※こちらは2016年1月に公開された記事を一部情報更新し、再掲しています。
こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
今回は、前回の総合商社編に続いて、外資系メーカーでも最も人気が高いP&G Japan、ユニリーバ・ジャパン、日本ロレアル、ネスレ日本の4社を徹底比較します。
外資系消費財メーカー大手4社(P&G Japan、ユニリーバ・ジャパン、日本ロレアル、ネスレ日本)の特徴を解説します。事業内容、社風の違いから採用のポイントまで紹介。外資メーカー志望は必見です!
<目次>
●外資系メーカー志望者のエントリーと内定の傾向
●P&G Japan:消費財メーカーの王
・P&Gの基本情報:事業内容、競合他社との違い、勤務地
・P&Gの社員・社風
・P&Gの求める人材
●ユニリーバ・ジャパン:ヨーロッパ系消費財メーカーの雄
・ユニリーバ・ジャパンの基本情報:事業内容、競合他社との違い
・ユニリーバ・ジャパンの社員・社風
・ユニリーバ・ジャパンの求める人材
●日本ロレアル:世界最大の化粧品企業
・日本ロレアルの基本情報:事業内容、競合他社との違い、入社後のキャリア
・日本ロレアルの社員・社風
・日本ロレアルの求める人材
●ネスレ日本:No.1 総合食品飲料企業
・ネスレ日本の基本情報:事業内容、競合他社との違い、勤務地
・ネスレ日本の社員・社風
・ネスレ日本の求める人材
●各社に入社を決めた人の傾向・企業選びの軸
外資系メーカー志望者のエントリーと内定の傾向
商社志望者が5大商社全ての選考を受けるのと同様に、外資系メーカー志望者は、この人気の高い4社を比較して受ける傾向にあります。そして、私が知る学生の中にも、
- P&G Japan と ユニリーバ・ジャパン(いずれもマーケティング職)
- 日本ロレアル(マーケティング職)と ユニリーバ・ジャパン(営業職)
- ネスレ日本(事務系職)と 日本ロレアル(営業職)
- P&G Japan(総合職)と 日本ロレアル(営業職)
など、この4社のうち複数社から内定をもらい、どの会社へ行くか悩む学生を多く見てきました。
今回は社風の違いから実践的な就活対策までご案内し、上記のようなうれしい悲鳴を上げる学生も含め、4社の中でマッチしそうな会社を見つける上でのきっかけとなれば幸いです。
【基本情報】【社風・社員】【採用で重視すること】の3つの観点から各社を比較していきます。
P&G Japan:消費財メーカーの王
P&Gの基本情報:事業内容、競合他社との違い、勤務地
外資系消費財を見る上で誰もが夢見る世界最大の消費財メーカー、P&G。
世界180カ国へ展開しMicrosoft、Dysonなど世界的大企業のCEOを輩出するリーダーシップ育成企業としても認知されています(※1)。
代表的なブランドは洗剤のアリエール、ボールド、ジョイを筆頭に、パンテーンなどのシャンプー、SK-IIを始めとする化粧品、Gillette(ジレット)、Braun(ブラウン)など衛生用品まで。
競合他社との大きな違いは「消費者重視」の社風と「職種によっては、キャリアの早期から海外経験が積める」こと。海外勤務となった場合は、アジア中の社員と切磋琢磨できる機会がある点は特筆すべきでしょう。入社後数年でアジアのヘッドクオーター(本部)があるシンガポールへ赴任する社員もいます。
一方、日本での勤務の場合、東京か本社の神戸で働くことになります。特にマーケティングやファイナンスについては、神戸本社での勤務の可能性が高い点については知っておくと良いでしょう。
(※1)参考:PRESIDENT online「P&Gの『世界で勝つ』外資系トップ育成法」
P&Gの社員・社風
社員は「全員が船頭」とでも言うべきリーダーシップの塊。
それでもお互い役割がはっきり別れているためプロジェクトを力強くけん引します。男性社員は、合コンの場で自社を紹介するときに「プロクター・アンド・ギャンブル」と言っても誰もわかってくれないため、「ファブリーズの会社」と説明することが多いそう。女性社員は「あまりにロジカルすぎて男子に引かれる」と悩むこともあるようですが、それは社風の責任というより、もともとロジカルな人間が内定しやすいためと言えそうです。
P&Gの求める人材
基本は「ロジカルシンキング」と「リーダーシップ体験」を求められます。
筆記試験で大多数が落とされるので、まずは筆記対策を念入りに行いましょう。CABによく似た問題と、リーダーシップ経験を問う論述形式の試験が出ます。エントリーシートの前段階で成功体験を質問されるので、応募時点でリーダーシップ経験をまとめておく準備が欠かせません。
各部門の違いや業務については、企業の採用ページをご覧ください。
▼P&G Japanに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
▼P&G Japanに関する就活記事はこちら
・【P&G Japan:3分対策】特別選考枠ありのインターン選考対策のポイント!4つの職種で同時募集!
・P&Gの「え……?」な広告は、日本の人事に対する宣戦布告だった【#就活をもっと自由に】
ユニリーバ・ジャパン:ヨーロッパ系消費財メーカーの雄
ユニリーバ・ジャパンの基本情報:事業内容、競合他社との違い
米系の王者がP&Gなら、欧米の王はユニリーバ。世界190カ国でブランドを展開しています。代表的なブランドはDove(ダヴ)やLUX(ラックス)などのヘアケアブランド。そして意外かもしれませんがドメストやジフのような手堅いブランドも保持しています。
他社との違いで際立つのは「顧客の感性を理解する鋭さ」。消費財メーカーでは、顧客分析をデータ化。計算されつくしたニーズ分析を基にニーズにあった商品を販売します。一方、ユニリーバは通常の消費者リサーチだけでなく、心に響くパッケージデザインや世界初の度肝を抜くキャンペーンなど、消費者リサーチの外にある感性を大切にします。
例えば、ヘアケアブランドのDoveは、「女性の本当の美しさとは何か?」というメッセージを、「リアルビューティー・キャンペーン」を通じてプロモーションし、世界中で話題となりました(※2)。
(※2)参考:livedoor NEWS「なぜDoveの動画プロモーションは世界中で人気なのか?Doveが再定義する『真の女性の美しさ』」
ユニリーバ・ジャパンの社員・社風
社員は新卒と中途で異なり、新卒には「私はこれが好きです」とハッキリ言える強い感性の持ち主が多いようです。中途社員は元コンサルタントなどロジカル畑出身者が多いため、新卒の感性といいバランス感を醸し出すようです。
ユニリーバ・ジャパンの社員にモテ度を聞いてみたところ「女性は芯が強いけれど、笑顔が柔らかい」ため業界内でもモテやすいそうです。外資系メーカーの「社名の知名度が低いこと」は共通の悩み。よく「LUX(ラックス)やリプトンの会社」として自社を説明しているそうです。
ユニリーバ・ジャパンの求める人材
ユニリーバ・ジャパンはチームワークを重視するため、「落ち着いて説得できる人」が求められる傾向にあります。
他者の意見を笑顔で聞いて、協調性を発揮しながら自分の意見を通すことが求められます。グループディスカッションを複数回行うことからもチームワークができる人を見極めようとしていると言えます。また、外資系では珍しく志望動機を深く突っ込まれるのでエントリーした段階で志望動機はしっかり固めておきましょう。
各部門の違いや業務については、企業の採用ページをご覧ください。
▼ユニリーバ・ジャパンに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
▼ユニリーバ・ジャパンに関する就活記事はこちら
・【ユニリーバ(本選考):3分対策】webテスト・動画面接など各選考ステップの内容や評価ポイントを詳しく解説!全選考で重視される人物像とは?
日本ロレアル:世界最大の化粧品企業
日本ロレアルの基本情報:事業内容、競合他社との違い、入社後のキャリア
化粧品・ラグジュアリー業界への内定を目指す学生なら誰もが志望するロレアル。フランス発の世界最大の化粧品会社として、34ブランドを150カ国で展開しています(企業ページより)。説明会へ行くだけでも、ファッショナブルな社員が並ぶ様相で他の消費財とは一線を画していることがわかります。
代表的なブランドは社名でもあるL'ORÉAL PARIS(ロレアル パリ)を始め、LANCOME(ランコム)やshu uemura(シュウ ウエムラ)などの高級化粧品から、身近なMAYBELLINE NEW YORK(メイベリン ニューヨーク)まで幅広く扱っています。
高価格帯のマーケティング・営業スキルが身につく一方で「化粧品は開発スピードが遅く、開発から市場の成果を見るまで時間がかかる」という業界独自の苦しみもあるようです。
他にも、日本ロレアルのある社員によると、担当ブランド次第では想像以上に感性で物事が決まる部分も多いため、特にマーケティング職のスキルセットが他の外資系メーカーと比較して付きにくいとのコメントも。加えて、給与がP&G Japanやユニリーバ・ジャパンと比べて低いと言われており、入社を躊躇(ちゅうちょ)する学生も一定数いるようです。
日本ロレアルの社員・社風
「女性が強い」というのが、どの日本ロレアル社員へインタビューしても出てくる言葉。映画『プラダを着た悪魔』ばりにエレガントな女性が勢ぞろいとのこと。消費財と違い毎週売上げシェアが出る業界でもないため、値段に振り回されないブランディングスキルや、優れたPR戦略を立てるスキルを持つ社員が多くいます。
打って変わって男性社員は物腰が柔らかく、キャリアの早期から女性社会にもまれることで人間力が急成長。化粧品に詳しいこともあって「合コンではまずモテる」「結婚も早い」と評判です。
日本ロレアルの求める人材
日本ロレアルでは「右脳」と「左脳」のバランスが取れた人材を求めます(選考対策ページより)。
選考全般にわたって「あなたの感性を売り出すエピソード」と「それを裏付ける論理的なデータ」をセットで話すことが重要です。面接では、ある化粧品(商品)を見て思うことを聞かれるような質問も出ます。また、英語試験では短い制限時間で長文読解が出るため、TOEICの長文読解で訓練しておきましょう。
各部門の違いや業務については、企業の採用ページをご覧ください。
▼日本ロレアルに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
▼日本ロレアルに関する就活記事はこちら
・【業界研究:化粧品メーカー】女社会を強かに生きる、化粧品メーカー5社(資生堂、花王、コーセー、LVMHグループ、日本ロレアル)の強み・違いを徹底比較
・【日本ロレアル:3分対策】カギはセンスを言語化する習慣!本選考の選考対策ポイント
ネスレ日本:No.1 総合食品飲料企業
ネスレ日本の基本情報:事業内容、競合他社との違い、勤務地
食品・飲料部門で外資系メーカーの王者であるネスレ。
「Good Food, Good Life」(参考:ネスレ「企業情報」)をスローガンに、キットカットやネスカフェといった学生にもなじみあるブランドを多く扱っています。
他社との大きな違いはオープン採用システム。多くの外資メーカーが部門別採用をしているのに対し、ネスレでは入社後に部門が決定されます。また、外資系メーカーの中でもワーク・ライフ・バランスが取れていることでも有名で、社員は19時ごろ退社するようです。
またP&G Japanと同様で、ネスレ日本の本社が神戸のため、営業や工場職を除いて勤務地は神戸がメインです。そのため、毎年内定を辞退する学生が一定数います。
ネスレ日本の社員・社風
「他の消費財メーカーに比べるとおっとりしている」とネスレ日本の社員が語るように、日系メーカーに近い社風のようです。他の外資系メーカーはたとえ日本支社でも本国の社風を根付かせますが、ネスレでは「和をもって尊しとなす」日本企業の風土が根付いています。
まったりした社員が多いため合コンでもあまり盛り上げ手にはなりませんが、そもそも合コンに行くようなガツガツした社員が少ないのも特徴。他の外資系メーカーと同じノリでOB・OG訪問へ挑むと、面食らうかもしれません。
ネスレ日本の求める人材
同業他社がCAB系の試験を採用する中で、ネスレはSPI、玉手箱の内容が出てくるところも日系に近い社風を感じさせます(※3)。協調性のあるコミュニケーション能力が求められますので、グループディスカッションや面接では「難しい言葉を簡単に説明する」「相手へ賛同した上で改善案を出す」といった配慮を忘れないようにしてください。
各部門の違いや業務については、企業の採用ページをご覧ください。
▼ネスレ日本に関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
▼ネスレ日本に関する就活記事はこちら
・P&G、ネスレから学ぶ:クリエイティブ最前線、マーケターと広告代理店・デザイナーの違い
各社に入社を決めた人の傾向・企業選びの軸
最後に、冒頭でお伝えした、4社のうち複数社から内定をもらい迷っている学生向けに、各社に入社を決めた人の傾向を最後にまとめておきます。
【P&G Japan】
どこでも通用する人材となるための成長機会・育成ノウハウを求めて入社を決断する人が多い。ガツガツした人がカルチャーフィットする。
【ユニリーバ・ジャパン】
特にP&Gのガツガツしたカルチャーよりも、よりマイルドなカルチャーで働きたい人が入社を決める傾向。ユニリーバにほれ込んで入社を決める印象。
【日本ロレアル】
ブランドの世界観を作るようなセンスが問われる仕事であるため、業界やブランドが好きで入社する人が多い。
【ネスレ日本】
外資系というよりは日系っぽく、ワークライフバランスを重視した働き方をしたい人が多い。
おわりに
ここまで、外資系メーカーの代表4社の徹底比較をお伝えしてまいりました。同じ外資系メーカーといっても社風は千差万別。自分に向いている企業を選んで内定をつかみ取ってください。
▼過去に配信した《ES対策ガイダンス @YouTube LIVE》を期間限定で公開中!
・【全22卒就活生向け】『ES対策ガイダンス』−基礎から内定者ESのアタマの中まで大解剖−
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・【全22卒就活生向け】『面接対策ガイダンス』−基礎から内定者の準備方法まで大解剖
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外資メーカーは会社ごとに特有のカルチャーを持ちます。こちらから対策を!
・「実力主義」から「安定志向」まで?外資メーカーを受けるなら知っておきたい常識や社風
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(Photo : Niloo/Shutterstock.com)