「業務職」と聞くと、どのようなイメージが湧くでしょうか? 総合職の指示に基づいた受け身のサポート職? そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、広く金融の面から日本の産業や社会課題の解決にあたるDBJ(日本政策投資銀行)の業務職は、主体的・能動的な働きが求められ、さまざまな業務経験を通じて自身の幅を広げていくことができる職種です。
「私が担当していた案件では、業務職がメイン担当で総合職がサブ担当の場合もあり、同じ視座で責任を持って仕事にあたっていました」
そう話すのはDBJで業務職として働く西尾萌さん。企業の非財務情報に着目し、企業のサステナブルな経営の高度化を支援するサステナブルソリューション部への配属を経て、現在は人事部で活躍しています。
「西尾さんは知見が深くて広い。いつも能動的に動いてくれるので、パートナーとしてとても心強いです」
西尾さんと一緒に人事部で働く総合職の山本枝実子さんは、そう語ります。
総合職と共に「車の両輪」となって仕事を進めるのがDBJの業務職。では、そうした業務職に求められる「能動的に動く力」とはどのような力なのでしょうか。転勤を伴わずに多彩なキャリアを積むことができるDBJの業務職の魅力を、西尾さんと山本さんへのインタビューからひもときます。
<目次>
●専門性を生かし、お客さまのために汗をかく。壁を乗り越えた先に見える世界
●総合職と二人三脚で案件を遂行。業務職に求められる力とは
●ワークライフバランスを実現。やりがいを持って働き続けられる環境
●業務職向けの人材育成プログラムを企画。個人と組織の成長のきっかけに
●DBJの業務職に共通するマインドとは
専門性を生かし、お客さまのために汗をかく。壁を乗り越えた先に見える世界
──西尾さんは入行後、サステナブルソリューション部に配属になったそうですね。どのような業務を担当されていたんですか?
西尾:企業の非財務情報に着目し、その企業の成長を後押しする仕事をしていました。具体的には、環境配慮や健康経営(※1)、BCM(※2)の取り組みをヒアリングして、優秀な取り組みをしている企業を表彰する評価認証融資を担当していました。
配属から6カ月たった頃、案件の主担当者にアサインされ、お客さまと直接対話できるうれしさと、年次に関係なく主担当を任せてもらえる裁量の大きさに驚きました。初めての経験で苦労もありましたが、その分やりがいもひとしおでしたね。
(※1)……企業が経営的な視点で従業員の健康管理について考慮し、戦略的に実践すること。
(※2)……事業継続マネジメント
西尾 萌(にしお もえ):2017年4月に業務職としてDBJに入行。サステナブルソリューション部で評価認証融資案件の主担当を務めるなど、フロント業務に従事。2021年6月に人事部に異動し、社内研修の企画・運営に携わる。主に業務職向けの研修を担当し、今年度は新たな企画にも挑戦中。
──業務のどのような点に難しさとやりがいを感じていましたか?
西尾:例えば、DBJが世界に先駆けて開始した環境格付融資(現・サステナビリティ評価認証融資)では、独自のマニュアルに基づいてお客さまの取り組みを評価します。DBJが環境格付融資を開始した2004年以降の知見が蓄積されているこのマニュアルは非常に膨大で。
お客さまと対話をするためにも、マニュアルをしっかり読み込んで理解する必要がありますし、業界の最新動向も把握してフィードバックやアドバイスをしていかないと信頼関係を築けない仕事です。膨大な知識のインプットには骨が折れましたし、どうしたらお客さまのために有用な情報を還元できるか、今後の取り組みの高度化につなげられるかを考えていくのが難しかったですね。
でも自分なりに考えた上で、お客さまと深く対話していくからこそ分かることがたくさんあったので、とてもやりがいを感じていました。
──印象に残っている案件はありますか?
西尾:地域の案件を担当することが多かったのですが、その中に、素晴らしい人事面の取り組みをされているにもかかわらず、広報がなかなかうまくいっていないことから、人材が集まらないと困っているお客さまがいました。
そこでお客さまと一緒に健康経営の格付認定を目指したところ、その結果を新聞に取り上げてもらえました。その記事を通じて企業への注目度が高まったことで、人材も集まるようになり、担当者の方からとても喜んでいただけて。企業が社外からも見合った評価を得られるような情報発信のきっかけを作れたことが、とてもうれしかったですね。
──それはうれしい出来事ですね。先ほど、仕事の中で「お客さまとの対話」があると話されていましたが、総合職だけではなく、業務職の方も担当されるのでしょうか。
西尾:はい。サステナブルソリューション部では、お客さまにヒアリングをしてフィードバックをする一連の業務は、総合職も業務職も同じように担当していました。総合職がメイン担当で業務職がサブ担当の場合もあれば、その逆の場合もありましたね。
総合職はさまざまな業務経験があり広範な視野を持っているので、俯瞰(ふかん)的な視点からアドバイスをもらったり、逆に私たち業務職は専門的な領域で頼られたりしています。
山本 枝実子(やまもと えみこ):2006年に総合職として入行。エネルギー分野を担当後、2008年より関西支店で産業調査に従事。2011年より商社との共同投資案件などを経験し、2016年より投資アドバイザリー会社への出向を経て、2020年から人事部に配属。
総合職と二人三脚で案件を遂行。業務職に求められる力とは
──業務職と総合職で得意分野が異なるのですね。
山本:そうですね。総合職と業務職はジョブローテーションの期間が少し異なっていて、総合職は入行当初7、8年間でおよそ2年ごとにさまざまな業務に従事するため、短期間での成長が求められます。一方、業務職は3〜5年という少し長めの期間で、特定分野の専門性をじっくりと身につけながら、部署や業務をローテーションさせて仕事の幅を広げていきます。
総合職は、複数の専門領域を持ちながら俯瞰的な視点を養い、これまでに培った経験やネットワークを結び付けて、新たな価値を創造することが求められる。そして特定の専門領域を持つ業務職と一緒に、しっかりとお客さまに届く形に具現化していく。このように、一つのプロジェクトにおいて総合職と業務職が二人三脚で案件を遂行していく形が、DBJらしい仕事の進め方です。
──では、業務職に求められるのは、着実な業務遂行力でしょうか。
山本:確かに、着実な業務遂行力はどの部署においても必要とされる重要な力です。それだけでなく、オペレーションの高度化に励む方、企画力に長(た)けている方、調整力を生かして社内外の関係者との折衝をいそしむ方と、業務職にもさまざまな方がいます。それぞれの適性や能力を生かせる幅広いフィールドがあることがDBJの業務職の魅力といえますね。
ジョブローテーションを通じてさまざまなスキルを身に付ける中で、新しい分野に挑戦してみたいと思ったら、それまでの経験を新しい業務に応用していける環境がある。本人の志向に応じて柔軟にキャリア形成ができるので、DBJの業務職は多彩なキャリアを実現できています。
ワークライフバランスを実現。やりがいを持って働き続けられる環境
──もともと、西尾さんがDBJへの入行を決めた理由は何だったのでしょうか?
西尾:就職活動を進める中で、さまざまな企業を根幹から支えることのできる金融業界に興味を持つようになりました。中でも、長期的な視点で産業を支援できる点に魅力を感じたため、DBJへの入行を決めたんです。
就職活動中に出会ったDBJの職員は皆、日本の産業や社会を本気でいい方向へ変えていきたいという熱い思いを持っていました。そういう人たちと一緒に働きたいと思いましたし、入行してからもその気持ちはどんどん強くなっています。
山本:確かにDBJを選んだ人たちは、職種を問わず、日本の社会・産業の発展のために、何かしら熱い思いを持っていると感じます。DBJはその思いを追求できる環境が整っているので、何年たっても青臭い議論ができるし、やりがいを感じながら働き続けられる場所だと思いますね。
──熱意のある人が多い環境なのですね。働き方についても教えてください。仕事とプライベートの両立についてはいかがでしょうか?
西尾:両立しやすい環境だと思います。例えば、DBJには在宅勤務制度やフレックスタイム制度があり、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができるので、私も活用しています。また、今度長期の結婚休暇を取得しますが、周囲のメンバーが快く送り出してくれる雰囲気があるので、安心してリフレッシュできそうです。
私の場合は、休暇の取りやすさが働きやすさに影響していますね。また、業務職には転勤がないことも理由の一つかもしれません。
山本:私は二児の母ですが、仕事と子育てをなんとか両立させる日々を送っています(笑)。子どものスケジュールに合わせて柔軟に働ける環境が整っているのは良いですね。
西尾:あとは、サステナブルソリューション部でも人事部でも、先輩方がごく自然に産休・育休を取ってから復帰されているので、DBJなら長く働ける安心感がありますね。一時的に抜けてもスムーズに戻ってこられるのは、とてもいいなと思っています。
山本:産休・育休などを取る際には、上司や人事部と個別に面談をするなど、組織として安心できる体制を整えています。復帰後も、各部署でのフォローはもちろんのこと、人事部も必要に応じて面談するなどしてサポートしていますね。
私も育休からの復帰時には、上司から不安を和らげてくれるような温かな手紙をいただいたり、担当役員からも「良い仕事をする上で、最も大事なのは基盤となる家族を大切に築くことだ」という言葉をいただいたりと、今でも自分の大きな支えになっています。
──すてきなお話ですね。ワークライフバランスを大切にできる環境であることがうかがえます。
西尾:そうなんです。それから、業務職は原則転勤のない職種ですが、本人の希望や適性に応じて、海外現地法人や支店へトレーニーとして挑戦できる制度や、グループ会社へ出向して幅広い経験を積める機会もあります。幅広くチャレンジできる環境もあるからこそ、やりがいを持ち続けて働けるのではないかなと思います。
業務職向けの人材育成プログラムを企画。個人と組織の成長のきっかけに
──西尾さんは山本さんと一緒に、業務職向けの人材育成プログラムを強化したと伺いました。どのような思いで企画されたのですか?
西尾:お客さまを取り巻く事業環境の変化が激しく、それに合わせてDBJも大きく変化していく必要があります。その中で、業務職もどのように変化・成長していくべきなのか、社会へどういった価値が提供できるのか、イメージがつかみにくいといった声が多くありました。
そこで、DBJが社会の中で求められていることや目の前の業務と社会のつながり、そして価値あるアウトプットをするために必要なスキルと視点を多くの業務職に届けたいと考え、業務職向けの人材育成プログラム「STEP」を企画しました。
──具体的には、どういった内容のプログラムなのですか?
山本:研修名の「STEP」とは、「Skill Training and Empowerment Programs」の頭文字から取ったものです。具体的な内容としては、産業・金融・業務推進の3つのテーマでそれぞれ1日ずつ講座やグループワークを開催し、実践的なスキルを習得することに加えて、行内外の事業環境変化と日々の業務とのつながりを理解します。最後にプレゼンを実施し、学びをシェアする場も設けました。各テーマ、約40〜50人が参加してくれましたね。
西尾:これまでの研修の多くは、業務を遂行する上で必要となる個別スキルの習得に特化したものでした。今回は、産業分析ワークショップやコーポレートファイナンス講座、業務改善計画書作成といった、多角的視点から自分の業務を見つめ直すような内容にしました。
加えて、参加者に良い刺激を感じてもらえるように、業務職として実際にさまざまな部署で活躍されている方に登壇してもらいました。
山本:この研修を企画する段階では、人事部にとどまらず、西尾さんと私で現場のさまざまな職員と話し合い、他部署も巻き込みながらコンテンツを作り上げていきましたね。
西尾:いろいろな方からお話を聞く中で、業務職に高い期待が寄せられていることや、業務基盤の強化を担うプロフェッショナルとして行内外から信頼されていることを改めて実感し、非常にモチベーションが上がりました。私が感じたこの思いを、DBJで働く業務職の皆さんにも伝えていきたいと、どんどん熱くなっていきました。
山本:登壇してくれた業務職の職員も、自分の仕事がいかにお客さま、そして社会につながっているのかを具体的な業務内容を交えながら教えてくれて、一つ一つの業務に誇りをもって取り組む前向きな姿勢を感じました。また、総合職の職員とペアで登壇してもらったのですが、両職種が職責に応じたそれぞれの役割を果たしながら、お互いを尊重し、信頼関係を築きながら業務を推進してきた、そんな良い関係性が見えたこともうれしかったですね。
──参加された方々からは、どのような反響がありましたか?
西尾:「今後伸ばしていきたい領域がより明確になった」「自分と同じように課題意識を持つ業務職の仲間がいることを知るとともに、アイデアを共有し合える有意義な機会だった」など、本当にさまざまな感想をいただきました。皆さんの前向きに成長したい意欲がより高まって、良かったなと思います。
実際に、参加者の皆さんは部署やDBJをより良くしていきたいという気概を持った方が多く、グループディスカッションも白熱していました。
山本:研修を受けて終わるのではなく、学んだことを現場の業務に生かしてもらえるよう、研修の最後に実施したプレゼンには受講者の上司も参加し、部下の発表を聞いた上で対話できる機会を設けました。個人の成長だけではなく、組織として成長するための土壌を作れたかなと思います。
また、本店・支店を問わず、年次も幅広い方に参加してもらえたこともうれしかったですね。業務職同士の縦・横・斜めのつながりも生まれたので、組織の活性化の面でも良い効果があったと感じています。
──西尾さんは研修の実現を通して、業務職に期待されている役割はどのような点にあると感じましたか?
西尾:マネジメント層の方からも、より主体性を持ってさまざまな業務に挑戦をしてほしいと強く感じました。目の前にある業務のその先まで考えて業務領域を広げていく、そういった役割を期待されているのではないかなと感じました。
山本:世の中の課題が複雑化している中で、DBJの業務も高度化しています。ですから、もう特定の職種だけで対応していく世界ではなくて、DBJ職員が一体となって課題解決の提案に向けて協力していくことが求められていると思うんです。これからは職種でお互いの領域を決めるのではなく、対等なパートナーとして関係性を築いていける組織になっていくことが必要だと思っています。
DBJの業務職に共通するマインドとは
──西尾さんが業務に取り組む上で心がけていることはありますか?
西尾:常にオーナーシップを持って仕事をすることを心がけています。チームでより良い仕事がしたいという思いから、自分が一番貢献できるポイントを考えながら動いていますね。「ここは任せてください」といえる部分を見つけたり、空いている穴があったら埋めようとしたり、自分にできることを常に探しています。
山本:実際に、西尾さんは「STEP」プログラムを進める中でオーナーシップを発揮してくれましたし、一緒に取り組んでもらえて本当に心強かったです。
また、プログラムを通して、DBJの業務職は常に問題意識を持っていて、それを解決したいと思っている方ばかりだと感じました。自分の目の前にあるタスクだけではなく、周囲とどう関係性を作って仕事をしたらいいか、部署がどうなっていくといいかなどを考えている、視座の高い人が多いですね。
──DBJの業務職には、どのような人が向いていると思いますか?
西尾:何事にも好奇心を持ち、分からないことは積極的に調べて成長していける人が向いていると思います。私も学生時代は環境配慮についてまったく勉強してこなかったのですが、仕事を通じて多くの知識やノウハウを吸収できました。
山本:柔軟性や思いやりを持ち、人のために自分がどう動いて貢献できるかを想像しながら、半歩先の行動ができる方は向いていると思います。まさに西尾さんのような「周囲を能動的に支えられる人」が活躍していますね。
西尾:DBJの業務職は唯一無二で、同じような仕事をしている人が他の会社にはなかなかいないと思っています。専門性を極めつつも、業務の幅を広げていくこともできる。そこに私自身は魅力を感じているので、そのような部分に面白さを感じてくれる方々にぜひ来ていただきたいですね。
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【編集:サムライト株式会社、萩原遥/執筆:末光京子/撮影:百瀬浩三郎】