— 若い頃に「ホンモノの大人」に触れるかで、人生の上質さは180度変わる
KENは新しい特集のコンセプトをこう決めていた。その背景となる問題意識はこうだ。
「日本の就活メディアは、How to記事ばかり」
KENはいつもそう言い「メディアにはもっと意志が必要」と語っていた。いわく、日本の就活メディアでは本質的な議論がなされておらず、どうやって内定を取るのかのHow to記事ばかりだというのだ。彼は続けた。
「本物のコーヒーを、もっと、味わってほしい」
KENはしばしば比喩を使う。その言葉を聞いた、副編集長のウォーマーは頭を巡らした。
「思い返せば、1年前もKENは同じようなことを語っていたな」
— 4月、それは就活熱が加速する春。
去年のこの時期、KENは「就活偏差値ではなくて、その企業で働く意義を感じてほしい」という想いで、とある特集を実行した。
そう呼ばれた特集では、マッキンゼー、BCG、Google、P&G、ゴールドマンサックス出身で、現在ベンチャー/ソーシャル領域で活躍する5名にインタビューを行った。
彼らは、なぜ「高給取り」と呼ばれる企業を辞め、あえてベンチャー/ソーシャル領域に飛び込んだのか? この疑問を横断的に明らかにしていった。
彼がいつも学生に伝えたいのは「働くことの楽しさ」だ。そのために、今年は去年を超える必要があったのだ。つまり「世界的にも認められる日本人」を選ぶ必要があった。KENは街に繰り出し、とある人物とのコネクションを得た。それが、元世界経済フォーラムの事務局、長尾氏だ。
「世界経済フォーラムで選ばれた5人」
グローバルレベルで認められた5人と、KENの激論がついにこの春、始まる。
【第一戦】ハーバードMBA卒CEO 岩瀬大輔氏 vs 編集長KEN
第一戦には、輝かしい経歴を持つ、岩瀬大輔氏が登場。
BCGがかつて「お布団コンサルティンググループ」と空耳された時代、そこで見たこと、経験したことは、今の経営にどう役に立っているのだろうか? 他では見られない、ホンネ炸裂トークが見どころです。
岩瀬大輔氏:プロフィール
1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。卒業後、1998年にボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、アメリカへ留学し、2006年にハーバード大学経営大学院を日本人4人目のベイカー・スカラー(成績上位5%)として修了。帰国後の2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年に代表取締役社長に就任。2010年には、世界経済フォーラムの「Young Global Leaders」の1人に選出
【第二戦】宇宙飛行士 山崎直子氏 vs 編集長KEN
第二戦は、宇宙飛行士の山崎直子氏。
宇宙は「地球から8分30秒」の職場。そう遠くない将来、我々は「宇宙で働く」という選択肢を持つ、そう確信を持てるインタビュー。宇宙で働くという究極の肉体経験を得て感じた、「自分に合う仕事の見つけ方」が見どころです。
山崎直子氏:プロフィール
宇宙飛行士。東京大学工学部航空学科卒業。同大学航空宇宙工学専攻修士課程修了。NASDA(現JAXA)にエンジニアとして勤務後、宇宙飛行士に認定。スペースシャトル「ディスカバリー号」によるSTS-131(19A)ミッションのミッションスペシャリスト(MS)として参加。ロードマスター(物資移送責任者)としてミッションを遂行。2011年にJAXAを退職。『夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日(角川文庫)』『宇宙飛行士になる勉強法』『何とかなるさ!』など。
【第三戦】世界的エンジニア 遠藤謙氏 vs 編集長KEN
「世界的なエンジニア」、そう聞いて一体どれだけの人が、日本人を想起できるでしょうか? 第三戦に登場する、遠藤氏はMITが発行する「35才以下のイノベータ35人」に選ばれた、新進気鋭の義足エンジニア。彼は言います、パラリンピックは「人類の未来である」と。
誰も思いつかないような世界の未来を掲げる、彼の大局観に注目です。
遠藤謙氏:プロフィール
株式会社Xiborg代表取締役。慶應義塾大学修士。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループ博士。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー、D-Legの代表、See-Dの代表も務める。2012年、Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人に選出。2014年ダボス会議Young Global Leadersに選出。
【第四戦】国連出身 中村俊裕氏 vs 編集長KEN
第四戦は、ロンドン大学で修士を取り、国連、マッキンゼーを経て、起業……、誰もがひれ伏すような輝かしい経歴を持つ中村氏が登場します。しかし、実際に話してみると、温和で謙虚な彼。その理由は「価値観を変えるほどの、大きな挫折があった」と語ります。ソーシャル界でも注目を浴びる、コペルニクの切れ味鋭い「マーケティング戦略」にも注目です。
中村俊裕氏:プロフィール
コペルニク共同創設者兼CEO。京都大学法学部、ロンドン大学経済学院(LSE)比較政治学修士卒。国連、マッキンゼーに勤務。10年勤めた国連では、東ティモール、インドネシア、シエラレオネ、アメリカ、スイス等を支援。2012年に、世界経済会議(ダボス会議)のYoung Global Leadersに選出。著書『世界を巻き込む』
【第五戦】ベンチャーCEO 南壮一郎氏 vs 編集長KEN
第五戦では、新進気鋭のベンチャーCEOが登場。今や飛ぶ鳥落とす勢いで成長を遂げ、古い業界の破壊を目指す南氏の目に移るものは何か? ベンチャー経営・キャリア観など、踏み込んだテーマに迫ります。
南壮一郎:
1976年生まれ。米・タフツ大学を卒業後、新卒にてモルガン・スタンレー証券株式会社に入社し、M&Aアドバイザリー業務に従事した。2004年には東北楽天ゴールデンイーグルスに創業メンバーとして参画し、球団事業においては不可能とされていた初年度からの黒字化成功に貢献した。その後、2009年に株式会社ビズリーチを創業し、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を開設し、HRテック(HR×Technology)領域でサービスを展開、現在は同社代表取締役社長。2014年には世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。著書に『絶対ブレない「軸」のつくり方』(ダイヤモンド社)、『ともに戦える「仲間」のつくり方』(ダイヤモンド社)がある。
世界から見た日本? 「元々プレゼンスはない」
5人のインタビューを通じて見えてきたいのは、日本の今のプレゼンスです。
彼らは皆
「世界的な会議において、日本人の存在感はない」
と語ります。しかし、それはつまり「世界で日本人が活躍できない」というわけではないと語ります。現に、中村氏は国連では「日本人が入ると、プロジェクトが回る」といわれ、重要なプロジェクトにアサインされることも多いと言います。
4月20日から公開する、「WORLD5特集」は幅広いジャンルで活躍するプロフェッショナル5名が登場し、キャリア論・人生観を語ります。乞うご期待です。
KENより:若い頃に「ホンモノの大人」に触れるかで、人生の上質さは180度変わる
「なぜ、就活メディアが、宇宙飛行士にインタビュー?」
この特集を見て、そう思われる方も多いと思います。
その疑問はもっともであり、そもそも日本人で宇宙飛行士を職業として選ぶ人は、数年に1人というレベルです。例えば年間に数万人単位で就職するメーカーのOB/OG訪問と違って、「汎用性」は極めて低い。
しかし、それでも私がこの特集を企画したのは
若い頃に「ホンモノの大人」に触れるかで、人生の上質さは180度変わる
と感じるからです。
上質なコーヒーの味を知らない人が、「良いコーヒーか、悪いコーヒーか」を見極めるのは困難であるのと同様に、私は大人も同じだと思います。つまり若い頃に「ホンモノの大人」を見ておくかは、「人間を見極める目」に大きく影響すると感じるのです。
確かに、総合商社、コンサル、金融などの人気業界には「優秀な大人」「カッコイイ大人」は一定数います。
しかし、私が感じるのは「本当にそれだけが、かっこいい大人なのか?」ということです。少なくともこれまで私があってきた、「ホンモノの大人」と感じさせた人達は、上記の業界の枠組みには全くハマっていなかった人が多かった。私にとって「ホンモノの大人」とは、高い視座を持ち、自ら必要なリスクを取り、議論を呼び起こすようなテーマに挑戦している人物でした。
そして彼らの話は「私の人生の視点を大きく上げた」と感じます。
就職活動は、学生の皆さんにとって、人生の大きなターニングポイントです。
そんな時期に「ホンモノの大人」の話を聞いてもらう機会を、作りたい。
それが、今回の特集を実施した背景です。取材には多くの苦労が伴いましたが、ワンキャリアが総力をかけて行った「WORLD5特集」をぜひ、ご賞味いただければ幸いです。
KEN:
新卒で博報堂経営企画局・グループ経理財務局にて中期経営計画推進・M&A・組織改変業務を経験。米国、台湾への留学を経て、ボストン コンサルティング グループで勤務。その後、ONE CAREERに参画し、執行役員CMOに就任。一方で、23歳の頃から日本シナリオ作家協会にて「ストロベリーナイト」「トリック」「恋空」等を手がけたプロの脚本家に従事。『ゴールドマンサックスを選ぶ理由が僕には見当たらなかった』『早期内定のトリセツ(日本経済新聞社/寄稿)』など