※こちらは2017年3月に初公開された記事の再掲載です。
はじめに、自己紹介をします。
はじめまして。りょかちです。
インターネットで「自撮ラー」として自撮りをしたり、文章を書いたりしながら、新卒でIT企業に入り(一応有名企業だよ!!!!)WEBディレクターをしております。社会人になって変わったことは、1時間おきに見るのが、自分のアカウントのTwitterのアナリティクスから自分が関わっているサービスのGoogle Analyticsになったことです。
このページを開いてくださった皆さんの中には、就活生が多いのでしょうか。私は他のライターさんのように、輝かしいキャリアをたどってはいないけれど、新卒1年目としてフツーな就活生の気持ちに近づけるようなお話を書いていこうと思います。
新卒で出版社に入れなかった話
就活生だった時。私がなりたかったのは「編集者」だった。
軍地彩弓さんや西田善太さんのTwitterやInstagramを見てドキドキしたし、背伸びしてマクルーハンのメディア論を読んでみたりした。キュレーションメディアとかWEBメディアとかとにかく沢山あった頃だったから、WEBで沢山記事を書いたりもしたし、編集というお仕事をかじってみたりもした。
私は田舎で育った人間だったので、最先端の情報が大好きだった。いわゆるミーハーである。私は、地元の本屋さんで本や雑誌を買い込んでは、自分がまずはひとしきりニヤニヤして、ドキドキして、だけどそれじゃあ飽き足らなくて、新しい情報を友だちにも教えてワクワクさせて喜んだり、友だちと都心部の遊びを田舎で実行するための企画をしたりした。
私は、新しい情報を手に入れて、それを魅力的に組み立てたり、その情報がピッタリの誰かに届けたり、友だちを巻き込んで遊びにしたりするのが好きだったのである。そしてまた、そういうことが好きだったから、最先端でなくても、自分が「これは!!」と思う情報を作れるクリエイターや、一緒に興奮してくれる仲間が大好きだった。
そして。
大人になってそんな気持ちを引きずっていた私は単純に「編集者」になりたいと思ってしまった。そしてそのまま、純粋に、私をドキドキさせていたプロダクトである冊子を作っていた出版社を第一志望に就職活動をはじめた。
だけど。結局編集者にはなれなかった。大好きな出版社に落ちてしまった。しかも最終面接で、憧れていた出版社の役員に沢山いじわるなことを言われた。今となっては、いじわるなことを言われたときの反応を見るテストだったのかもしれないと思うけれど、その時は帰ってから悔しくて沢山泣いた。今でも思い出して胸くそ悪い気持ちになる。
渋谷の小さなデスクで青春をしている理由
しかし、私という人間は、心が弱いくせに諦めが悪い。どうしても違う人生を選ぶことができなくて、自分がなりたいものをひたすらずっと考えた。自分の好きだったことをひたすら因数分解した。そうすると、幸運にもそれは職業としての「出版社にいる編集者」でなければならないわけではないかも、と思ったのだ。そして、結局IT企業をいくつか受けて今の会社にいる。
実は世の中の新しい情報って沢山ネットにあるし、面白い企画ってネット上でドンドコ生まれてくるし、ネット上にはそれをあの人やこの人に届ける手段が無数にあったりすることに、その時気付いたのである。そして自分も小学生で自分のPCを手に入れて以来、ネットが大好きだったことにも気づいた。そうしてそのまま「これは絶対ネットでも自分がやりたいことできる、ネットの方がやりたいことできるだろ、むしろ」と思ってIT企業を受けまくり始めたわけである。
一つの開き直りかもしれないが、幸いにも今思うのは、「この職業を選んでよかった。こっちの方が(不器用だから天職ではないかもしれないけど)正解だったわ」ということだ。
自分は今、毎日毎日新しい企画をひねり出さなきゃいけないようなお仕事をしている。現代の若い子が好きなものなんだっけって死ぬほど思ってる。どうやったら面白いものを面白く届けられるか、あの人にどうやったら届くのかを必死で考えている。最高なことに、インターネットクリエイティブを作っているクリエイターさんと一緒に企画を作り始められている。
上司は面談で私に「りょかちは仕事で青春できるといいよね」と言ってくれた。そう言ってくれる上司がいるだけで最高なんだが、自分が今「青春だなあ」と思える日々を、渋谷のデスクから感じている。
私たちは、「なりたいもの」に「新卒」でならなければいけないのか
面白い話がある。
特に何かのスキルセットがあるわけでもないし、未熟すぎて頭を抱える日々だけど、WEBディレクターという肩書をもらってから、そしてネット上で少しずつ「自撮ラー」として知られるようになってから、冗談がほとんどではあるものの「りょかち、うちの会社を手伝ってよ」と言われることが、少しずつある。
そしてそれの半分くらいが、出版の人たちだったりするのが面白いところだ。その理由が「WEBのこと、詳しいんでしょ」だったりするから笑っちゃう。あんなにコテンパンに振られた職業である「編集者」として来てほしいといわれることもある。
私はまだまだ未熟だけど、もう少し今の仕事を続けたら、あるいは一緒に働いている尊敬すべき先輩たちとだったら、沢山ワクワクすることができそうだ! と思うこともある。
「継続は力なり」だからこそ
やっぱり自分の好きなことを昔からやり続けている人は強い。同じく編集者になりたくて、めでたく出版社に行った友人がいるが、「やっぱり小さい頃からひたすら漫画読んできたやつはすごいよ、俺だって今になって沢山読んでるけど、あいつらも同じスピードで読んでるからまだまだ追いつかない」と話していた。
自分の好きな領域を早く見つけて、楽しみながら努力してきた奴らはやっぱりすごい。そういう人たちに対して、私たちは「これが好きだ!!」という気持ちをエンジンにしてスピードで勝負しなきゃいけないわけだけど、そいつらも結構なスピードで走っていたりするから世の中世知辛い。
なんとなく選択肢を広げるために高学歴の大学に入って未来をペンディングし続けた私たちにとっては、なりたいものになることが、いつだって新卒じゃなきゃいけないわけじゃないのかもしれない。確かに新卒でなきゃなれない職業もある。だけど、遠回りだと思ったら近道だった、みたいなことってあるのかもしれない。
WEBディレクターになったら編集者としてスカウトされ始めたなんて話なんかは、そのような典型例だと思う。私たちは、むしろ後出しジャンケンでも勝てる方法を考えるべきなのかもしれないのだ。
いつでも、やるべきことは「次、最高の一手を打つこと」
あなたが今なりたいものは、今志望している職業以外でも達成できるかもしれない。あなたが今なりたいものになるには、新卒で第一志望企業に入るよりもどこかで人と違うスキルを積み上げたほうが近道になるかもしれない。
当たり前みたいに私たちは何かの職業に就くわけだけど、私たちのやりたいことが当たり前のように何かの職業に当てはまると思ったら大間違いだ、我々の夢を舐めるな。俺達がニューウェーブだ、という強気でいこう。
就活0日目で焦る日も、第一志望の企業に落ちた日も、内定をもらった企業に後悔し始めた日も、私たちにできるのはいつも最良の選択を選び続けることである。考えているよりも人生は長くて、何かの職業に就くこと自体はハードルが低くて(そこからが本当は長い)、だからこそ夢を叶えるための方法は、第一志望の企業に受かることだけじゃない。
近道は知っている人が少ないから近道なのである。幸せになるために、私たちが積み上げなければいけないのは、徳なんかではなく、常に物事を最良にするための選択を続けることなのだ。凡人の私たちは、夢を叶えるための王道が断たれた日こそ、ワクワクしていなければならないのかもしれない。
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