こんにちは、ワンキャリ編集部員のめいこです。
──学生時代、この人をSNSでフォローしていたなら……。
ダメ就活生だった私が、就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介する特集企画「めいこRT(リツイート)」。
RTの条件は(1)35歳以下(2)トガった活動(3)めいこがフォロー済 の3つ。キャリアの第一線で活躍する、若きインフルエンサーたちの魅力に迫ります。
今回は商社マンからYouTube事業家に転身した、長内孝平(おさないこうへい)さんをリツイートします。
▼ダレをRT?
長内孝平さん
28歳/経営者/エクセルYouTuber/伊藤忠商事出身
▼決め手のRT!
▼ナゼRT?これまではただの「エクセルに関する知識が学べるYouTubeチャンネル」だった。これからは「残業が減らせるYouTubeチャンネル」としてブランドを作り込みます。 pic.twitter.com/1ujBeqc7BL
— ユースフル博士🍎 (@yousefulhakase) 2018年8月4日伊藤忠商事に務めながら投稿したYouTube動画「おさとエクセル」が大ヒット。
その後ビジネス×YouTuber領域で起業独立したから!
伊藤忠商事で働きながらExcel解説動画「おさとエクセル」をYouTubeに投稿、パラレルワーカーの先駆けとして一躍有名になった長内さん。現在は起業・独立し、YouTube動画を軸に研修やプロデュースを手掛けています。
総合商社を飛び立ち、動画コンテンツのフィールドで活躍する長内さんの魅力に迫ります。
商社マンとYouTuberの2足のわらじ
──長内さん、お会いできてうれしいです! ここからは思い切って、おささんとお呼びしますね。おささん、まずは簡単なプロフィールを教えてください。
長内:こちらこそです! 僕は大学時代に起業や留学を経験し、2015年に伊藤忠商事へ新卒入社しました。コーポレート部門で働きながら、個人的にExcelの使い方をレクチャーするYouTuberとして活動していました。2018年7月に伊藤忠商事を退職してからはYouseful, Inc.という会社を設立し、「個人や法人に向けたExcel教育や研修」と「ビジネス系YouTuberのプロデュース」を中心に事業を展開しています。
長内孝平(おさない こうへい):1990年生。新卒で伊藤忠商事に入社。経理業務に従事するかたわら、運営するYouTubeチャンネル「おさとエクセル」がメディア取材を受ける反響に。2018年8月に同社を退職し、Youseful(ユースフル)株式会社を設立。現在はExcel研修やYouTuberのプロデュースを手がける。
──おささんが起業・独立したのは社会人3年目の夏。総合商社では、出向や海外勤務が待っていたはず。退職に迷いはありませんでしたか?
長内:20代のうちに起業したい思いがあったので、ぶっちゃけ「海外に行ったらダメだ」とさえ思っていました(笑)。学生時代から「いい世の中をつくる人を増やす」というビジョンを持っていて、その実現のために起業はずっと意識していました。今までの選択も、そのビジョンが原動力ですね。総合商社を志望したのは「企業活動を通じて社会を変えられる仕事だ」と思ったからだし、会社で与えられた仕事をこなすだけではビジョンをかなえられないと思ったから、YouTubeで自分のメディアを持とうと決心したんです。
チャンネル登録2万人、大ヒットExcel動画の裏側は?
──そんな異色のキャリアを持つおささん。投稿しているExcel解説動画「おさとエクセル」シリーズは、現在チャンネル登録2万人を超えるほどの反響です。人気の秘訣はなんですか?
長内:僕が意識しているのは、徹底的な分かりやすさです。例えるなら「画面の向こうにいる昨日の自分に語りかけるような動画」を心がけています。忙しいビジネスパーソンや今まさに困っている人に受け入れてもらえるよう結論ファーストで、画面のクローズアップやテロップも駆使しています。昨日までの困っていた自分なら何が欲しいかを追求していました。
Excel VLOOKUP関数の使い方なら、おさとエクセル【#046】──確かに今までにないExcel動画だと思います。見ていても眠くない……! 特に就活生には、「おさとエクセル」をどのように使ってほしいですか?
長内:おさとエクセルで公開している67本の動画は、自分が欲しかった情報しか並べていません。始めから全部見てもらえれば、世の中のトップ1%のExcelスキルが身につくと自信を持ってお伝えできます。時間のない人は、まずは記事で紹介している「VLOOKUP」の解説動画を見てみてください!
目指したのは「残業を減らす動画」
──おささんは冒頭で、「自分のメディアを持ちたくてYouTuberになった」とおっしゃっていました。その投稿コンテンツを、どうしてExcel解説動画にしようと思ったんですか?
長内:きっかけは大学時代のアメリカ留学です。留学先で「人の役に立ちたい」と思ったとき、英語力では太刀打ちできなくても、ITスキルで力になれると考えたんです。Excelは大学の専攻で使い慣れていたので、究めてみようと思って。そこで世界中のコンテンツを漁りながら勉強してみたら、書籍ではどうにも内容が頭に入りにくくて……。この原体験から「そもそもExcelを書籍で学ぶのは、最適な学び方ではないのでは?」と考え、でき上がったのが「おさとエクセル」です。また、マーケティングの観点では、投稿を始めた時点で、ビジネス系動画のプレイヤーがほぼいなかったことも動機の一つです。
──この活動が、おささんがビジョンに掲げる「いい世の中をつくる人を増やすこと」につながっていくと。
長内:はい。この動画は「ビジネスパーソンの残業を減らす=世の中を良くする時間を生み出す」ことに役立つと思っています。社会人になって、周囲のビジネスパーソンたちが日々の業務に圧迫されて、会社に埋もれていく姿を目の当たりにしていました。日本というこれだけ恵まれた国にいる人たちが、他の人の役に立つ活動をできたら、もっといい世の中がかなうと思っています。仕事に忙殺されている彼らにExcelスキルを提供することで、プライベートに余裕を持って、やりたいことにコミットできる環境を提供したいですね。
YouTuber活動が社内炎上。商社の働き方に一石投じた
──ここまでのお話から気になることがあります。長内さんは「パラレルワーカー」という概念が広まる前からYouTuberとして活躍していますが、職場はその働き方を認めていたんですか?
長内:会社が「おさとエクセル」の存在を知ったときは、かなりの波紋を呼びました。動画投稿を自粛した時期もあります。
──おささんは、ずっと顔出しで活動していますもんね。コンテンツがバズると、こうしたリスクと隣り合わせだと思います。それでも「商社マンYouTuber」として動画投稿やメディア露出を続けたのはどうしてですか?
長内:「自分の行動で世論を巻き込めば、閉塞(へいそく)的な日本企業のあり方が変わるのではないか?」と思ったんです。それなら自分が伊藤忠商事を中から変えるような取り組みをしたいと考え、顔を出したんです。実際に社内で「自らも何かしたい!」とくすぶっている人たちをモチベートできたと思いますし、業界の中でも副業の解禁や理解を求める運動が起こりはじめました。
──すごい! くっきり爪痕を残してます。日系大手の「副業解禁」が相次いでいますが、長内さんは商社の中でその流れを起こしていたんですね。
やりたいことのない人が自分の名前で生きるなら、○○を発信すべし!
──おささんのように、コンテンツを通じて自分の名前で生きていきたいと思う学生さんは非常に多いと思います。でも、「自分の名前で語れるほど、やりたいことも得意なこともない……」と落ち込む声もきっとあるはず。そんな人には、どうアドバイスしますか?
長内:僕だったら「誰かの役に立つこと」をアウトプットするといいよと伝えます。やりたいことや強みがなくても、人の役に立つことを発信し続けることで、自分にしかできないことが見えてきます。それは読書のサマリーでも、大学の講義で聞いた内容を紹介するのでもいいんです。あなたの今日の学びは必ず誰かの役に立つよ、と言いたいですね。僕だってExcelが世界一得意なわけではないけれど、誰かの役に立ちたくて動画投稿を始めました。その中で反響やコメントがつき、「Excelができる人」と周囲に認められたから、今の自分があると思います。
コンテンツの鉄則は「ニーズ把握×ストック化」
──これは胸に響くアドバイスですね。実践にあたってポイントがあれば、併せて教えてください。
長内:2点あります。(1)市場のニーズを捉えること(2)自分の分身を作れるプラットフォームを選ぶことです。まず1点目について、当たり前ですが時代のニーズに即したものを提供した方が価値も反響も大きくなります。ビジネス上の戦略を考える力がないと、どれだけいい武器を持っていても市場が見つけてくれません。2点目は、YouTubeやブログといった、情報がフローでなくストックになるプラットフォームを使うことです。そこにコンテンツを蓄積するのは、自分の分身を作っているようなものです。あなたが会社で働いている間にも情報を発信し続けてくれるので、レバレッジが効きます。
──市場のニーズに応えるコンテンツを、自分の名刺代わりになるように溜めていく。確かにおさとエクセルは、このセオリーで成功していますね!
相手に求める前に、相手に求められることをしよう
──最後に、就活生の皆さんに向けて一言メッセージをお願いします。
長内:「他人に優しく生きていれば、きっといいこと待ってるよ」と伝えたいですね。最初から相手に求めちゃうのはNGです。とにかく自分から相手の役に立つことを率先して行う、これに尽きます。そして、みんなでいい世の中を作りましょうよ。みんなで一緒にね!
──おささん、本日はありがとうございました。
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