※本記事は、noteに掲載した記事を転載・一部加筆したものです
(転載元note:「就活生の「ESこれで大丈夫かな?」への処方箋を書きました。」)
ワンキャリアの多田と申します。
前回の記事を書いたところ、多くの反響があり「他のテーマでも書いてほしい」とうれしい声をいただいたので、今回は多くの就活生から疑問が寄せられる「エントリーシート(以下:ES)」について書こうと思います。
今後は処方箋シリーズとしてシリーズ化します。
▼前回のnote転載記事 & 自己紹介はこちら▼
・就活生の「この会社でいいのかな?」への処方箋を書きました。 #ES公開中
ただでさえ忙しい就活生が、ES作成にかける時間って本当にもったいないです。
通過するESがもっと簡単に書ければ、企業を知る時間をもっと作ることができる。
2020年卒業の方は、すでにESを提出し終わっていると思います。
しかし、これから本選考の面接を控えている人は、「面接でどこが突っ込まれそうかな」と考えながら、読んでいただければうれしいです。
【本記事構成】
◼︎「ESが分かりやすい」って何?
- 「優秀なビジネスパーソン」の言語に合わせるとは?
- 「課題(Task)の深掘り」を例を用いて説明
◼︎ 余談
- マーケティング用語『ファネル』でESを考えてみる
それでは、早速「ESの考え方」を見てみましょう。
結論から言うと、ESで重要なことって、2つだけなんです。
(1)分かりやすいかどうか
(2)「Why」起点で書かれているかどうか
本記事では「(1)分かりやすいかどうか」に絞って書いています。
「(2)「Why」起点で書かれているかどうか」については「自己分析」が絡み、ボリュームが多くなるので、別で書こうと考えています。
「ESが分かりやすい」って何?
「分かりやすいなんて、普通のことやないか!」と思われるかもしれません。しかし、僕は今まで数千枚のESを見てきましたが、分かりやすいESってほとんどないんです。
つまり、「分かりやすいだけ」で差がつく可能性が高いということ。
でも、そもそも「ESが分かりやすい」ってどういうことでしょう?
それは「優秀なビジネスパーソンの言語に合わせて書いてあること」です。
もちろん、大人全員が優秀なわけではありませんが、大人は「優秀なビジネスパーソン」の視点でESを見るんです(ここでは自分を棚上げして書きますが笑)。
PDCAと「ES」のふかーい関係
その前にまず、「PDCA」という言葉を聞いたことはありますか?
Plan (計画して) → Do (やってみて) → Check (振り返って) → Action (またやってみる)というサイクルのことです。
大人たちは、よく「PDCAを回せ、回せ」と言うのですが、これができている大人って意外に少ないです。
下の図を見てください。
優秀なビジネスマンは、PDCAの「Check」を分解して普段の業務を評価しています。
つまり、PDCAの「Check」を深く考えている大人の言語に合わせることが必要なのです。
簡単な例で言えば、あなたが優秀な営業だったとしたら……
目標(Goal)が売上1,000万円に対して、現状(Situation)が売上800万円だったら、差分(GAP)が200万円です。この200万円を埋める課題(Task)を考えないといけません。
差分(GAP)を生んでいる原因は、
・「テレアポ数の不足」
・「テレアポからのアポ取得率の低さ」
・「アポに行ってからの受注率の低さ」……
など、さまざまなものが考えられます。
じゃあ、著しく「アポ取得率が低い」ことが数字で分かったとしましょう。では、アポ取得率の低さの原因は何なのか? これを深掘れば、それが課題(Task)です。
例えば「そもそも、ニーズがない企業へ電話していた」などが当たります。
ただ、ここで「自分のトークが下手だった」といった要因は課題(Task)ではありません。
「なぜ自分のトークが下手なのか?」を深掘る必要があります。
それぞれの課題(Task)が特定できれば、課題に対しての施策(Solution)、つまりActionへと移るわけです。
上は簡単な例ですが、実際のビジネスの場面ではさまざまな状況があり、おいそれとはいきません。
ただ、「Check」を考えられていない大人も、普段の業務でのことは棚に上げて、優秀なビジネスパーソンの視点で「ES」を見ます。
つまり、ESのいわゆる「ガクチカ」(学生に力を入れたこと)も、その視点に合わせて、以下の要素がないといけません。
・Goal(目標)
・Situation(現状)
・Task(課題)
・Solution(解決策)
要は、これがそろっていることが「分かりやすいES」です。
もちろん、施策後の結果(Result)も書きましょう。
ここでさらに、注意すべきが「課題の深掘り」です。
その課題は「本物」か? 課題の深掘り方とは
先ほどの優秀な営業の話を構造化してみました。
◼︎目標(Goal):1,000万円
◼︎現状(Situation):800万円
◼︎差分(GAP):200万円
◼︎課題(Task):
1.「テレアポ数の不足」
∟なぜ???
2.「テレアポからのアポ取得率の低さ」
∟(1)そもそもニーズがない企業へ電話していた
∟(2)自分のトークが下手だった
∟なぜ???
3.「アポに行ってからの受注率の低さ」
∟なぜ???
このなぜの部分が課題(Task)でしたよね?
実際は、(2)「自分のトークが下手だった」で終わっている学生が多い。
「優秀なビジネスマン」の視点で見られたら、突っ込まれます。
これをESに置き換えて考えてみましょう。
よくあるESを構造化してみました。
(ここまで考えている人は本当にまれですが、分かりやすいように書きます)
◼︎目標(Goal):
新入生をサッカーサークルに新歓で30名入れること
◼︎現状(Situation):
簡単に言うと、確定飲み会まで来てくれれば、高確率でサークルに入ってくれる
1. 自分は1学年30名程度のサッカーサークルで新歓の責任者を務めていた
2. サークルに入る流れは、「新歓祭 → 新歓飲み会参加 → 確定飲み会参加 → サークルに入る」
3. 昨年度は、新歓祭で自分のサークルのブースに来てくれた人が、80名(数はLINEで管理)
4. 昨年度は、新歓の飲み会に来てくれた新入生は40名、確定飲み会に来てくれた新入生は25名
5. 昨年度は、目標30名に対して、新入生を20名しか入れることができなかった
◼︎課題(Task):
1. 新歓祭でサークルのブースに来てくれる人が不足していた
∟勧誘する各人が新入生に声をかけることがなかなかできていなかった
∟なぜ???
2. 新歓祭から新歓飲み会に来てくれた人が不足していた
∟なぜ???
3. 新歓飲み会から確定飲み会に来てくれた人が不足していた
∟なぜ???
例えば、就活生は「新歓祭から新歓飲み会に来てくれた人が不足していた」をそのまま課題(Task)に設定してしまいがちです。
ここを「深掘ること」が重要なんです。
「新歓飲み会に来てくれた人が不足していた」原因は、以下のようなものが考えられます。
・新歓祭当日/後日のコミュニケーション不足
・新歓飲み会の認知不足
・新歓飲み会というコンテンツの魅力の不足
・新歓飲み会の開催時期 etc……
過去の自分を冷静に振り返ってみれば、実は「この課題に着手していたのか」と気付きがあるはず。
当時は直感でやっていたことを言語化することが重要なのです。
学生時代にこんなことを考えながらやっている人はほとんどいないわけですから。
「なぜその課題に至ったのか」そのプロセスが、ESでも分かると非常に良いです。
まとめ
結局、「分かりやすいES」を書くには、以下の2つが重要でした。
・「目標/現状/課題/施策/結果」の流れで書かれていること
・ESで書いた課題が深掘りされて書かれていること
余談……
ちなみにですが、上の仮想ESの「現状(Situation)」を書く際には、マーケティングの『ファネル』という考え方を基に書きました。
ファネルとは「漏斗(じょうご)」を指します。ビジネスパーソンが使用する、マーケティング用語です。
ファネル(漏斗)とは、広く集客したうえで、ふるいにかけられた見込み顧客が、検討・商談、そして成約へ流れる中で段々と少数になっていくことをいう。
その様を図にすると、漏斗で濾(こ)した様子に似ているところからそう呼ばれている。
※引用:Synergy Marketing「マーケティング用語集」
ユーザベース(NewsPicksを提供している会社)の資料にも出てきます。
※引用元:NewsPicks「【買収発表】NewsPicksが米クオリティ経済メディア「Quartz」を買収する理由」
先ほどの仮想ESを、ファネルの考えを基に図解するとこんな感じになります。
こう捉えると、マーケティングの素養のある面接官に、「昨年度はどうだったの?」「新歓祭に訪れる人ってどれくらいなの?」ような質問をされたら、意図が分かってくるのではないでしょうか?
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
SNSも開放していますので、気軽に絡んでください。前回もさまざまなご連絡をいただき、うれしかったです。
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Facebook:多田薫平
Twitter:@kum0219
<多田薫平 「処方箋シリーズ」一覧>
・就活生の「この会社でいいのかな?」への処方箋を書きました。 #ES公開中
・就活生の「ESこれで大丈夫かな?」への処方箋を書きました。
・「就活の納得感」の正体、そして納得感を高める方程式とは?
(Photo:sittipun punpang/Shutterstock.com)