3月1日。2024年卒の学生の就職活動が本格化するこの日、ワンキャリアは「いきなり最終面接」という動画を公開しました。今まさに就活中の学生が、実際に企業の最終面接を受けている様子、その合否の裏側までを公開した就活ドキュメンタリーです。
なぜ、わざわざ最終面接を公開したのか? それは今、面接に関する不安が例年以上に高まっているからです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、入学時点からオンラインの学生生活を送っていた24卒の学生たち。課外活動で先輩から就活体験談を聞く機会も減少し、面接の雰囲気や内容を教えてもらう機会が減りました。ワンキャリアが独自に実施した調査によると「就活が不安である」人のうち72%が、不安なことに「面接対策」と挙げていました。
これまで学生と企業とが密室で行っており、リアルなやりとりを知ることはできなかった面接、しかも最終面接を公開することで、学生の不安を解消したい。これが「いきなり最終面接」に取り組む理由です。
前代未聞のプロジェクトのため、実際に最終面接を公開してくれる企業がいるのか、当初は分かりませんでした。そんな中、協力企業として賛同してくださったのがディー・エヌ・エー(DeNA)でした。なぜ、最終面接を公開してくれたのか? 新卒採用責任者の小川さんに伺いました。
▼動画はこちらからご覧になれます
<目次>
●「受かるための就活」をしてほしくない
●採用は、背中と人生を預け合うマッチングでありたい
●就活の不安を「どうありたいのか」を考える力に変えてほしい
「受かるための就活」をしてほしくない
──なぜ、最終面接の公開に応じてくれたのでしょうか?
小川:一番の理由は「受かるための就活」をしてほしくないからです。逆説的ですが、「何が行われているか分からないから受かりたい、対策して備えたい」という気持ちが湧くのではないかと常々考えていました。
しかし、就職活動は本来自分の人生の選択です。そして、就職以外の選択肢も現実的にたくさんある時代になってきています。そんな中で「選ばれるために何をしたら良いか」ではなく「自分の人生はどうありたいか。だからどういう選択をするか」に向き合ってほしい。そんな思いがありました。
そこで「何が行われているか」というブラックボックスを解消することで、「小手先の対策ではなく、本当に自分の人生に何を求めているのかを考えていいんだ」ということを知ってもらいたいと思い、今回の企画に応じました。
小川 篤史(おがわ あつし):株式会社ディー・エヌ・エー ヒューマンリソース本部 人材企画統括部新卒部
2016年DeNAに新卒入社。ブラウザゲームのプランナーとしてキャリアをスタート。その後リードプランナーやDeNA Games Tokyoにてプロデューサーを経験し、現在はヒューマン・リソース本部新卒部に所属。2019年より新卒採用および育成の責任者を務める。
──公開する上で、懸念はありませんでしたか?
小川:ありました。一番懸念していたのは、参加してくださる候補者の方の人生に与える影響です。人生の中でも大事なシーンで、お互いすべてを出し尽くしてマッチングを確認したいのが最終面接だと思います。
いかに「就活におけるブラックボックスを解消する」という大義名分があるとはいえ、「カメラがあることで緊張してしまって余計な力が入ってしまうのではないか」「企画のスケジュールの都合で本来なら十分に時間をかけて考えたかったことを考えきれずに臨むことになってしまうのではないか」といったことが心配でした。その他大勢の方との情報の非対称性を解消するために、目の前にいる一人の方の人生が天秤にかかるようなことになってはいけない、と撮影中もずっと気にしていました。
もう1つは、動画として編集されることで伝えたいメッセージが伝わらないのではないかという不安です。僕は面接で聞くことをチェックボックスのように準備して上から聞くということをしません。そのとき目の前にいる方一人一人に合わせて、確かめたいこと・確かめてほしいことをその人と対話する感覚で臨んでいます。
それが「こういうことが聞かれるから、こういう回答を用意するといいんだな」といった解釈をされることは本望ではありません。先に述べた通り、選ばれるマインドではなく、自分のために選ぶマインドで臨んでほしいと思っているからです。このことがきちんと伝わるのか、ひょっとしたら180度誤解をされてしまうのではないかという不安はありました。
採用は、背中と人生を預け合うマッチングでありたい
──確かに、今回の動画で出てきた質問の想定回答を考えることもできますよね。でも、それをしてほしくて公開しているわけではない、と。
小川:私の経験上、どうしても選考というものは候補者の方に「どう振る舞ったら受かるか」を考える力学を働かせてしまうと感じています。ですが、おそらくこれはどこの会社の人事も望んでいないのではないでしょうか。
誰と結ばれるかは人事にとって非常に大事なことです。同様に、どこの会社と結ばれるかは候補者の方の人生にとっても大事なことだと思います。だからこそ、新卒採用において、お互い背中と人生を預け合うマッチングが世界中で行われるようにしたいと考えています。が、現実はまだそこまで追いついてはいないのではないでしょうか。
今回、私は選考をオープンにするという手法でこの問題の解決に一石を投じたいと思いました。同じアプローチでも、はたまた異なるアプローチでも、志を共にする人事の方がいらっしゃれば、うれしいですね。
──この動画を見た学生の方には、就職活動にどのように臨んでほしいですか?
小川:繰り返しになりますが、どうやったら合格するのかということではなく、自分の人生はどうありたいのかということと向き合って、自分が道を選択するんだというマインドセットで就職活動に臨んでほしいです。
スラスラ答えられるかどうかといったことは気にしていません。これまで考えたことがないことは、その場で一緒に考えていきましょう。具体的な目標になってなくてもいいです。私も当時「これがやりたい」というものは正直なかったです。
やりたいことは経験する物事が増えればどんどん輪郭が見えてくると思います。そんな方はどうか「どうありたいのか」に目を向けてほしいです。そしてやりたいことがある方は、遠回りせずど真ん中に飛び込んでみてください。
皆さんが自分自身の人生に対して何を求めているのか、それはどうしてなのか。そういうことを対話していきたいと思います。そういったことを考えながら採用活動を行っているんだということを、この動画から感じ取ってもらえればと思います。
就活の不安を「どうありたいのか」を考える力に変えてほしい
──あらためてDeNAの面接で大事にしていることは何でしょうか?
小川:2つあります。1つは、常にお互いのマッチングを確認しあうことです。採用活動なので、もちろん弊社も弊社のために一緒に働きたい方を見立てたいと思っています。同時に、参加してくださる候補者の方にとっても、他の誰のものでもない自分の人生の選択として、未来の自分に胸を張れる選択をしてほしいです。
例えば友人やご家族、ひょっとしたら実態のない「ここにいけたらかっこいい」といったステータスなどに左右されないでほしいと思います。もちろん、いろんな方の意見や考え方に触れるのも時には大事だと思いますが、最後は自分の心と向き合ってほしいと思います。まさに思考の独立性です。
もう1つは、一期一会の出会いを通して会ってくださった候補者の方の人生にDelightを届けることです。どこの企業の採用活動でも合格・不合格というのはつきものです。出会ったからといって全員が結ばれるというわけにはいかないのが現実です。それでも、選考や採用活動を通して出会った方には「DeNAと出会ったことで自分の人生が豊かになった」となってほしいわけです。
新卒部のミッションに「挑戦者を惹きつけ、未来を創る」という言葉を掲げています。この「未来を創る」の部分にあえて「DeNAの」というのをつけていないのには意味があります。選考活動を通して出会ったけれどもDeNAに入社することにならなかった方々の人生にも、何か未来を切り開くヒントを届けたいという思いです。
DeNAとの出会いを通して新しい自分に気づいたり、人生の目標がクリアになったりといった経験をしていただきたいと思っています。
──ありがとうございます。最後に、本選考を控え不安を感じている学生への応援メッセージをお願いします。
小川:これは私個人の考えですが、不安はその不安と目いっぱい向き合うことでしか解消しないと思います。その不安のエネルギーをどうか「どうやったら受かるか」ではなく「自分はどうありたいのか」を考えることに向けてほしいと思います。他の誰のものでもない皆さんの人生です。他の誰かではなく自分でハンドルを握ってみてください。大丈夫です。できます。
▼「いきなり最終面接」の詳細はこちらからご覧になれます
いきなり最終面接