こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリの人気ライター、トイアンナ・KEN・熊谷 真士が学生の悩みに答える「就活道場」。
今回のテーマはこちら。
社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
・KEN:仕事選びは、「時間軸」で決まる
・熊谷 真士:ギャップどころか常に変化しております、はい。
三者三様の答えをお楽しみください!
トイアンナ:「地位と金と名誉と自由時間と家庭が欲しい」。これを無茶と言います
トイアンナ:
大学を卒業後、外資系企業にて約4年勤務。600人以上の人生相談を受けた実績を基に独立。現在はマーケター、ライターとして広く活動中。
社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
こんにちは、トイアンナです。社会人1年目のとき、私は地位と金と名誉を求めていました。ハッキリ言って俗物です。女でも出世したい、その望みを叶えられる企業は限られています。外資のマーケター、浅はかな私の夢にも出口戦略はあります。
新卒で入った企業はハードで、残業時間もさることながら正論でひたすらド詰めされるのがいかにしんどいか思い知りました。学内で人を論破して悦に浸ってた人間が、愚かさを毎日教えてもらうターン。私は絵にかいたような無能で、上司に恵まれなければ3ヶ月で鬱になったと思います。マジです。
そのときのモチベーションは「とにかく目の前の仕事をやっつける」であり、ビジョンも何もありませんでした。しかし、そもそも地位・金・名誉と分かりやすい称号を求めていたミーハーですから、売上が数字で上がると非実在米国人を妄想してガッツポーズ。
地位と金と名誉、どれが欲しいか見えてきた
ところが、年次が上がるうちに気付きます。「地位と金と名誉、全部手にするのは無理そうだ」と。人より気付くのが遅かっただけですね。そこで次にこう考えました。さらに欲しいものが増えました。「地位と金と名誉と自由時間と家庭が欲しい」と。これを無茶と言います。
そこで、欲しいものに優先順位をつけることにしました。まず何が欲しいのか。自問自答した答え1位は「家庭」でした。入社時は働き詰め30代で墓に入ってもいいと思っていたので、自分でも変化にびっくりしました。変化のきっかけは、未婚女性へ降り注ぐ世間体の矢を見すぎたからです。未婚でありながら、日本で自分を肯定する難しさと向き合う勇気が無かった。結婚相談所へ入ったのは27歳のときでした。
そして次に欲しかったものを「地位・名誉・金」のうちから1つに絞り、キャリアの軸としました。その答えはここでは伏せさせてください、すみません。それから結婚・転居・海外移住とライフイベントが立て続けに起こりましたが、同じ軸で行動できています。
5年後は判らない前提で、ベストを尽くす
とはいえ5年後、私が何を一番に置くか分かりません。子供の学費で何より金が必要かもしれないし、「ありがとう」と言われたいがために仕事をするかもしれません。いきなり意識高い高いして、IPOを目指した起業をしているかも? ですから大事なのは「私はこう」と定めすぎないことかなと思います。5年後の自分は判らない、でもそのとき動きやすいポジションでいよう。そう考えてキャリアを選べば、きっと後悔しない未来へ落ち着くと信じています。
KEN:仕事選びは、「時間軸」で決まる
KEN:
1987年生まれ。本名北野唯我。事業会社、コンサルティングファーム出身。学生時代にボランティア団体を設立・プロボノ支援等のソーシャルセクターでの活動経験を持つ。
社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
こんにちは、KENです。突然ですが、
「エスカレーターと、エレベーター。どちらが好きですか」
と聞かれたら皆さんはなんと答えるでしょうか。私は断然、「エスカレーター派」です。その理由は、シンプルに「自分のペースで上がれるから」であり、反対に、エレベーターは扉の前で待つのが苦手です。皆さんはどちらの方が好きでしょうか。
さて、私がコンサルティングファームで働いていたときに、「忙しさ」に関する発見がありました。それは「忙しさには質が存在するということ」でした。
言い換えれば、「善い忙しさ」もあれば「悪い忙しさ」もあるということです。これは部活やサークルを思い出してみると分かりやすいもので、例えば、大事な大会の直前の練習、自分が好きなゲームに熱中している瞬間などは、「自分にとっては善い忙しさ」であり、それほど負担にはならない。一方で、理不尽な練習やミーティングに付き合わされる時間は仮に1時間でも苦痛、ということです。
つまり、私が本質的に嫌いな忙しさとは「目的が明確ではない拘束時間」だったわけです。
このように、人は固有の「時間感覚」を持っており、それに基づいて「自分の好き、嫌い」が決まっていると私は感じます。
質問に戻り、新卒1年目と今を比較したときに、最大の違いはこの「時間軸」に対する考え方だと思います。幼いころから「1分1秒も無駄にしたくない」と思い、せっかちに生きてきた自分のピークが、新卒1年目の23歳のころだったと思います。1分1秒でも早く、スキルを身につけ、自由になりたい、と思っていました。
そんな私が新卒で広告代理店を選んだのも必然でした。広告は企画から商品が世に出るまでが比較的早いため、好きだった。一方で、商社のように1つの仕事の成果がでるのが10年スパンというのは待てませんでした。業界には特有の「スピード感」というものがあり、自分に合う合わないが存在するわけです。
それが歳を取り、時間軸が長くなった分、今では「もう少し長期の視点から仕事をしよう」とか「重厚長大な仕事も面白そうだな」となってきたと感じます。
何が言いたいのか?
学生の皆さんが、就活の際に意識して欲しいポイントは2つです。
1. 自分がちょうど良い「時間軸」に合う企業を探して欲しい
2. 歳を取ると基本的には「時間軸が長くなるものだ」
と思って、仕事選びをしてみてください。
熊谷 真士:ギャップどころか常に変化しております、はい。
熊谷 真士:
京都大学→総合商社→ヘッジファンド/ライター。ブログ「もはや日記とかそういう次元ではない」を運営。
社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
振り返ってみると、働くモチベーションに関しては、相当変化がありました。
まず大前提として、大学生の時は何となく就活をしてはいたものの、「仕事を通じて自分をどのように実現したいか」というようなことは、一切考えていませんでした。というか仕事や自己実現という単語に、全くピンと来ていなかったので、働くことに関するモチベーションは、入社するその日まで特にありませんでした。
そのままフワっと会社に入ったのですが、入社1年目に怖いことで有名な軍曹タイプの上司に当たりまして、入社早々死ぬほど怒られる生活が始まります。何をしても怒られる。その上、相手の言っている事が至極全うで、グウの音も出ない。辛い。ここで、差し当たり私の働くことに関するモチベーションは、「上司に怒られたくない」というものになりました。怖い、怒られたくない、だから働く。とてもシンプルです。
1年ほど死ぬ思いで仕事をした結果、幸い上司との関係は良好になり、私は全く怒られなくなりました。何をやっても上司がニヤニヤしている。非常に高い満足感を得ました。ここで自分の中に突如として「褒められたい」という、次なるモチベーションが出現します。怒られないのみならず、褒められたい。凄いと言われたい。あいつは半端ないと言われたい。チヤホヤされたい。そういう欲望です。
それから2年ほど、「褒められる」ただそのためだけに必死に仕事をし、結果的に、褒められるようになりました。「あいつはスゴい。異常だ」と、上司を超えその上の部長をも唸らせることに成功しました。これで快感を得て、一人でヨダレを垂らしながらグフグフと笑いました。褒められることで欲望は満たされ、次に突然、「会社を出たい」と思いました。会社が嫌というわけでもないけれども、何となく会社を出てみたい。
そこでヒュッと会社を辞め、大学の先輩が立ち上げた投資ファンドに入ってみました。あまり深く考えずに入ったのですがそこが成果給ベースだったので、突如として「頑張らないとお金が手に入らない」という状況になります。社会に出て初めて、努力と給料が密に連動するようになり、働かないと生活が成り立たなくなったのです。ここで、働くモチベーションは自然と、「明日を生き抜くため」に変化しました。死にたくない、お金が欲しい、だから働く。とてもシンプルです。
そこからまたある程度の期間鬼の形相で頑張り、幸い死なないレベルにお金が稼げるようになったので、とりあえず「生き抜くため」というモチベーションがキレイサッパリなくなりました。ふう、これで死なない。大丈夫だ。もともと洋服にも食べ物にも住居にも車にも何も興味がないので、ある程度のお金があればそれ以上のお金は自分には必要ありません。すると次に、「ふざけた低俗なことがしたい」という謎のモチベーションが沸々と湧いて来ました。
このあたりからは自分でもよく分かりませんが、投資ファンドという割とカタい仕事に留まらず、自分がそれをやっているだけでグフグフと笑いが込み上げて来るような、鬼のように下らなくて一切社会のためにならない、そんな仕事がしたいという意味不明な欲望が襲ってきたのです。
そこで友達とショボいビジネスをオッパじめて無事頓挫してみたり、webにフザけた記事をバラまいて一人で大喜びしてみたり、突如としてそんな事をし始めました。凄く楽しいです。
結果的にそれも多少お金になってきたのですが、正直なところお金は今やどうでも良くて、「もっとフザけたい」「もっと無意味なことがしたい」「もっとエグイことがしたい」、というのがモチベーションの大半を占めています。皆が変にマウントを取り合わず、互いに肩肘張らず、ヘラヘラしながら楽しく生きていけるユートピアを妄想し、毎日薄暗い部屋で一人入念にヨダレを垂らしながらヨダレを垂らしています。
人間性を疑われかねないのでそろそろ自粛しますが、私の仕事に対するモチベーションは、こんな風に変化してきました。モチベーションやビジョンに優劣はないと思っていて、振り返れば「怒られたくない」だって立派な考えの一つだったなと思います。可愛くないですか?「怒られたくない」から頑張る生き物。
以上、何の参考にもならないかもしれませんが、取り敢えず事実を列挙しました。一つのサンプルとしてご活用頂ければ。
「就活道場」の記事一覧
・vol.1:学⽣のうちは遊んでおけっていうアドバイスは本当に正しいのか?
・vol.2:「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるもの?
・vol.3:いつも最終面接までいい感じで進むのに、最終で落ちることがよく分からない
・vol.4:新卒として再就職したい企業はどこ?(どこでも入れる前提で)
・vol.5:学⽣時代の期待が裏切られ、社会⼈になって最もがっかりしたことは何か。
・vol.6:幸せな家庭を作っている社会人と、そうでない社会人、どこに分かれ目があると思われますか?
・vol.7:就職せず、いきなり起業する学生についてどう思いますか?
・vol.8:結婚しないと昇進に響くか
・vol.9:中堅となると出世するしないが顕著になってくるが、交友関係はどうなるのか。
・vol.10:社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
・vol.11:昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
・vol.12:大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?