モチベーショングラフとは、自己分析に役立つツールです。就活の軸作りや、面接官に納得感を与えられる自己PR・志望動機の作成に活用できます。
本記事ではモチベーショングラフの作り方や分析のポイントなど、初心者でも実践できる方法を分かりやすくご紹介します。テンプレートも掲載しているため、ぜひご活用ください。
<目次>
●モチベーショングラフとは ・モチベーショングラフのメリット ・自分のモチベーションの源泉を知れる ・就活の軸がより明確になる ・自己PRや志望動機に説得力が増す ●モチベーショングラフの書き方:5ステップ ・(1)縦軸に「心の充実度(モチベーションの高さ)」横軸に「年齢」を設定する ・(2)モチベーションの高低を曲線グラフで描く【テンプレート】 ・(3)時期ごとに出来事を記入する ・(4)出来事が起こったときの感情や行動を振り返る ・(5)モチベーショングラフ全体を見て、感情、思考の共通点を探す ●モチベーショングラフの注意点 ・過去のエピソードから将来像をイメージする ・周りの人に見てもらう ・他の自己分析の方法も用いる ●モチベーショングラフの書き方まとめ
モチベーショングラフとは
モチベーショングラフとは、幼少期から現在までモチベーションの変化を曲線のグラフを用いて表す、自己分析の手法の1つです。過去の出来事とその時々の感情を振り返り、グラフにすることで感情を可視化し、感情の起伏について深掘りしていくことで、自分の価値観や性格、強み・弱みを洗い出すことが主な目的です。
モチベーショングラフでは、幼少期から現在まで、どのようなときにやりがいを感じたか、あるいはやる気をなくしたのかといったモチベーションの変化を表します。
具体的には、モチベーションが高いときの山と低いときの谷をつないだ曲線のグラフを作り、現在までの出来事におけるモチベーションの変化を可視化するものです。
過去の出来事とその時々の感情を振り返り、自己分析する手法として、就活でも使用されています。
ただ作成するだけでなく、グラフとして可視化された感情の起伏について、「なぜだろう?」と深掘りしていくことで、自分の価値観や信念、こだわりが見えてきます。
このように作成したグラフをもとに自分の価値観や性格、強み・弱みなどを洗い出すことが大きな目的です。
モチベーショングラフのメリット
モチベーショングラフの活用により、自分のモチベーションを高める源泉が分かり、就活の軸を作れます。説得力のある自己PR・志望動機の作成にも役立つでしょう。
モチベーショングラフを作成するメリットを3つ解説します。
自分のモチベーションの源泉を知れる
モチベーショングラフは、自分のモチベーションが上がる源泉を把握できる点がメリットです。グラフの作成で、自分のモチベーションが上がる、もしくは下がるタイミングが分かり、どのような価値観や信念に基づいて考え、行動していたのかを把握できるためです。
無意識に選んでいたことも、実は特定の価値観や信念、こだわりに基づいていたことに気づきます。
自分の価値観を知ることで、就活での自己PRや志望動機に一貫性を出せるのもメリットです。グラフ作成の過程で、これまで継続して取り組んできたこと、力を発揮したことも分かります。これらの具体的な出来事は自分の強みにひも付けできるエピソードとして、アピールの材料になるでしょう。
就活の軸がより明確になる
モチベーショングラフの活用で、就活の軸が明らかになるというメリットもあります。
就活の軸とは、仕事や企業を選ぶ上で「これだけは譲れない」という条件のことです。
さまざまな業界・企業の中から自分に合う企業を選ぶのは容易ではありません。就活の軸として「絶対に譲れない基準・条件」を持っていれば、選ぶ企業はおのずと絞り込まれます。
例えば、グラフの作成によって「新しいことにチャレンジしたときにモチベーションが高まる」ということが分かれば、就活の軸のひとつとして「新しいことにチャレンジできる環境」という軸が決まります。応募先企業には、海外進出や新規事業の拡大を続けている企業などが候補になるでしょう。
就活の軸が定まれば、「なんとなく選んでしまった企業」に入社してミスマッチが起こるという失敗もなくなります。
自己PRや志望動機に説得力が増す
モチベーショングラフの作成では自分の強みがわかるため、説得力のある自己PR・志望動機を作成できることがメリットです。
モチベーショングラフの山となっている部分がモチベーションの高くなった出来事であり、自分の強み・長所としてアピールできます。
人生の中でモチベーションが高まった時点の出来事を掘り下げ、どのような強みなのかを分析しましょう。
アピールできるエピソードが複数あれば、それが自己PR・志望動機の強い根拠づけとなり、より説得力が高まります。
モチベーショングラフの書き方:5ステップ
モチベーショングラフを作成する手順は、5つのステップから成ります。グラフは、縦軸にモチベーション・横軸に時間を設定することから始めます。
5つのステップを順に見ていきましょう。
(1)縦軸に「心の充実度(モチベーションの高さ)」横軸に「年齢」を設定する
モチベーショングラフは左端に縦線を1本引き、「心の充実度(モチベーションの高さ)」を設定します。次に中央に横線を1本引いて「年齢」を設定します。
年齢は誕生から現在まで5年ごとに区切って設定しましょう。より細かくエピソードを掘り起こしたい場合は1歳刻みにするのも良いですが、モチベーショングラフの目的はあくまで自分の思考の傾向を知ることです。
どのようなときに感情が動き、モチベーションの高低につながるかを知ることが重要で、思い出した出来事が何歳のときだったのか正確に分からなくても問題はありません。
年齢ではモチベーションに関連する出来事が浮かびにくい場合は、幼少期・小学生・中学生・高校生・大学生という区切りも設けると思い浮かべやすいでしょう。
縦軸のモチベーションの高さは、上に100%、下にマイナス100%まで設定します。具体的な数値を設定することで、モチベーションの高低をより正確に表せます。
グラフの枠はExcelなどの表計算ソフトを使って自分で作成する方法もありますが、後の項目で紹介するテンプレートを利用すると便利です。
(2)モチベーションの高低を曲線グラフで描く
グラフの枠が完成したら、過去の出来事や経験を振り返り、時間の流れに沿って、モチベーションの浮き沈みを曲線で描きましょう。時期ごとにモチベーションの高低があった部分に点を置き、線でつないでいきます。
あまり深く考えすぎないようにしましょう。楽しかった時期やつらいことが多かった時期などを感覚的に思い出し、直感で書く方が的確に描けるかもしれません。
出来事が起きた年はいつかといった正確さにこだわるよりは、出来事によってモチベーションがどう変化したのかが大切です。記憶のままに、まず書いてみると良いでしょう。違っていれば、後から修正できます。
(3)時期ごとに出来事を記入する
曲線の変化が大きい部分に、モチベーションが上がった、もしくは下がった出来事を具体的に書き込みます。
まず、大きな変化があった時期の出来事について思い出してみてください。
ただ出来事の内容を書くだけではなく、誰と、どのような状況で、どのぐらい本気で取り組んだかなど、できるだけ詳細を記入することが、自己分析を深めるポイントです。
ただし、詳細に書きすぎると全体像が分からなくなることもあるため、まずは大枠を書き込んでから、感情の動きやモチベーションの高低がわかる情報を書き入れていくと良いでしょう。
特に大きな転換点となったこと、印象的な出来事などは、色をつけて分かりやすくすると分析しやすくなります。
(4)出来事が起こったときの感情や行動を振り返る【テンプレート】
出来事を記入したら、そのときの感情や思考を思い起こし、どのような原因でモチベーションが高低したのかを深掘りします。その当時の感情や思考、行動を知ることで、自分はどのようなことに喜びや悲しみを感じるのかが分かり、行動パターンも把握できます。
どのように書けば良いのか、モチベーショングラフのテンプレートを用いて詳しく解説していきます。
例えば、モチベーションが上がった出来事が「部活のキャプテンに起用された」という内容の場合、「努力が認められてうれしかった」「頑張れば評価されると知り、自信がついた」といった、そのときに感じた感情や思考を書き出します。
この作業は自己PRや志望動機の作成、面接にも役立ち、モチベーショングラフの作成でも特に重要な部分です。
特に面接では、過去のエピソードについて「どうしてそう思ったのか」「どうしてそのような行動をとったのか」など掘り下げた質問をされることが多く、モチベーショングラフで感情・思考を振り返る作業がその対策になります。
感情を振り返るとき、「楽しかった」「落ち込んだ」といった感情しか出てこないことがあるかもしれません。そのようなときは、出来事の5W1Hを掘り下げてみることをおすすめします。「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」について考えていくと、より細かく具体的な感情を見つけられるでしょう。
(5)モチベーショングラフ全体を見て、感情、思考の共通点を探す
モチベーショングラフが完成したら、全体を見て、山と谷ごとの感情や思考の共通点を探します。
共通点と分析の一例を見てみましょう。
- モチベーションが高いときの共通点:努力が認められたとき、目標を達成できたとき
- モチベーションが低いときの共通点:人間関係がうまくいかないとき、慎重になりすぎてチャンスを逃したとき
モチベーションが高いときの共通点からは、コツコツと目的に向けて努力する忍耐力や継続力という共通点が見つかり、それを強みとして言語化できます。
一方、モチベーションが低いときの共通点からは、コミュニケーションが苦手で決断力がないという弱みを導き出せるでしょう。
モチベーションが高いときの共通点、低いときの共通点を見つけて言語化すれば、自己PRや志望動機に活用できます。出来事が具体的エピソードとしてそのまま強みの根拠づけとなり、説得力のあるアピールができるでしょう。
強みとともに、弱みもしっかり分析しておいてください。就活の面接では、自分の弱みについても質問されます。自分の改善すべき点を理解しているか、弱みを克服して成長しようとする意欲があるかを確認するためです。
山と谷ごとの共通点がわからないときは、家族や友人、キャリアアドバイザーなどに相談すると、良いアドバイスをもらえるかもしれません。
モチベーショングラフの注意点
5つのステップでモチベーショングラフを作成するときは、いくつかの注意点があります。過去の振り返りだけで終わらないこと、自分だけで完結せず、周りの人に見てもらって客観的な視点で見るという点です。
モチベーショングラフの注意点を具体的に見ていきましょう。
過去のエピソードから将来像をイメージする
モチベーショングラフの作成では、ただ過去の振り返りをするだけでなく、将来像をイメージすることが大切です。分析の結果、分かった自分の強みや弱みに基づき、将来はどのようになりたいかをイメージします。
将来像のイメージが具体的であれば、企業選びがよりスムーズになるでしょう。
将来像は、「志望する会社に入社すること」ではなく、その後の活躍する姿をイメージするようにしてください。どのようなキャリアを歩むのかを考えることで、より自分に合う企業選びができます。
周りの人に見てもらう
作成したモチベーショングラフは、自分だけで分析するのではなく、周りの人に見てもらうことをおすすめします。第三者に見てもらえば、より客観的な視点で分析できるためです。
自分だけの分析では主観が入り、思い込みによって分析が偏る可能性があります。第三者が見ることで、自分では気づけなかった強み・弱みが見つかるかもしれません。
面接では、「周りの人からはどんな人だと言われますか?」という質問をされることもあります。第三者の意見を聞いておけば、スムーズに回答できるでしょう。
他の自己分析の方法も用いる
就活の自己分析は、モチベーショングラフだけではなく、他の手法と併用することをおすすめします。小学生以前の記憶など、詳細に思い出せない出来事は正確な分析が難しくなるためです。
ネットで利用できる自己分析ツールやグループで行うジョハリの窓など、自分に合うものを選んでください。他の手法を併用すれば、より正確で具体的な分析ができるでしょう。
その他の自己分析の方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
▼その他の自己分析の方法を確認する ・【自己分析のやり方】たった4通り!簡単にできる方法・ツール・シートを解説
モチベーショングラフの書き方まとめ
モチベーショングラフは、過去から現在までのモチベーションの変化を可視化する手法です。このグラフを作成することで、自分のモチベーションの源泉や強み・弱みを把握し、就活の軸を明確にできます。
今回は、モチベーショングラフの書き方について見るべきポイントとともに詳しくご紹介しました。
自己分析では、過去の出来事や感情を振り返りながら、将来のキャリア像を描き出すことも重要です。第三者の視点を取り入れながら、他の自己分析手法と組み合わせることで、より深い理解と具体的なアクションプランを立てて就活を進めましょう。
(Photo:fizkes/Shutterstock.com)