「高学歴」「帰国子女」と並び、就活で有利といわれる「体育会系」。
とはいえ、練習や試合で忙しい体育会系学生はなかなか就活に時間が取れません。部活をやっていない友達が悠々とインターンに応募、参加している姿を見て、不安になる学生も多いのではないでしょうか。
この記事では、部活で時間がない体育会系学生が就活を有利に進めるためのノウハウをご紹介します。
<目次>
●体育会系就活生の不利な点・有利な点
●体育会系就活生の就活スケジュール:早い時期に就活対策を始めよう
・STEP1「研究の夏」:OB・OG訪問や1Dayインターンで企業研究を行う
・STEP2「自問の秋」:自己分析を通して志望業界を絞り込む
・STEP3「決断の冬」:再びOB・OG訪問で企業を絞り込み、本選考に臨む
●体育会系就活生の自己PR:部活で培った能力を面接官に適切に伝えよう
・結果ばかりをアピールし、強みを示せていない自己PRはNG
・内定者の自己PR例:「業務特性 × 体育会系の強み」を意識する
●時間的制約のある体育会系学生こそ、早めの動き出しと体育会の強みを生かした自己PRで、内定を獲得しよう
体育会系就活生の不利な点・有利な点
体育会系学生の就活で不利な点の一つは、「部活に多くの時間を費やすのが当たり前」という環境にいることです。大会や担当業務で忙しく、数日間のインターンシップに参加する時間がない。そのため、周囲には解禁日から動き始める短期決戦で就活に挑んだ先輩も多いかと思います。就活に強いといわれる体育会系学生でも、時間的制約と準備不足があだとなり、第一志望の企業の内定は獲得できないことも珍しくないというのが事実です。
一方、体育会系学生には「リーダーシップ」「協調性」「ストレス耐性」などの絶対的な強みがあります。これらの能力は社会人になっても求められるため、就活を有利に進めるための武器になるでしょう。
<不利な点>
・部活に多くの時間を取られ、就活にかけられる時間が少ない
・所属するコミュニティが狭く、就活に関する情報を得にくい
・選択肢が周囲の先輩の就職先に限られがち
<有利な点>
・社会人に求められる能力を身につけている(リーダーシップ、協調性、ストレス耐性、コミュニケーション力、タフネス、目標へのコミット力など)
・上の世代とのつながりが強く、OB・OG訪問先を見つけやすい
ここからは、体育会系学生の弱みである時間的制約を克服する就活スケジュールと、強みを生かし、内定を獲得するための自己PRのポイントをお伝えします。
体育会系就活生の就活スケジュール:早い時期に就活対策を始めよう
就活強者のイメージが強い体育会系学生でも、3年の夏に就活を始めるべきです。むしろ、体育会系学生だからこそ早めに行動すべきといえるかもしれません。就活が本格化する3年生の年明けの時期は、最終学年になって部活の仕事が格段に増える時期でもあります。
そんな状況下で、部活の練習と部内での担当業務に励みながら、ES、Webテスト、OB・OG訪問、リクルーター面談までこなすのは極めて高負荷です。年明けの時期に就活をゼロから始める場合、高確率で失敗を招くでしょう。周りの部員より先に就活を始めることに引け目を感じるかもしれませんが、できることを先に行うのが得策です。
逆に、就活を早く始めて時間的余裕を作った学生は、体育会の強みを存分に発揮し、第一志望の企業に行ける可能性が高まるでしょう。重要なのは「本選考が始まるまでの就活スケジュール」です。
今回、皆さんにおすすめするスケジュールはこちらです。
・STEP1「研究の夏」:OB・OG訪問や1Dayインターンで企業研究を行う
・STEP2「自問の秋」:自己分析を通して志望業界を絞り込む
・STEP3「決断の冬」:再びOB・OG訪問で企業を絞り込み、本選考に臨む
STEP1「研究の夏」:OB・OG訪問や1Dayインターンで企業研究を行う
3年生の夏は、幅広く業界を研究しておきましょう。
この時期にさまざまな業界の特徴(業務内容、求められる能力など)と、企業の特徴(社風、キャリアパスなど)を調査しておくと、忙しい冬に業界・企業を絞り込むだけでよくなります。部活で忙しい体育会系学生は複数日のインターンに参加するのは難しいと思いますが、1dayインターンなら練習の合間を縫って参加できるでしょう。
1dayインターンの中には、エントリーシート(ES)のみの選考や、選考がないものも多いため、参加のハードルはそれほど高くありません。
<1dayインターンの参考記事>
・必見!1dayインターンの賢い選び方 #インターンのリアル
また、部活の先輩のツテを活用し、OB・OG訪問で業界・企業研究をすることも有効です。金融・インフラ・通信などの業界は、OB・OGの評価が選考に影響することがあるので、必ず訪問しましょう。
STEP2「自問の秋」:自己分析を通して志望業界を絞り込む
夏に幅広く業界を見ることができたら、秋は自己分析を通じて業界を絞り込みましょう。
「自分はどういう人間か」「社会人として何を成し遂げたいか」を深く考え、夏に研究した業界・企業ごとの特徴に照らし合わせて、業界を選びましょう。「先輩が多く行っているから◯◯業界」「部活で培ったチームワークが生かせそうだから◯◯業界」と安易に考えず、自分の個性や理想像をしっかり見つめてください。
1つの業界に絞り込む必要はありませんが、この時点で2〜3業界に絞れると、就活本番時期のタイムマネジメントが楽になり、部活と就活との両立にもつながるでしょう。
<自己分析の参考記事>
・自己分析の方法:就活の基礎!得意×需要×好きから自分の強みを分析
・自己分析って何?学生が陥る3つの落とし穴と進め方
STEP3「決断の冬」:再びOB・OG訪問で企業を絞り込み、本選考に臨む
夏の業界研究と秋の自己分析で業界を絞れたら、冬にはどの企業を受けるか決め、本選考に臨むだけです。
ただし就活が解禁されるこの時期、同時に部活も忙しくなることをお忘れなく。志望業界だからといって、むやみに何十社も受けることはオススメしません。全部で20社くらいに絞り、企業ごとに理解を深めるなど丁寧な対策を行いましょう。
また、志望度の高い企業は再度OB・OG訪問を行うことをおすすめします。志望動機に社風を挙げる場合、「◯◯事業部にいる◯◯さんの◯◯という話がとても印象的でした」と面接で話せれば説得力が増すでしょう。
OB・OG訪問は、体育会学生の強みである「縦のつながり」を生かすチャンスです。部活のOB・OGに積極的にアプローチすればリクルーターをつけてもらえたり、非公開の座談会に招待してもらえたりするケースも十分にあり得ます。
このような「特典」にあずかるため、OB・OG訪問では熱意を持って志望動機を語れるようにしっかり準備し、本選考にも備えましょう。
<OB・OG訪問の参考記事>
・OB・OG訪問をすべき人、しなくていい人
・OB・OG訪問で「深い話」が得られない3つの理由と対処法
・【現役商社マンが指南】50名にOB訪問をされたから分かる、総合商社OB・OG訪問で好印象を得る質問の特徴
体育会系就活生の自己PR:部活で培った能力を面接官に適切に伝えよう
部活で身につけた能力も、面接官に適切に伝えられなければ評価されません。
ここからは、面接で相手を納得させ、内定を勝ち取るための自己PR作成について紹介していきます。
結果ばかりをアピールし、強みを示せていない自己PRはNG
体育会系就活生が陥りがちなのは、「競技の成果ばかりをアピールし、プロセスを示せていない」という自己PRです。入社後に仕事で同じスポーツをするわけでないため、「全国大会○位」といった結果そのものは面接官にとって重要ではありません。
評価されているのは、「高い目標を達成するために、どのように困難を乗り越えたのか」というプロセスと、そのプロセスに表れたあなたの長所なのです。
<体育会系学生が陥りがちな自己PR>
・試合の結果ばかりをアピールしており、プロセスを示せていない
・努力や根性を重視しがちで、課題を論理的に考える姿勢を示せていない
・スポーツで培った自分の強みを客観視・言語化できていない
内定者の自己PR例:「業務特性 × 体育会系の強み」を意識する
体育会の強みを生かした自己PRはどのようなものなのでしょうか?
そのコツは、「業務特性 × 体育会系の強み」を意識することです。
三菱商事の内定を獲得した実際のエントリーシート(ES)を見てみましょう。
これまでの学生生活の中で挙げた実績や経験を4つまで教えてください。学業、部活動、サークル、趣味、ボランティア、インターンなど何でも結構です。
(1)大学の体育会◯◯部でキャプテンを務め、◯◯一部昇格を目指し百人規模のチームを取りまとめた。
(2)同部の人材不足を解消すべく◯◯を務め、抜本的な方針転換を行い結果につなげた。
(3)講演会出席、インタビューのHP・パンフレット掲載などを通し、出身高校の受験生応援企画に定期的に協力した。
(4)大学三年次、将来の自分がどんな場所にいても生かせる学問を学びたいと考え、◯◯ゼミの◯◯を選んだ。
チャレンジングな目標を定め、その達成のために諦めずに取り組んだ経験について、教えてください。結果の成否によらず、あなたが工夫・努力したことや、取り組みのプロセスなど、具体的に記してください。(設問(1)で回答した経験の中から説明してください)
前年のシーズンから、部員たちの意思がバラバラであることに問題意識を抱いていた私は、異なる価値観を持つ部員たち全員が同じ方向を向いていなければ強いチームは作れないと考え、まずチーム全員と個別にコミュニケーションを取ることを始めた。
そしてチームに何を求めるか、なぜ今チームにいるのか、ということを聞き、自分の考えを伝える中で、「勝利」を目指す意味を説明し、全員の納得を得ることでチームの意思をまとめる事に取り組んだ。
さらに、学年や役職に縛られずチーム運営についてコミュニケーションを取ることができる機会を定期的に設けた。
結果としては、◯◯一部への昇格はならず二部残留となったが、「チーム全員で同じ方向を向いて」勝利を目指す風土をチームに残すことができた。この挑戦を通して、互いの価値観を認め合いながら一つの目標を目指すための本質的なコミュニケーションの難しさや、組織員へのビジョンの共有の重要性を学んだ。
総合商社の社員に求められるのは、異なる利害を持つステークホルダーの調整役となりビジネスを推進する力です。
この学生は「部員たちの意思がバラバラであること」に問題意識を抱き、「チーム全員と個別にコミュニケーションを取ること」に取り組み、「『チーム全員で同じ方向を向いて』勝利を目指す風土をチームに残すことができた」ということをアピールしています。部員の意思統一のプロセスで発揮された「調整力」や「コミュニケーション力」は、総合商社の業務で求められる能力そのものです。
このように体育会系の強みを生かす秘訣(ひけつ)は、部活で培った能力の中から、志望業界の業務に生かされる能力を選んでアピールすることなのです。
<自己PRの参考記事>
・【自己PRの書き方】エントリーシート(ES)で企業の強み・弱みと自分をつなぐアピール方法
・面接官をイライラさせる?!NGな自己PR例文と対策
・自己アピールの例文集!面接官の考えるエピソード・強みの作り方
・自己PR例文集と書き方12選!ES・面接で自分の強みを一言でアピールする極意
・そのエピソードで大丈夫?外資マーケターが教える自己PRの書き方
時間的制約のある体育会系学生こそ、早めの動き出しと体育会の強みを生かした自己PRで、内定を獲得しよう
体育会系学生にとって、突如課される就職活動は日々の練習の妨げになるものと感じられるかもしれません。
しかし、就活は今後の人生を大きく左右する極めて重要な選択です。部活と就活を両方とも成功させるために大切なのは、早い段階でスタートを切り、長期的に取り組むことなのです。実際、筆者が所属していた部活でも、早い時期に準備を始めていた先輩は商社や外資系企業の内定を勝ち取っていました。
早期に就活を始め、部活で身につけてきた強みを余すことなく発揮し、第一志望企業の内定を勝ち取りましょう。
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・「挫折経験は?」失敗談をアピールポイントにするES、面接の回答例
・【ES・面接対策】「あなたを動物に例えると?」質問の回答例10選
・就活の罠。ESの「過去の経験」は、君の「未来」を問うている