新卒で入るなら「大企業」か、それとも「ベンチャー」か──。
IT系のベンチャー企業が大成功するケースが増えてきたころからだろうか。さまざまなオトナたちが、このテーマで壮大なポジショントークを繰り広げてきた。
ある大手のオトナは言った。
「新卒カードは絶対大手で切れ」
「仕事のスケールも社会的信用も、全部だ。ローンが組めないこともあるぞ」
かと思うと、あるベンチャーのオトナはこう返す。
「40代でもほとんどが平社員だぞ。いいのか?」
「20代は圧倒的成長ができるベンチャーで、自分のスキルを磨け」
大企業 VS. ベンチャーという対立構造の「嘘」
こんにちは。ワンキャリア執行役員の長谷川です。
およそ5年前。僕は就職活動で80社の選考を受けました。大手40社とベンチャー40社の計80社です。大手とベンチャーが同じ数なのは、単なる偶然ではありません。今振り返ってみると、無意識のうちに同じだけの社数を受けようとしていたし、自然と両者は違うものとして考えたように思います。
……とはいえ、なぜ両者が対立するものとして語られるのか、当時はよく分かっていませんでした。
僕は結局、グーグル(Google)という大手外資に入りましたが、最後まで入社を迷った企業には、今では東証マザーズに上場しているベンチャーもありました。果たして、どちらに入社するのが良かったのでしょうか。
ワンキャリ編集部が総力を挙げてお届けする特集、4月のテーマは「二項対立するキャリアの『嘘』」です。
「二項対立(にこうたいりつ)」とは、ある2つの概念が互いに矛盾や対立をしている様子を指す言葉です。就職活動も含め、キャリアというのは自らが選びとっていくものだと考えていますが、その選択においては、二項対立で語られがちな選択肢が多いのではないか……この疑念が、今回の特集を立ち上げるきっかけになりました。
・キャリアが安定するのは「スペシャリストか、それともゼネラリストか」
・AIが仕事を代替しつつある今選ぶべきは「文系職か、それとも理系職か」
・成長や待遇を求めるなら「外資か、それとも日系か」
こうした言葉から感じられるのは、この2つの選択肢が「Aなのか、Bなのか」という二者択一ではなく、「Aか、Aでない真逆のものか」という対立した見え方になっているという事実です。
しかし、この2つは「本当に」相反する概念なのでしょうか。否、ワンキャリ編集部はそうは考えません。今回の特集では、この固定観念を打ち破るようなキャリアを歩むビジネスパーソン3人に編集部がインタビューを敢行。「脱・二項対立」の全てを網羅できたわけではありませんが、キャリア選択の「本質」に迫る記事を用意いたしました。
Vol.1:「スペシャリスト VS. ゼネラリスト」を超えて
【4月23日(火)公開】異業種を超える不安は、「なんとなく」に過ぎない?:医師→マッキンゼー→ベンチャー経営のメドレー・豊田氏の「逆算しない」キャリア論
医師、マッキンゼー、ベンチャー経営と異業種と飛び越え、独自のキャリアを築いてきたメドレー・豊田氏へのインタビュー。彼を大胆なキャリアチェンジへと駆り立てたものは何だったのか?
Vol.2:「大企業 VS. ベンチャー」を超えて
【4月24日(水)公開】「大企業でスタートアップみたいに働くには、どうすればいいんですか?」博報堂でブロックチェーンビジネスに取り組む加藤さんに聞いてみた
広告代理店大手の博報堂に勤めながら、自身のミッションの実現のために地方へ飛び回ったり、大学院に通ったりと、「スタートアップライク」な働き方をしている加藤氏にインタビュー。明確なビジョンもあり、自由に働く加藤さんが、大企業を辞めない理由とは……?
Vol.3:「文系(ビジネス職)VS. 理系(エンジニア)」を超えて
【4月25日(木)公開】グノシーから「スタートアップより面白い」DMMのCTOへ:文系も理系も必須の「モデル化」思考とは?
モノを「売りたい人」とモノを「作りたい人」という立場上、ビジネスサイドとエンジニアサイドが対立するケースは少なくない。しかし、DMM.comのCTOである松本氏は「経営者は『ビジネス VS. エンジニアリング』という二項対立なんて存在しない、と知っている」と強調する。その真意とは?
企業に縛られる形で、キャリアを形作る時代が終わろうとしている今、私たちのキャリアに対する考え方も変えていなければいけません。
キャリアの選択には無限の可能性があること──。企業の選考が進む中、この特集がキャリア選択に迷われる方の一助になれば幸いです。
(Photo:Tong_stocker/Shutterstock.com)
【特集:二項対立するキャリアの「嘘」】
<Vol.1>異業種を超える不安は、「なんとなく」に過ぎない?:医師→マッキンゼー→ベンチャー経営のメドレー・豊田氏の「逆算しない」キャリア論
<Vol.2>「大企業でスタートアップみたいに働くには、どうすればいいんですか?」博報堂でブロックチェーンビジネスに取り組む加藤さんに聞いてみた
<Vol.3>グノシーから「スタートアップより面白い」DMMのCTOへ:文系も理系も必須の「モデル化」思考とは?
<Vol.4>Googleも、起業も、VCも。なのにベンチャー会社員で再出発のワケ。ツクルバ・上村氏の「キャリアドリフト」というキャリア選択術