2019年1月に設立され、今年5年目を迎えるトヨタシステムズ。かつてはトヨタ自動車の情報システム部門がITに関する方針策定・企画を行い、IT子会社3社が実行部分を担っていましたが、設立後はこれらの業務を一貫して同社が行っています。
車両開発工程をITで支援するエンジニアリング領域、生産物流や販売における基幹システムや自動車ローンなどのファイナンス領域を担うコーポレート・ファイナンス領域、ネットワークやセキュリティの企画構築から運用までをサポートするインフラ領域の3つを主たる業務としています。
IT面でトヨタグループを支える同社について、人事部採用担当の大久保健さんと、エンジニア領域のメカづくりIT本部でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している田中秀明さんにお話を聞きました。
現代の生活に与える圧倒的インパクト
──今回はさまざまなITソリューションを提供するトヨタシステムズにおいて、エンジニアリング分野に関わる方々にお越しいただいています。まずクルマづくりとエンジニアリングの関係について、聞かせてください。
田中:最先端技術を用いたシミュレーションや解析検証などを駆使して、クルマをゼロからつくる最前線に携わることは私たち特有の関わり方です。
もしもシミュレーションなどがなければ、製造過程で一度車体を作り上げて、実際に衝撃や負荷のテストをしなければなりません。ITを活用することで製造期間の短縮などの効率化も可能です。
また、現在のモビリティ業界は100年に一度の大変革期といわれていますが、ITはそもそも変革が大きい業界です。大変革期も、生成AI(人工知能)のChatGPTをはじめ次々に登場する最先端技術を日々の業務にうまく活用することで、乗り越えていこうと取り組んでいます。
田中:正直にいえば、インパクトは感じざるを得ないと思います。現代において自動車がない生活は想像できないはずで、国内外においてその自動車の製造過程で欠かせないITに関わっていると考えると、業務が与えるインパクトも計り知れません。
──エンジニアリング分野の大変さや面白さについて教えてください。
田中:モノづくりという奥が深い分野に関わるため、システム構築をするとしても当然ながらクライアントの業務を深く知る必要があります。クライアントもさまざまですから、普段の業務では聞かないような専門用語が会話で飛び交い、深く理解するのは大変です。さらに、日進月歩で進化していく最新技術もキャッチアップし続けなければいけません。
一方で、やりがいや面白さも表裏一体です。運転しているだけでは気付かないようなクルマづくりの奥深さも分かるようになるため、自動車に対する考え方にも変化が生まれます。自動車やモノづくりが好きであれば、特に面白さを感じられるのではないでしょうか。
──エンジニアは一人で黙々と作業するイメージもあります。実際の業務について聞かせてください。
田中:実は黙々と作業をすることは基本的にありません。クライアントや社内メンバーと密なコミュニケーションを取ることで、よりよいシステムが生まれます。もちろんタイピングする作業もありますが、コミュニケーションを通した業務の方が多いですね。
トヨタグループには幅広い分野の企業があり、関わる部署もさまざまです。車両開発の領域に絞っても数十という部署があり、私自身も自動車設計の部署やエンジン製造の部署などと日々の関わりがあります。
──エンジニアとして達成感を一番覚える瞬間はどういうときですか。
田中:クライアントに「ありがとう」という言葉をいただいたときです。具体的には、私が入社3年目に担当した業務の経験が生きたときのことです。
当時はクライアント先に常駐して日々のトラブルや困りごとに対応する維持業務を担当していました。その際に現場における生の言葉をよく聞いていました。
そして、数年後にプロジェクトマネージャーとなってクライアント先に当時の経験を盛り込みながら提案した結果、「業務が早くなったよ。ありがとう」という感謝の言葉をかけていただけました。
エンジニアにコミュニケーション能力が求められる理由
──エンジニアリング領域は、未経験ではハードルが高いイメージもあります。入社前の実務経験・専門知識は必要でしょうか。
田中:実は、不要です!
──えっ!
田中:ありがたい反応をありがとうございます(笑)。
同僚の7割ほどが理系出身者ですが、情報を専攻していたメンバーは1割ほどです。私自身は情報を学んでいましたが、専門知識が必須かと言われればそうではなく、私の以前の上司のように文系出身者も活躍しています。
──文理問わず活躍できる秘訣(ひけつ)はありますか。
田中:制度やサポートが充実していることが大きいと思います。その代表例が「職場先輩」ですね。
職場に配属をされると、まず年齢の近い先輩社員が専任で日々の業務をサポートしてくれ、二人三脚で成長を促してくれる制度です。
大久保:当社としても文系理系を問わず幅広く採用活動をし、新卒社員には入社後約2カ月間は研修があります。その後に1年ほど職場先輩から業務を学んでいけるため、ITの基礎知識をしっかりと学べる環境は整っていると自負しています。
──エンジニアとして活躍するために必要なスキルや資質はありますか。
田中:3つあると考えています。まずはコミュニケーションスキル。やはりクライアントやチームメンバーとのコミュニケーションは欠かせません。
2つ目がロジカルシンキング。コミュニケーションの際はもちろん、作業でも論理立てて考えていなければ破綻してしまうことは少なくありません。
そして、最後は挑戦する姿勢です。抽象的に思われるかもしれませんが、IT業界では最新技術などを敏感にキャッチアップして適応していくことが迫られます。はやり廃りが非常に早い業界だからこそ、チャレンジ精神は業務で必要とされることが多いです。
大久保:実際、採用面でもコミュニケーションスキルは重視しています。システム構築も一人ではなく、チームで取り組む業務が多いため、コミュニケーションスキルは必然的に見るポイントですね。
将来性と働きやすさを兼ね備えた環境
──若手の活躍も多いと聞きました。
田中:私自身でいえば、6年目でプロジェクトマネージャーとしての経験を積めました。数カ月単位のプロジェクトではありましたが、マネジメントスキルを早い段階で身に付けられる機会があります。
1、2年目であれば、私の部下として頑張っている若手は、6,000万円ほどの予算で期間は1年間というプロジェクトにプログラマーとして参画することで現在経験を積んでいます。
──「IT業界=激務」というイメージを持っている学生も多いと思います。実際はどうでしょうか。
田中:正直なところ、私も学生時代はIT業界にブラックなイメージを抱いていました。
ところが、いざ実際に入ってみると、そんなことはありませんでしたね。確かに残業がゼロかと言われると、会社平均としては30時間弱でゼロではありません。
捉え方は人それぞれになるかと思いますが、実際には繁忙期と閑散期があり、業務量にも多少波があるものの、私としては自分が働きやすい働き方が実現できているのではないかと考えています。
──ご自身が働きやすさを実感した瞬間はありますか。
田中:当社はフレックスタイム制度を導入しているため、自分の生活にフィットした形で始業・終業時刻などを決められます。
例えば役所や病院に寄ってから出社したり、帰宅時間を早めたりするといった、各社員の生活スタイルに合わせて業務時間を調整できる点は非常に魅力的に感じます。もちろん柔軟な働き方は若手も実現可能です。
──社内にサークルや部活動があると聞きました。社員同士のコミュニケーションは活発でしょうか。
大久保:30ほどのサークル活動があり、私自身も野球サークルに所属しています。
スポーツからキャンプといったアウトドア、音楽などのインドアのサークルと多岐にわたっています。サークルに所属する社員も部署や業務はそれぞれで異なっているため、さまざまなコミュニケーションを取れるメリットもありますね。
私は採用グループに所属しているために他部署の社員とも関わり、サークル仲間と仕事で接点がある場合も多く、サークルでのコミュニケーションや人脈が業務に生きることがあります。
──田中さん自身の入社の決め手はありましたか。
田中:2つあり、まずは情報を専攻していたため、専攻分野の知識を生かしたかったからです。
そして、もう1つはモノづくりにITで関われる企業だったところです。なぜかと言えば、ブロック遊びに夢中になるなど、幼少期からモノづくりに興味がありました。ITにも金融など関わる分野はさまざまありますが、「モノづくりにITで関わるならトヨタシステムズ」という思いがあり、当時の思いは今実現できています。
──最後の質問として、業界の将来性について教えてください。
田中:将来性はズバリ「あります」と断言できます。具体的にいえば、今からスマートフォンのない生活は考えられないと思います。
そのスマホは、極論としてはITの塊といえる存在です。それだけに、今後はスマホもVRゴーグルといった形に変わっていく可能性はありますが、ITと人間の関係は拡大することはあっても、縮小することはあり得ないでしょう。
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【ライター:小谷紘友/編集:吉川翔大】