今や就活ランキングの上位を総なめにするほどの人気業界となったコンサルティングファーム。大手企業のCxOやエグゼクティブクラスが抱える経営課題を解決するため、戦略立案から実行支援まで並走するプロフェッショナル──こうしたイメージから、興味やあこがれを抱く方も多いのではないでしょうか。
一方で、「夏から就活しないと手遅れ?」「そうは言っても激務でしょ」「冷たくドライな社風なのでは」という先入観を持たれがちな側面もあります。
今回はその実態に迫るべく、2020年にベイカレント・コンサルティングに新卒入社した加藤木さん、西岡さん、萩野谷さんの3名にお話を伺いました。
3月1日に情報解禁がされ、これから本格的に就職活動を始める方も多いと思います。今からコンサルティングファームを受けるのは難しいのではないか。
そんなあなたの就活が変わるかもしれません。先輩たちの生の声を、ぜひ確かめてみてください。
最終締め切り間近、今からでもまだ間に合う
──コンサルティングファームは夏からの早期選考が主流なイメージがありますが、今からコンサルを志望しても間に合いますか?
加藤木:はい、まだ間に合います。ベイカレント以外にもエントリーを受け付けているファームはあるので、チャレンジする機会は十分にあると思います。私自身も就活を始めたのは大学院1年生の冬からでした。始めのうちはディベロッパーや銀行などを見ていましたが、ベイカレントの人事の方から「大学院の研究や部活動で夏に受けられなかった人も多くいる」と伺い、そこからエントリーをしました。
加藤木 俊廣(かとうぎ としひろ):東京大学大学院を卒業後、2020年ベイカレント・コンサルティングに新卒入社。エネルギー会社の新規事業開発、損害保険会社のDX戦略策定、ハイテクメーカーの海外市場調査などに従事。
西岡:私はもともと航空業界に絞って就活をしていて、コンサルの選考を受け始めたのは大学3年生の後半になってからでした。サマーインターンからの早期選考と比べると狭き門であることは間違いないですが、少しでも気になっているのであれば、まずは飛び込んでみることをおすすめします。
萩野谷:ただ、コンサルティング業界は採用スケジュールが全体的に早いため、エントリーの締切も早いです。年度によると思いますが、3月ごろにエントリーを締め切るファームが多かったと記憶しています。今年度の締切も近づいてきていると思うので、興味のある方は早めにエントリーしておいた方が良いですね。
──皆さんがコンサル業界に興味を持った理由を教えてください。
萩野谷:自己分析をする中で、課題解決が好きだと思ったからです。学生時代のアルバイトやサークル活動を振り返ると、裁量を持って多くの人と関わりながら課題に向き合うのが楽しかった。近いことができそうな業界を探して、コンサルに興味を持ちました。
萩野谷 風雅(はぎのや ふうが):慶應義塾大学を卒業後、2020年ベイカレント・コンサルティングに新卒入社。主に電力会社において、事業戦略策定・業務改善・システム導入まで一貫して支援。
加藤木:就活で面白そうな企業に出会っても「この業界・企業にキャリアを狭めて大丈夫か?」「希望の部署に入れないリスクがあるのでは?」と不安でした。コンサルならスキルと経験を積みながら、自分の適性がどこにあるかを見極められると考えました。
──西岡さんはもともと航空業界を志望していたそうですが、なぜコンサルに?
西岡:コンサルの説明会に参加したときに、クライアント一覧に航空業界を見つけたのがきっかけです。航空業界を志望する理由だった「ひとりの人間としてクライアントに価値を提供できる仕事」がコンサルにも共通していると気づいたことで、さらに魅力を感じるようになりました。実際に入社してからも、コンサルタントには人間力が求められると実感しています。確かに論理的な思考力や高度なスキルも求められますが、クライアントと信頼関係を築いていくための誠実さや気遣いも大切です。
西岡 慧子(にしおか さとこ):法政大学を卒業後、2020年ベイカレント・コンサルティングに新卒入社。主にフードデリバリー会社において、業務改善・UI設計・システム導入などに従事。
──数あるコンサルティングファームの中で、なぜベイカレントに入社を決めたのですか?
加藤木:プロジェクトの魅力、自身の成長環境、働き方や社風のフィット感などがあり、理由を絞るのは難しいですが、この場で1つ挙げるとすると、選考過程におけるフィードバックの手厚さです。ベイカレントは選考のたびに良かった点や改善点を伝えてくれました。他の会社では面接や面談のスケジュール調整くらいで、こんなにフィードバックがあったのはベイカレントだけでした。内定してからも、コンサルタントとして良いスタートダッシュを切るために手厚く入社準備のフォローをしてくれました。また、入社後も積極的にフィードバックするカルチャーがあると感じていて、日々の業務単位だけでなく、月ごとの振り返りも上司と行いますし、中長期のキャリアも相談させてもらっています。
西岡:私もそうでした。人事の方が「次の選考ではここを改善して頑張ろうね」と毎回フィードバックの連絡をくれて、他社の選考にも役立つほどでした。コンサルはちょっとドライな印象でしたが、ベイカレントでなら私もコンサルをやってみたいと思えました。
先輩や上司のサポートを受け、入社2カ月目からクライアント役員と対面
──ここからは実際に入社後のことをお聞きします。まずは、これまで経験した業務について伺えますか?
西岡:私の初プロジェクトは、大手フードデリバリー会社のクライアントです。入社して1カ月間の研修を終え、プロジェクトにアサインされて間もなく執行役員へのヒアリングを担当することになりました。クライアントからすれば私が新卒1年目の社員かどうかは関係のないことで、緊張しながらも一人のコンサルタントとしてエグゼクティブクラスと対峙(たいじ)する経験をさせてもらいました。
コロナ禍で日本のフードデリバリー市場は急拡大しており、国内外からも多くの競合が参入しています。執行役員の方はサービスやテクノロジーなど、あらゆる角度から競合との差別化を常に考えていて、成長性の高い事業ならではの視座の高さやスピード感を覚えましたね。
──いきなり役員と対峙することになり不安はありませんでしたか?
西岡:はい、はじめお話をいただいたときはとても緊張しましたが、先輩や上司のサポートがあったので前向きに取り組めました。ヒアリング用の資料を準備する際も先輩が丁寧にレビューしてくれましたし、上司からは「失敗してもいいよ。西岡さんらしく自信を持って聞いておいで」と送り出してくれました。当日はこれだけ準備したから大丈夫と、落ち着いて臨むことができました。
戦略立案から実行まで。未来の主力事業をクライアントと創出する
──萩野谷さんは、どのようなプロジェクトが印象に残っていますか?
萩野谷:電力会社の新規事業に、戦略策定からその後の実行フェーズまで約1年にわたって携わったことです。記憶に残っているのは、自分たちが策定した戦略なので、実行フェーズもスムーズに進められたことです。戦略と実行が分離してしまうと、きれいなプランを描いたものの、どのように運用するかが置き去りになってしまうこともあると思います。また余談ですが、実行フェーズまでクライアントと一緒に進めることで、日に日にクライアントと信頼関係が深まっているなと感じられました。プロジェクトの最後に「ベイカレントさんのおかげでうまくいったよ、本当にありがとう」と温かい言葉をかけていただけたのはうれしかった瞬間です。
──加藤木さんはいかがでしょうか。
加藤木:入社後に初めて参画したプロジェクトが印象に残っています。エネルギー会社の新規事業をグローバル展開するための戦略策定を支援する案件で「どの国に進出するか」「事業スキームをどうするか」「どんなパートナー企業とアライアンスを組むか」などの論点がありました。私はパートナー企業候補とのフロントを任され、候補先の選定から、当日のディスカッションにつながる部分まで、海外の現地企業と連絡を取り合いました。日本企業が海外でビジネスを展開する上で、パートナー選定は成功のカギを握ります。こんな重要な役割を1年目から任せてもらえて、難しさもありましたが大きなやりがいを得られました。
──新規事業の海外進出を支えるプロジェクトは、社会的なインパクトの大きさを感じられそうですね。
加藤木:そうですね。特に、今回の新規事業は廃棄物リサイクルに関するものだったのですが、まさに今トレンドのSDGs関連です。国際的に化石燃料に対するバッシングが高まる中で、クライアントの期待値も極めて高く、今回の新規事業を未来の主力事業へと育てようとする熱量をひしひしと感じました。
限られた時間で集中して成果を出す
──皆さんが担当しているプロジェクトの内容や、やりがいが伝わってきました。一方で、「激務そう」というイメージからコンサルを敬遠する就活生も少なくありません。実際に働いてみて、どうお感じですか?
西岡:私も入社前はやはり不安に感じていましたが、実際遅くまで働くことは基本的になく、残業していると注意されるくらいです。もちろんプロジェクトの過渡期に一時的に忙しくなることはありますが、先輩と相談しながら優先順位を決めて業務を進めています。
萩野谷:ベイカレントでは月間の残業時間が平均20時間程度と入社前に聞いていましたが、「いやいや、絶対に嘘(うそ)でしょ」と疑っていました(笑)。入社して驚きましたが、実際にプロジェクト単位で稼働時間が厳密に管理されています。むしろダラダラと残業ができない分、生産性を追求するようになるので、タイムマネジメント能力が鍛えられます。ただ、コンサルタントに求められる要求レベルは高いため、限られた時間で成果を出し切る大変さもありますね。一方で、成果を出していれば柔軟に予定を調整できます。お子さんの送り迎えのために一時的に業務を離れる先輩もいます。
──コンサルは冷たくドライな社風だと思われることもあります。ベイカレントはどんな雰囲気ですか。
加藤木:ベイカレントは人の温かさを感じる会社です。プロジェクトで関わる上司や先輩たちは親身な方ばかりで、私の成長を願ってくれているのが伝わってきます。会社のカルチャーとして、面倒見のいい人が多いと思います。
萩野谷:いい意味でコンサルっぽくない人が多いです。ロジカルでありながら、感情も尊重して寄り添ってくれます。ファーストアサインのプロジェクトで、上司が小さなことも毎回褒めてくれたんです。右も左も分からない新人に「ここが良かったよね」と前向きなフィードバックを欠かさずにしてくれたおかげで、少しずつ自信がついて新しいチャレンジに取り組みやすくなりました。もちろん、改善点もしっかりフィードバックしてくれたので、コンサルタントとして良いスタートを切れたと思います。
──「冷たくドライな社風」とは全く異なりますね。
西岡:成果を出すために積極的に取り組んでいれば、周りがサポートしてくれる環境です。また業務以外でも、Zoom飲み会をしたり、休日にカフェ巡りをしたりと、プライベートでも親しくさせてもらっています。
萩野谷:コロナ禍ということもあり、私は上司の家でのホームパーティに招いていただきました。普段とは違う父親としての上司の顔も見ることができました(笑)。入社前はこんなイベントがあると思いませんでした。
「ワンプール制」で領域に制限されず、自分ならではの市場価値を高めていく
──最後に、キャリアについてお聞きします。近年の採用増によってコンサルタントのコモディティ化が進み、人材としての市場価値が高まらないのではないかという声もあります。皆さんは、こうした意見にどう思いますか?
西岡:後輩の代の応募者数を聞いて驚くことはありますね。一方で、コロナを追い風にして多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)や新たなサービスの立ち上げに乗り出しているので、同時にコンサルのニーズや支援領域も拡大し続けていると感じます。中でもベイカレントはDX領域に強みがあるので、近年のマーケットニーズにお応えできるコンサルタントとして市場価値を高められている実感があります。
萩野谷:コンサル業界というくくりではコモディティ化が進んでいくかもしれません。しかし、自分自身がなりたいコンサルタント像を描き、専門性や強みを磨くことで市場価値を高めて未来を切り開くことは可能だと考えます。ベイカレントは特定のインダストリーやファンクションにセクター配属しない「ワンプール制」を敷いているので、自分が関わりたい領域を選びながら多様な経験を積むことができます。結果として、複数の専門性を身につけ、領域の垣根を越えて横断的な支援ができるコンサルタントとして成長できると考えます。
先輩方を見てみても、やはり多様な経験を通じてそれぞれの専門領域を磨いて活躍しています。私自身もこれまで携わってきたインフラ業界を専門の一つとして究めつつ、他領域の専門性も磨いていきたいと考えています。
加藤木:私は多様なプロジェクト経験を通して、自分にどんな適性があるかを見極めている段階です。ワンプール制のもう一つの良さとして「今は幅広い業界に関わりたい」という希望も叶(かな)えられます。定期的にキャリアサポート担当との面談もあるので、興味のある業界や領域を伝えれば、できる限り配慮してくれます。例えば私の場合、エネルギー業界のプロジェクトを経験後、金融業界にも興味があると伝えたら、次は損害保険会社のプロジェクトに参画する機会をいただきました。今後も多様な経験の中で、自分自身の適性を見つけ市場価値を高めていきたいと思います。
──最後に、就活生へのメッセージをお願いします。
加藤木:就活は大変なこともありますが、多様なバックグラウンドを持つ社会人や学生と会話できるチャンスだと思います。自分の知見を深める意味でも、幅広く企業を検討されると良いと思います。
西岡:私自身もそうでしたが、自分の人生を振り返り企業研究を進める中で、思いがけない出会いや発見があります。あまり先入観を持たず、視野を広げてみてください。
萩野谷:コンサルティングの仕事に少しでも興味がある方は、ぜひその思いを大切にしてチャレンジしていただきたいと思います。成長意欲の高い方と一緒にプロジェクトができる日を楽しみにしています。
──皆さん、ありがとうございました。
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ベイカレント・コンサルティング
【ライター:中山明子/撮影:保田敬介】