食品、飲料、医薬品、段ボールやプラスチック……。生活に欠かせない製品に幅広く使われている、ある素材を知っていますか?
とうもろこしを原料にしたでんぷん、コーンスターチの研究・開発や製造を手がける日本コーンスターチ。創業150年を迎える同社の取引先には、誰もが知る大手メーカーがずらりと並びます。今回は開発研究に携わる榊原さんと中村さん、そして本社で採用に関わる佐藤さんの3名にお話を伺いました。注目の素材であるコーンスターチを軸に、若手のうちからグローバルに活躍できる研究環境の魅力に迫ります。
新卒1年目から海外研修、最新鋭の生産体制
──本日はよろしくお願いします。「コーンスターチ」という名前を聞いてピンと来ない学生も多いと思いますが、その用途は食品から工業製品まで幅広く、将来性ある素材だそうですね。そんな素材を扱う日本コーンスターチで働く魅力は、どんな所にありますか?
榊原:(1)海外研修の機会と(2)最新鋭の生産体制が挙げられます。まず前者について、日本コーンスターチではイリノイ大学やミシガン州立大学など、米国大学と連携しており、研修や人材交流の機会が多くあります。3週間ほどのアメリカ研修に、入社1〜2年目の社員も参加するチャンスがあります。最近は海外出張や研修をする機会も、以前より増えました。
榊原(さかきばら):執行役員 開発研究所 主席研究員
米 イリノイ大学 研究所 派遣(The University of Illinois' Laboratory Maize Miller)
岡山大学農学部卒。2006年に新卒入社後、開発研究所にて、新製品の開発や工場の工程改善や新技術導入などに携わる。2017年に30代にして女性初の執行役員。
日本人は自分ひとり。海外研修で学んだ、グローバルな視点
──佐藤さんも、海外研修に参加する機会があったとお聞きしています。
佐藤:カンザス州立大学にて、主にアメリカからの穀物調達業務を仕事にしている若手社会人向けの穀物調達トレーニングプログラムに参加しました。プログラムの受講者は、アメリカ・サウジアラビア・韓国などさまざまで、日本人は9名中私だけ。研修内容は、もちろん全て英語でした。
佐藤(さとう):人事総務部
米 カンザス大学 トレーニングプログラム受講
東北大学大学院 農学研究科卒。2013年に新卒入社後、開発研究所に所属。2年目で本社に異動。調達業務を経て現職。
──プログラムの内容だけでなく、他の部分でも成長できそうな環境ですね。
佐藤:そうですね。入社前には、自分が海外で仕事をするということは想像していませんでした。プログラム参加後は、日本人以外の受講生と集団生活を体験することで、帰国後も海外のニュースに意識を向けたり、英語を意識的に聞くようになったりと、グローバルな視点を持つことができたと感じています。
中村:私も入社2年目ですが、この夏に海外研修に参加しました。本場で研究をしている教授に直接コンタクトをとって情報を得ることができ、自分たちの研究に知見を活かせるメリットは大きいです。また、英語学習の面でも多くの学びがありました。グローバルに活躍する研究者を目指すにあたっては、語学力の向上は欠かせません。英語のコミュニケーションにおいて、自身の研究分野について専門用語を交えながらディスカッションする機会は、国際学会を除いてほとんどありません。社会に出た今、海外研修はそのための貴重な機会だと思います。
中村(なかむら):開発研究所
米 ミシガン州立大学 研究所 派遣
東北大学 大学院農学研究科卒。2017年に新卒入社。現在は、生分解性プラスチックの研究・開発を行っている。
「生産体制がボトルネックにならない」世界最新鋭の工場設備
──後者の(2)最新鋭の生産体制については、いかがでしょうか。
榊原:世界最新鋭のウェットミリング工場(※)を備え、安定的にコーンスターチの供給が行えます。お客様が安心して当社を頼っていただける体制ですし、生産体制が研究のボトルネックになりにくいのも良い点ですね。
(※)ウェットミリング:湿式製粉。原料を水につけてから粉砕することで、きめ細かく、でんぷん損傷の少ないコーンスターチを生産できる製法。
(写真上)茨城県神栖市に新設した東京工場
佐藤:今後は、AIを駆使した工場のオートメーション化も進む予定です。製造においては、生分解性プラスチックの製造過程を効率化したり、海外での原料調達などの幅も広げていくことも今後のテーマです。
榊原:本場・米国では、生産設備や研究体制はより進歩しています。私が研修で滞在したイリノイ大学のラボラトリーには、コーンスターチの製造工程全体が小スケールで再現できる設備が揃っていました。こうした海外の最新技術や市場の変化にも注目し、製品開発や技術導入を進めていきたいです。
米国大学との共同研究、外国人採用も積極的に行う
──ここまで、日本コーンスターチの企業魅力について伺いました。社員400名ほどのコンパクトな組織ながら、グローバルを意識した体制が印象的です。普段の研究・開発においても、海外の接点はあるのでしょうか?
中村:そうですね。一例として、日本コーンスターチは米国大学との共同研究を行っています。私は実際に海外の研究室を訪問し、実験計画の進め方についての会議や、実験操作の方法などを見学させていただきました。アメリカでは、最先端の技術や研究環境を体感できました。特に分析機器では日本の企業が持つものより、アメリカの大学の方が大規模で高性能のものが多かったです。
──共同研究は、具体的にどのように進めているのでしょうか。
榊原:メールでのやり取りだけでなく、定期的にビデオ会議を行い、年に1〜2回は教授が来日するのでお互いに進捗(しんちょく)報告や情報交換をしています。テーマによっては研究員だけでなく、製造部を交えて討議することもあります。日本コーンスターチの研究職は、研究・開発の実務だけでなく、開発前の市場調査から販売前後のマーケティングまで一貫して携わります。海外との共同研究においても、主体的にプロジェクトを進めることが求められます。
中村:実際にあちらの研究室を訪問し、実験計画の進め方についての会議や実験操作の方法などを見学させていただきました。またメールなどでお互いの進捗状況の報告や測定データのやり取りを行い、アドバイスをいただくこともございます。
──今後は、海外との人材交流に加えて、日本でも積極的に外国人採用を進めていくと伺いました。
佐藤:日本での外国人採用も増える予定ですし、海外へ出張・短期滞在する日本人社員も今まで以上に多くなると思います。私は現在、総務・人事の仕事をしているので、各従業員が業務に集中できるようなサポートをしていきたいと考えています。
(写真上)調達業務を担当するサイドナー氏。国内での外国人採用は、今後も積極的に行う
新しいことに挑戦する不安は誰でも同じ。その先に、面白さが待っている
──では、最後に就活生にメッセージをお願いします。
榊原:学生時代に想像しているよりも、社会は広く、そしてさまざまな選択肢があります。社会に出てからの人生の方が長いですから、「ここで人生を決めなきゃいけない」とは思わずに、興味が持てるところを目指してほしいです。
佐藤:新しいものを積極的に学ぶ方と仕事をしたいと思っています。さまざまなことを勉強したいという意欲のある学生に出会いたいです。
中村:私が今取り組んでいるテーマは、大学での研究内容に直結しない分野だったので、最初は不安でした。しかし、新しいことを「不安だから、怖いから」と、今できることだけに取り組んでいては、結果的に自分の可能性を狭めてしまうことになると思います。怖さに慣れると、面白さを感じられるようにもなりますよ。
──皆さん、ありがとうございました。
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