こんにちは、トイアンナです。
「いつかは独立起業したいけれど、最初は企業へ就職したい」と考える学生にとって、会社選びは極めて重要な意味を持ちます。定年まで会社勤めをするつもりであれば新卒入社した企業と相性が悪くても経験を積んでから転職しようと思えますが、起業したい方にとっては1年たりともムダにできないからです。
そこで今回は最短起業のため得るべきスキルをご提案し、それに適する企業の探し方をお伝えできればと思います。
得るべきは「金」か「修羅場をくぐった経験」
本稿に先駆けて、トップ就活生のみなさんに「最短独立に必要なスキルはどんなものがあると思いますか?」とヒアリングしてみたところ、下記回答をいただきました。
豊富な人脈、法律会計の知識、野心、営業力、先見性、頭の良さ、人間力、やり抜く力 etc……。確かにすべてのスキルを持っていれば最高の経営者になれそうですが、全スキルを揃えた PERFECT HUMANを目指そうものなら、起業の夢が叶うのは来世以降になることでしょう。
私自身が経営経験者であり、また周囲のCEOを拝見して考えるに、経営者に必要なものはたった2つ、「金」と「修羅場をくぐった経験」だけです。
1.「お金」:この世にお金で代替不可能なスキルはない!
まずは「金」ですが、起業独立する上で最低限の資金が必要となります。人を雇うなら最低限の貯蓄を用意しないと売上げが安定する前に整理解雇となってしまいます。サービスを提供するにも初期投資ゼロで進められることはほとんどありません。さらに法律・税務の手続きは最終的にプロの助けを必要とするため、手数料を支払う必要があります。
例えば数名雇って起業するのであれば、最低でも2千万円程度は資本が必要です。創業だけなら法人としての登記で20万円強ほどかかるだけで済みますが、社員の給与および運転資金で軽く1千万円は飛ぶからです。
このため「金融機関に信頼してもらえる会社員時代にローンを組んでマンションを買い、起業後即売り払って創業資金に回す」という裏ワザが使われます。その他にも投資家から援助してもらい創業する、公的な助成金で運転資金を獲得するなど手段は複数ありますので「絶対に2千万円」と思い込まないようにしましょう。なお、私のように個人事業主の「副業」として仕事を始め、徐々に事業を拡大して法人化した場合は100万円程度でも創業可能です。
往々にして、成功する起業家は「お金持ちの親族」「ある程度の貯蓄」「人から資金を得られるスキル」を持っています。もしくは極端な話、宝くじで億を当てれば「経営者に必要なお金」はクリアできます。
しかし、これらに該当しないのなら「金」を用意しましょう。この世に金で代替不可能なスキルはほとんどありません。独立して何もかも自分で回すようになると、どこかで限界が来ます。そこで人にお金を払い仕事を委託するには、金が必要なのです。
2.「修羅場を潜った経験」:あるかないかが分岐点!
次に、修羅場をくぐった経験が求められます。独立起業では想像だにしないトラブルが日々発生します。取引先が倒産してもぬけの空になったり、たった1人の社員が疾病で無期限休職してしまったり。最悪、社員が銀行の金をすべて引き出し失踪なんてのもありえます。
そんなときも「なんとかせねば!」と踏ん張るためには、本人が心身ともにタフである必要性もさることながら、会社員時代にどれだけ修羅場をくぐれたかが分岐点です。
会社員は経営者と比べ「最悪でもクビにしかならない」楽なポジション。自転車に例えるならば、補助輪が付いた状態です。このステージにいるうちに起業してからの予行演習がどれだけできるかで、独立後が変わります。
短期間の成長 × 裁量権の大きな企業を選ぶ
以上の理由から、「どういう会社を選べば、最短で独立起業へたどり着けるでしょうか?」への答えとして、個人的には高い給与と大きな裁量権が両立している企業をオススメします。高収入は前述の「金」を、大きな裁量権は「修羅場をくぐった経験」をあなたに与えてくれるからです。
探し方は地道ですが、各社説明会で「1年目から何をさせてもらえるか」を調べましょう。重要なのは業界ごとの偏見を忘れることです。
「ベンチャーだから裁量権が大きいだろう」
「外資だから高収入」
「商社だから下積みが長いはずだ」
といった思い込みを持つと、適した企業を取りこぼしかねません。ベンチャーでも1万円の備品購入に社長裁可が必要なところはありますし、日系企業に給与水準で負ける外資系企業も少なくありません。特に外資は福利厚生が少ない傾向にあり「家賃補助を換算したら競合の日系企業より実質的な給与が低かった」なんてケースも。
一般的に30歳までは下積みと呼ばれる商社でも、丸紅は1年目から海外出張を経験させることで成長を促します。一方、管理職になるのは40代からというベンチャーもあります。「短期間の成長だから〇〇」「高収入ならXX」といった色眼鏡をかけることなく、エントリー時点では広く浅い企業研究を進めましょう。
就業時間外で研さんを積む
もし既に内定先が決まっており、そこが上記の条件を満たせなくても独立起業を諦める必要はありません。独立に必要なスキルは、就業時間外でも学べます。「そのスタートアップ、1日3時間だけ参加させてよ」と友達の起業をサポートすれば十分経験は積めます。
そこまで本気で取り組まなくても「賃金はなくてもいいです。御社で丁稚奉公させてください」と言って、喜ばないベンチャーはありません。お金をもらいながら経験を積めないのであれば、タダでも取り組んでみせる。そこまでの気概があるならば、きっと起業後も人生の舵取りをできるはずです。
ただし、経験がないからといって無給で働かせようとする団体にはご注意ください。あなたから申し出る分には修行ですが、無給前提で働かせようとする企業はあなたのスキルをむしろ搾取しています。「独立起業のつもりが、ブラックバイトをさせられた」結末にならないよう、自己防衛しつつ最短独立へ向けて頑張っていきましょう。