こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリの人気ライター、トイアンナ・KEN・熊谷 真士が学生の悩みに答える「就活道場」。
今回のテーマはこちら。
結婚しないと昇進に響くか
・トイアンナ:善意から生まれる差別もある
・KEN:めちゃくちゃ、響くと思う。
・熊谷 真士:響くかもしれませんが、心配無用です
三者三様の答えをお楽しみください!
トイアンナ:善意から生まれる差別もある
トイアンナ:
大学を卒業後、外資系企業にて約4年勤務。600人以上の人生相談を受けた実績を基に独立。現在はマーケター、ライターとして広く活動中。
結婚しないと昇進に響くか
こんにちは、トイアンナです。結婚しないと昇進に響く企業はあります。商社や銀行といった「いかにも影響しそう」な業種だけでなく、伝統的な日系メーカー、意外なところでは外資系コンサル・メーカーの昇進にも結婚が求められます。とはいえ「結婚してないと出世は無理」とストレートに通告すればコンプライアンス違反へ繋がるため、それとなく既婚者の優遇を示唆する企業がほとんどです。
たとえば……。
「転勤を経験しないと昇進できないが、辞令を受けるのは既婚者ばかり(金融・28歳男性)」
「家庭をマネジメントできないと仕事で部下をマネージできないと思われるのか、未婚で課長相当職より上へ行く人はいない(外資メーカー・29歳女性)」
「未婚40代の係長がいるんだけど、最近結婚した32歳の後輩が追い抜いて昇進した。基本的に年功序列の会社なのに(日系メーカー・31歳男性)」
入社後はこんな風に「ああ、差別待遇があるんだなあ」とぼんやり気づかされる構造になっています。
差別は善意から生まれている?
ただ、差別待遇を十把一絡げに差別だと言い切れないのが歯がゆさです。既婚者を出世させる企業は何も未婚をいじめるのが目的ではありません。「あいつ結婚したし、奥さんを養わなきゃいけなくて大変だろう」と善意から差別していることもままあるからです。
そして銀行などの保守的な業界に内定する人は、そもそも「いい年になったら結婚するのが当たり前」「結婚したら女性はキャリアを退くべき」といったコンサバな価値観を共有しているはずです。つまり、差別待遇をよしとする人が集まった企業だからこそ、差別がまかり通っているわけです。
未婚差別は女性総合職こそ気にしてほしい
この未婚差別で一番被害をこうむるのは、総合職の女性です。残念ながら総合職女性は恋愛市場であまりモテません。だからといってキャリアへ100%舵切りしようにも「結婚してないから昇進はちょっと」と歯止めがかかります。従って総合職女性は仕事に全身全霊を込めないと出世できないのに、そうすると未婚のままで出世できない……というジレンマに囚われてしまうのです。
とはいえ、この状況が長く続くとも思えません。男性の4人に1人、女性の5人に1人は生涯未婚になると予測されている中で、未婚差別を続ければ、小規模な部署の場合「誰も管理職になれない」事態も起こりうるからです。
現在は「昇進に響く企業」もあるとは思います。そしてもしあなたの内定先が未婚差別をするようなら、転職という道を探すのも正しいと思います。そうすれば未婚差別をする企業も「このままでは優秀な人材を失う」と気付かされるはずですから。
KEN:めちゃくちゃ、響くと思う。
KEN:
1987年生まれ。本名北野唯我。事業会社、コンサルティングファーム出身。学生時代にボランティア団体を設立・プロボノ支援等のソーシャルセクターでの活動経験を持つ。
結婚しないと昇進に響くか
こんにちは、KENです。結論から言いますと、「めちゃ響くと思う」です。
というのも、そもそも人って、他人のことを正しく評価することなんてできませんし、興味もないので、できるだけ簡単なメジャー(物差し)を使って、その人を評価しようとするわけです。
そして、日本ではなぜか「結婚=誰もがすべきこと」と思われていますから、「誰もがすべきことをしていない=ダメな人間だろう」と思われる。
だから出世に響くと思う、以上です。
これで終わると「なんやねん」となりますが、実は、これって僕らも同じであり、例えばみなさんは「開成→東大の就活生と会ったら、きっと優秀だろう」とか、「マッキンゼー出身だったら優秀だろう」と思うことはありませんか?
割といくらかの人はそう思うわけですね。
でも実際は、開成→東大でも大したことない人はたくさんいますし、マッキンゼー卒の人も然りです。このように人は簡単なメジャーで人を評価しようとするわけです。
「黙って結婚する」か、「気にしなくてもいい世界で生きる」しかない
では、どうすればいいのか?
これはもはや、「黙って結婚する」か、「できるだけ偏見を持っていない人が多い会社を選ぶ」しかないと思います。
結婚の有無や肩書きに惑わされず、できるだけその人の実力を見ようとするには、人と向き合う誠実さが必要ですから、そういう会社を選ぶためには、自分自身も人を肩書で選ばない力を持つしかない。これはやろうと思っても中々できない。でも見つけるしかないかと思います。
全裸になったときに残るものが、自分の価値を決める
最後に、社会に出ると、よくも悪くも自分を肩書きで語ることが多くなります。
「✕✕銀行の✕✕です」というように。でもこれは本当にくだらない話で、別にその会社に所属するために、産まれてきたわけじゃないはずです。
そうならないためのポイントは、例えば「この人が、仮に電通の人じゃなかったとしても、自分は会いたいと思えるか? 一緒に働きたいと思えるか?」という視点で、OB/OG訪問をしてみてください。
熊谷 真士:響くかもしれませんが、心配無用です
熊谷 真士:
京都大学→総合商社→ヘッジファンド/ライター。ブログ「もはや日記とかそういう次元ではない」を運営。
結婚しないと昇進に響くか
響くかどうかという意味では、響く可能性は有るんじゃないでしょうか。有り得るとは思います。企業の中で人間の評価をする人は、その人を昇進させることでどういう良い事や悪い事が起こりそうかを様々な角度から考えるわけですが、その際に「結婚をしている」というポイントによって、そういった起こり得る良い事や悪い事の想定に、何かしら影響が出る可能性はあります。
例えば、「結婚しているからうちの会社は直ぐには辞めないだろう」「結婚しているから安定感がありそう」「結婚しているからマネジメント能力が高そう」「結婚しているからプライベートが落ち着いていそう。仕事に没頭してくれるに違いない」といった既婚へのポジティブな想定。逆に、「50歳でイケメンだしコミュニケーション能力も高く社会的地位も高いのに結婚していないというのは、もしかして人間性に何かしらの欠陥がある……?」といった未婚へのネガティブな想定。評価する側も一人の人間なので、自分の価値観に基づいて無意識の内にバイアスをかけてジャッジを下します。結果的に、「結婚しているかどうか」が、評価に影響を及ぼすかもしれません。
ただ、これはあくまで間接的に関係があるかもしれないというだけで、「結婚しているかどうか」と「高いポジションを与えるべきかどうか」は、もちろん直接的に関係するものではないと思います。既婚それ自体が評価対象というわけではない、ということです。要は、貴方のことを知りたいと思っている人が「既婚」「未婚」という事実を基に何かしら他の要素を類推した結果として評価に影響が出るかもしれないというだけのことなので、未婚であったとしてもそういった懸念点を全て納得せしめることが出来れば、本質的には何一つ問題はないはずです。
「私は結婚していませんが会社は辞めませんし、プライベートは落ち着いており仕事に没頭する所存です。人間のマネジメント能力には自信があり、安定感もあります。50歳で結婚していないのはシンプルに私の常軌を逸した性癖がその要因であり、私の性生活を納得させるに相応しい女性に巡り会わないからです。私の人間性とは何一つ関係ありません。性癖異常者ということで多少不気味かもしれませんが、仕事には何一つとして影響はありませんし、むしろこの性癖は、『どのような物事にも強い拘りをもって取り組む』という姿勢の現れですらあります。」
ここまで言い切ることが出来れば、未婚だからと言ってあなたの昇進が妨げられることはありません。明日には部長、いや社長です。
以上、会社はサラっと4年で辞めた上に結婚もしていない、「結婚」や「昇進」と最も遠いところに佇む人間がドヤ顔ベースの上から目線にてお送りしました。それではまた来週。
「就活道場」の記事一覧
・vol.1:学⽣のうちは遊んでおけっていうアドバイスは本当に正しいのか?
・vol.2:「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるもの?
・vol.3:いつも最終面接までいい感じで進むのに、最終で落ちることがよく分からない
・vol.4:新卒として再就職したい企業はどこ?(どこでも入れる前提で)
・vol.5:学⽣時代の期待が裏切られ、社会⼈になって最もがっかりしたことは何か。
・vol.6:幸せな家庭を作っている社会人と、そうでない社会人、どこに分かれ目があると思われますか?
・vol.7:就職せず、いきなり起業する学生についてどう思いますか?
・vol.8:結婚しないと昇進に響くか
・vol.9:中堅となると出世するしないが顕著になってくるが、交友関係はどうなるのか。
・vol.10:社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
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・vol.12:大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?