ITコンサルタントはクライアントの抱える課題をITの力で解決できるようにサポートする仕事です。IT戦略を立てることもあれば、実際にシステム導入のプロジェクトに参画することもあります。
今回はITコンサルタントの概要や仕事内容、新卒で採用されるために必要な知識の学習法・知っておきたい流れ・企業の探し方などを解説します。
<目次>
●ITコンサルタントってどんな職種?
・そもそもITコンサルタントとは?
●ITコンサルタントの種類
・IT企画やIT戦略の立案
・システム導入のPMO
・業務改善に向けたデジタルコンサル
・リスク管理・セキュリティ対策
●ITコンサルタントと他職種との違いは?
・システムエンジニア(SE)との違い
・一般的なコンサルタントとの違い
●ITコンサルタントの具体的な仕事内容は?
・仕事のフロー
・各フローにおける仕事の具体例
●ITコンサルタントに求められる知識や資格
・知識
・資格
●ITコンサルタントとして活躍するための学習方法
・学習の大まかな流れ
・学習におすすめの書籍、サイト
●企業によって働き方は変わる?
●ITコンサルタントとして就職できる企業の探し方
●まとめ
●先輩エンジニアの選考体験談が見られる! ONE CAREER for Engineerのご紹介
・ONE CAREER for Engineerではどんなことができる?
ITコンサルタントってどんな職種?
ITコンサルタントはクライアントの課題解決に向けて、ITのプロフェッショナルとして多方面からサポートします。時にはクライアントの経営層と協力し、社内ITの向上に向けたプロジェクトを推進するのです。
また、エンジニアに近い立場で現場に立ち、プロジェクトを推進したり専門家としてプロジェクトに意見したりすることもあります。
そもそもITコンサルタントとは?
コンサルタントはクライアントが抱える経営上の課題を洗い出し、課題を解決するために戦略を立てたり、行動に向けて提案したりする仕事です。自分自身で課題の洗い出しや解決ができないため、ITコンサルタントが専門家として課題解決、業績の向上などをサポートします。
ITコンサルタントはクライアントが抱える課題の中でもITに関連するものを取り扱います。業務のシステム化や既存システムの効率化など、システム導入はもちろん、IT投資計画などハイレベルな内容も取り扱います。
ITコンサルタントの種類
ITコンサルタントは担当業務によって仕事内容が異なります。こちらでは、その中から4種類をご紹介します。
IT企画やIT戦略の立案
クライアントの経営層などと協力して全社的にIT部門を立ち上げたりIT戦略を立案したりする仕事です。クライアントによってはIT知識が皆無ということもあるため、コンサルタントが専門家としてクライアントへ方向性を示します。なお、経営層などの考え方もくみ取り反映することが必要です。
システム導入のPMO
実際にシステムを導入するフェーズで、PMO(Project Management Office)としてプロジェクトマネジメントに協力します。システム導入を計画的かつ円滑に進めるため、遅延なくシステムが開発されているか確認しなければなりません。
業務改善に向けたデジタルコンサル
社内の状況をITで改善するために提言する業務です。すでにシステム化されている部分を含め、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)など最新の技術による業務効率化を提案します。比較的新しい技術を用いてクライアントへ提案することが特徴です。
リスク管理・セキュリティ対策
社内のシステムにリスクが存在していないか評価したり、適切なセキュリティ対策が施されているかをチェックしたりする仕事です。また、必要に応じてリスクの排除やセキュリティ向上に向けた対策を立案し、プロジェクトとなる場合はPMOとして参画します。
ITコンサルタントと他職種との違いは?
システムエンジニア(SE)との違い
システムエンジニアとの違いは以下のとおり「仕事に着手する段階でシステム化する部分が明確になっているかどうか」です。
ITコンサルタント | システムエンジニア |
「業務を効率化したい」という漠然とした要望から、 クライアントの問題点やITリテラシー、IT化への予算などを加味して どのような解決法があるか提案する。 |
すでに明確な解決法があり、 それに沿って具体的なシステムを開発するための設計から テストまでを担当する。 |
ITコンサルタントは、クライアントが抱える課題を根本から洗い出し、解決に向けてゼロからイチを生み出します。新卒の場合は解決できることを示すエビデンス収集など雑務から始まり、徐々に自分の頭で解決案を提案する立場へキャリアアップする流れです。この段階になれば、クライアントに自分の考えを納得させられるようになり、受け入れてもらえるやりがいを感じられます。
一般的なコンサルタントとの違い
一般的なコンサルタントとの違いは以下のとおり「ITに特化してクライアントをサポートするかどうか」です。
ITコンサルタント | 一般的なコンサルタント |
クライアントが抱える課題について洗い出し、 ITの力を全面的に活用して解決する。 |
クライアントが抱える課題について洗い出し、 その課題に適した手法で解決する。 ITを活用することもあれば、 マインドの改善などツールの導入を伴わないこともありえる。 |
「自分の解決案をクライアントに提示して納得してもらい、それを実行に移す」という観点ではどちらにも差がありません。ただ、ITコンサルタントはITに特化するために、ITを軸としたトレンドやエビデンスを収集する業務が発生します。なお、クライアントはITに疎いことも多く、「最新のテクノロジーは素晴らしい」と感謝されやすいという観点で、やりがいを感じやすいです。
ITコンサルタントの具体的な仕事内容は?
仕事のフロー
ITコンサルタントの仕事をフローで示すと以下のとおりです。今回は一般的なシステム導入を例に挙げ説明します。
フロー | 仕事内容 |
課題の洗い出し | ・1回2時間程度の課題のヒアリングを複数回繰り返す ・ヒアリング結果に類似する事例がないかの調査と資料作成 ・課題が複数ある場合の優先順位付け |
仮説の検討 | ・課題1種類に対して2つから4つ程度の仮説を立案 ・「Excelなどの計算ツールで算出する」「クライアントの従業員に仮説を実行してもらう」などの手法で 費用対効果を算出 ・IT化することが正解であるかどうかを判断しクライアントへ提案、合意を得る |
計画 | ・システム導入に向けてベンダーの選定時期やシステム導入時期、リリース時期などのマイルストーンを設定し、 ガントチャートを作成 ・品質を担保するためにバグの検出数、テストケースの作り方など品質方針を制定 ・プロジェクトを円滑に進めるためにコミュニケーションルールやプロジェクト体制などを明確化 |
要件定義 | ・実際のベンダー選定作業やベンダーによるプレゼンテーションへの参加 ・要件定義に参加し、アウトラインレベルで解決案との乖離(かいり)がないか判断 ・各種課題の管理や解決 ・ガントチャートに基づいた進捗(しんちょく)管理(移行プロジェクト終了まで) |
設計 | ・サーバー台数や用途、スペックなど導入機器の選定サポート ・セキュリティ対策の手法や導入するソフトウエアの確認 ・レスポンス速度など非機能要件のクリア度合いを評価 |
開発 | ・バグ発生などによるスケジュール遅延の防止 ・複数ベンダーへ発注している場合の調整作業 |
テスト | ・提案した解決策に即したテストケースの作成やレビュー ・結合テスト移行のテスト結果レビュー |
各フローにおける仕事の具体例
上記のフローにおいてITコンサルタントには以下のようなタスクがあります。
フロー | 業務概要 |
課題の洗い出し | クライアントが持つ課題を洗い出す。 (例) ・利益率が悪い ・従業員がすぐに退職してしまう ・決算に時間を要す |
仮説の作成 | 課題の解決に向けた仮説を作成していく。 |
仮説の検討 | 課題の解決に向けた仮説について評価を行う。 (例) ・残業時間を5時間削減できる ・不良品を20%減らせる 仮説を基に期待できる数値を計算し、費用対効果などの観点から、 意義がある解決策なのか評価する。 |
計画 | 課題解決に向けたスケジュールを立てる システム導入の事前準備からシステムの開発時期、ユーザーへのトレーニングなどが該当する。 |
要件定義 | システムを開発・導入するベンダーを選定するためにベンダーに提案を依頼して、 その内容をクライアントとともに吟味する。 要件定義はベンダー主体となるため、 ITコンサルタントは想定していた方針と乖離(かいり)がないか評価する。 |
設計 | 設計はベンダー主体となるため、工数管理などが中心。 トラブルが発生した際は関係者をふまえて早期の解決を目指す。 |
開発 | 開発もベンダー主体となるため、工数管理が中心。 |
テスト | テストはベンダーとユーザー側でそれぞれ実施。 ユーザー側のテストにおいて「どのようなテストを実施するか」の検討をサポートする。 |
ITコンサルタントに求められる知識や資格
知識
ITコンサルタントが最終的に持つべきはITの実用的な知識です。例えば「AIを利用すればどのような問題を解決できるか」「ビッグデータ解析の結果は経営にどのような効果をもたらすか」などが該当します。学生が学問として学ぶ「コンピューターの仕組み」や「アルゴリズム」ではありません。ただ、新卒の段階では必ずしも高度な知識は求められません。
また、相手に行動を促すための方法論も理解しておきましょう。例えば「相手と気持ちよく合意する方法」「相手から情報を聞き出す質問の仕方」などです。就職前に得ることは難しいですが、アルバイトや一般教養の授業を通じて多少なりとも習得しておくと、就職してから役立ちます。
資格
ITコンサルタントとして就職する際に資格が直接的に役立つとは限りません。ただ、自身の知識を増やすことにもつながるため、資格の取得にはチャレンジしてみましょう。
まず、IT面では幅広いスキルを証明する「応用情報技術者試験」をおすすめします。国家資格であり知名度も高いため、新卒で取得しておくには十分なレベルです。また、プロジェクトマネジメントスキルを証明する「CompTIA Project+」もおすすめします。世界的に認められている資格であり、学生でも十分に合格を目指せるものです。
ITコンサルタントとして活躍するための学習方法
学習の大まかな流れ
新卒でITコンサルタントとして入社して活躍するために、以下の優先度でスキルアップしておきましょう。
新卒で活躍したいならば、ITスキルよりも物事を整理するスキルが特に重要です。入社してから一定期間は議事録や調査、それらのアウトプットなど「裏方」に該当する業務が多いため、これらにフォーカスしておきます。ITスキルに関してはプロジェクトの過程で学んでいけるため、未経験であまり詳しくない状態でも、調査するスキルがあれば大きな問題にはなりません。
学習におすすめの書籍、サイト
物事を整理してアウトプットできるようになるためには、ちくま文庫の「思考の整理学」がおすすめです。
・『新版 思考の整理学』(2024年、ちくま文庫)
古い本ではありますが、現在でも役立つ「基本となる物事の整理法」が説明されていて、なおかつ学生が読んでも理解できる内容です。論文を書くにあたっても役立つため、就活前にでも目を通しておくと実践に役立てられます。
また、情報収集には以下のウェブサイトをおすすめします。
ITコンサルタントは常に新しいテクノロジーを利用するとは限りませんが、業界のトレンドを把握しておくことが大切です。
企業によって働き方は変わる?
ITコンサルタントは企業の規模によって働き方が変化します。大規模なコンサルティングファームでは幅広い業務を受注しますが、小さなファームでは「システム導入」「セキュリティ対策」など専門分野のみであることも多いです。
また、コンサルティングファームであるか、SIerなどのIT企業であるかにも左右されます。コンサルティングファームはITコンサルタントとしての勤務が中心ですが、SIerなどのコンサルティング部門ではエンジニアとしての配属やコンサルタントからの異動などがありえます。
ITコンサルタントとして就職できる企業の探し方
以下のような探し方を試してみましょう。
まとめ
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