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「今の東大・京大生の就活ランキングの特徴は何か?」
と聞かれたら、「コンサルの圧倒的な人気」と答えるだろう。まずは下の図を見てほしい。
調査対象:東京大学・京都大学、または同大学院に所属する2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数を元に作成
上記は、東大・京大の現役就活生の「お気に入り登録数」を基にしたランキングだ。「就職ランキング」と捉えてもらって問題ない。
まず、コンサルが上位30社中13社など圧倒的な人気だが、この傾向は2年前から顕著であり、特に驚きはない。問題は「なぜ、コンサルがここまで人気なのか?」と「今、コンサルで働くのは実際どうなのか?」だ。
データから見てみたい。
【ONE CAREER:人気順位】
調査対象:2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)から算出
集計時期:2019年1月24日時点
【Vorkers:20代の成長環境】
集計対象:クチコミ数が10件以上の企業約2,500社から作成
集計期間: 投稿日 2016/1/1~2018/12/31
※集計方法が異なる為「Vorkers」各企業ページで掲載している評価点とは異なります
これは、ワンキャリアで人気のコンサル上位10社を、社員・元社員によるクチコミサイトVorkersの「20代成長環境」スコアで並べたものだ。つまり人気コンサルに入って「本当に成長できるのか?」を表している。
これを見ると1位はベイン・アンド・カンパニー、10位はKPMGコンサルティングとなっており、両者には1.79ポイントの差がある。
この1.79ポイントというのは実際、どれぐらいの価値があるのだろうか? そしてコンサルの中央値(約4.0点)高いのか? 低いのか?
例えば、同じく人気業界の総合商社7社と比べてみよう。
【ONE CAREER:人気順位】
調査対象:2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)から算出
集計時期:2019年1月24日時点
【Vorkers:20代の成長環境】
集計対象:クチコミ数が10件以上の企業約2,500社から作成
集計期間: 投稿日 2016/1/1~2018/12/31
※集計方法が異なる為「Vorkers」各企業ページで掲載している評価点とは異なります
これを見ると、7社の中央値(3.5点)よりは高いようだ。コンサルは商社より、「20代で成長できそう」と言えるだろう。あるいは、下の図を見てみよう。
【ONE CAREER:人気順位】
調査対象:2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)から算出
集計時期:2019年1月24日時点
【Vorkers:20代の成長環境】
集計対象:クチコミ数が10件以上の企業約2,500社から作成
集計期間: 投稿日 2016/1/1~2018/12/31
※集計方法が異なる為「Vorkers」各企業ページで掲載している評価点とは異なります
これは「若い人が活躍しやすいイメージ」がある、IT企業(TOP5)のスコアだ。
まず、IT業界人気1位を誇るサイバーエージェントは、「若手の裁量権がある会社」としてビジネス界でも有名だが、ポイントは4.17点となっている。
サイバーエージェントは、この1年で人気がさらに上がった印象もあり、20代が成長できる、まさに「21世紀を代表する企業」になりつつあるということだろう。
話を戻し、IT業界の中央値は3.5点なので、やはり、データで見ても、「コンサル(4.0点)=20代が比較的成長しやすい」とは言えそうだ。
ただ注意すべきなのは、『転職の思考法』で指摘したように、(1)仕事にはライフサイクルがあることと、(2)会社には「新卒で入るべき会社」と「中途で入るべき会社」が存在していることだ。
人気になっているということは既に「会社の中は優秀な人だらけでレッドオーシャンになっている」可能性がある。
ここは注意した方がいいだろう。
20代で成長できる日系大手企業も、三井不動産、キーエンスなど、たくさんある
今の学生と話していると、「外資系=早くから活躍できる」というイメージがあるように感じるが、それは半分正しく、半分は勘違いだ。
実際にデータで見たい。
【ONE CAREER:人気順位】
調査対象:2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)から算出
【Vorkers:20代の成長環境・人材の長期育成】
集計対象:20代の成長環境・人材の長期育成のクチコミ数が10件以上の企業約716社から作成
集計期間: 投稿日 2016/1/1~2018/12/31
※集計方法が異なる為「Vorkers」各企業ページで掲載している評価点とは異なります
※「Vorkers」に掲載されている企業名で表記しています
通常、「若手へのチャンスの幅」と「人材の長期育成」は相反することがある。
上の図はこの両方のスコアでプロットしたものだ(※全大学)。例えば、右上にある企業は、20代の成長環境が高く、かつ、人材の長期育成のスコアが両方高いということになる。これをみるとたしかに外資は多いが、三井不動産、キーエンス、旭化成、トヨタ自動車、アサヒビールなど日系大手企業もランクインしている。
言い換えれば、これらの企業は「日本企業の良さ(=長期的な育成)」を保ちつつ、「若手育成」も力を入れているということだろう。
必ずしも「20代で成長したい=外資」というわけではなさそうだ。
では、なぜだろうか? なぜ、日系=20代で成長できないイメージがついているのだろうか?
それは「日系企業の中には、人気と実態がかけ離れた企業」が存在しているからだと私は考える。つまり、1社のイメージが残像のように悪いイメージとして足を引っ張っているのだ。
「人気があるが、働きがいがない企業」も引き続き多く存在
メガバンクのニュースや、大手メーカーのニュースなど、「業界」は一つ括りのイメージとして語られることが多い。だが、当然だが、同じ業界でも「伸びている会社」と「伸びていない会社」が存在している。これを見極める際に役に立つのが「クチコミ」と「データ」だ。
今、世の中は確実に「クチコミ」のパワーが強くなってきている。
現に、食べログや、Amazonなど、「クチコミと点数(データ)」を使ったことのない20代〜40代はほぼいないのではないだろうか?
その流れが今、「仕事選び」にも来ている。下の図を見てほしい(※全大学)。
【ONE CAREER:人気順位】
調査対象:2020年度卒予定のONE CAREER会員による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)から算出
集計時期:2019年1月24日時点
【Vorkers:総合評価】
集計対象:クチコミ数が10件以上の企業1,803社から作成
集計期間: 投稿日 2016/1/1~2018/12/31
※集計方法が異なる為「Vorkers」各企業ページで掲載している評価点とは異なります
これは就活生から人気がある企業を「働きがいのスコアが低い会社」を並べた企業だ。つまり、「人気と実態に乖離(かいり)がある企業」と呼べるだろうか。
もちろん、「スコアが低い」からといっても、必ずしも自分に合わないわけではないし、1位の富士通のスコア(2.97)もVorkers全社のスコアとしては特段低いわけではない。あくまで「人気企業のなかでは低い」ということだろう。
クチコミデータをみる際に、重要なのは「平均が極端に低い会社には何かある」ということだ。というのも、私自身も会社の役員として経営する側だからこそ分かるが、おしなべて「従業員の満足度が低い事業部=何か問題がある」のはほぼ100%正しい。その意味で「全社でスコアが低い=何かがあるかもしれない」と考えて就活する必要はありそうだ。
現代は、(親が就活を行っていた)20年〜30年前の時代とは大きく異なる。「認知がある会社=いい会社とは限らないこと」は注意だ。そのために、クチコミとデータを使おう。
「受けてよかった」説明会ランキング。3位は武蔵野銀行。2位三井不動産商業マネジメント、1位は……?
今の就活生は忙しい。部活やサークル、研究と就活を並列しているとなおさらだ。一説には「今の就活は、『受かるための時間』に8割の時間を使っている」という説もある。受かるための時間とは「ESや、面接対策」など、就活のルールを理解するための時間だ。
本来、就職とは「受かるための時間」よりも「自分のキャリアを考える時間」の方がはるかに大事だ。だが、その時間は少ない。
これは人事・採用制度側にも問題がある。
我々は普段、数多くの人事と対峙(たいじ)するが、人事のレベルは千差万別である。本当に学生のことを思い、「素晴らしい体験をしてほしい」「自社のことを知ってほしい」と思って頑張っている人事もいるが、その反対もある。
そして、それは如実に、説明会やインターンのクオリティに出る。以下は「ワンキャリア独自」のランキングになる。
【ONE CAREER:説明会のクチコミスコア】
調査対象:2019年2月22日時点で説明会のクチコミ数が10件以上ある企業から算出
【ONE CAREER:インターンシップのクチコミスコア】
調査対象:2019年2月22日時点でインターンシップクチコミ数が10件以上ある企業から算出
上記は「受けてよかった説明会」「インターン」のランキングTOP10だ。
受けてよかったインターンには、キリンホールディングス(1位)、三井物産(2位)、旭化成(3位)など、いわゆる大企業もあるが、レバレジーズ(5位)、Fringe81(7位)、Speee(9位)など、20年前には知名度がなかった会社も並んでいる。
ワンキャリアは今年から、「受けてよかった説明会」「受けなくてよかったインターン」など、全てのデータを公開することにした。
学生の皆さんはぜひ、大きな会社だけではなく、これらの会社のインターンに参加することもオススメしたい。きっと損はしないだろう。
忙しいこれからのシーズンにぜひ、参考にしてほしいと願う。
さぁ、3月1日解禁。「札束の叩き合い」就活ランキングが終わり、民主的なランキングにアップデートする時代にきた【執筆後記】
「なぜ、ワンキャリアはこんなランキングを出すんですか?」
と聞かれることがある。実際、私もそう思う。なぜなら、はっきりいって「得しないから」だ。
ほぼ全ての就活サービスは、企業からお金をもらって運営されている。従って「お金をもらっている企業の悪い実態を出すこと」は、売上を失うリスクがある。ワンキャリアもそうだ。だから「いい企業」のランキングは出せても、「ダメな企業」のランキングは出したくても出せない。
だが、それでもこのランキングを出すのは
「適切なジャーナリズムのないマーケットは成長しない」
と信じているからだ。我々は学生と真摯(しんし)に向き合う人事を応援したいと思っている。だがそのためには「何も努力していない企業」には席を譲ってもらう必要がある。
今、ほとんどの大手ナビサイトの就活ランキングは「札束の叩き合い」になっている。たくさんの広告費を払い、たくさんの合説に出た企業がランキングの上位に上がるようになってしまっている。
もちろん、その中には「本当に優れた企業」もある。今回であれば、ベイン・アンド・カンパニー、マッキンゼー・アンド・カンパニー、伊藤忠商事、三井物産、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー(DeNA)といった企業などだ。
企業が不正を行えば、それは経済メディアが大々的に報じる。だが、就活における嘘は、どの就活メディアも報道しないのだ。なぜなら、就労マーケットとは構造的に「学習が進みづらい市場」だからだ。食べログや、Amazonに比べると「アクションの回数」が圧倒的に少なく、加えてデータが残らない。
その結果、新陳代謝が進まないのだ。
もちろん、どんな会社にも「そこで働く人たち」が存在する。だから、スコアが全てではないし、スコアが低くても「生き生きと働く人」はいる。
だが、もし就活中のあなたが少しでも違和感を感じることがあったら、ぜひ、クチコミとデータを使ってその違和感を殺さないでほしい。きっと後悔してしまう可能性があるからだ。
ワンキャリアはこれからも、ぶった切る「就活ランキング」を公開していきます。
就活に、透明性を。
ONE CAREER
(Photo:vectorfusionart/Shutterstock.com)