※こちらは2018年5月に公開された記事の再掲です。
こんにちは、『総合商社シリーズ』でおなじみの伊藤哲士です。
早いもので、2018年が始まったと思ったらもう折り返しの6月なんですね。
就活生は最終面接を迎える頃でしょうか?
今回は、そんな最終面接を終えたら4月の入社までハッピーでグレートな生活を渇望する就活生のために、珍しくためになる記事を書いてみたいと思います。
テーマは、
「企業内定後の賢い過ごし方」
です。これはある意味、学生時代に企業の内定をもらって浮かれて合コンばかりしていた、落ちこぼれ思考の過去の私に向けた言葉でもあります。
落ちこぼれ学生向けの内容ですので、優秀な学生は読まないでいいです。いいか、絶対だぞ?
最初に内定後は何をすべきか? ですが、一言でいってしまうと、「起業しよう!」「やっちゃえよ!」ということです。
今回は特盛で9000字超えになってしまったので、前編/後編に分けました。
それぞれ、『起業の経験』が「社会人としての素質を早くに習得できる理由【基礎編】」/「社会人になってからどう実践的に役立つか?【実践編】」にフォーカスしています。
ちなみに、文字数だと、前編が大盛りで後編は並盛り。そして、つゆダクダクです、僕の手汗で。だって、文字書きすぎて手が壊れそ(ry……
【目次】
・大企業内定後のもったいない過ごし方:学生A君の場合
・残りの学生期間は起業をしてみよう!
└1. ビジネスはどうやって作るか?
└2. 市場の仕組みとは何か?
└3. 自分が本当に情熱を注げる仕事は何か?
・【実践編】の予告
大企業内定後のもったいない過ごし方:学生A君の場合
「内定です、来年から一緒に我が社で次なる革新を起こしていきましょう」
長い長い就活の末に、無事に親も喜ぶ、友達も羨む大企業に内定を貰った学生A君。
翌日から周りの学生の自分への対応が変わったことに気づく。
男学生:「おい、A君、○○商事受かったらしいな、すげえじゃん!」
女学生B:「え? ○○商事!? 来年からマジでコンパよろしくね!」
女学生C:「A君のこと、前から気になってたんだ♡ 今日飲みに行かない?♡」
肩で風を切るように学内を練り歩くA君。ポジティブフィードバックを周りから受け、気分も上々だろう。
人間、このような時はなんでもできる気がするのではないだろうか。今まで自信がなくて口説けなかった可愛いあの子にサクッと「今晩どう?」と聞けるくらい絶好調だ。私は絶好調だった。
内定者の同期からもCA、読モ、女子アナに大手金融機関の内定者の女子たちとの合コンに誘われ、夜な夜な外に繰り出すA君。就活時期に支えてくれた彼女もほったらかしだ。加えて、次の年の就活生の相談でドヤ顔を振りまくことで精一杯。
しかし、少し時間が経つと、ふと、意識の高い就活生だったA君はこう思う。
「入社する前に、何か、英語とか会計とか勉強しとかなきゃいけないんじゃないだろうか?」
そして、現役社員や両親、その他の大人に聞いてみると、こう返される。
「最後の学生期間なんだから目一杯遊んだ方がいいよ」
「大丈夫だよ、どうせ入社してから仕事なんて覚えるんだから」
納得するA君。そして、合コンと学生の相談の日々に明け暮れる日々に戻る。たまに本気出して学内で「〜内定者は語る」セミナーとか開いちゃう。
そうこうしている内に、気づけば4月。あの時の焦燥感は思い出されることなく、ただ流されるがままに社会人生活がスタートしてしまうのだった。
……こういうのよくありますよね?
もうお察しだと思いますが、学生A君とは、ありし日の僕のことです。どうも伊藤です(2回目)。あっ、セミナーは実際には開いてませんよ。
今だから言えますが、こういう過ごし方はヒジョーにもったいないと思うんですよ。先述の「大人の意見」は「年功序列! 住宅ローン! 定年退職!」の時代では正解でしたが、現代では違うと思っています。選択肢が増えたというか。これが原因でキャリアに悩む人が多いんですけどね。
では、上記のような過ごし方をしてきた私が、これから最終面接を受ける段階の就活生のために自己満で舗装工事をしてみます。
残りの学生期間は起業をしてみよう!
冒頭でも述べましたが、学生期間は起業をしてみましょう。
起業といっても○億円の資金調達! とかそんなでかい夢持たなくてもいいです。難しいし疲れますし。バイトしながらでもいいです。「起業」という文字を見るとそれだけで身構えてしまう人は多いですが、ゲームと同じで、PS4買ってモンハン始めるようなもんです。
起業の定義はよくわからないし調べるのもだるいのでしませんが、つまりは、私が言っているのは小規模で良いので「ビジネス」を始めてみるということです。
では、「起業する、ビジネスを始めるメリットはなんなのか?」
これには、まず大前提に普通に楽しいとか色々ありますが、もっと具体的にいうと以下の3点に集約でき、それらを理解できる点にあると私は思っています。
「1. ビジネスはどうやって作るか?」
「2. 市場の仕組みとは何か?」
「3. 自分が本当に情熱を注げる仕事は何か?」
社会人としての基盤・基礎工事を早い段階で竣工できるといってもいいです。
長くなるのもあれなので、サクッとこの3つを順番に深掘りしてみましょう。
1. ビジネスはどうやって作るか?
そもそも、ビジネスとは何か?
『突然、雨が降ってきて困ってる人に傘を売る、ぎっくり腰になった人に良いお医者さんを紹介する。その結果、お金をもらう。』
簡単に見えますが、これもビジネスです。この単純明快な仕組み、その原理を体感できます。
ビジネスの世界には特にルールもなく、人に価値を与えることができれば対価としてお金がもらえます。傘を売る例のように、普段はそんな必要としてなくても、「今だけ必要!」という人に価値を与えてもそれもビジネスです。
さらに、商社の仕事を一例にしてみましょう。
人が作ったものを人に紹介して仲介料をもらうとかありますね。商社では「トレーディング」とかっこいい名前で呼びますが、鉄やら化学品やらエネルギーやらもうまさにロケットからラーメンまでなんでも仲介しちゃいます。
これはラーメンを作った人は多くの人に届けたいけど売り方がわからん、多くの人はラーメンが欲しいけど手に入らない、という二者を繋げてるんですね。商社が両者を繋げるのは、「魅力的な商品がどこにあるのか、欲しがる人がどこにいるのか」という「情報」を持っているからです。
もちろん、仲介、仲介、仲介と一人でしていても労働力が対価の天井となってしまうし、紹介できるお客さんも限られてくるとなると人を雇った組織レバレッジ(※)、お客さんを探すための広告のために資金投入が必要、などビジネスを拡大するには悩みが尽きません。
(※)…経済活動において、他人資本(借入金・社債など)を使うことで自己資本(機械・設備)に対する利益率を高めること。
もし、あなたが今手っ取り早くビジネスを始めるなら、うーんなんでしょう。テスト前に頭の良い人のノートを集めて許可を貰って普段授業に出ない、不真面目な学生に売り捌いてみては如何でしょう。1冊2万円とかで売って売り上げの半分はノートを作った人にバックして、半分はあなたの利益です。(情報商材ですね笑)書いてて思い出しましたが、東大生のノートって昔(今も?)オンライン上で売られていましたよね。
ノートを集めるのも売り捌くのも一人じゃ回らん! となった時に組織・資金レバレッジを考え始め、組織化していく、この規模が大きくなると、できることも増えてきますし、税金面や管理の簡易化なども考えて登記を始め、会社になります。
まぁ別にYouTuberでもブロガーでもなんでも良いです。この辺はコツコツ愚直に、稼げない期間も我慢できるかどうかが勝負になってきますし、商売の拡大って時間がかかるんだな……と実感できるのもまた学びです。どうやったら動画を見てもらえるのか? と試行錯誤するのです。この積み重ねがビジネスの拡大には必要です。(PDCA! ちなみに私はAPDCでいつもやってます)
このように「お金を稼ぐにはどうすれば良いか?」と学生のうちから考えておくと、会社での過ごし方も変わってきますし、いざ独立する時にこの経験が活かせますよね。後続でこの辺はもう少し詳しく書きます。
2. 市場の仕組みとは何か?
次に、それをどうやって売って儲かっているのか、「市場のメカニズム」が分かるようになってきます。「需要と供給の関係」、まぁ、相手・お客様のニーズってやつね。
自分でビジネスを作って、真剣に考え始めると自然と情報のアンテナが高くなります。
「ソフトバンクの孫さんって最初はなんのビジネスから始めたんだろう」
「Twitterってどこで儲けてるんだろう?」
「Airbnbってなんで流行ってるんだろう?」
「なんでこんな小汚い大学近くのカフェが50年も続いてるんだろう」
書籍や雑誌で勉強するのも良いですし、実際に起業して儲けている人の話を聞くのも良いかもしれませんね。様々な情報に触れるうちに、ある法則性に気づいたりします。マーケティングで言うところの、儲かってる企業が参入している「市場(製品・サービスへの購買意欲がある個人や組織の集まり)」とかね。
先ほどのノートを売り捌くビジネスを例に挙げます。
この場合だと、お客様は「単位を落とすわけにはいかない」学生でした。つまり、その学生(お客様)は「緊急性」を持っているわけです。
簡単に言っちゃうと、手っ取り早く稼ぎたい、とりあえずビジネスを作りたいのであれば「緊急性」(健康、転職、美容、恋愛、性欲……etc)と「儲け話」をテーマにすれば良いことに気づきます。仮想通貨とかまさに儲け話、Twitterでもフォロワーが多い人は恋愛とか性的なことばっか話してますよね。あれです。
でも、もう大手がそのビジネスやってるし……という心配も不要。自分でコミュニュティを作ってその中で売ればいいんです。大学の友人から始めてみたりね。独自の顧客名簿を作る、宗教みたいなもんです。(コミュニュティを作るのも時間がかかるし、マスに顧客転換するのも後で大変ですけどね。)消費者は買う人を選べるんです。
これで社会がどこに「不安」を感じているのか、つまり、それを解消するためのサービス、「需要」がわかってきますね。
そのうち、テレビに出演するちょっと怪しい人たちがどうやって稼いでいるのかも透けて見えてきます。稼いでないのに稼いでる体で(少し大金を払って)出演して目立つことで信頼を得て、顧客名簿(信者)を作ろうとしてるんだな、とかなんとなくの予測ができます。怪しい人の方がお金持ちだったりすることも結構、理解できます。
なんか起業塾の人みたいになってきたのでこれ以上は語りません(笑)
3. 自分が情熱を注げる仕事は何か?
私の持論ですが、「情熱を注げるもの」って、実際やってみないとわからないんですよ。
過去に熱中したものがあれば把握しやすいんですが、意外と思い出せない人、多いですよね。そしたら過去の自分を振り返って自己分析しちゃう、迷い込んじゃう、時間ばかりが過ぎちゃう、と悪循環です。とりあえずやってみればいいんです。飽きたらすぐやめて次にいきましょう。
例えば、多くの人はこういう論理で考えると思うんです。
「私はサッカーが好きだから、サッカー教室をしてみたい」
「私はコーヒーが好きだから、カフェを経営したい」
でも、いざやってみると、挫折することが多いと思います。
だってそれはサッカーをPlayすることが好きなだけで、教えることが好きじゃなかったからです。コーヒーを飲むのは好きだけど、カフェの経営は好きじゃなかったからです。
このように、「やりたいこと」ってやってみないとわからない。
「やりたいこと」って、つまりは「情熱を注げる仕事」だと思うんですが、やってみて「楽しい」と感じて、しかも「長続きしそうなもの」であれば、それがあなたの「本当にやりたいこと」だと思うんですよ。
ちなみに、就活でも同様です。
「大きな仕事がしたいので商社へ!」
「経営者をサポートしていきたいので銀行へ!」
「食で社会に貢献したいのでメーカーへ!」
こういう安易な動機づけで就活をしている人は、先と同じ結末になるかもしれませんね。
かといって挫折しても、何も全部やり直す必要はありません。
さっきの市場の話で出たテーマを掛け合わせればいいですよね。別にサッカーにテーマは絞らなくても良いし、「教える」ことが好きならそれを軸に教えるものを考えて勉強すればいいだけです。この辺は掛け算です。勉強はもちろんめちゃくちゃする前提です。
見つかったらあとは簡単、そのスキルを伸ばしていくだけです。コツコツと、時間をかけたものは独自性、競争力を生み、あなたの資産になります。
こんな風に「何かを教える」「ものを作ること」「人前で話すこと」など、情熱の軸を探せば良いのかと思います。
インターネットサービスでいろんな事業やってるITベンチャーの経営者とかは「ビジネスを作ること」「サイトを作ること」「プログラミングをすること」「世間を賑わすこと」などがやりたいことなんじゃないかな〜と私は勝手に推測してます。もしくは、単純に「金稼ぎ」が好きなのかもしれません。
また、YouTubeでゲーム実況してる友人がいるんですが、彼はゲームも好きですが、実況した結果チャンネル登録数が増えるのを見るのが快感だということです。3年くらい続けて広告他で結構稼いだりしてます。彼の強みはひとえに「継続したこと」です。情熱が注げるからなんですね。結果的に彼の活動は同じ「ゲーム好き」に新たな視点や笑い、ゲーム攻略知識、など娯楽的な価値を与えているわけです。ついでに広告会社にも集客面で感謝されてるんですね。
学生のうちに、思いつくことを全部ビジネスにしてみて「楽しく」「続けられる」ものを見つけておくと、会社で働く、転職を考える、独立する時に意思決定のヒントになると思いますよ。
【実践編】の予告
長くなりましたが、前編は以上です。
後編では、「起業の経験が社会人になってからどう実践的に役立つか?」を場面別でお伝えしていきます。
【実践編の目次】
・社会人になった後どこでこの経験は生きるのか?
└1. 新卒で入社した企業の場合
└2. キャリア・転職する場合
└3. 独立・起業する場合
一旦ここで休憩です。ではでは。ふぅ〜……。
後編はこちら→「学生起業のすゝめ」内定後〜入社まで、君たちはどう過ごすか?【実践編】
【伊藤哲士の総合商社シリーズ】
第一回:『総合商社で投資がしたい』君へ。長いけど読んでくれ。投資業務の理想と現実
第二回:また長くなっちゃいました。総合商社の「海外駐在ガチャ」のアタリとハズレ。
第三回:社内でヒマして年収2000万。商社のエリート窓際族「ウィンドウズ2000」の光と闇を教えよう
第四回:「学生起業のすゝめ」内定後〜入社まで、君たちはどう過ごすか?【基礎編】
第五回:「学生起業のすゝめ」内定後〜入社まで、君たちはどう過ごすか?【実践編】