こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリの人気ライター、トイアンナ・KEN・熊谷 真士が学生の悩みに答える「就活道場」。
今回のテーマはこちら。
昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
・KEN:「正しさ」を求められない企業で、働くこと
・熊谷 真士:鬼のごとき「説得」です
三者三様の答えをお楽しみください!
トイアンナ:とてつもない善人かサイコパスが上へ行く
トイアンナ:
大学を卒業後、外資系企業にて約4年勤務。600人以上の人生相談を受けた実績を基に独立。現在はマーケター、ライターとして広く活動中。
昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
とてつもない善人かサイコパスが上へ行く
【Aさんのプロフィール】
化学原料メーカー勤務。部長へ昇進してから「プライベートへ時間を割きたい」と役員昇進を辞退。現在は転職先で顧問をしつつ趣味の旅行に年の半分を費やす。
Aさん:出世する人材は2種類いる。まず善人。菩薩のような人だから上司が気に入って引っ張ってくれます。次にサイコパスで、前者の善人と同じように振る舞いつつライバルや有能な部下を潰していくから効率的に出世します。
トイ:Aさんはどちらですか?
Aさん:もちろん善人の方に決まってるじゃないですか。基本的に上司と人事に気に入られれば出世できるんだから、上司からいかに信頼されるかが大事。
上司が出世競争で負けそうなら、その上司を見限って、出世しそうな人へあらかじめ根回ししておくといいでしょう。仕事の相談にかこつけて飲みに行ったりね。
トイ:出世も目指しつつチャレンジするならどうすれば……?
Aさん:ここからは上司の絶対的信頼を得てからの話です。上司の指示を「はいはい」って二つ返事で引き受けて、でも実際には自分の好きなようにやればいいんですよ。信頼を勝ち取ってれば、上司も深くは状況を確認してこないですし。
トイ:それって、バレたら大変なことになりません?
Aさん:なるけど、売上に繋がったら上司も文句言えないからね。そこで失敗しても最悪クビになるだけだし、死にゃしないんだから。あと、部下と同期を大事にすること。(部下や同期は)出世の加点要素にはならないけど、変なこと密告されでもしたら足元崩れますから。
出世とやりたいことは基本的にトレードオフ
Aさん:ただ、私から言わせりゃ何でそこまで仕事に「やりたいこと」なんて個人の願望を押し付けたいか理解できないですね。「やりたいこと」ってのは、趣味でやるもんでしょう。最後まで残れるのは「出世や仕事なら何でも好きな人」です。それ以外にやりたいことがある人は、そもそも出世に向いてないでしょう。
ここまで伺って、私はなぜ自分が派閥競争に敗れたか理解しました。読者のみなさんにとっても「出世競争へ参加したいか、それとも別のキャリアを模索するか」の資料になれば幸いです……。
KEN:「正しさ」を求められない企業で、働くこと
KEN:
1987年生まれ。本名北野唯我。事業会社、コンサルティングファーム出身。学生時代にボランティア団体を設立・プロボノ支援等のソーシャルセクターでの活動経験を持つ。
昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
こんにちは、KENです。
昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツ……。
なんともまぁ、日本人らしい質問です。というのも、そもそも「失敗したこと=ダメなこと」と考えているように見えるからです。おそらく、質問者はドメスティックな環境で育った日本人であることが推測されます。
さて、彼の気持ちはこうです。
「どうしても昇進したい。でも失敗は必ずするもの。だからどう対処すればいいのか教えてほしい」ということです。
失敗をゼロにすることは現実的には不可能に近いですから、構造的に考えて、目的を達成するための選択肢は2つです。
1. そもそも失敗が許される環境を選ぶこと
2. 失敗しても「失敗したと人事に認知させないこと」
1つ目からいきましょう。そもそも「失敗しても、それがマイナスにならない会社」を選べ、ということに尽きます。具体的には「正解が分かりづらい業界を選ぶこと」です。
例えば、鉄道業界を見てみましょう。鉄道会社には「定刻に出発し、定刻にたどり着くこと」という明確な「正解」が存在します。よって、「失敗」という概念も生まれやすい。
一方で、広告代理店やマスコミ、コンサルティングファームなどでは、明確な「正解」が存在しづらい。従って「何が失敗で、何が成功か」が根本的に分かりにくい。よって「失敗」という概念に対して寛容にある傾向にあります。
このように、1つ目のアドバイスは「そもそも失敗が許される環境を選ぶこと」です。
2つ目は、失敗しても「失敗したと人事に認知させないこと」。つまり本当は失敗しているんだが、「分かりづらい状態にする」ということです。これは不正を意味しているのではなく、承認プロセスを活用して、「責任を少しずつ分散させること」です。
例えば、会社でミスが発生したときに、自分一人が単独で行ったものであれば、その失敗は全て自分にのしかかります。一方で、何人もの承認を経て、失敗したものであれば、「責任は分散」されます。人事や上司が「あなたの失敗である」ということを認識するのは難しい。
このように、適切なプロセスを経て、上司に承諾をもらい、事前の確認を綿密に行うことがポイントです。
とはいえ、冒頭にお伝えしたように、私自身は、そもそも失敗を悪いことだとは全く思いません。失敗するということは少なくとも自分の名前でリスクを取り、挑戦した結果です。責任をとってチャレンジした結果です。質問者の方もぜひ、「失敗=マイナス」と捉えないように生きてくれると嬉しいなと思います。
熊谷 真士:鬼のごとき「説得」です
熊谷 真士:
京都大学→総合商社→ヘッジファンド/ライター。ブログ「もはや日記とかそういう次元ではない」を運営。
昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
つまりチャレンジしてビジネスが失敗したら評価が下がり昇進に響いてしまうかもしれない。でも会社のアセットを使って、思いっきり自分のやりたいことをやり抜いてみたい。いちサラリーマンとして、「昇進」も「チャレンジ」も、捨てられない…! そういう心境と推測します。
これは個人的な結論を言うと、「チャレンジが正当に評価される会社を選ぶ」、ということかなと思います。チャレンジには失敗がつきものですが、そういう「チャレンジ」をどのように評価しているかは、驚くほど会社によって違うものです。
無数の失敗の中からいくつかの成功を生み出すことが大切なんだというマインドの会社であれば、「チャレンジ」は勿論、「失敗」すらも評価対象になるでしょう。どんどん社員にチャンスを与え、「良い失敗」をした人間には、次にはもっと大きなチャンスを与える。そういう会社は、実際に存在します。言ってしまえば、ネット系ベンチャーなんかは古い大企業なんかに比べて多少なりともそういう傾向はあるのではないかと思います。
もしあなたが勤めているのが、チャレンジ自体が評価の対象になりにくいような評価方法の会社なのであれば、そこはもう思いっきりチャレンジして失敗した上で、鬼のように「説得」をするしかないでしょう。例えば新規事業に挑戦しあなたはそのプロジェクトリーダーになりました。その事業は失敗に終わり100億円の損失が出たとします。
そこで社長に言うのです「今回はたしかに表面的には100億円の損失が出ました。しかし、この失敗から我が社は多くの学びを得たのです。失敗してからしか分からなかったような、様々な気付きがありました。」
「例えば、この分野で新規事業を行うのであれば、〜という考えが重要であるということ。またチームは〜であるべきということ。またマーケットに入るタイミングは〜でないといけないということ。本当に、色々なことが分かり、これらは今後のビジネスにおいて様々な良い効果を発揮します。」
「これからのビジネスに繋がり未来の収益を生んでいるという意味では、この失敗は本質的には会社に“利益”をもたらしているようなものなのです。今回の失敗から得られた“学び”や“経験”の価値を、出来る限りフェアに評価し計算しましたところ、なんとそれらは合計で108億円分の価値があることが判明しました。」
「よって、今回のプロジェクトでは、8億円儲かったのです。」
「就活道場」の記事一覧
・vol.1:学⽣のうちは遊んでおけっていうアドバイスは本当に正しいのか?
・vol.2:「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるもの?
・vol.3:いつも最終面接までいい感じで進むのに、最終で落ちることがよく分からない
・vol.4:新卒として再就職したい企業はどこ?(どこでも入れる前提で)
・vol.5:学⽣時代の期待が裏切られ、社会⼈になって最もがっかりしたことは何か。
・vol.6:幸せな家庭を作っている社会人と、そうでない社会人、どこに分かれ目があると思われますか?
・vol.7:就職せず、いきなり起業する学生についてどう思いますか?
・vol.8:結婚しないと昇進に響くか
・vol.9:中堅となると出世するしないが顕著になってくるが、交友関係はどうなるのか。
・vol.10:社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
・vol.11:昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
・vol.12:大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?