こんにちは、ワンキャリ編集部員のめいこです。
──学生時代、この人をSNSでフォローしていたなら……。
ダメ就活生だった私が、就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介する特集企画「めいこRT(リツイート)」。
RTの条件は(1)35歳以下(2)トガった活動(3)めいこがフォロー済 の3つ。キャリアの第一線で活躍する、若きインフルエンサーたちの魅力に迫ります。
今回は現役大学生ながら数々のスタートアップ経営者の「ブレーン」として活躍する、リサーチャーの廣川航(ひろかわわたる)さんをリツイートします。
▼ダレをRT?
廣川航さん
23歳/大学生/リサーチャー/スタートアップ
▼決め手のRT!▼ナゼRT?
イケてる経営者がこぞってフォローする現役慶應生。若きリサーチャーとしてオンライン・オフライン双方で活躍しているから!
業界の第一線で活躍するビジネスパーソンの間で、「必須フォロー」となっている、ある慶應生のTwitterアカウントを知っていますか?
廣川航さんは幅広い企業の経営・財務ニュースをTwitterに投稿したり、スタートアップ企業の経営陣と日々ディスカッションを重ねるなど、リサーチャーとして活躍しています。IT業界が注目する、若き才能に迫ります。
十数個のサイトを毎日チェック。Twitterは「自分の備忘録」
──今日はよろしくお願いします! 廣川さんのTwitterは、フリークアウト・ホールディングス創業者の佐藤裕介さんや、nanapi創業者のけんすう(古川健介)さんのような、誰もが知るIT経営者もフォローしています。その理由は何だと分析していますか?
廣川:ツイートは時間がない人にも楽しんでもらえるよう、トピックを絞り込んだり、サムネイルを工夫して一覧性を持たせるようにしています。それがだんだんとクチコミで広がって、IT経営者やVCの方々からも認知されるようになったのだと思います。
──廣川さんのツイートはニュースの切り口や鮮度がすばらしく、確かに「フォローしたい!」と感じさせる内容です。どうやって情報収集しているのか教えてください。
廣川:Twitterのリスト、NewsPicksのマイニュース、適時開示、日経電子版と日経ビジネスオンラインですね。あと、ブラウザーにニュースメディアや経済産業省の資料ページをブックマークして、毎日ざっとチェックしています。そこで見つけた各社の財務情報やニュースをツイートしている感じですね。
廣川航(ひろかわ わたる):1995年生まれ。慶應義塾大学4年。学業と並行し、リサーチャーとしてITベンチャー企業や投資ファンドを中心に市場調査を担う。大学卒業後はテックベンチャーであるXTech株式会社にて、新規事業子会社の取締役に就任予定。
──廣川さんのブックマーク、ぱっと見ただけで十数ページが並んでいます……! これだけの情報に目を通して発信するって、大変じゃないですか?
廣川:いいえ、苦ではないですね。中学時代から株式投資をしているので、IR情報や経営のトピックには興味があります。それと、僕はTwitterは個人的な備忘録だと思っているんです。バズを狙ってみることもあるけれど、基本は自分がリサーチャーとして調べたことや、興味を持ったことをログしている感覚です。
──なるほど。Twitterには廣川さんがログしたいニュースをつぶやいているんですね。まさに自身の「キュレーションメディア」という印象です。
IT業界って、うさんくさいと思っていて……。
──廣川さんは、リアルの場でITスタートアップの経営企画を担当したり、経営陣とディスカッションすることも多いそうですね。そもそもIT業界には興味があったんですか?
廣川:いいえ、むしろ「IT業界って、うさんくさい」とさえ思っていて……(笑)。ライブドア事件などの印象が強くて。もしEast Venturesの松山太河さんと出会い、そのままスタートアップでインターンをしていなかったら、僕はIT業界にいなかったと思います。まさに人生の転機です。
──East Venturesの松山氏といえば、メルカリやフリークアウト・ホールディングスへの出資を担当した、著名なベンチャーキャピタリストのお一人ですね。彼との出会いを経て、IT業界のイメージが変わったのはなぜですか?
廣川:一番の要因は、IT業界を取り巻くプレイヤーの方々に会ったことだと思います。松山さんの下で働く中で、日本にもUberやAirbnbのように社会的インフラになろうと頑張っているIT企業がたくさんあることを知りました。加えて、ビジネスモデルにも興味を持ちましたね。自動車業界などの既存の重厚長大産業と比べて、サプライチェーンが複雑でないのが面白いと感じます。プロダクトを作るために工場を抱える必要がなく、ユーザーに届くまでの過程も短いので「意外とシンプル」な業界だな、と。
日本のIT業界。これからの課題は、「メディア偏重」と「ムラ社会」
──廣川さんは、来年の4月からTech系スタートアップの新卒第1号として参画されます。当事者の一人として、今の日本のIT業界は、どこに課題があると思いますか?
廣川:(1)メディアビジネス偏重であることと(2)人材の偏り(=「ITムラ社会」)の2点です。前者については、USや中国と比較して、既存産業とテクノロジーを掛け合わせたり、SaaSを提供する企業はまだまだ少ないと感じます。
──FinTechのように法規制が厳しい事例もあるのかもしれませんが、確かに「○○Tech」という言葉だけが広がって、事業として思い浮かぶ企業は少ないように感じますね。
廣川:おっしゃる通りです。レガシーな事業のプレイヤーたちがITを「分からない、怖い。無理」「単なるバブルでしょ」と受け入れてくれない状況があるとしたら、それは本当に残念です。あらゆる業務の生産性を上げたり、生活水準を上げるうえで、ITは絶対に必要だと思うので。
──もう1点の、人材の偏りについてはいかがですか。
廣川:先ほどの「○○Tech」の話につながるのですが、日本のIT業界は人材の流動性が高い一方で、その人材の流れが業界の中で閉じているように感じます。何て言うんでしょう、いわゆる──「ITムラ社会」というんでしょうか。IT企業を渡り歩いて活躍する人はたくさんいても、他業界からIT業界に転職して活躍している人の例って、最近は増えてきましたが、まだ少ないように感じます。IT業界はせっかくさまざまな業界と接点があって、「人材の新陳代謝」が進んでいるのに、それはもったいないと思います。
IT業界になだれ込む外銀・外コン人材は「適正配置」
──興味深いです。「人材の新陳代謝」とは、どういう意味ですか?
廣川:IT企業では、会社のエースが一定期間で起業・独立することが他の業界に比べて多い気がします。結果として、メガベンチャーのような大きな組織でも早く重役のポジションが空くので、IT業界は人材の入れ替わりが健全に進んでいます。また、そうして独立したエースたちは、自身が立ち上げたスタートアップに、とがった能力を持つメンバーを集めます。さまざまなバックグラウンドを持った人たちを受け入れることができるので、IT業界は人材の適正配置がしやすい業界だと思うんです。
──例として、投資銀行やコンサル出身者がスタートアップに参画する例が急増していますね(参考:日本経済新聞「ゴールドマンなどからスタートアップに人材流出」)
廣川:それも適正配置の一つだと思います。先ほどお話した通り、IT業界は本来、さまざまなバックグラウンドの方々が能力を発揮できる領域だと思います。だからこそ、もしもIT業界のムラ社会的な雰囲気が新たな人材の活躍を阻んでいるのであれば、僕ら業界側がそろそろ変わるべきなのかもしれません。
今は下積みしたい。自分の「色」を付けないと、何者にもなれない
──IT業界の経営層と日々交流している廣川さん。企業から「うちに就職して!」とたくさんのオファーがあるのでは……?
廣川:僕、少しですが就活してました。金融大手を中心に選考を受けていました。ESを書いて、面接を受けて、サクっと祈られてヘコんだり……。正直しんどかったです。対策のために、ワンキャリもめちゃくちゃ使ってました。最終的にはITスタートアップに入社を決めましたが、当時は親しんだIT業界を出て、大きな組織で経験を積みたいと思っていたんです。
──えっ、意外です。それはどうしてですか?
廣川:どうにかして、自分にプロフェッショナルとしての「色」を付けたかったんだと思います。今は自分のことを「慶應生です」と言えるし、若さがあるから声を掛けていただけていると思っています。でもその先、学生という看板が取れたときに、自分は何者なんだろう? 何ができるんだろう? とずっと悩んでいて。若いうちに修行をして、専門的な「色」を身に付けておかないと、裸の王様になってしまう危機感があります。
──つまり、下積みがしたいってことですか?
廣川:そうです。最近の論調として「やりたいことは早いうちにした方がいい」という話がありますが、自分は下積みはアリだと思っています。
尊敬する経営者と接していると「この人、相当な修行をしてきたんだろうなぁ」と思うことがしばしばあります。それは、Bizdev的な交渉に長けていたり、契約書の条件をヌケモレなく確認できることに表れていて。その能力は泥臭い下積みありきなんですよね。自分がマネジャーとして人の上に立つ時にも、こうした下積み経験は絶対に必要だと考えています。
人生の転機は今すぐ作れる。とりあえず、株を買ってみなよ!
──思い切ってお聞きするんですが、廣川さんは自分の「色」を付けた先で、何者になりたいんですか?
廣川:最終的には教科書に「投資家兼事業家」として自分の存在を残したいですね。歴史に名を残している経済系の人は、「カネの流れ」を作っている気がします。三菱財閥の岩崎弥太郎や東急グループの五島慶太のように。だから僕も、人・モノ・金の流れが作れるプラットフォームを生み出す存在になりたいです。そのためにも、40代までに何かを成し遂げ、ホームランを打ちたい。だから20〜30代のうちは仕事で下積みを続けたいと思っています。
──最後に、同世代の就活生に一言メッセージをいただけますか。
廣川:僕の人生で最初のターニングポイントは、株式投資を始めたことです。これって、口座さえ開けば誰でもできることですよね。だから、もしも得意なことがないと悩む方がいるなら、「とりあえず株を買ってみなよ!」って言いたいです。
──勇気の出るメッセージで締めていただきました。まだまだお話が聞き足りないので、次はツイキャスでもしましょうか(笑)。
廣川:ぜひ(笑)。またお願いします!
──早速スケジュール調整せねば! 廣川さん、今回はありがとうございました。
【ライター:スギモトアイ/撮影:藤 祐太郎】
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