IT関連に就職しようと思っているけど、ネットで調べても色々な職種が出てくるかわかりずらいと思ってませんか。この記事では、IT関連の職種であるセキュリティエンジニアについて解説します。
この記事を読むと仕事の内容やセキュリティエンジニアになるために必要な資格やスキルがわかります。
<目次>
●セキュリティエンジニアの概要
●他職種との違い
・アプリケーションエンジニア
・インフラエンジニア
●具体的な仕事内容
・セキュリティ診断、対策の提案
・セキュリティ対策の導入
・セキュリティに対する組織作り
・セキュリティ教育
・アプリケーションへのセキュリティ対策
●セキュリティエンジニアになるために必要なスキル
・情報処理に関する幅広い知見
・コミュニケーションスキル
・IT資産の運用と管理に関する知見
・最新の情報セキュリティ事情への知見
●スキルを得るための学習方法とは
・情報処理資格取得を利用した体系的学習
・ウェブサービスや書籍を利用したプログラミング、開発スキルの習得
・サーバーの構築、クラウド環境の利用・構築などインフラスキルの習得
・セキュリティ分野の専門的知識の習得
●企業や業界に応じた働き方の違い
・コンサルティング系
・社内SE系
・ベンダー系
●先輩エンジニアの選考体験談が見られる! ONE CAREER for Engineerのご紹介
・ONE CAREER for Engineerではどんなことができる?
セキュリティエンジニアの概要
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティ対策を専門分野としたITエンジニアです。
企業にとって、情報(データ)は人・モノ・金に次ぐ4つ目の資産として認識されています。その一方で、業務のIT化も進んでおり、ネットワークに接続してのシステム利用やデータ、ファイルの共有は、業務効率化に向けた当たり前の取り組みとなっています。
企業が情報を持ち、ネットワークに接続されていることは、実はサイバー犯罪者にとっても望ましい状況です。企業のネットワークに侵入してのデータ詐取、マルウェア感染によるデータ詐取、ランサムウェアによる脅迫と身代金の要求などの攻撃が可能となるためです。
セキュリティエンジニアはサイバー攻撃から企業や組織の情報を守ることをミッションとしています。技術的な対策、従業員のITリテラシーの向上、セキュリティインシデントに対応する組織の設立など、幅広く情報セキュリティを実現する方法を提供する仕事です。
他職種との違い
他のITエンジニア職種との違いとして、代表的な2つのエンジニア種との違いを紹介します。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアとは、ITシステムやアプリケーション、サービスなどを設計・構築するITエンジニアです。SE(システムエンジニア)やプログラマー、ウェブエンジニアなどのソフトウエア開発に従事しているエンジニア全てが含まれます。
アプリケーションエンジニアは業務の効率化や改善、ユーザーへの利便性の提供などを目的として、ITによる仕組みを作り出し、提供し続けることが重要な役割です。改修や運用などの業務もありますが、基本的にはソフトウエアというものづくりを行います。
セキュリティエンジニアは、企業が持つIT資産やITシステムなどのセキュリティを確保することが主な業務です。アプリケーションエンジニアのようにものづくりそのものは行いません。
ただし、「具体的な仕事内容」で後述しますが、アプリケーションエンジニアが作成するソフトウエアに対してセキュリティ対策を組み込むことはあり得ます。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、IT基盤(インフラ)と呼ばれる環境の設計、構築、運用を行うITエンジニアです。ITインフラにはサーバーと呼ばれる大型のコンピューター、ネットワーク、各種のクラウドサービスなどが含まれます。
企業が利用するITデバイスはITインフラによりネットワークに接続できます。またITシステムの提供にはプログラムを動かすためのコンピューター上の環境が必要とされるため、サーバーやクラウドサービスなどが動作環境として利用されます。企業や組織におけるIT利用はITインフラによって支えられており、いわば企業の活動の根幹を支えているのがインフラエンジニアという職種です。
セキュリティエンジニアはインフラに対し、セキュリティ診断やセキュリティ対策の実施などを行います。インフラへのセキュリティ対策は仕事に含まれますが、インフラそのものを構築し稼働させ続けることが主眼ではありません。この点が、インフラエンジニアとの大きな違いです。
具体的な仕事内容
セキュリティエンジニアの具体的な仕事内容について紹介します。なお、所属する企業や組織によって業務範囲は異なり、下記の一部のみを対象とする場合もあります。
セキュリティ診断、対策の提案
企業や組織が保有するIT資産(ハードウエア、デバイス)やITシステム(ソフトウエア、コンピューターネットワーク)において、セキュリティ脆(ぜい)弱性の有無を診断します。セキュリティ脆弱性が発見された場合には、直ちに対策するための提案を行います。
セキュリティ対策の導入
企業が利用するIT環境に対して、セキュリティ対策を導入することもセキュリティエンジニアの重要な業務です。セキュリティ対策の対象としては、ネットワークやサーバーなどのITインフラ、ITシステム、パソコンやタブレットといったITデバイスが挙げられます。セキュリティソフトなどのIT上の仕組みを導入することにより、セキュリティを高めることが可能です。
具体的な業務としては下記が挙げられます。
・パソコンやタブレットへのセキュリティソフトの導入、適切なアップデートの実施 ・クラウドサービス利用に対するCASB(※)の導入 ・サーバーやITシステムに対するセキュリティ保護 ・ネットワークにおけるファイアウォールや機器の設置などのセキュリティ対策 (※)……Cloud Access Security Brokerの略。2012年に米ガートナーが最初に提唱したクラウドサービスの利活用に対する情報セキュリティのコンセプトに基づいた、適切なセキュリティ対策を行うソリューションのこと。
セキュリティに対する組織作り
情報セキュリティの確保には、仕組み上の対策とともに組織におけるルール作りや問題発生時の対応が重要なポイントとなります。このための組織体制や運用フローなどを作成することもセキュリティエンジニアの業務に含まれます。
セキュリティ教育
企業の従業員や組織の職員など、ITを利用するあらゆるユーザーは情報セキュリティ上の問題の発端となり得ます。ITリテラシーをもち、正しくITデバイスやシステムを利用するための教育も、セキュリティエンジニアが行う場合があります。
アプリケーションへのセキュリティ対策
近年ではIT系の企業以外でも、ITを利用したサービスの提供を行うケースが増えています。この場合、サービスの提供速度やビジネス上のノウハウの蓄積などを目的に、企業内でITシステムなどのアプリケーションを構築(内製)する場合もあります。従来通り、ITベンダーに外注して開発することも多いですが、いずれにせよ開発を行う際にセキュリティへの対処を行わなければなりません。
セキュリティエンジニアはアプリケーションの開発において、セキュリティ対策を組み込むことも業務の一つです。技術的な脆弱性が発生しづらい設計、プログラムにすることや、アプリケーション開発のプロセス上で脆弱性が生まれてしまわないようプロセスの改善までを行う場合もあります。特にセキュリティ対策を行ったプログラミングをセキュアプログラミングと呼びます。
セキュリティエンジニアになるために必要なスキル
セキュリティエンジニアになるために必要とされるスキルについて紹介します。
情報処理に関する幅広い知見
セキュリティエンジニアには、コンピューターの動作する仕組みや、構成要素であるハードウエア・ソフトウエア・OSの関係、コンピューターネットワークなど情報処理全般に対する基礎知識が必要です。また、業務上システムやアプリケーションのセキュリティ向上を担当する場合もあるため、プログラミングなどのアプリケーション開発に関する技術的知識とスキルも求められます。
ITの適切な利用を行うためのITリテラシーを習得することも重要です。セキュリティエンジニアは企業の従業員などに向けてITリテラシーの教育を行う立場となるため、模範となるレベルが求められます。
コミュニケーションスキル
セキュリティエンジニアといってもITデバイスやソフトウエアを相手に仕事をするわけではありません。ITを活用するユーザーがいて、そこに情報セキュリティの必要が生まれるためです。
セキュリティ対策の依頼を行う企業の担当者やアプリケーションエンジニア、ITリテラシーの教育対象となる従業員など、各関係者とのやり取りを行うためコミュニケーションスキルも重要視されます。
IT資産の運用と管理に関する知見
セキュリティエンジニアがセキュリティ対策を行うITデバイスやシステム、データなどのIT資産の運用と管理についても、セキュリティエンジニアには知識が求められます。運用や管理といった業務では、IT資産の操作やアクセスが発生し、セキュリティに関する問題発生の発端となり得るためです。
最新の情報セキュリティ事情への知見
情報セキュリティに関する最新情報についても、セキュリティエンジニアは絶えず情報をチェックし、知識のアップデートを図る必要があります。サイバー犯罪者による攻撃は日進月歩で新たな手口が登場しており、セキュリティ対策を行うにあたって、トレンドを抑えておく必要があるためです。
また、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの情報セキュリティに関する規格についても、最新の情報を追い、対策することが求められます。
スキルを得るための学習方法とは
セキュリティエンジニアとなるためのスキルを習得する方法について紹介します。
情報処理資格取得を利用した体系的学習
セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識を得ることのできる学習方法として、情報処理に関する資格取得をターゲットとした学習が挙げられます。資格取得に向けた学習は、学習内容が体系的に整理されているため効率的に知識が習得できます。また、目標を定めて取り組むことで学習モチベーションの維持にもつながります。さらに、資格を取得することで、対外的に第三者によりスキルと知識の保有を示すことが可能です。
セキュリティエンジニアを始めとしたあらゆるITエンジニアとしての基礎スキルを習得、示せる資格としておすすめなのが下記です。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報技術者試験」の試験カテゴリで、ITエンジニアとしてのエントリーレベルおよび、その次のステップを対象としています。
・基本情報技術者試験 ・応用情報技術者試験
セキュリティエンジニアとしての専門的なスキルを習得、示せる資格としては下記が挙げられます。IPAが実施する国家資格と民間の情報セキュリティに関する非営利団体ISC2による認定資格で、セキュリティ分野の資格の中でも著名です。
・情報処理安全確保支援士 ・ISC2資格
ウェブサービスや書籍を利用したプログラミング、開発スキルの習得
セキュリティエンジニアにとっても、プログラミングやアプリケーション開発のためのスキルは是非ともほしいところです。プログラミングの習得に向けては、ウェブサービスや書籍により提供されるコンテンツに沿って学習することが一つの選択肢です。
ウェブサービスは学習に取り掛かるハードルが低いのがメリットです。パソコンやスマートフォンを使い、移動などの空いた時間で学習に取り組めます。また、テキスト型や動画型、実際にプログラムができるサービスなども提供されており、学習形態に合わせて選択することが可能です。無料で利用できるサービスも存在しているため、気軽に利用してみるとよいでしょう。
書籍を使った学習は、学習内容が段階的に提供されているため1ステップずつ着実にスキルを身に付けられます。現在のスキルに合わせて、入門書や実践レベルなどが選択できる点もメリットです。
ウェブサービスや書籍を利用した学習を行う場合には、パソコンとインターネット環境も用意し、登場したプログラムを実際に作成し、動かすことをおすすめします。プログラミングで起こりがちな問題を知り、理解を深める上で重要なポイントです。
サーバーの構築、クラウド環境の利用・構築などインフラスキルの習得
プログラミングスキルの習得と併せて、サーバー構築やクラウドサービスの利用・環境構築などインフラに触れてみることも、セキュリティエンジニアに必要なスキルを身に付けることに役立ちます。
特にクラウドサービスの利用は国内でも普及が進んでおり、セキュリティエンジニアはクラウドサービスに対する理解とセキュリティ対策は避けては通れない業務です。代表的なクラウドサービスAWSでは無料のハンズオン学習が提供されているため、活用してみてください。
セキュリティ分野の専門的知識の習得
セキュリティ分野に関する専門的な知識の習得に向けては、段階的に理解を深めていくことがおすすめです。ウェブ上で提供される学習コンテンツや書籍などを利用する方法や、各種のスクールの利用などによる学習が可能です。
手軽に取り組める学習方法として、IPAが運営するウェブサイト「ここからセキュリティ!」の利用があります。小学生向けから、企業の担当者向けまで情報セキュリティに関する情報が幅広く集められているため、段階的にスキルを高めるのに役立ちます。
企業や業界に応じた働き方の違い
セキュリティエンジニアといっても所属する企業や業界によって仕事の内容、働き方は変わってきます。代表的な3つの業態のセキュリティエンジニアについて紹介します。
コンサルティング系
情報セキュリティに関するコンサルティングを行う企業では、ユーザーとなる企業に対し、下記の提供を行うことが主な業務です。
・セキュリティ診断や提案 ・従業員へのセキュリティ教育支援 ・ISMSなどの認定規格への対応支援 ・情報セキュリティの管理体制構築支援
社内SE系
IT系に限らず、あらゆる企業で自社のITシステムやIT資産への対応を行うのが社内SEです。社内SEのように自社向けに仕事を行う場合、あらゆるセキュリティ対策への対応が必要です。特に重要視されるのは下記の業務です。
・IT資産に対するセキュリティ対策の導入、管理 ・ITインフラに対するセキュリティ対策の導入 ・自社従業員に向けたセキュリティ教育 ・情報セキュリティ管理体制構築
ベンダー系
ユーザー企業に対し、ITシステムやインフラなどを提供するベンダー系企業のセキュリティエンジニアの場合には、下記が主な業務です。ただし、SIerのようにあらゆる提案や対応を行う場合もあります。
・ITインフラに対するセキュリティ対策の導入 ・アプリケーションへのセキュリティ対策実施
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