就活で履歴書やエントリーシート(ES)を送るとき、封筒のサイズや切手、ペンの色、裏側の〆の書き方など意識したいマナーはたくさんあります。今回は、履歴書やESを郵送や手渡しする時の封筒の書き方や入れ方について、図解付きで解説します!
<目次>
●履歴書やESを送るときに使う封筒
・サイズ
・色
●履歴書やESを郵送する前に確認しておきたいこと
・履歴書やESの内容に不備はないか
・ESなどの応募書類はコピーしておく!
●履歴書を入れる封筒の表側の書き方
・横書きか、縦書きか? その基準とは?
・あて先(送付先の住所):番地もしっかりと明記。「ー」などで省略しない
・あて名(送付先の会社名):株式会社などはしっかりと正式名称で
・◯◯在中:ペンの色は赤で
●履歴書を入れる封筒の裏側の書き方
●履歴書など書類の封筒への入れ方
・書類を入れるときのポイント:万が一に備えてファイルに入れましょう
・封を閉じる:のり付けするか両面テープでとじて、封字(〆)を書く
●履歴書を封筒で郵送するときのマナー
・添え状(送付状)の書き方
・切手:郵便局で郵送料金を確認しよう
・応募締め切り日の確認
・送付後の連絡
●履歴書を封筒で手渡しするときのマナー
・住所は記載せず、封はしない
・面接担当者に手渡すとき
・受付担当に手渡すとき
●おわりに:執筆後記
履歴書やESを送るときに使う封筒
まずは郵送の基本から押さえましょう。
学校指定の封筒があるならば、それを使うことに越したことはないです。企業によっては、学校指定の封筒を使うよう指定されることもあります。たいていの物は必要書類のチェック欄があるため、入れ忘れの防止にも役立ちます。あらかじめ、自分の大学で販売しているのか確認しましょう。
サイズ
Q. 封筒のサイズは何を買えばいいですか?A. 封筒の規格は角形(かくがた)封筒の「角形2号(240 × 332mm)」か「角形A4(228 × 312mm)」(※1)を選びましょう。
これは言わずもがな、A4サイズ(210×297mm)の履歴書などを折らずに入れられるためです。提出された書類はコピーや保管、またはファイリングされます。折ってしまうと、採用担当が作業しづらくなり、印象が悪くなってしまいます。
色
Q. 封筒の色は何か決まっていますか?A.「白色」がオススメです。
一般的に応募書類の送付に使うのは「白色」となっています。
ですが、だからといって「茶封筒だと絶対に落ちる」ということではありません。というのも、茶封筒は請求書や領収書、DMなど、さまざまな用途で使われます。皆さんも、ネットで買った商品が茶封筒で送られてきた経験があると思います。そういった郵便物に紛れてしまう可能性がありますし、「履歴書在中」の赤い文字も白色の方がよく目にとまります。
以上から、白色の方が無難と言えます。
学校指定の封筒があるならば、それを使うことに越したことはないです。企業によっては、学校指定の封筒を使うよう指定されることもあります。たいていの物は必要書類のチェック欄があるため、入れ忘れの防止にも役立ちます。あらかじめ、自分の大学で販売しているのか確認しましょう。
(※1)参考:封筒屋どっとこむ「既製封筒一覧(サイズ一覧、キーワード別)」
履歴書やESを郵送する前に確認しておきたいこと
履歴書やESを郵送する前に内容に不備がないか、書き方は問題ないか確認しておきましょう。
履歴書やESの内容に不備はないか
郵送して不備があった場合、手直しができないため、郵送する前に書類の確認をしておくことは大切です。以下について事前に確認しておきましょう。
・氏名、住所、メールアドレス、生年月日、電話番号は間違っていないか
・日付は投函(とうかん)日になっているか
・写真はきちんと剥がれないように貼られているか
・入学、卒業、入社、退社年度・月は正確に書かれているか
・学校名は省略せずに記載しているか
・自己PRなどで誤字脱字はないか
履歴書やESの書き方については以下の記事を参考にしてください。
・【就活の履歴書】学歴・志望動機の書き方と封筒・写真などの準備方法
・ESの書き方&例文集|エントリーシートの基礎から質問別/業界別の回答例まで完全対策
ESなどの応募書類はコピーしておく!
必ず履歴書・ESを事前にコピーして保管しておきましょう。一度、封筒に入れて封をしてしまうと、当然ですが中身を再確認できません。ESなどの内容を忘れてしまうと致命的です。必ずコピーをとっておきましょう。
履歴書を入れる封筒の表側の書き方
横書きか、縦書きか? その基準とは?
まず、封筒の文字は縦書きと横書き2種類ありますが、一体どう書き分ければいいかご存じですか?
厳密なルールはありませんが、会社名に英語が多く使われているかどうかで判断しましょう。英語が多い場合は、違和感がないように横書きにします。少ない場合はそのまま縦書きにしましょう。
縦書きが横書きかで生じる主な違いは以下の3点です。
(1)郵便番号を除く数字 → 縦書き「漢数字」/横書き「アラビア数字」
(2)表側:「◯◯在中」の文字の位置 → 縦書き「左下」/横書き「右下」
(3)裏側:差出人の住所の位置 → 縦書き「左下」/横書き「右下」
郵便番号は縦書きと横書きどちらでもアラビア数字で記載しましょう(※2)。
(※2)出典:日本郵便「内国郵便約款(別記[1])」
※参考:日本郵便「封筒の表書き・裏書きの書き方」、「内国郵便約款(別記[1])」、手紙の書き方「【仕事】宛名の書き方(封筒)」
参考図解:縦書き
英語が使用されていない場合は、横書きの書き方のポイントを押さえつつ以下のように書きましょう。
※参考:日本郵便「封筒の表書き・裏書きの書き方」、「内国郵便約款(別記[1])」、手紙の書き方「【仕事】宛名の書き方(封筒)」
あて先(送付先の住所):番地もしっかりと明記。「ー」などで省略しない
真ん中よりやや上から書き始めます。送付先の住所が一行に収まりきらないときは、区切りの良い所で改行して2行目に移ります。2行目の書き始めは1行目よりも一文字分空けた右側から始めましょう。番地の数字は漢数字ではなく、アラビア数字を使用しましょう。ここでも、番地などで「ー」などの略称は使わないようにしましょう。また、ビル名が住所に含まれている場合は、ビル名も略さずに記載します。
番外編:レアなパターン
あまりないケースですが、送付先住所の企業や団体に所属していない企業に送るときは「気付(きづけ/きつけ)」を使用します。これは例えば、一時的にホテルに泊まっている友人あてに手紙を書くのと同じ状況です。
株式会社 ◯◯ 気付
独立行政法人 △△ 御中
あて名(送付先の会社名):株式会社などはしっかりと正式名称で
封筒の真ん中付近に、あて先よりもやや大きめの文字で書きます。
「株式会社」は(株)に略して使用せずに、「株式会社 ◯◯」と書くのが正式な書き方です。また、株式会社以外にも、◯◯法人・◯◯社団も同様。独立行政法人を(独)、医療法人社団を(医)、学校法人を(学)と略さず正式名称を書きましょう。
あて名の敬称:間違えやすい「御中」と「様」の使い分け
「御中」は会社名・部署までに使用できます。
一方で「様」は個人の名前や、◯◯担当といった役職・担当が特定できる場合に使用しましょう。また、書く際は「御中」「様」の前は少しスペースを空けておきます。
個人名が分からない「採用担当」となっている場合は「採用ご担当者様」と書き、「様」の前の場合は空けなくて大丈夫です。
【良い例 ◯】
株式会社◯◯ 人事部 御中
株式会社◯◯ 人事部 採用ご担当者様
株式会社◯◯ 人事部 ◯◯ 様
株式会社◯◯ 人事部 採用担当 ◯◯ 様
また、下記のように人物に対する「御中」、そして「御中」と「様」の重複はNGです。注意しましょう。
【悪い例 X】
株式会社◯◯ 人事部御中 ◯◯ 様
株式会社◯◯ 人事部 ◯◯ 御中
◯◯在中:ペンの色は赤で
封筒の中身が一目で分かるように朱書き(赤い文字)で右下に書きます。赤いボールペンで、「履歴書在中」と書き、定規などを使い、四角で文字を囲みます。「履歴書在中」というスタンプを使うと便利なので、おすすめです。
履歴書だけなら「履歴書在中」、ESだけなら「ES在中」と書き分けましょう。複数のときは「応募書類在中」と明記しても大丈夫です。
強いて注意点を挙げるならば、あて名に近い位置に記載しないことです(※3)。
(※3)参考:日本郵便「内国郵便約款 第23条」
履歴書を入れる封筒の裏側の書き方
※参考:日本郵便「封筒の表書き・裏書きの書き方」、「内国郵便約款(別記[1])」、手紙の書き方「【仕事】宛名の書き方(封筒)」
差出人の住所と氏名などを裏面も表面同様に横書きで書いていきます。書く場所は右下あたりで、先ほどと同じ要領で書きましょう。
まず、最初に「投稿した日付(封緘(ふうかん)日)」を記載しておきましょう。横書き・縦書きともに左上に記載します(※4)。
その後に下に続けて「郵便番号」と「住所」「氏名」を記載し、最後に「大学名・学部名・学科名」を書くようにしましょう。受け取り側が一目で誰が送ってきたかが分かるようにします。
(※4)参考:手紙の書き方「宛名の書き方(封筒)」
履歴書など書類の封筒への入れ方
書類を入れるときのポイント:万が一に備えてファイルに入れましょう
必ず「クリアファイル」に書類を入れておきましょう。書類が入る大きさに入れたからといって、それがそのまま届くとは限りません。折れたり、雨に濡(ぬ)れてしまったり、汚れてしまうこともあります。
ロゴやデザインが書いていない、透明のものを選んでください。マストではありませんが、ファイルを上下に2枚重ねて入れて挟んでおくとさらに万全でしょう。
入れる向きは、封筒から取り出したときに文字が読める向きにして、以下の順番に入れます。
添え状 → 履歴書・ES → 成績証明書・卒業見込証明書 → その他書類
添え状が一番上に来るようにして、次に履歴書……、となるようにしましょう。
封を閉じる:のり付けするか両面テープでとじて、封字(〆)を書く
必要書類が入っているのをしっかり確認して、フラップ(開封部分)に封をします。これを「封緘(ふうかん)する」といいます。ホチキスやセロハンテープだと封をした後、もう一度開けられたか見破りにくいため、必ず「のり付けするか」か「両面テープ」で封をしましょう。
次に封字を書きます。これには意味があり、「封緘した(しっかりと封を閉じました)・途中で第三者に見られていない状態」ということを明示しています。
就活で書類の送付に使用される封字は「締」の略字である「〆(しめ)」が一般的です。
黒色でフラップと本体の境目に「〆」の交差した部分がフラップの境目にくるようにしましょう。画数は二画で一画目を止めハネするのがポイントです。半ばまで持ってきて、二画目を左下へ、という具合です。細かいですが、×(ペケマーク)や、X(エックス)や、カタカナの「メ」とは異なりますので注意してください。専用のスタンプや印鑑がある場合はそれを使用しても大丈夫です。
より丁寧な印象を与えたいときや、企業から厳封の指定がある場合は「封」や「緘」を使用しましょう(※7)。
(※7)参考:封筒印刷の専門店『「封字」とは? その種類と使い方』
履歴書を封筒で郵送するときのマナー
添え状(送付状)の書き方
例えば、メールで何かのデータを送るとき、データだけでなく「よろしくお願いします」と一言添えるのと同様に、添え状は印象が良くなると思われます。マナー上は必要ではありますが、かと言って、入れ忘れたから選考に落ちるということもないようです。
手書きでも大丈夫ですが、基本的にはパソコンで効率的に作成しましょう。用紙は他の書類と同じA4サイズを使用し、本や以下の無料テンプレートを活用しましょう。
もし自作する場合、記入する手順や構成は以下を参考にしてください。
(5)の「前文」には頭語の「拝啓」が、(6)「末文」には結語の「敬具」が入ります。これらは必ずセットで用いられます(※5)。前文の「時候の挨拶(あいさつ)」では、年中使える「時下」を入れても構いません(※6)。
(7)「記書き」では3段ほど間を空けて中央に「記」と書き、必要事項を「箇条書き」で列記。また数段下げて右詰めで「以上」と書いて結びます。
(※5)参考:郵便局「手紙の基礎知識 頭語と結語」
(※6)参考:手紙の書き方大事典「時候の挨拶」
添え状の注意点
添え状の目的は前述の通り、あくまでも「誰から」「誰に」「何を」「どれだけ」送付したのかを伝えることです。従って、「添え状での自己PRは不要」です。
あくまでも、選考の対象は履歴書やその他提出書類です。そもそも添え状は、封筒と同様に捨てられるものと認識しておきましょう。
切手:郵便局で郵送料金を確認しよう
確実に郵送してもらうために、実際に郵便局に行って郵便物の重さを量って貼ってもらうことをオススメします。
郵送料金は2022年2月現在だと、140円だと見積もっておきましょう。「角形2号」か「角形A4」は「定形外郵便物」の「規格内」に分類されます。そして、封筒全体の重さは50g〜100g程度なのでそのぐらいの値段が該当します(※8)。
なお、自分で貼る際は枚数に注意しましょう。左上に貼れる範囲が「縦7.0cm×横3.5cm」なので枚数に換算すると、横に3枚、縦に2枚までがおおよその目安です。また、少ない金額の切手を何枚も貼るのはそもそもマナー違反です(※9)。
余裕を持って提出できるのが理想ですが、もし、提出期限がギリギリで、間に合うか分からないときは料金を追加(260円分)して「速達」を利用しましょう(※10)。
(※8)出典:日本郵便「手紙(定形郵便物・定形外郵便物)の基本料金」
(※9)出典:日本郵便「内国郵便約款(別記[1])」
(※10)出典:日本郵便「オプションサービスの加算料金一覧」
応募締め切り日の確認
事前にもしくは郵便局で郵便物の重さとサイズをチェックし、郵送料金を確認します。見栄えが良くないので、切手はなるべく少ない枚数で済むようにしておきましょう。
締め切り日に間に合うように、投函のタイミングは余裕を持つことが大切です。締め切り日が迫っているときは、速達や宅配便を利用して送付します。
送付後の連絡
郵送後、応募先の企業に報告の連絡は必要ありません。しかし、郵送前にやり取りをしていたり、担当者からの指示で郵送したりした場合は送付後に連絡すると丁寧でしょう。
報告する際は書類が到着する前にいつ投函したのか、郵送したその日に連絡しましょう。
履歴書を封筒で手渡しするときのマナー
履歴書は企業によって郵送ではなく、手渡しで渡す場合もあります。郵送と異なる点や、面接で渡す場合、受付で渡す場合を解説します。
住所は記載せず、封はしない
手渡しの場合は、封筒の表面に宛先や住所を記入する必要はありません。手渡しの場合は、郵送などと違って他者を介さず、当事者同士で直接やりとりするからです。
しかし、それ以外は郵送の場合と同じように書く必要があります。封筒の表面には、左下に「履歴書在中」と書いてください。赤色のペンで記入し、文字の周りを長方形で囲みましょう。封筒の裏面には、左下に自分の住所と氏名を書いてください。
必要なものが記入し終わったら、封をせずに書類を入れましょう。面接官が面接時に確認しやすくするためです。
面接担当者に手渡すとき
履歴書を面接官に手渡すとき、封筒に入れたままではなく、封筒から出して履歴書が入ったクリアファイルを渡しましょう。なぜなら、先述した通り、面接官が面接の前にその場ですぐに履歴書を読む可能性があるからです。封筒に入ったまま渡すと、面接官に履歴書を取り出す手間をかけてしまうので、封筒から出すなどの配慮をしましょう。
渡す際は、履歴書の入ったクリアファイルを封筒の上に重ねます。面接官が読める方向で書類を両手で手渡しましょう。無言で手渡すのではなく、「履歴書とESです。本日はよろしくお願いします」と伝えると好印象です。
履歴書を渡すタイミングは、面接開始時に提出を求められることが多いです。もし持参するよう連絡があったにもかかわらず声をかけられない場合は、面接の最後に自分から尋ねて提出しましょう。
受付担当に手渡すとき
企業の受付担当といった面接官以外の人に履歴書を渡す場合は、封筒のまま相手が読みやすい方向で渡してください。受付の方は受け取った履歴書を面接担当者に渡す役割であり、その場で履歴書を読まないことがほとんどだからです。しかし、面接官以外の企業の人の印象も大切なので、ビジネスパーソンとしてのマナーに気をつけて対応するようにしましょう。
おわりに:執筆後記
いかがでしたか? 今回は就活でのオススメの封筒の書き方をご紹介しました。マナーは不文律で、細かな点が異なるほか、受け取る相手によって印象はさまざまなので絶対とは言い切れませんが、郵便法などのポイントは知っておくに越したことはないといえます。
封筒を使用する習慣が減っている現在で、封筒をわざわざ使用する際は必ずと言っていいほど重要な書類を送るときです。僕も同じ経験があります。みなさんの魂がこもった応募書類などが確実に届くようにするだけでなく、受け取る相手の立場をおもんぱかって、自分の気持ちや意気込みがきちんと伝わるようにしたいですね。そのためにマナーなどをしっかりと認識しましょう。
これが就活生の皆さんの役に立てば幸いです。ではでは。
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(※)この記事は2019年5月に公開された記事を一部変更・加筆して再掲しております。
(Photo:umaruchan4678/Shutterstock.com)