こんにちは、ワンキャリ編集部です。
外資系投資銀行といえば「IBD(投資銀行部門)」の印象が強いと思いますが、他にも少ない採用人数ながらも新卒採用を行っている部門があります。例えば「オペレーション」は、各社新卒採用は毎年2、3名ともいわれるほどの狭き門です。
そこで、今回は「マーケット」「アセットマネジメント(アセマネ)」「リサーチ」「オペレーション」「テクノロジー」の5部門を取り上げます。
それぞれの業務概要と選考をお伝えします。
外銀のIBD(投資銀行部門)以外の募集職種とは?
まず、外銀の部門の概要について、下記の図をご覧ください。
※参考:ONECAREER「【外銀入門】15分で分かる外資系投資銀行!受ける前に知っておきたい『部門の違い』」
金融業界では業務の質によって、「フロントオフィス」「ミドルオフィス」「サポート業務」と呼び分けられます。
フロントオフィス:お金を稼ぐ部門
顧客と直接取引にあたる部門で、「IBD」「マーケット」「アセットマネジメント」がこれにあたります。
バックオフィス:記録・実行を行う部門
フロントオフィスとミドルオフィスのサポート業務にあたり、事務作業をこなします。これに当たる部門は「オペレーション」と「テクノロジー」です。
ミドルオフィス:2つの要素を併せ持つ部門
フロントオフィスとバックオフィスのどちらの要素を持つ部門で、「リサーチ」がこれにあたります。
今回は、上記のうち「IBD」を除く5部門についてご紹介します。
▼IBD(投資銀行部門)についてはこちらをご覧ください
・英語のいらない外資?外銀IBD部門の実態各部門の概要とその魅力とは?
マーケット:ザ・外銀の華やかなカルチャー
マーケットは株式や為替などの金融商品を取り扱う部門です。銀行などの運用部門や機関投資家を顧客とし、金融商品を取引しています。部署内には外国人も多く、英語を使ったやりとりが日常的に行われます。IBDと比較すると、華やかでとがった人が多いといわれています。部署ごとに業務の質が違い、それに合わせて風土が違うのも特徴です。以下、部署ごとにお伝えします。
・セールス:顧客相手に金融商品のセールス
セールスの主な仕事は顧客に対して、自社の金融商品を営業することです。金融商品は商品の内容で他社に差をつけることが難しいため、顧客と中長期的に信頼関係を築く対人能力が商談の成否を分ける要素になります。
・トレーダー:嗅覚と高い数的センスで稼ぐ一匹狼(おおかみ)
トレーダーの主な仕事は会社の資金を運用し、利益を稼ぐことです。株式市場や為替市場などの変動を読み取る嗅覚と、数字のセンスを用いて利益を上げることが求められます。働き方は一匹狼的といえるでしょう。
・ストラクチャー:数的センスとセールスばりコミュ力で金融商品を作り売り込む
ストラクチャーの主な仕事は、金融商品の開発です。複雑な金融商品を取り扱うため、トレーダーと同じように数的センスに秀でた人が好まれます。ときには顧客に合わせ、テーラーメイド型の商品を開発する必要もあるため、セールスに同行して顧客と取引を行うこともあります。
アセットマネジメント:外銀最後のオアシス
アセットマネジメントは顧客から預かった資産を運用し、株式や債券などで増やして対価をもらう部門です。資産を中長期的に運用するという仕事の特性から、比較的、金融市場の短期的な動きに左右されることが少なく、外銀の中ではライフワークバランスが取りやすい部署といわれます。「外銀が激務で仕事をやっていけるか不安だ」という方にオススメです。
リサーチ:ミドルオフィスと呼ばれる外銀の頭脳
リサーチは世界中の市場や為替変動の同行、世界情勢などさまざまな情報を分析し、投資判断のもととなるレポートを作成する「外銀の頭脳」ともいえる部門です。
個人で勝負する業務が多い部門で、リサーチの社員は「アナリスト」と呼ばれます。入社4年目を過ぎ、シニアアナリストになれると経済誌に個人名が掲載されるようです。日経ヴェリタスの「アナリスト・エコノミスト名鑑」というものもあり、企業ではなく個人で仕事を依頼される人もいます。将来は自分の力で仕事を行いたい、組織ではなく個人で勝負したい人にとっては適した環境だといえるでしょう。
オペレーション:縁の下の力持ち
バックオフィスにあたるオペレーションはサポート業務を担います。トレーダーやセールスが発注した取引の決済や、他部署が作成した書類のチェックなど多岐に渡ります。
これまで紹介した職種とは業務内容が違うため求められる資質も異なり、緻密な作業も苦としない正確さや、社内での円滑な人間関係を築く力などが求められます。
テクノロジー:情報技術を用いてフロントを支える
テクノロジーはオペレーション部門と同じく、サポート業務を行う部門ですが、その手段が最新の情報技術ということが特徴です。
特に、トレーディング業務は、ネットワークやデータベースのパフォーマンス向上やデータ配信遅延処理など、さまざまなITシステムの性能差が会社の利益に直結します。グローバルな環境で情報技術系の知識を生かせる環境は外銀のテクノロジーならではといえるでしょう。
選考対策における違いとは何か?
外銀のIBD以外における各部門の概要をお伝えしました。続いて、それぞれの選考について見ていきましょう。
IBDと部門が違うとはいえ、同じ「外銀」、もちろん共通する点もあります。まずは、IBDと比較してその概要をお伝えします。
ES、Web・筆記テスト、GDなどはIBDとほとんど変わらない
選考の初期段階はIBDとほとんど変わりません。例えば多くの外銀では部門ごとに共通のエントリーシート(ES)を課しています。
また内定者によると、選考初期の段階では部門のカラーよりも地頭や協調性などが見られているとのことで、Web・筆記テスト、グループディスカッション(GD)などもIBDの選考と変わらないようです。
IBDとの決定的な差は「求められる英語力」
こちらの記事で取り上げたように、IBDでは英語力はそれほど求められません。
しかし、IBD以外の業種は全ての部門で高度な英語力が求められます。業務で日常的に英語を使うため、新卒でもビジネスレベルで英語ができることが必須です。内定者によるとTOEICのスコアでは900点以上(最低でも850点以上)のレベルかつ、ビジネスレベルでの会話ができる英語力を身につけておく必要があるそうです。
部門ごとの選考対策ポイント
最後に部門ごとの選考のポイントを見ていきます。
マーケット:序盤は基本的な能力、終盤は「キーマンに気に入られること」
マーケットの選考序盤は10〜15分程度でグループディスカッション(GD)が行われます。短時間で優秀な学生を見極めるために、頭の回転の速さやリーダーシップ・人柄などの観点が見られていることが推測できます。気を抜かず、アピールしてください。
選考終盤はジョブ選考の代わりに、1日に5〜10回程度の面接を行うスーパーデイと呼ばれる選考が行われることがほとんどです。多くの社員との面接ですが、力のある一部の社員の判断に結果が委ねられる場合が多いようです。とはいえ、全ての面接に気を抜かずに臨みましょう。
アセットマネジメント:専門的な知識が新卒でも最低限は求められる
アセットマネジメントは業務が専門的であるため、よりハイレベルな金融知識が求められます。外銀のアセマネは中途で入社する人も多いため、新卒で入社するのは至難といえるでしょう。選考の際は「人に好かれる人柄」など基本的な要素を意識する他、「金融に関する最低限の知識」も身につけておきましょう。例えば、2020年卒のゴールドマン・サックスのインターンでは「ある金融機関への資産運用の提案や新しいプロダクトの開発」というハイレベルな課題が課されました(選考対策ページより)。
さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
・【業界研究:アセマネ】野村アセットマネジメント、アセットマネジメントOne、大和アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメント:隠れ優良業界⁉資産運用業界(アセットマネジメント)の実態や業務とは?リサーチ:変化を楽しめる柔軟性をアピール
リサーチ業務の最大のポイントは「変化を楽しめる柔軟性」といえるでしょう。ジュニアアナリストはシニアアナリストのサポート業務が主です。シニアから急に割り振られた仕事を期限までにそつなくこなすなど、柔軟な対応力があると面接官にイメージさせることが大切です。「状況の変化を楽しみ、業務を柔軟にこなした経験」をアピールしましょう。例えば、バンクオブアメリカ・メリルリンチの2017年卒本選考では柔軟性を見極めるために、「人工知能が発達して社会はどう変わると思うか」のような漠然とした問いを取り上げた質問が行われました(選考対策ページより)。
さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
・外銀の頭脳?謎多き外銀リサーチ部門の業務を解説オペレーション:良好な人間関係を築く対人スキルが必要
オペレーション業務は社内外のさまざまな人とともに働く業務であることから、対人関係に優れた人が好まれます。人に合わせて、適切なタイミングでコミュニケーションを取れる能力は、プロセスが円滑かつ確実に進むようリードしながら働くオペレーション業務の上で、とても大切なスキルです(選考対策ページより)。
加えて、他の業種以上に英語を使用します。本社と業務システムの導入をディスカッションするなど、英語を使ったやりとりが行われますので、英語力はしっかりと身につけてください。
テクノロジー:情報系のバックグラウンドと人柄
テクノロジー業務はトレーディングなどに用いられるシステムの管理・開発などが主な業務で、情報系の専門知識が必須です。専門はさまざまですがシステム運用やアプリケーションの開発などがメインのため、プログラミングに関する専門知識を持つ人が多いようです。
2017年卒のモルガン・スタンレー(テクノロジー(情報技術))では最終発表の際に、構築したシステムを動かすように求められるなど、一定の情報系のバックグラウンドは必須のようです(選考対策ページより)。
またオペレーションと同様に、バックオフィスでの業務であり人柄の良さや英語がビジネスレベルでできることが求められます。
おわりに:その他の関連記事
いかがでしたか? 今回は外銀IBD以外の業種を取り上げました。
マーケットやリサーチといった職種を希望されるみなさんの一助になれば幸いです。
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