伊藤忠丸紅鉄鋼は、総合商社である伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼部門が2001年に分社・統合して誕生しました。2023年度の売上高は3兆7,424億円、純利益は803億円。鉄鋼総合商社として、業界ナンバーワンの業績を誇っています。
Marubeni-Itochu Steel Inc. の頭文字を取ってMISI(ミシ)という愛称で呼ばれる同社は、あらゆる鉄鋼製品を取り扱い、世界規模でメーカーとクライアントをつなぐ「トレーディング」と、鉄鋼流通におけるさまざまな「事業投資」の2つをビジネスの軸として、成長を続けています。
世界の鉄鋼流通を支えるトッププレイヤーとして、鉄を通じて未来を担っていく存在であることを自負する伊藤忠丸紅鉄鋼。そんな同社について、人事総務部の採用・ダイバーシティ推進チームに所属している渋谷龍生さんに、お話を聞きました。
「この人たちと一緒に働きたい」という憧れから入社
──渋谷さんは入社2年目で年齢も近く、学生も親近感があると思います。商社パーソンというと体育会系のイメージもありますが、実際に入社前後でギャップは感じましたか。
渋谷:確かに入社前は、イメージされるような、ガツガツした商社パーソンが多いのではないかと考えていました。私自身、体育会系の団体に所属していたわけではなく、芸能活動に従事していたため、入社前はかなり緊張していましたね。ところが、いざ入社するとスマートかつ柔和な社員が多く、大きなギャップを感じました。
コミュニケーションを密にとり、アクティブでありながら、論理的で業務も筋道を立ててスマートにこなしていくという印象を多くの社員から受けました。もちろん、人柄は温かく、分からないことばかりの新人には丁寧に指導をするなど、成長を促す企業だと改めて感じていました。
──商社を志望した理由について教えてください。
渋谷:就職活動の開始当初は、商社の他にも、広告代理店やデベロッパーなど、さまざまな業界や企業に関心を抱いていました。その一環で商社の説明会に参加して、クライアントとクライアントの間に立って双方をwin-winにさせ、人材がアセットとなるビジネスだという話を聞き、自身の価値を発揮できる環境に憧れを抱きました。
その上で、私は海外駐在を経験して、1人のビジネスパーソンとしてより成長したいという思いがありました。商社は世界中に拠点を構えているところも、自身の考えに合致して志望理由として大きかったですね。
就職活動では総合商社にも興味がありましたが、鉄を扱うダイナミックさと社員の人柄にも大きな魅力を感じていました。鉄鋼は1つの取引における金額が非常に巨額であり、グローバルで活躍できる環境が整っているところから、専門商社とはいえ、総合商社で鉄鋼部門に配属されるようなイメージで就職活動を進めていました。
また、伊藤忠丸紅鉄鋼にインターンで参加した際、多くの社員と関われる機会に恵まれ、「この人たちと一緒に働きたい」という憧れの気持ちを抱いていたことも入社の決め手となりました。
──実際に入社して人事部に配属されたからこそ分かる、学生時代には分からなかったことはありますか。
渋谷:学生時代に考えていたよりも、はるかに多角的なビジネスをしていると知りました。商社は基本的にトレーディングや事業投資がメイン事業ですが、私たちは「CO2の見える化」に向けてIT企業とタッグを組んだITソリューションサービスの展開をはじめとしたカーボンニュートラルの取り組みなど、鉄そのものを扱うだけでなく、鉄鋼流通に関するさまざまな関連サービスも手掛けています。
さらに、伊藤忠と丸紅という2つの総合商社のネットワークを駆使した幅広い情報網や販路という強みを持ち、2社との協業案件もあります。例えば伊藤忠が生鮮果実・野菜の販売で有名な株式会社ドールを買収した際、缶詰の素材として私たちが鋼材を納入しました。丸紅にもカーボンニュートラルの一環で拡大しているエネルギー事業において、洋上風力発電の根元の支柱部分(モノパイル)となる鋼材を納入しています。
社会を支える仕事こそ鉄鋼商社の醍醐味
──鉄鋼を扱う商社として、総合商社と比較検討する学生も多いと思います。「鉄鋼×商社ビジネス」の醍醐味(だいごみ)について聞かせてください。
渋谷:私自身は入社以降、採用担当の業務に就いているため、トレーディングをはじめとした事業に実際関わってきたわけではありません。ただ、全世界に鉄鋼を必要とするお客さんがいることは、鉄鋼を扱う商社の大きな魅力でしょう。
私たちはスチール缶や家電で使われる薄い板から、船や橋に使われる巨大な鉄鋼まで扱っています。社会を根底から支えることに仕事を通じて関われるのは、鉄鋼を扱う商社ならではの醍醐味ではないかと考えています。
──新卒入社後はどのような業務に関わるのでしょうか。
渋谷:営業部門を例にあげれば、トレーディングをはじめとした鉄鋼流通に携わる業務が多くなります。具体的には製鉄メーカーやクライアントとの打ち合わせ、納入数の管理などを通して、鉄鋼についての知識を深めていく流れですね。また、社内で鉄鋼製品の業界・各本部別のビジネスモデルを体系的に理解できるような研修プログラムを用意しています。
「鉄は産業のコメ」といわれる通り、非常に多種多様な産業を相手にビジネス展開をしています。顧客は国内の小規模な町工場からオイルメジャーまで幅広く、部署によってビジネスの内容や、プロジェクトに関わる期間などが大きく異なります。毎月、大規模なトレーディングをする傍ら、新しいM&A案件の開拓が常に求められるような部署もあります。
配属される部署によって業務が異なりますが、入社前に内定者一人一人と人事が個別に面談して希望を詳しくヒアリングした上で、各部署の多様なニーズ、また本人の適性などを総合的に勘案して配属部署を決定します。
──志望者には、グローバルでの活躍を望む学生も多いかと思います。海外業務についても聞かせてください。
渋谷:利益の内の海外比率が7割以上となる当社では、世界で活躍できるグローバル人材の育成が必須であり、10年目までに海外経験を積むことが、人材育成のガイドラインになっています。私の同期であれば2年目で海外実務研修生として中東に駐在している社員もいて、海外のお客様とMISI本体との懸け橋となって、地場のビジネスに関わる業務を担っています。
──専門性がある中で、キャリアはどのように広がっていくのでしょうか。
渋谷:経営人材の育成が目標です。MISIは100社以上のグループ会社を世界中で運営しており、その経営を担うべく、経営人材に向けたキャリア形成支援をしています。
鉄鋼ビジネスに関する経営人材に向けて、さまざまな部署を経験するジョブローテーションを導入しており、例えば営業部に初期配属された場合も、その後、管理部門に異動するケースやその逆のパターンもあります。
また、キャリアデザイン申告という、年に1度、キャリアパスや自身の希望を会社側に伝える制度があります。社員のキャリアパスに関する希望を会社も認識し、適材適所の人員配置に生かすとともに、自律的なキャリア開発をサポートする環境を整えています。
若手の裁量は大きく、キャリアパスも多彩。社内制度も充実
──商社には年功序列のイメージを抱く学生もいるかと思います。キャリアパスにおけるスピード感を教えてください。
渋谷:入社から4年間は人材育成期間としていますが、早ければ2年目以降に海外勤務するケースがあります。また、「Pay for Performance」の考え方を持ち、入社1年目より個人評価を実施し、2年目以降の処遇にはメリハリをつけています。
入社から10年目程度以降は、マネジメントに携わる者もおり、30代で海外の現地法人や事業会社の社長を担うものもいるなど、キャリアパスは多様です。
──若手の裁量も大きいのでしょうか。
渋谷:従業員数は1,000人弱ですが、同業他社に比べ従業員数が少ないという特徴があります。一人一人の担う利益規模も大きく、裁量の幅は広いと実感しています。
私自身も1年目から採用計画を策定する機会がありましたし、営業であれば1人でクライアントを受け持つこともあるため、裁量は非常に大きいといえるはずです。
──専門知識がない場合、活躍は難しいでしょうか。
渋谷:入社時点では専門知識は問われません。私も就職活動時に事業説明を聞いたり、自身で調べたりすることもありましたが、入社時は鉄鋼について詳しいとは、とても言えない状態でした。
しかし、入社後に新人社員研修を通じて鉄鋼の知識を深められ、配属されると担当商材についての専門的な知識を蓄えていける環境が整っています。
社内制度はキャリア面だけでなく、福利厚生面でも充実しています。例としては、健康経営と朝型勤務の施策として、健康的な朝食を社内で無料配布するユニークな制度もあります。夜8時以降は残業せずに、健康的な生活を送れるようにと企業として朝型勤務を推奨しているため、私自身も生活リズムが整っている実感がありますね。また独身寮が整備され、生活面のサポートも充実しているのも特徴です。
「すごい良い会社だ」と実感しながら働けるワケ
──海外とのやりとりでは時差が発生することもあるかと思います。仕事とプライベートのメリハリはどのようにつけていますか。
渋谷:オンオフをはっきりとわけてリフレッシュした状態で業務に臨むために、全社として取り組んでいますね。
私も平日は業務で充実し、土日に同期とゴルフをプレーしたり、旅行に出かけたりします。フレックスタイム制が導入されており、柔軟な働き方がしやすい環境があります。有給休暇も取得が奨励され、申請しにくい雰囲気は全くありません。今年は1週間の夏休みを取得し、メキシコに行ってきました。
──社風やカルチャーについても聞かせてください。
渋谷:最大の特徴として、伊藤忠と丸紅という異なる企業の部門統合により誕生した経緯もあり、お互いの意見を尊重するカルチャーがあります。社員は意見を持つだけではなく、発信することも求められ、かつお互いの発言が尊重される風土があります。そのため、コミュニケーションが重視されており、風通しが良いです。物理的にも経営との距離も近く、私が会社の経営陣にプレゼンテーションを行う機会や、意見を求められる場面もあります。問題があれば自分1人で抱え込むことなく、周囲に相談することで、協力して目の前の課題や目標を達成するという風土があります。
──どんな人であれば一緒に働きたいと感じますか。
渋谷:自分の仕事に情熱を持てる人材ですね。目の前の仕事にやりがいを見つけて取り組んでいる姿は、周囲のモチベーションを上げることもできます。実際、楽しく情熱的に仕事をしたいというマインドで働いている人材が非常に多く、自分自身としても「すごく良い会社だ」と実感しながら、毎日楽しく仕事ができています。
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