こんにちは、ワンキャリ編集部員のめいこです。
──学生時代、この人をSNSでフォローしていたなら……。
ダメ就活生だった私が、就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介する特集企画「めいこRT(リツイート)」。
RTの条件は(1)35歳以下(2)トガった活動(3)めいこがフォロー済 の3つ。キャリアの第一線で活躍する、若きインフルエンサーたちの魅力に迫ります。
今回は中国・上海でMBA取得を目指しつつ、さまざまな媒体で中国マーケットの情報を分かりやすく発信する「中国トレンドマーケッター」こうみくさんをリツイートします。
▼ダレをRT?
こう みくさん
29歳/中国トレンドマーケッター/MBA /総合商社出身
▼決め手のRT!▼ナゼRT?
ビジネスマンが今や避けて通れない、中国マーケットの最新トレンドを上海から発信。マーケティングの視点をフルに生かし、幅広い媒体で役立つ情報を届けているから!
新卒で総合商社に入社し、現在は中国・上海にてMBA取得に励むこうみくさん。Twitter、note、YouTubeなど幅広いチャネルで、中国若年層のカルチャーやトレンドを発信しています。「中国トレンドマーケッター」としての活動を始めたきっかけや、6年間の総合商社勤務を通して得たキャリア観についてお話を聞いてみました。
中国の最新トレンド、「かじっておきたい」ですよね?
──今回は中国現地からの電話インタビューでお送りします。こうみくさん、取材をお引き受けいただきありがとうございます。みくさんはTwitterやnoteなどで、中国のカルチャーや最新トレンドを積極的に発信しています。そもそも、なぜこうした活動を始めようと思ったのですか?
こう みく:今回はよろしくお願いします。私が中国にスポットを当てて発信をするのは、日本の中で、今の中国を「かじっておきたい」ニーズが高いと感じたからです。
めいこさんも、「今の中国のトレンドを知っておきたいけれど、難しい専門記事や、ビジネス書を読むほど、時間と手間をかけたくない……」と考えたことはありませんか?
──確かに……。中国のことを「知っておかなきゃ」と思いつつ、時間をかけて情報収集するには、ちょっと荷が重いのが正直なところです(汗)。
こう みく:ですよね。日本のビジネスパーソンも、皆、同じことを思っているのではないでしょうか。
今の中国を紹介しているコンテンツは決して少なくありませんが、どれも専門性が高すぎることが問題なのです。例えば、アリババやキャッシュレスを紹介する専門記事の中では、「そもそもアリババってなんの会社だっけ?」「ジャック・マーって誰? 何がすごいの?」といった中国市場に詳しくない読者の疑問に答えることなく、皆が知っていて当然といった感覚で、注釈もないまま、さまざまな専門用語が飛び交っています。そんな現状を見て、「初心者に向けて中国の実情を手軽に学べるコンテンツに、大きなニーズがあるはずだ」と考えました。
こう みく(黄 未来):1989年生まれ。2012年に総合商社に入社後、貿易物流・経理・投資業務を担当する。現在はMBA取得のため上海在住。Twitter運用を2018年4月から本格的に始め、独自の切り口で中国トレンドマーケッターとしての情報発信を行う。11月にはYouTubeチャンネル・こうみく中国語「中国のことなら、私に聞いCHINA」を開設。
こう みく:私は両親ともに中国人なので、中国の文化や価値観に精通していますし、上海在住なのでリアルタイムに、今の中国の現場感を伝えられます。そこで、発信における私のベストポジションは「客観的に中国の現場を捉えた情報発信+主観的な視点を交えたインサイト」にあると思ったんです。
──的確にマーケットニーズを分析し、市場に足りないものを仕入れて提供しているわけですね。まさに商社のビジネスモデルじゃないですか!
ビジネスパーソンは事業家・商売人・職人の3タイプに分類できる
──みくさんは新卒で総合商社に入社されました。商社での仕事を通して、どんなキャリア観が身につきましたか?
こう みく:6年間の商社勤務を通じて、国内外問わず多くのビジネスパーソンたちと働いてきました。そこで気づいたのは、どんなビジネスパーソンも「1. 事業家」「2. 商売人」「3. 職人」の3タイプに分類できるということです。
──面白い分類ですね。それぞれ詳しく教えてください。
こう みく:はい!
1. 事業家タイプは、理念やビジョンを創り上げていくことに、一番喜びを感じる人です。これは経営者に限らず、実現したい世界観や理想の組織像を持つ方々が当てはまります。
2. 商売人タイプは、マーケットを見て数字になる実績を作ることに、一番喜びを感じる人です。数字の形は売上だったり、PVだったりと形はそれぞれですが、定性的な目標よりも定量的な目標を追いかけることに興奮することが特徴です。
3. 職人タイプは、自分のこだわりやクオリティを追求することに、一番喜びを感じる人です。仕事に対して独自の美学を持って打ち込んでいるので、妥協なく、質の高いアウトプットを出すことに強みがあります。
それぞれ得意な業務や働き方が全く違うため、「どのタイプが優れている」ということは一切なく、マッチングの問題だと思います。
──タイプごとに、成果を出しやすいフィールドが違うのですね。自分がどのタイプなのかを見抜くには、どうしたらいいでしょうか?
こう みく:実際に働いてみるのが一番分かりやすいですが、学生さんなら「自分の人生を振り返ったときに、何に興奮したのか?」を考えてみるといいと思います。例えば……。
・学園祭を通して、皆が団結できた:事業家タイプ
・バイトや副業で、お金をもうけられた:商売人タイプ
・満足のいく作品や研究ができた:職人タイプ
と分類できます。ぜひ、自分の心に問いかけてみてください。
「向いてない」と「できない」は違う
──みくさん自身は、3タイプのどれに当てはまると思いますか?
こう みく:私は完全に「商売人」ですね。何においても数字にこだわる性分です。私が自分のタイプに気付いたのは、商社で幅広い業務を経験したからです。事業投資・トレーディング・経理を経験しましたが、一番楽しかったし成果が出せたのは、コーヒー豆のトレーディングでした。
総合商社時代の同期と
──売上や利益を追う、まさに商売人タイプに向きそうな仕事ですね。
こう みく:一方で、組織のあるべき姿を追求するコーポレート業務や、精緻に数字を突き合わせていく経理業務は、何となく全力投球できなくて……。自分が「仕事ができないやつ」だと思い悩むこともありましたが、振り返ってみれば、タイプの向き不向きの問題だと思います。今のTwitterやnoteも、市場のニーズをうまく捉えたコンテンツを出して、PVやフォロワーを伸ばしていくことが楽しいし、やりがいになっています。
「落合陽一って、誰?」大企業では、SNSアクティブの人が少ない
──みくさんは、Twitterでも積極的に発信なさっていますね。日頃Twitterを眺めていると、影響力のあるアカウントには総合商社出身者が多いように感じます。みくさんの周囲にも、SNSを活用している方は多かったですか?
こう みく:正直なところ、少ないです。肌感ですが、商社の同期の中でTwitterを活用していたのは、100人いる中で片手で数えられるくらいでしょうか。総合商社の社員数を考えると、Twitterで活動しているのはほんの一握りだと分かると思います。大企業で働く若手は、めいこさんが思っている以上にSNSへの感度は低いですよ。
──それは意外でした。何か具体的なエピソードがあれば、教えてください。
こう みく:大企業のアラサー女子で飲み会をしたときのことです。私が「落合陽一さんが……」って話しても、誰一人落合さんのことを知らなかったんです。ZOZOの田端(信太郎)さんのことなんて、もっと知らない。落合さん、田端さん、すみません。だけど、これが現実なんです。
近い将来、SNSはビジネススキルになる。中国と日本のインターネット格差
──SNSにある程度触れている人にとっては、二人とも有名人のはずなのに……。正直驚きを隠せません。
こう みく:もちろん「SNSをやらないからダメだ」ということは、全くありません。商社をはじめとする大企業の方々は、たとえSNSを見ていなくても、各々の商売のネタとして国際マーケットをウォッチしたり、勉強会を開いたりと、違った視点から世の中の動きを分析し、発信しています。私はただ、「大企業出身xSNSアクティブな人」というポジションに空きがあったので、そこに座った感じですね。これも商売人ゆえの、マーケット感覚でしょうか(笑)。
──みくさんは中国マーケットの動きを見ていて、ビジネスパーソンとSNSの関わり方はどのように変わっていくと思いますか?
こう みく:日本と中国では、企業レベルでSNSの活用に差が出始めています。中国の企業には、経理部門や法務部門に並んで、今や「SNSのマーケティングを扱う専門部隊」を抱える組織が増えています。この波は日本にもやってくるはずです。将来的にSNSは遊びではなく、ビジネススキルのひとつになると予感しています。とにかく今、中国から見習うべきはSNSやインターネットそのものの使いこなし方です。
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note執筆に加え、2018年11月から中国のビジネスマナーやカルチャーを解説するYouTubeチャンネルも始動。「めいこRT」第1回に登場した長内孝平さんが、動画のプロデューサーを務めています。
大企業の優秀な若手ほど「自分はやばい」と悩んでいる
──そんな現状に対して、大企業の若手たちはどう感じていると思いますか?
こう みく:優秀な方ほど、危機感を覚えていますね。大企業の若手のうち、9割以上がキャリア形成に悩んでいると思います。ジェネラリストは「自分はビジネスパーソンとして、強みがないんじゃないか?」と悩んでいるし、スペシャリストは「自分の専門性が、未来の市場から必要とされなくなるのではないか?」と不安に駆られています。
──確かに、私の周囲にもそんな人が多い気が。たくさんの人々が、不安に駆られている理由は、一体何なのでしょう?
こう みく:2つあると思います。1つは、危機感と不安は、お金になるからです。例えば、火事や病気への不安が保険ビジネスの需要を生み出していますし、キャリアに対する不安が、資格ビジネスやMBAビジネスを下支えしています。こんな風に、皆さんも過去を振り返ってみたら、幼少期、学生時代、社会人と、人生どの段階でも、どこかの産業から不安をあおられていることに気づくはずですよ(笑)。
もう1つは、自分自身が、先ほど挙げた3タイプの中で、どれに当てはまっているか気付いていないため、軸が定まらずに混乱しているからではないでしょうか。
不安なあなたに必要なのは、資格勉強より数字に残る実績です!
──自分の軸が定まらない悩みは、若手の社会人からだけでなく就活生からもよく届きます。自身の適性を知って、不安を消すにはどうしたらいいと思いますか?
こう みく:まずは冒頭にお伝えした「ビジネスパーソンの3タイプ」のうち、自分はどのタイプか明らかにすることがスタートです。その次に、「罪悪感を捨てて、ブレーキを外す」経験をしてみてほしいです。
──「罪悪感を捨てて、ブレーキを外す」ですか。具体的にどういうことでしょうか?
こう みく:「恥じらいを捨てて、自分が普段やっていることと真逆のことに挑戦する」ことです。例えば、いつもはガリガリと研究している理系の学生さんであれば、noteで小説を書いてみたり、正確さと保守性が大事とされる経理職の社会人であれば、メルカリで不用品をなるべく高く売ってみるのです。自分が今いるポジションから極端に外れたことを経験すれば、「両方を比べて、自分はどっちに向いているか。そして、自分にとって、ちょうど心地よい場所はどこにあるのか」の判断軸ができるわけです。
──それは面白い考え方ですね。普段と違うことに取り組めば、日常の行き詰まり感も和らぐかもしれません。
こう みく:そうなんです。その他にも、何かに行き詰まったら、仕事でもプライベートでも「数字を作って最大化すること」を経験してみたらいいと思います。それは売上でもいいし、PVや「いいね!」の数でもいいんです。飲み会に呼んだ人数でもいいと思います。自分のタイプや好きなことで数字に残る実績を作り、最大化していくことで、自信とマーケット感覚が磨かれていきます。漫然と資格の勉強をするより、目に見える実績を持っておく方が役に立つと思います(笑)。
──最後にこの記事を読んでいる学生たちに何か一言お願いできませんか?
こう みく:落ち込んだときや迷ったときには、とにかく面白い人たちを見ることが大事です。これからの世の中で価値が高いのは、「優秀な人より面白い人」だと思います。就活でも企業のことでも、中国マーケットについて知りたいことがあれば、気軽にTwitterで話しかけてくださいね!
──みくさん、本日はありがとうございました!
【ライター:スギモトアイ】
#めいこRT〜就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介!〜
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