こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、外資コンサル志望者に向けて「インターン・ジョブの突破のステップ」を徹底分析します。
そもそも「コンサルタントの仕事」とは何でしょうか?
それは「限られた時間で高い報酬に見合うアウトプットを出すこと」です。すなわち、ジョブにおいても「タイムマネジメントのスキル」が求められると認識してください。
しかし、ジョブ参加者の声には「情報収集に時間を掛けすぎて最終日の資料作成が間に合わなかった」「実際に使わない情報ばかり集めてしまった」という反省の声もあるように、闇雲に取り組むのでは達成できません。
つまり、ジョブにおいて何より大切なのは「ジョブの手順をつかみ、時間配分に気をつけて、目的志向で情報を集めること」なのです。
<目次>
●5つのステップで段階的に取り組む
●Step 1.【課題設定】:現状と理想のギャップを数値化する
・(a)「企業分析」:有価証券報告書・アニュアルレポート、実地調査の活用
・(b)「市場分析」:マクロ統計の活用
・(c)「競合分析」:業界ランキング、同業他社の有価証券報告書・アニュアルレポートを活用
●Step 2.【ターゲット市場の選定】:市場規模が十分にあるか留意せよ
●Step 3.【市場のニーズを特定する】:情報収集には「足」も使え
●Step 4.【施策を練る】:妥当性を検討せよ
・(a)実現できるのか
・(b)競合に勝てるのか
・(c)仮説検証を繰り返す
●Step 5.【提案資料の作成】:シンプルに作る
●チームがどのフェーズにいるのか意識しよう
5つのステップで段階的に取り組む
ジョブのお題は「企業の課題解決型」が一般的です。
今回は、実際過去に出題された「連結会社を持つ回転寿司チェーン店A社の業績改善」を例に取り、ジョブの説明を行います。
ワンキャリ編集部は課題解決型のジョブを効率的に進める方法として、注意すべきポイントと合わせて、以下5つのステップに分けて捉え段階的に進めることをオススメします。
それでは、「連結会社を持つ回転寿司A社の業績改善」を例に取り解説します。
Step 1.【課題設定】:現状と理想のギャップを数値化する
外コンのジョブにおいて学生が目標設定すべき課題は「企業の現状と理想の間にあるギャップ」です。
企業分析して「現状」と目指す「理想」をひも解いた上で、その差分を定量的に算出しましょう。定量的に表す指標として「売上」と「利益」がよく用いられます。コスト削減が十分にできていないと判断した場合は利益に着目し、コスト削減策は十分にとられ事業拡大が期待される場合は売上に着目しましょう。「なぜ売上か?」「なぜ利益か?」まで、説明できるようにしておくことが大切です。
具体的な方法として「3C分析」をオススメします。
「3C分析」とは、以下3つのCをとっていわれるものです。
「3C分析」
・Company → 「企業分析」
・Customer → 「市場分析」
・Competitor → 「競合分析」
この3つの観点を持って目標設定を行いましょう。
では、【課題設定】を「企業分析」「市場分析」「競合分析」の3つに分けて、それぞれ解説していきます。
(a)「企業分析」:有価証券報告書・アニュアルレポート、実地調査の活用
まず、企業の売上や利益を確実に把握しましょう。そのために「有価証券報告書」を参照しましょう。
売上の現状は、有価証券報告書の「連結経営指標」の「売上高」の項目に記載されています。
有価証券報告書の検索方法は2つあり、「企業ホームページのIR情報(投資家向け情報提供)」もしくは「金融庁のEDINET」からアクセスしましょう。
「どの事業がもうかっているか」は、「セグメント情報」にある「セグメント別売上高」に記載されています。
※出典:富士フイルムホールディングス「2021年3月期 有価証券報告書」
例えば、A社の回転寿司チェーン店に訪れ、「サービス/客層/雰囲気/味」などを顧客の視点で体験してみましょう。A社の売上減少の原因が「店が汚い」「立地が悪い」「サービスが悪い」ではないか? といった発見があるかもしれません。
(b)「市場分析」:マクロ統計の活用
クライアント企業の業績を考える上には「マクロ統計」が必須です。「市場の伸び」と「自社の伸び」とを比較することで、自社の課題が数値的に把握できるからです。
例えば、回転寿司市場が年5%で成長する中A社の売上成長率は年1%だとしたら、不景気などのマクロ的原因でなくA社の経営自体に問題があることが分かります。
そして、「A社も3年後(※1)までに2%(1年後)→3%(2年後)→5%(3年後)と売上成長させる」というように目標を立てることができます。そうすると、(a)で調べた「クライアント企業の売上高」から、A社の課題である「現状と理想の間にあるギャップ」は以下のように定量的化できるのです。
(※1)……コンサルタントは、基本的に3~5年のスパンで達成可能なアイデアを提供していきます。「○年後までに解決しなさい」という設定がない限り、同様のスパンで提案してみましょう。
【市場分析に便利な検索サイト一覧】
・矢野経済研究所
・富士経済
・総務省統計局
・デロイト トーマツ コンサルティング
(c)「競合分析」:業界ランキング、同業他社の有価証券報告書・アニュアルレポートを活用
業界ランキングを元に、クライアント企業と似たポジションにいる企業(=競合)を洗い出すことからはじめましょう。その次に、競合の有価証券報告書やアニュアルレポートを読みます。調べたクライアント企業の現状との違いに着目しながら読み進めましょう。
その上で、競合をベンチマークとして「業界シェア30%を誇る売上高1位のB社に3年後に追いつく」というように目標立てを行います。
この場合、(a)で調べた「クライアント企業の売上高」と、(b)で調べた「回転寿司の市場規模とその年間成長率」からA社の課題が以下のように定量的に表せます。
「連結会社を持つ回転寿司A社の業績改善」の目標は「3年後までに、○億円の売上アップ」のように設定できるでしょう。
ここまで述べてきたように、「市場の伸びに合わせる」「競合をベンチマークにする」など目標設定の仕方はさまざまな着眼点があり、正解はありません。
大切なのは、「定量的な課題設定」や「その課題設定に至った根拠」を説明できることです。
ブラッシュアップしようと思えばいつまでも時間を掛けられますが、Step 2~4のビジネスプラン構築に時間を割くためにStep 1は初日に必ず完了させましょう。
Step 2.【ターゲット市場の選定】:市場規模が十分にあるか留意せよ
次は「Step 1で定量化したギャップ」に見合う市場規模を見込めるターゲット層を選定しましょう。年齢や性別・国籍・所得などを具体的に設定します。
この市場規模の算出の仕方として、フェルミ推定が一般的です。求めた数値が正確であることではなくその過程が重要視されます。
フェルミ推定の方法を詳しく学びたい方は、下記の就活記事をご覧ください。
・フェルミ推定・ケース面接を対策!ポイントは「論理性・コミュ力・楽しむ姿勢」:外資戦略コンサル徹底解説Vol.2
・【フェルミ推定】「いまさら聞けない」でも大丈夫!回答&解説付きで読むだけでOK
・【初めてのフェルミ】誰でも解けるようになる!?恋愛をヒントに学ぶはじめてのフェルミ推定
例えば、回転寿司A社の場合、客層として若者や家族連れ・サラリーマン・訪日外国人などが考えられます。ここでは、東京オリンピックの開催により、今後2年以内の市場拡大が期待されるため、訪日外国人をターゲットにしてみました。
Step 1で算出した課題に対し、訪日外国人市場は十分な大きさかを判断するには以下のように検証できます。
市場規模が十分であることが立証できれば、次のステップに進みましょう。
Step 3.【市場のニーズを特定する】:情報収集には「足」も使え
ターゲット層を選定できたら、具体的にそのニーズを洗い出しましょう。
その方法として、ターゲット層へのアンケート調査がオススメです。特に、自らアンケート調査などを行って出したデータは好評価と判断されるでしょう。インターネットでは手に入らないような「生の情報」を提供することこそ、クライアント企業がコンサルタントに求めるバリューだからです。
回転寿司A社に訪日外国人層をターゲットにする提案をする場合なら、浅草などの観光地に行って「価格帯/商品/サービス/立地など」について訪日外国人の需要をアンケート調査するのもよいでしょう。実際に、過去の外コン内定者には、A社の回転寿司チェーンに赴き店長や観光客にインタビューしたという人もいました。
Step 4.【施策を練る】:妥当性を検討せよ
ここまできたら、具体的な施策を練り始めましょう。
そのときに忘れてはいけないのが「実現可能性の検討」です。ジョブ中、メンター社員から「なぜその施策を○○社は実施していなかったのか?」と聞いてきます。この質問への答えとして、「理想論ではないこと」と「自社の強みがあるから実行できること」を示す必要があります。
これらを示すために、「実現できるのか」「競合に勝てるのか」の2点について考えましょう。
(a)実現できるのか
実現するにあたり、「法律」「ブランドの一貫性」「物理制約」の視点が欠かせません。例えば、「訪日外国人が多く訪れる動物園に回転寿司A社を出店しよう」という提案で考えてみましょう。
「法律」:動物園という不衛生な場所でナマモノを提供することはできるのか
「ブランドの一貫性」:動物園の中で寿司を食べたいのか
「物理制約」:店舗数が限られるが、空き場所はあるのか
以上のように検討すべき点が浮き上がります。
こうして考えてみると「訪日外国人が訪れやすいから動物園の中に出店する」という提案が机上の空論になっているということが分かるかと思います。
(b)競合に勝てるのか
次に、「なぜクライアントがその提案を実行すべきか?」という問いに向き合いましょう
まず、Step 3で定めたのと同様のターゲット層を持つ企業を選定します。同じ業界の企業だけでなく、視野を広げ業界外にも競合はいないか考えるようにしましょう。例えば、回転寿司A社にとってファストフード業界は競合になりえます。
次に、それらの競合と比較してどのような強みがあるかを考えましょう。
強みの特定の仕方には、IRの比較やopenworkなどの情報から仮説を立て、クライアント企業に電話やメールで直接ヒアリングするという手段もあります。具体的には、「回転寿司A社が連結会社に寿司以外の飲食チェーン会社を多数持つこと」から、「それらの連結会社の客層をA社にも取り込むため、連結会社間で利用可能なクーポンを導入する」という提案もできるのです。
これは「なぜあの競合はこの施策を行っていないのか?」への答えにもなります。
(c)仮説検証を繰り返す
実際にStep 2〜4までが順調に進むことはほとんどあり得ません。
そのため、仮説・検証を何度も繰り返す必要があります。Step 2〜4を何度も回し提案を練りあげましょう。
Step 5.【提案資料の作成】:シンプルに作る
Step 1〜4までで導き出した提案を資料にまとめましょう。
最初にスライドごとに伝えたいメッセージを決め、そのあとで具体的なデータやグラフ作成を行いましょう。ただし、資料の見栄えよりも内容の方が当然重要ですので、資料作成に時間をとりすぎないよう心に留めましょう。
スライド内に内容を全て記載する必要はありません。文字量を減らし、1スライド1メッセージを徹底しましょう。
資料作成のスキルを磨きたい方にはこちらがオススメです。
また、よくあるアウトライン例も参考までに記載しておきます。
チームがどのフェーズにいるのか意識しよう
これまで見たように、ワンキャリがオススメする外コンジョブの進め方は以下のとおりです。
<5つのステップ>
Step 1. 【課題設定】:現状と理想のギャップを数値化する
↓
Step 2. 【ターゲット市場の選定】:市場規模が十分にあるか留意せよ
↓
Step 3. 【市場のニーズを特定する】:情報収集には「足」も使え
↓
Step 4. 【施策を練る】:妥当性を検討せよ
↓
Step 5. 【提案資料の作成】:シンプルに作る
ジョブでは、しばしばチームの議論が行き詰まり議論の目的自体を見失うときがあります。
そのような時には「現状どの段階にいて何をする必要があり、そのためにはどんな情報が欲しいのか」考えるようにしましょう。
ジョブの期間は、3日間もしくは5日間が一般的です。その短い時間を以下のように配分しましょう
<作業の時間配分の目安>
・「初日」に終わらせる→「Step 1の課題は数値」で表わす
・「最終日前日」の夕方から入る→「Step 5の提案資料」の作成する
・「初日〜最終日前日」の間は何度も「Step 2~4のサイクル」を回す
おわりに
ジョブでは情報をいかに効率的に集めるかが重要です。時間節約のためには、闇雲に情報を集めるのではなく、クライアントへの提案に向けて必要な情報だけ調べることが大切です。ムダをなくし、圧倒的なパフォーマンスで内定を獲得しましょう!
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