1.83倍。
この数字が何を意味するか知っているだろうか。答えは20卒の求人倍率だ(※)。
20卒の新卒採用市場も未だ「超売り手市場」。コンサル各社も積極採用を継続しており、冬ジョブを開催するファームがほとんどである。
今回は、そんな冬ジョブに先立ち、社員の間で話題になる「イケてない学生」と「イケてる学生」についてご紹介したい。
(※)出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査」
社員にマイナス評価をされやすい「イケてない学生」TOP3
まずは社員の間で話に上がることが多い「イケてない学生」の例を紹介したい。
ジョブ参加まで選考を突破している以上は優秀な方が多いはずだが、彼らは時として、ジョブで能力を発揮できない「イケてない学生」になってしまう。
社員の間で「あれはダメだよね」と言われがちなポイントをランキング形式(体感)でお伝えする。
第3位:各論に入り込み過ぎる
第3位は、興味関心と重要論点の区別がついていない──つまり、議論の各論に入り込み過ぎてしまう就活生だ。
彼らはワークの全体からすれば些末な論点について興味を示し、その点について徹底的に調べ、メンバーにひたすら情報共有を行う。それはワークの妨げになってしまう。
ワークを見ている社員としては、まさに「積み木を無邪気に崩してしまう赤子」のような存在だ。
また、彼らはコンサルティング業界に対して必要以上に研究熱心であることも多く、「フレームワークの中では何が好きですか? 僕は4Pよりも4Cが好きなんですよ」という奇人ぶりを発揮していたりする。
各論に集中し過ぎず、「そもそも重要な論点は何か?」と俯瞰的に考えてみる意識をつけてほしい。
第2位:意見が言えない・ポジションを取った発言ができない
ワーク中に意見を言えなかったり、ポジションが明確でない発言をする就活生も多い。
コンサルタントの仕事は「答えのない問題に対して持論を提供すること」だ。黒か白か分からないものに対して常に自分なりに情報を集め、考えた上で判定を下す。会議に出れば「おまえはどう思う?」と意見を求められ、論理が破綻していたり、考えが浅い人間はボコボコに詰められる恐ろしい職業でもある。意見を表明できない、ポジションを取れない就活生は、土俵に上がることさえもしない、「向いていない人」と判断されてしまうのだ。
論理性が一朝一夕に成長することはないと思うので、ジョブの直前対策としては「まずは意見を表明すること」を意識するようおすすめする。
「意見が言えない人は3流以下」と肝に銘じておこう。
第1位:他責思考
「イケてない学生」栄えある第1位は、他責思考の就活生だ。
ワーク中や質疑応答中に「他の人がやればいい」「でもXさん(社員)が先程そう言っていたので……」などと口走ってしまいがちなあなたは黄色信号だ。
コンサルタントという職業は、実はオーナーシップが非常に重要な仕事だ。「事業について考えたくない」「調査をしたくない」「資料を作りたくない」。そんなクライアントのおじさまたちの「要望」に対して、コンサルタントは常に先回りして考え、手を動かし、討議を行う。いわば「お節介焼き」の職業であり、その対価として高いフィーを得る仕事なのだ。ゆえに、他責思考はご法度である。
コンサルタントはセルフスターターであり、常に他人の事業を自分ごととしてとらえる、オーナーシップが求められる職業ということを重々承知してジョブに臨もう。
評価されたいなら、「つい贔屓してしまう人間」であれ!
では、一方で、「イケてる学生」として社員の間で持てはやされるのはどんな人物か?
それは「つい贔屓してしまう」学生たちである。
歴戦のコンサルタントとはいえ、昔は皆さん同様、ただの学生。「こいつ面白いな」と思った後輩をかわいがるのは当然だ。
しかも質が悪いことに、明らかに主観的に評価をしている採用担当者に限って、自分では「客観的な評価を下した」と認識していることが多い。
普段はファクト&ロジックで理路整然とクライアントに提案を行う優秀なコンサルタントが、こと採用に限っては「Aさんはなんとなくいい」などと平然と言うのである。
そういった「つい贔屓してしまう」学生を目指してみてはどうだろうか。
社員に贔屓されるキッカケは「議論」にある
贔屓されるためには、積極的に「社員に議論を吹っ掛ける」ことをオススメしたい。
これには3つ理由がある。
1. ともに議論することで「結論を出す達成感」を共有できる
理解に苦しむかもしれないが、コンサルタントは頭を使って結論を出すことに達成感を覚える人種である。
そこを逆手に取り、社員に「ついつい考えてしまう」議論を吹っ掛けることで、彼らとコミュニケーションを取ってみよう。議論を経て結論を出すことで、達成感の共有──つまり「いい体験をした仲間」という情をかき立てるのだ。「つり橋効果」の活用にも近い。
具体的には、「AかBかという点について考えており、自分はBだと思っている。理由としてはC・Dがあるが、どう思うか」と、ある程度論点を絞った質問をしてみればいい。自然と頭を回し始め、議論が始まるだろう。
2. 採用担当の間での「自分の話題シェア率」を高められる
当然だが、内定者はジョブ中に社員との関わりが強かった学生の中から、選抜されることが多い。
というのも、採用担当のコンサルタントといえど、通常のプロジェクトと並行して学生を見ていることが多い。学生をつきっきりでは見られない事情がある。
そのため彼らが下す評価も「自分が話を聞いていた範囲内で、誰がワークしていたか」という点に依存してしまいがちなのだ。
もちろん、他の採用メンバーとどの学生がいい発言・行動をしていたか話すものの、そもそもジョブ中に社員との関りがない学生はその時点で「評価不能」ということになる。
逆に言えば、採用担当の中で話に多く挙がれば、選考に突破するチャンスは増える。
ジョブの評価会議では「Aさん、なかなかいいよね」「私もそう思う」というような会話がされるのだ。
そうした評価会議の話題における「自分の話題シェア率」の増加を目指して、複数の社員にできるだけ議論を吹っ掛けることをおすすめしたい。
3. 自身の人間性をPRする機会を増やせる
議論を吹っ掛けることはすなわち、自分の人間性をPRする機会を増やすことでもある。
コンサルタントも人の子。素直でかわいげのある人間をつい評価してしまうので、そこを突ければリターンが大きい。
社員は議論中に正論を言うはずなので「ああ、なるほど! ということは◯◯ですね」と、相手をうまく持ち上げつつ話を展開しよう。彼らの承認欲求を満たしつつ「この人とは建設的に会議が出来そうだ」と実際に働いているイメージまで膨らませられる。
とはいえ、スネ夫的な媚びは好まれないので、あくまでに「自然に」行うことを心掛けてほしい。
重要なのは失礼のない程度に議論に熱中する姿勢
いかがだっただろうか。
つまるところジョブで評価される「イケてる学生」とは、
・一定以上の論理的思考力を持ち
・かつコンサルタントと積極的にコミュニケーションを取り
・愛着が湧く
就活生のことである。
コンサルタントは、よほど失礼な振る舞いをしなければ細かい言動を気にしない人種だ。ぜひ積極的にジョブでは議論を吹っ掛けてみてほしい。皆さんの武運を祈る。
(Photo:alphaspirit/Shutterstock.com)
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※こちらは2018年12月に公開された記事の再掲です。