キー局内定者が説明会やOB・OG訪問で社員から聞いた話によると、テレビ朝日には1人の天才が番組作りを推し進めるというよりは、全員で協議して決めた企画を番組としてヒットさせていくという不文律のようなものがあるそうです。
そんな社風が反映されてか、実際の選考でも「グループディスカッション(GD)」「模擬番組制作」といったように、学生がグループでどのように振る舞うのかを図る選考が多くなっています。また、選考経験者によると、ある社員が「議論ができない人はテレビ朝日で活躍することはできない。すぐに埋もれてしまう」と語っていたそうです。
現在、「ABEMA」にも力を入れているテレビ朝日。地上波のテレビ放送だけでなく、インターネット放送にも注力するテレビ局で働きたいと考える学生におすすめの企業といえます(選考対策ページより)。
テレビ業界(キー局)各社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数
それでは気になる平均年齢・平均給与・平均勤続年数について見ていきましょう。
企業名 | 平均年齢 | 平均給与(万円) | 平均勤続年数 |
フジテレビ | 49.1歳 | 1580 | 17.9年 |
日本テレビ | 48.2歳 | 1358 | 16.3年 |
TBS | 47.2歳 | 1460 | 19.7年 |
テレビ朝日 | 43.2歳 | 1421 | 17.4年 |
※出典:2022年度 有価証券報告書「フジテレビ P.10/日本テレビ P.9/TBS P.9/テレビ朝日 P.9」
※「テレビ朝日」を除き、有価証券報告書の提出会社であるホールディングス社員のデータであるため、各社単体のデータではないという点にご注意ください。
※平均給与は千の位を四捨五入しています。
平均年収は4社とも1000万円を超えています。日本全体の40代の平均年収が約492万円(※51)のため、業界自体の給与水準が非常に高いといえます。
(※51)出典:国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査-調査結果報告ー 第12表 業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額 その1 1年を通じて勤務した給与所得者 P.180」より算出し、小数点四捨五入
テレビ業界(キー局)の選考対策ページ・記事
いかがでしたか? エントリーする学生の数が圧倒的に多いため、選考回数が多いことがキー局の特徴です。
しっかりと企業分析と自己分析を行い、テレビ愛や志望動機を率直に伝えることができれば、意外と雲の上の世界ではありません。比較的早い選考時期に備えて、早めの準備を意識しましょう。
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▪️コンサル ・【戦略コンサル:業界研究】MBB「マッキンゼー・BCG・ベイン」を比較!仕事内容・社風/強みの違い
・【業界研究:総合コンサル】大手6社(アクセンチュア、デロイト、PwC、EY、KPMG、アビーム)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
▪️マスコミ・エンタメ ・【出版:業界研究】4大出版社(集英社・講談社・KADOKAWA・小学館)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【大手広告代理店:業界研究】大手6社(電通・博報堂DYグループ・サイバーエージェント・セプテーニ・デジタルHD・ADK)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【業界研究:旅行業界】「JTB、HIS、KNT-CT、日本旅行」大手旅行会社4社それぞれの強みや社風、給料を徹底比較!
▪️インフラ・資源
・【インフラ:業界研究】大手3社(JR東海・東京電力・東京ガス)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【業界研究:インフラ業界】「安定時代の終焉」日本を支えるインフラ業界:電力・ガス・交通の魅力と将来性
・【鉄道:業界研究】大手5社「JR東日本・近畿日本鉄道・JR東海・JR西日本・東京地下鉄」を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【海運:業界研究】大手3社「日本郵船・商船三井・川崎汽船」を比較!業績ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【私鉄:業界研究】大手3社「東急・東武鉄道・小田急電鉄」を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【ガス:業界研究】大手4社「東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガス」を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【業界研究:エネルギー】電力・ガス業界の大手4社「東京電力・関西電力・東京ガス・大阪ガス」の事業や年収を徹底比較!
・【業界研究:石油業界】「ENEOS・出光興産・コスモエネルギー・国際石油開発帝石・石油資源開発・三井石油開発」石油大手6社の業績、社風を徹底比較!
・【業界研究:航空会社】大手2社(全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL))を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【非鉄金属:業界研究】大手4社(住友電気工業・三菱マテリアル・JX金属・住友金属鉱山)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
▪️不動産・建設 ・【デベロッパー:業界研究】大手6社(三井不動産・三菱地所・東急不動産・住友不動産・野村不動産・森ビル)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【デベロッパー2:業界研究】大手4社(ヒューリック・東京建物・日鉄興和不動産・NTT都市開発)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【スーパーゼネコン:業界研究】主要5社(大林組・鹿島建設・大成建設・清水建設・竹中工務店)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
▪️IT・通信 ・【SIer:業界研究】SIer大手5社(アクセンチュア・NTTデータ・野村総合研究所・日本IBM・富士通)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【通信:業界研究】大手キャリア4社(NTTドコモ・ソフトバンク・KDDI・楽天)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い
▪️人材・教育 ・【人材:業界研究】大手4社「リクルート・パーソルキャリア・パソナ・リンクアンドモチベーション」を比較!業績ランキング・平均年収・社風/強みの違い
・【教育:業界研究】大手4社「ベネッセ・リクルート・トライ・LITALICO」を比較!業績ランキング・平均年収・社風/強みの違い
▼就活記事の総集編まとめ
・【新特集スタート】就活生の悩むべき問題は5つだけ。モヤモヤした視界を切り開く「就活の羅針盤」
・インターン/就活はいつから?スケジュールと準備の進め方
・OB・OG訪問とは?就活でOB・OG訪問が必要な人、しなくていい人
・志望動機の書き方と例文集|人気8業界のES通過例文と王道の回答例
・【自己PRの書き方】ESで強みを効果的にアピールするには?新卒採用担当の目線と内定者の回答例から解説
・【面接対策】質問集&回答例|新卒就活でよく聞かれることと準備方法
・【自己分析のやり方】たった4通り!簡単にできる方法・ツール・シートを解説
・【業界研究:34業界収録】めんどくさい業界研究は全て任せろ!金融/商社/不動産/メーカー/広告/コンサルなど人気業界/企業を徹底比較
・【Webテストとは】主要9種類を網羅!適性検査の特徴、対策本、出題企業一覧
・グループディスカッション完全対策!全テーマの進め方/コツや役割を網羅的に解説
・ケース面接対策&例題|コンサル・日系大手も出題!ゼロからの始め方
・ESの書き方&例文集|エントリーシートの基礎から質問別/業界別の回答例まで完全対策
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