こんにちは、ワンキャリ編集部です。
JR東海(東海旅客鉄道)(以下、JR東海)は多くの学生から人気を誇るインフラ企業の代表格で、内定者は総合職事務系で28人、技術系で67人(参考:東海旅客鉄道株式会社「2021年度 採用内定者数(予定)について 」)とかなりの狭き門となっています。
JR東海の総合職は以下の5つの系統に分かれているのが特徴です。
(1)事務
(2)運輸
(3)車両・機械
(4)施設
(5)電気・システム
この記事では、JR東海の総合職の事務系統(文系採用枠)について選考対策の具体的なポイントをまとめました。選考前にぜひご一読ください。
<目次>
●JR東海の社風
●JR東海の本選考のポイント
●JR東海の本選考のフロー
・1. エントリーシート(ES)
・2. リクルーター面談
・3. 1次面接
・4. 2次面接
・5. 最終面接
●おわりに
▼JR東海のビジネスについて、詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください
JR東海の社風:「正統派鉄道インフラ企業」
営業利益率No.1。東海道新幹線を武器に鉄道事業に専念
近年多くの鉄道事業会社が軒並み事業の多角化を行う中、JR東海は東海道新幹線を武器に鉄道事業をメインに展開する正統派鉄道インフラ企業です。
鉄道事業を専門に展開できている背景には、同業他社と比べても圧倒的な事業安定性があります。
事業の安定性は以下の2つから説明できます。
(1)市場規模は国内総生産(GDP)6割を占める東名阪地域をカバー
JR東海の営業エリアは日本の大動脈とも呼ばれ、日本のGDPの6割を占めると言われる地域です(※1)。東京・名古屋・大阪という日本の3大都市を結ぶ東海道新幹線を有していることから、その影響力の大きさが推察できます。
(2)圧倒的業界1位の営業利益率約35.6%
JR東海の営業利益率は約35.6%で、同業他社(東京メトロ:約19.4%、JR東日本:約12.9%、東急:約5.9%)と比べても圧倒的に高い数値となっています(※2)。
これは赤字路線の多い在来線の割合が小さく、東海道新幹線がメイン事業になっているためです。
以上のことから、業界全体が事業多角化のフェーズにある中で、今なお鉄道インフラ事業で安定して利益をあげるJR東海は、鉄道事業に集中できる正統派鉄道インフラ企業といえるでしょう(選考対策ページより)。
(※1)参考:東海旅客鉄道株式会社「社長からのメッセージ」
(※2)参考:【業界研究:鉄道】鉄道会社6社「JR東海・東日本・西日本・東急・東京地下鉄・近畿日本鉄道」の魅力や事業・業績・社風の違いを徹底比較!
リニア事業や海外事業展開に挑戦
上述の通りJR東海は安定した収益基盤を持っていますが、それでもなおリニア事業や海外事業展開などに挑戦しています。これは「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という企業理念のもと、挑戦し続ける姿勢が全社的にあるためです(※1)。
(1)超電導リニアによる中央新幹線、国からの財政投融資は総額3兆円
JR東海は東海道新幹線に次ぐ最新の鉄道インフラとして、超電導リニアによる中央新幹線計画の推進をしています。
日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線は、開業から50年以上が経過し、将来の経年劣化や東日本大震災を踏まえた大規模災害への備えを抜本的に見直しています(※3)。鉄道事業における安全確保と競争力強化を目的とし、将来的にJR東海を代表する事業の一つとなるでしょう。
この事業は国からの財政投融資総額3兆円を借り入れるなどの大型の事業となっており(※3)、ある社員は「リニアは日本が世界に誇れる技術の最後の砦(とりで)であり、日本の国益のための重要な事業」と話しています(選考対策ページより)。
(2)高速鉄道システムの海外展開を推進
JR東海は日本の高い鉄道インフラ技術を、日本にとどまることなく海外に提供しようと試みています。実際に、日本での鉄道事業の運用で得た高い技術力の輸出を積極的に行っています。
一例を挙げると、安全性・正確性において世界に比類のない実績を持つ東海道新幹線システムを米国テキサス州に、超電導リニアシステムを米国北東回廊に展開中です。他にも、2014年には台湾にて技術コンサルティングを受託するなど、さまざまな国と地域で事業展開と独自の技術提供を行っています(※4)。
以上のことから、JR東海では東海道新幹線という安定した事業を引き継ぎつつも、日本を支えるための新事業へ挑戦し、高速鉄道市場の拡大、技術の維持強化をはかることで世の中の発展に貢献しています。
(※3)参考:東海旅客鉄道株式会社「超電導リニアによる中央新幹線」
(※4)参考:東海旅客鉄道株式会社「海外展開」
JR東海の選考のポイント:「圧倒的第一志望」であることを示す
JR東海の選考では志望度の高さを示すことは欠かせないポイントです。
特に以下の2つの視点を持っておくのが良いでしょう。
鉄道会社が担う本質的な価値の理解
上述のように、JR東海は日本の中心エリアを支えるインフラ企業です。
日本の大動脈輸送の安定と責任を担う「誇り」と「使命感」こそが、鉄道業の本質的な業務という高い意識を全社員が共通して持っています。代表取締役によると「日本経済や国民生活を支える重要なインフラ企業として、その誇りと使命感を常に持ち、経営理念をより高いレベルで実現していくことこそが、当社の本質的な姿です」と述べています(※1)。
JR東海への強い志望度
JR東海は中途採用を一切行っていません。新卒の総合職が今後のJR東海の経営を担っていくことが期待され、終身雇用を大前提としています。
したがって、新卒採用においてJR東海への思いの強い学生を取ろうとしていると考えられるでしょう。
求められる思いの強さは、ある内定者の「国家試験の日程と最終面接の日程を被せられてしまい、最終面接までにキャリアを決定することを求められた」という話からも伺えます(選考対策ページより)。
JR東海の本選考のフロー
JR東海の本選考の選考フローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. リクルーター面談
3. 1次面接
4. 2次面接
5. 最終面接
それでは各選考を見ていきましょう。
1. エントリーシート(ES):「志望理由」と「ガクチカ」を重視
JR東海の2021年卒のESは以下の通りです。
(1)大学での研究・ゼミ・授業などで学んだ内容について(150字程度)
(2)当社への志望理由(250字程度)
(3)学生時代に最も打ち込んだことなど自由に自己PR(550字程度)
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考のES
(1)字数が少ないため、端的に内容が伝わるよう心がけよう
ESの段階で詳細まで触れることは難しいかもしれませんが、「自分が何をどのように工夫して成し遂げたのか」を面接官が一読してイメージできるように、端的に分かりやすく書きましょう。
このESは後の全ての面接で使用され、詳しく深掘りされます。字数の少なさから、大学での研究内容や、ゼミの内容は選考でそこまで詳しく聞かれないでしょう。
(2)最後まで問われ続ける志望理由。なぜJR東海がいいのかさまざまな観点から示そう
JR東海は就活生の志望度の高さを重視しているため、他社や業界と比較した観点や、鉄道業界の魅力、社員から聞いた話などさまざまな観点からJR東海をなぜ志望したのか示しましょう。この際、内容の羅列にならないよう論理性に気を付けながら書いてください(選考対策ページより)。
・JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考のES(例1/例2/例3)
2. リクルーター面談:場合によっては倍率100倍も! 3回にわたる大学ごとの面談
JR東海においては、ES提出後に同じ大学の先輩社員とのリクルーター面談が計3回行われます。リクルーターチームは大学ごとに違うそうなので、内容が異なる場合もあります。その点は必ず留意しましょう。
2021卒のJR東海のリクルーター面談は、社員1人と学生1人の個人面談でした。所要時間は1時間程度で、以下のような質問がされました。
▼1回目:雑談のような雰囲気
・志望理由
・(ESについて)学生時代に打ち込んだことについて
▼2回目:1回目より年次が上がる
・(ESについて)学生時代の話
・志望理由
・「最近気になっているニュースはありますか」という質問がされる場合あり
▼3回目:2回目よりさらに年次が上がる(入社15年目)
・雑談中心の場合と、2次面談より経験を深掘りされる場合の2種類あり
┗内定者の多くは雑談の場合が多い
<全3回のリクルーター面談における主な質問内容>
・他社の選考状況について
・就活の軸について
・JR東海の志望度について
・JR東海でやりたい仕事について
・学生時代に打ち込んだことについて
・最近気になっているニュースは
・今の日本に対してどう思うか
・逆質問
など
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考のリクルーター面談
リクルーター面談の倍率は非常に高く、選考における大きな関門といえます。いずれもホテルのラウンジなどで行われるためフランクな雰囲気ではありますが、リクルーターの後押しで人事面接のやりやすさも変わってくるため、選考されていることを意識して行いましょう。
それぞれの面談の簡単な特徴は以下です。
・1次面談:ESで書いたエピソードの深掘り、JR東海に対する関心についてのネガティブチェック、社員の経歴について
・2次面談:過去のエピソードの深掘り(1次と異なる経験を聞かれる傾向が高い)、時事問題への感度の高さのチェック 、社員の経歴について
・3次面談:志望度の高さについての深掘り、人事課長面接に通せる学生かのチェック
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考のリクルーター面談
実際ある社員は「大学によっては100倍近くに相当する」と話すほか、「1次面接のスロットを見てもほとんどリクルーター面談で切られていると感じた」と内定者は振り返っていました。
主に聞かれるのは「志望度/志望理由」「学生時代に力を入れたこと」です。この2点はESでも聞かれるため、面接官に納得感を与えられるよう事前に準備しておきましょう(選考対策ページより)。
3. 1次面接:JR東海総合職としての資質を示せるか
2021卒のJR東海の1次面接は人事社員1人と学生1人の個人面接でした。所要時間は30分程度で、以下のような質問がされました。
・学生時代に力を入れて取り組んだこと
・志望動機
・入社後に取り組みたい仕事
・就活の軸
・他社の選考状況
・逆質問
など
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考の1次面接
実際に選考を受けた内定者は1次面接について「マッチング重視という感じの面接の雰囲気で、厳しい緊張感はなかった」と振り返っています。
この面接から人事社員が面接官として登場し、今までESから聞かれていた質問はもちろん、「JR東海の総合職としてふさわしい人物か」を確認する選考であるともいえます。例えば「時事問題への感度」、「志望度の高さ」などについて入念に深掘りが行われます。気を引き締めて臨みましょう。
また人事面接は選考の最終段階であるため、事前に他社の選考状況についての筆記アンケートの記入が求められ、かつ面接でもそのアンケートについて指摘されます。他社の選考状況を記入する際も、他業界と比較してなぜJR東海がいいのか示せるようにしましょう(選考対策ページより)。
4. 2次面接:実質の最終面接、圧倒的な志望度を示そう
2021卒のJR東海の2次面接は人事課長1人と学生1人の個人面接でした。所要時間は30分程度で、以下のような質問がされました。
・学生時代に打ち込んだことについて
・時事問題についての意見
・他社の選考状況
・その中でのJR東海の志望度
・もし内々定が出たら就活を辞めるか
など
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考の2次面接
実際に選考を受けた内定者は2次面接について「それまでの面接と比べると緊張感があった」「この面接を通過すると実質内定だと思う」と振り返っています。
次の最終面接が意思確認程度であることを考えると、この面接が実質最終面接といえるでしょう。
2次面接でもよく聞かれる問いの1つが「時事問題への意見」。この質問への回答を通じて、「時事問題への高い感度」を示すことが面接通過のためには必須です。
事前に日経新聞などで情報を収集し、自分の意見を語れるニュースを用意しておきましょう。複数聞かれても即座に応えられるように気になるニュースを5つ程度用意しておくことをおすすめします。
また、「安全のためには何が重要であるか」など、JR東海の安全綱領に関する質問をされる場合があったようです。回答ができなくても通過した学生もいたようですが、通過の確率を少しでも上げるためにもチェックしておくと良いでしょう。
最終面接に呼ばれている学生は、これまでの面接を通じて面接官に素質や人柄を高く評価されています。そのうえで、絞り込まれる1番の要因は相対評価である可能性があります。
ある内定者は「今までの選考フローでは即日か翌日に連絡が来たのに、この選考のみ面接の枠がすべて終わってから連絡が来た」と話していました。周りの学生と比べて志望度で劣ると重大なビハインドとなり得るため、JR東海に入りたいという熱い思いを伝えましょう。当日の受け答えでも熱意を出すことを意識してください。
熱意を示す方法として、入社後の「やりたいこと」および「内定を出して大丈夫か=他社に行かないか」について、より作りこんだ志望理由を用意しましょう(選考対策ページより)。
5. 最終面接:第一志望であることが固まっていれば意思確認の場
2021卒のJR東海の最終面接は人事部長1人と学生1人の個人面接でした。所要時間は20分程度で、以下のような質問がされました。
・自己紹介
・今まで面談であった社員の感想に関して
・他社の選考状況に関して
・JR東海の志望度
など
<学生によっては以下のような質問もされる>
・自分の好きなところを10個挙げてください
・好きな四字熟語に関して
・入社するまでの過ごし方について
・逆質問
など
※出典:JR東海(東海旅客鉄道)|総合職2021年卒本選考の最終面接
最終面接ではひととおり質問がされますが、それまでの面接で高い志望度を示し続けていた場合、その場で内々定通知が出る意思確認の場です。
しかし「落ちる学生も少なからずいる」というリクルーター社員の発言もあり、油断は禁物です。
就活を辞める覚悟、最低限の身だしなみに気を付けて入社したいという意思を伝えましょう(選考対策ページより)。
おわりに
いかがでしたか? 皆さまの選考対策のお役に立てれば幸いです。
さらに詳しい「選考対策ページ」と「クチコミ」はこちらをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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