こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は「生産管理職」についてご紹介します。生産管理の仕事内容や向いている人の特徴、就活で有利に働く資格まで解説します。将来性やその魅力、きついと言われる理由、キャリアパスのご紹介もしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
<目次>
●生産管理とは? 生産管理職の仕事内容と魅力
・生産管理とは? その基礎知識を解説
・生産管理の業務内容
・製造管理との違い
・効率的な生産管理を誇る企業例
●「生産管理の仕事はきつい」は事実?
・生産管理がきついと言われる理由
・不安を解消するためには
●生産管理のキャリアパス・転職事例
・生産管理職の主なキャリアパス
・他職種・未経験からのキャリアパス・転職事例
・生産管理職から他職種へのキャリアパス・転職事例
●生産管理のやりがい・働くメリット
・働く上でのやりがい
・生産管理の年収・待遇
・生産管理の将来性
●生産管理に向いている人
・求められる素養4つ
・有利に働く資格4つ
●生産管理職での選考に向けた対策
・エントリーシート(ES)対策
・Webテスト対策
・面接対策
・OB・OG訪問
●おわりに
生産管理とは? 生産管理職の仕事内容と魅力
生産管理とは、製品の製造工程を最適化し、品質・コスト・納期(QCD)を管理する仕事です。工場や製造ラインの円滑な運営を支える重要な役割を担い、計画の立案や進捗(しんちょく)管理、在庫調整など多岐にわたる業務を行います。
生産管理職の魅力は、ものづくりの現場を支えながら、業務改善によって企業の成長に貢献できる点です。また、論理的思考力や調整力が求められ、スキルを磨くことでキャリアアップのチャンスも広がります。
ここでは、生産管理の仕事内容や求められるスキル、業界の動向について詳しく解説します。
生産管理とは? その基礎知識を解説
生産管理とは、生産計画に基づき、製造業務全体を管理する役割を指します。具体的には、生産計画の立案・購買計画の作成・品質管理・原価管理など多岐にわたる業務を担います。
多くの製造業では、生産管理を専門に行う部門を設置し、業務の調整役として機能しています。また、生産管理と似た概念に工程管理や製造管理がありますが、それぞれ管理範囲が異なります。
工程管理は製造工程の進行や品質を管理する業務であり、生産管理の一部に含まれます。一方、製造管理は組立や加工といった現場の作業を管理する業務です。
生産管理の目的は、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)を最適化し、企業の利益を最大化することにあります。
生産管理の業務内容
生産管理の業務は多岐にわたり、製造プロセス全体を効率的に運用するための計画・調整が求められます。ここからは、生産管理の具体的な業務内容について詳しく解説します。
需要予測・生産計画
需要予測は、生産管理の最初の重要な業務です。
過去の受注データや季節変動、景気の影響を分析し、今後の受注量を予測します。誤った予測は、在庫不足による販売機会の損失や、過剰在庫による収益悪化を招くため、正確な予測と社内での共有が不可欠です。
その後、需要予測をもとに生産計画を立案します。生産計画では、資材の調達量や生産期間、設備や人員の配置などを調整し、効率的な生産スケジュールを作成します。
製造現場の状況を的確に把握しながら、納期遅れの防止や生産性の向上を図ることが求められるでしょう。
調達や購買の計画・発注管理
生産計画に基づき、必要な資材を適切に調達することも重要な業務です。
資材が不足すれば生産が滞り、過剰に仕入れると在庫コストが増加し、利益を圧迫します。そのため、需要予測をもとに適正な量を仕入れる計画を立てることが求められます。
また、コスト管理も重要なポイントです。品質基準を満たしつつ、信頼できる仕入先を見極め、安価に調達することで、生産コストの削減につながります。
調達計画を適切に立て、コストを抑えながら安定供給を実現することが、生産管理の重要な役割の1つです。
生産実施・進捗管理
生産実施とは、生産計画と調達計画に基づき、製造作業を実行することです。計画通りに進めることが理想ですが、トラブルや急な変更が発生する場合もあるため、余裕を持った生産スケジュールが求められます。
進捗管理は、生産を計画通りに統制するための重要な業務です。生産が遅れれば納期に影響し、品質やコストにも悪影響を及ぼします。
そのため、状況を常に把握し、問題が発生した際は迅速に対応することが不可欠です。計画的な生産実施と適切な進捗管理により、QCD(品質・コスト・納期)を維持し、企業の利益を確保できます。
工程管理・外注管理
工程管理は、生産計画に基づいて製造の各工程が適切に進むように管理する業務です。
生産管理が製造全体を統括するのに対し、工程管理は各工程の進行状況を把握し、スムーズに進めることが目的です。進捗の遅れや品質トラブルが発生した際は、迅速な対応が求められます。
また、外注管理も重要な役割の1つです。外部の協力会社に生産を委託する場合、納期・品質・コストの調整が必要です。適切な外注先の選定や綿密な進捗管理を行うことで、安定した生産体制を維持し、全体の生産効率を向上させることができます。
在庫・原価管理
在庫管理は、単に在庫数を把握するだけでなく、生産計画や調達計画と連携しながら適正な在庫量を維持する業務です。
在庫は「現金化待ちの資産」であり、適切に管理すれば利益率が向上しますが、過剰在庫はコスト増加や廃棄ロスの原因となります。そのため、在庫の最適化が求められます。
原価管理は、製造にかかるコストを把握し、利益向上のために分析・管理する業務です。予算と実績の差を常に確認し、無駄を削減することでコストダウンにつながります。
日々のデータ分析を行い、業務改善を推進することが、企業の収益を支える重要な役割といえるでしょう。
品質管理
品質管理は、製品の品質検査や不良品対応を通じて、QCD(品質・コスト・納期)を確保するために不可欠な業務です。品質基準を満たすために、資材から完成品まで細かくチェックし、不良品の発生を防ぐことが求められます。
万が一、不良品が発生した場合は、製造日やロット番号を特定し、問題の原因を迅速に解明することが重要です。これにより、再発防止策を講じ、製品の信頼性を維持できます。
品質管理を徹底することで、企業のブランド価値を高め、顧客満足度の向上にもつながります。
製造管理との違い
製造管理と生産管理は、どちらも製造業において重要な役割を担いますが、管理範囲が異なります。
製造管理は、製造現場のオペレーションを円滑に進めることが目的で、機械や設備のメンテナンス、人員配置、作業の最適化などに重点を置きます。
一方、生産管理は、生産計画の立案や生産量の調整、納期管理など、全体の生産フローを統括する役割を持ちます。需給バランスを考慮しながら、生産効率を最大化することが求められます。
製造管理が現場の運営に直結するのに対し、生産管理は広い視点で計画を立て、全体最適を図ることが特徴です。どちらも製造業の成功に不可欠な業務です。
効率的な生産管理を誇る企業例
生産管理の手法は企業ごとに異なりますが、特に日本の製造業には世界的に評価される効率的な管理システムを持つ企業が多く存在します。ここでは、企業がどのように生産管理を進化させているのか、具体例を用いて詳しく解説します。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、独自の生産方式「トヨタ生産方式(TPS)」を採用し、世界中で高く評価されています。TPSの目的は、ムダを排除し、品質・コスト・納期(QCD)を最適化することです。その核となるのが、「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の2本の柱です(※1)。
「ジャスト・イン・タイム」は、必要なものを必要なときに必要なだけ生産し、在庫を最小限に抑える仕組みです。
一方、「自働化」は、機械に異常検知機能を持たせ、不良品の流出を防ぐと同時に、人が単純作業に縛られない生産環境を作ることを目的としています。
これらの徹底的な改善活動により、高品質かつ効率的な生産を実現しています。
(※1)出典:トヨタ自動車「トヨタ生産方式」
ソニー (SONY)
ソニーは、高度な生産技術を活用し、品質とコストの両面で優れた生産管理を実現しています。
同社の強みは、製造工程の最適化や自動化技術の開発にあります。製品の性能を最大限に引き出しながら、効率的な生産を可能にしています。
また、ODM・OEMによる製造受託も行っており、映像機器や医療機器など、多様な分野で高品質な製品を提供しています。厳格な品質管理のもと、ISO13485認証を取得した工場で医療機器の生産も実施しています(※2)。
さらに、仮想工場を活用した「生産CAE」により、試作なしで製造プロセスを最適化するなど、革新的な生産管理手法を導入し、業界をリードし続けています。
(※2)出典:ソニー「生産/設備設計」パナソニック
パナソニックは、効率的かつ高品質な生産管理を実現するために、「ミックス生産方式」を導入しています。
この方式では、異なる機種の製品を同一ラインで生産し、需要変動に柔軟に対応できることが特徴です。バーコード管理技術を活用し、各製品に適した部品供給を行うことで、作業の正確性を向上させています。
さらに、全製品に対して「全数検査」を実施し、品質基準を厳格に管理。製造現場の清潔性向上にも力を入れ、整理整頓された環境で高品質な製品を生産しています(※3)。
また、作業者の負担を軽減するレイアウト変更や設備改善を積極的に行い、効率的で安定した生産体制を確立しています。
(※3)出典:パナソニック「高品質を実現するものづくりの現場」村田製作所
村田製作所は、独自の生産管理システムを開発し、効率的なものづくりを実現しています。その核となるのが、サプライチェーンマネジメント(SCM)とエンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)の統合です。
SCMでは、受注情報をもとに生産計画を立案し、資材の発注や納期管理を最適化しています。一方、ECMでは、新製品開発の初期段階から生産技術を組み込み、独自の内製設備を開発することで、高品質かつ経済的な生産を可能にしています。
さらに、ビッグデータを活用し、不良ゼロ(ゼロディフェクト)を目指す生産管理を実施しています。従業員一人一人が品質向上に取り組むことで、顧客満足度の高い製品を提供し続けているといえるでしょう(※4)。
(※4)出典:村田製作所「コンピタンスを生み出すムラタのモノづくり」
「生産管理の仕事はきつい」は事実?
生産管理の仕事は、納期やコスト、品質を守るために多くの調整業務が発生し、「きつい」と言われることもあります。特に、トラブル対応や急な生産計画の変更に追われることが多く、プレッシャーを感じる場面も少なくありません。ここからは、生産管理が「きつい」と言われる理由を解説します。
生産管理がきついと言われる理由
生産管理は、納期・コスト・品質を維持しながら生産を円滑に進める役割を担うため、業務負担が大きい職種です。
生産計画の変更やトラブル対応が頻繁に発生し、現場との調整や管理業務に追われることも少なくありません。また、工場の稼働時間に合わせた勤務体系となることが多く、シフト勤務や長時間労働が発生するケースもあります。
さらに、生産効率を向上させるための改善活動も求められ、プレッシャーを感じる場面も多いのが実情です。
実際の働き方と職場環境
生産管理の仕事は、工場の稼働状況や生産計画に合わせて業務が変化し、多くの部門と連携しながら進めるのが特徴です。
一般的な1日の流れとしては、朝のミーティングで当日の生産状況を確認し、工場巡回や資材手配、出荷調整などを行います。設計部門や生産技術部門との会議も頻繁にあり、スケジュール管理が重要です。
職場はメーカーの工場が中心で、正社員・契約社員・パートなど多様な雇用形態が存在します。勤務時間は企業ごとに異なり、24時間稼働の工場では3交代制が採用されることもあります。
不測の事態が発生すると残業が発生しやすいですが、近年はIT化が進み、効率化が図られています。
生産管理が抱える課題
生産管理は、製造業の安定稼働を支える重要な役割を担いますが、多くの課題に直面しています。
特に深刻なのが人手不足と技能伝承です。熟練作業者の高齢化と退職が進むなか、技術やノウハウの継承が難しくなっています。若手の確保・育成も課題であり、現場の技能レベルの維持が求められます。
また、多品種少量生産への対応も大きな問題です。市場の変化に伴い、製品ライフサイクルが短縮され、小ロット生産が主流になっています。そのため、生産の柔軟性や段取り換えの迅速化が不可欠です。
さらに、グローバル競争の激化により、人件費や原材料価格の高騰が進み、コスト競争力の維持も大きな課題となっています。
課題の改善への取り組み
生産管理の課題を解決するため、デジタル技術の活用が進んでいます。
技能伝承の課題には、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を用いた教育システムの導入が有効です。熟練作業者の技術をデジタル化し、若手の技能習得を支援することで、標準作業の徹底と品質の安定化が図れます。
また、IoTセンサーを活用した設備監視の自動化も効果的です。設備の稼働状況や異常をリアルタイムで検知し、監視業務の効率化や早期対応が可能になります。
さらに、蓄積したデータを分析することで、設備保全の最適化や予防保全の強化につながり、生産性の向上が期待されています。
不安を解消するためには
生産管理の仕事に興味はあるものの、どうしても働く前までは不安を感じてしまう人はいないでしょうか?
しかし、職場のリアルな情報を収集することで、こうした不安を解消できます。
不安を解消するための代表的な方法として、以下の2つが挙げられます。
- 社員の生の声を聞く
- 職場の支援制度を調べる
ここでは、それぞれの具体的な方法について詳しく説明します。
社員の生の声を聞く
実際に働いている社員の話を聞くことは、職場環境や業務の実態を知る上で非常に有効です。企業の公式サイトや採用情報だけでは分からない、現場のリアルな雰囲気や働き方を把握できます。
具体的な方法として、以下の3つの方法を活用してください。
- 知人に話を聞く
:周囲に生産管理の仕事をしている人がいれば、直接会って話を聞く - 企業の座談会や説明会に参加する
:企業が開催するイベントで、現場社員の話を聞ける機会を活用する - クチコミサイトを活用する
:知人に該当者がいない場合、オンラインのクチコミサイトや社員のインタビュー記事を参考にする
ワンキャリアでは、転職しやすい職種や転職体験談など、実際の社員の話をベースにした詳しい情報を集めた「ワンキャリアプラス」サービスを提供しています。少しでも気になる方はぜひ活用して参考にしてください。
▼社員の生の話を詳しく知りたい方はこちら ・ワンキャリアプラス
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職場の支援制度を調べる
生産管理の仕事では、職場のサポート体制や福利厚生も重要なポイントです。企業がどのような支援制度を用意しているかを事前に確認することで、自分にとって働きやすい環境かどうかを見極めることができます。
そこで、以下の3つのチェックすべきポイントを意識しながら調べましょう。
- 労働環境:残業時間の規制、休日の取得状況、勤務形態(シフト・固定)
- ライフイベントへの対応:育児休暇や復職支援、時短勤務の有無
- 研修・キャリア支援:OJT(On the Job Training)の充実度、スキルアップのサポート
特に、女性の場合は、「ライフイベントへの対応」がキャリア形成に大きく影響するため、企業の制度を詳しく確認することが重要です。
これらの情報は、企業の採用ページにまとめられていることが多いため、公式サイトで確認すると良いでしょう。
このように、以上の2つの方法を活用しながら、企業の情報だけに頼らず、実際の働き方をイメージできるよう、対策しておきましょう!
生産管理のキャリアパス・転職事例
生産管理の仕事をすると、将来どのような可能性が広がるのでしょう。
ここでは、生産管理のキャリアパスをご紹介します。
生産管理職の主なキャリアパス
まず、生産管理者が歩んでいく主なキャリアパスとして、大きく4つの方向性があります。
現場のリーダーとしてチームをまとめる
まず、グループリーダーや主任になるというプランです。グループリーダーは各チームをまとめる役割で、主任はグループリーダーをまとめる役割です。どちらも情報収集や仕事の効率化が必須ですが、主任の方がより広範囲の情報を収集する必要があります。
部署を統括する管理職になる
次に、管理職になるというプランです。係長・課長・部長・工場長の順に昇進するのが一般的です。管理職になると、現場にはあまり出ません。デスクワークが中心です。
組織全体を動かすマネジメントになる
また、ベテラン管理者やマネジメントになるというプランです。ベテランの生産管理者としてノウハウを積み上げるキャリアプランもあれば、マネジメント職に異動して、各工程や品質、コストなどデータを中心とした幅広いマネジメントを担当するというキャリアプランもあります。
海外拠点で活躍するチャンスをつかむ
最後に、海外赴任するというプランです。海外にも生産拠点がある企業の場合、海外赴任するという選択肢もあります。語学力は必須で、さらに現地の文化や価値観も理解する必要があります。
海外では、業務の目的を共有して、率先して仕事しなければいけません。習慣の異なる現地スタッフを動かすのは、大変なことです。
しかし、さまざまなハードルを超えて、海外で結果を残せたら、国内に戻ってきたときにキャリアアップのチャンスが期待できるでしょう。
他職種・未経験からのキャリアパス・転職事例
生産管理職は、未経験からでも挑戦しやすい職種の1つでありながらも、他職種からの転職者も活躍できるフィールドがあります。
他職種からの転職者の職種として、代表的に以下の職種があります。
生産管理職から他職種へのキャリアパス・転職事例
生産管理の仕事に慣れていくうちに、生産管理の仕事を生かして、他の職種に挑戦したいと思う人もいると思います。
生産管理の仕事を生かせる主な転職先として、以下の2つがあります。
また、実際に、生産管理職から戦略コンサルタントに転職した人は、生産管理の仕事が転職先でどのように貢献するのかについて、以下のように述べています。
エクセルでのデータ解析、パワーポイントでの幹部への説明経験、ロジカルシンキングなどは生かせていると思う。Microsoft 365(旧Office365)は使用できないと仕事にならない。また前職では定期的に幹部に説明を行っていたので、資料の見せ方や発表時の話し方、ロジックというところは転職後も活きていると感じている。
※出典:ONE CAREER PLUS「三菱ケミカルからの転職体験談(生産管理/男性/20代)|転職で役立ったこれまでの経験」
他の職種への転職についても、詳しい情報が公開されているため、気になる方はぜひ参考にしてください。
▼生産管理職のキャリアパスについて詳しく知りたい方はこちら ・生産管理・品質管理・品質保証系職種からのキャリアパス
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生産管理のやりがい・働くメリット
ここでは、生産管理者のやりがいや年収・待遇、今後の将来性について解説します。
働く上でのやりがい
まず、生産管理者として働くやりがいについて説明します。
製造プロセス全体に大きな影響を与える
生産管理者の仕事は、1つの過程ではなく、製造全体の状況を把握する必要があるため、それぞれの内容についてしっかり理解しておくように求められます。
また、どこかのプロセスで問題が起きたときは、他のプロセスを担当する部署に伝えるなど、各部署の次のアクションに大きい影響を与えるようになります。
そこで、プロセス全体の管理を担い、「自分がいないと製造過程がダメになる」という強い責任感を感じながら、やりがいを感じることができるでしょう。そこから、自然に多数をリードしサポートする力も磨くようになります。
関わった商品を日常生活で触れる機会が多い
生産管理者が管理する商品は多岐に渡り、その中には、家電製品や食品など、日常生活でもよく見られる商品も存在します。そのため、街のスーパーや店で多く触れる機会があります。
他の人が自分が関わった商品を喜んで使っている姿を見ると、人の役に立てたような気持ちがして、やりがいを感じることができるでしょう。
取り組みの結果が形となって現れる
生産管理者が担当する仕事は、彼らが残した成果が目に見えやすい点が特徴的です。
生産管理の年収・待遇
生産管理の仕事は、企業や業界によって給与水準や待遇が異なりますが、一般的に安定した収入が期待できる職種です。
特に、経験を積むことでマネジメント職への昇進や専門性の高いポジションへのステップアップが可能になり、年収アップのチャンスも広がります。
また、製造業の中心的な役割を担うため、福利厚生や各種手当が充実している企業も多いのが特徴です。ここでは、生産管理の平均年収や待遇の実態について詳しく解説します。
平均年収
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトによると、生産管理の平均年収は約688.2万円(※5)とされています。ただし、年収は経験やスキルによって大きく変動し、若手のうちは比較的低めですが、キャリアを積むことで昇給が見込めます。
特に、生産管理の業務経験を生かし、管理職へステップアップすることで、さらなる収入アップのチャンスがあります。
また、住宅補助や福利厚生が充実している企業も多く、安定した環境で働きやすい職種です。スキルを磨きながら、長期的なキャリア形成が可能な職種といえるでしょう。
(※5)出典:Jobtag「生産・品質管理技術者」
待遇
生産管理の待遇は、年齢や経験によって大きく変わります。年齢50〜54歳の段階で年収は約841万円(※5)に達し、キャリアを積むことで高収入が期待できます。
一方、20~24歳の若手のうちでは、約357万円(※5)と比較的低めですが、スキルや実績を積むことで昇給のチャンスがあります。
労働時間は月160時間程度が平均(※5)で、残業の有無は企業や業界によって異なります。製造現場の稼働状況に影響を受けるため、繁忙期には労働時間が増加することもありますが、多くの企業では福利厚生や手当が充実しており、安定した環境で働ける職種です。
生産管理の将来性
生産管理は、技術革新や環境意識の高まりに伴い、大きな変化を迎えています。ここでは、生産管理の将来性について詳しく解説します。
スマートファクトリーとの協力
生産管理は、スマートファクトリーの発展とともに大きく進化しています。
AI(人工知能)やIoT、5Gを活用した自動化・最適化が進み、より効率的で精度の高い生産管理が可能になっています。特に、デジタルツインの導入により、工場の設備や工程を仮想空間に再現し、シミュレーションを活用した最適化を実現しています(※6)。
この技術により、リアルタイムでのデータ連携が可能になり、生産ロスの削減やトラブルの予測・防止の強化が期待できます。今後、デジタル技術を生かした生産管理の役割はますます重要になり、業界全体でのニーズも拡大していくでしょう。
(※6)出典:大興電子「製造業におけるデジタルツインとは?」サステナビリティへの対応
生産管理において、環境負荷の低減は重要な課題となっています。気候変動対策やサーキュラーエコノミーへの対応が求められ、持続可能な生産体制の構築が急務です。
具体的には、省エネルギー設備の導入が基本的な取り組みであり、高効率設備やエネルギー管理システムの活用により、使用電力の削減が可能です。また、再生可能エネルギーの活用も進められています。
さらに、資源の有効活用として、リサイクル材の活用や廃棄物削減、部品のリユース促進が重要視されています。
また、カーボンニュートラルへの対応も不可欠であり、CO2排出量の可視化やサプライチェーン全体での環境負荷低減が求められています。今後、環境規制の強化に伴い、より厳格な管理が必要となるでしょう。
生産管理に向いている人
生産管理は、計画的かつ柔軟に物事を進める力が求められる職種です。ここからは、生産管理の仕事に向いている人の特徴や、キャリアアップに役立つ資格について詳しく解説します。
求められる素養4つ
生産管理職として働くためには、主に計画を遂行しつつ、現場の状況に応じて適切に対応する能力が求められます。
ここでは、それに役立ち、特に重要となる4つの素養を説明します。
柔軟な対応力
生産管理の仕事では、常に計画通りに進むとは限りません。
- 突然の機械トラブル
- 原材料の納品遅れ
- 予想外の大量注文
このような予期せぬトラブルが発生した際に、適切な対応をする力が求められます。単に問題を解決するだけでなく、複数の選択肢から最適な方法を判断する力が必要です。
コミュニケーション能力
生産管理者は、現場の作業員から、購買・営業・品質管理部門などまで、多くの部署と連携しながら業務を進める職種です。
連携が円滑に進むためには、それぞれの立場を理解し、情報を正しく伝え、調整する力が求められます。また、工場の作業員や技術者とは、専門用語を交えた会話が必要になるため、相手に分かりやすく説明するスキルも重要になるでしょう。
鋭い判断力
生産管理の仕事では、素早く正確な判断が求められる場面が多くあります。
具体的に、生産管理者の判断力が求められる場面として、以下が挙げられます。
- 納期に間に合わない場合の対応(増産するか、外注するか)
- 不良品が発生した場合の対策(生産ラインを止めるか、影響範囲を確認するか)
- 人員不足が発生した際の調整(他ラインから応援を呼ぶか、シフトを変更するか)
こうした決断を迅速に下すためには、常に全体の流れを把握し、起こる可能性があることを想像しながら事前に対策を考える姿勢が必要です。
リーダーシップ
生産管理者は、単に作業を管理するだけでなく、チームをまとめ、円滑に業務を進める役割を担います。
前に立って指揮することだけではなく、働きやすい環境を作り現場のモチベーションを上げることも含めて、正しいリーダーシップの発揮が求められるでしょう。
リーダーシップを発揮することで、チーム全体の士気が上がり、スムーズな生産管理が可能になります。また、リーダーシップには強い責任感と決断力が伴うため、経験を積みながらチームの信頼を得ることも重要です。
有利に働く資格4つ
生産管理の仕事では、専門的な知識やスキルを証明する資格を取得することで、キャリアアップや転職に有利に働くことがあります。
例えば、生産計画や在庫管理に関する知識を体系的に学べる資格や、品質管理のスキルを高める検定などが挙げられます。特に、国際的に認知されている資格を持つことで、グローバル企業への転職や昇進の可能性も広がるでしょう。
ここでは、生産管理の分野で役立つ代表的な資格について詳しく解説します。
生産管理オペレーション
生産管理オペレーションは、生産管理分野で役立つ民間資格の1つで、職業能力開発促進法に基づいて設けられています(※7)。生産管理の基礎知識を証明できるため、製造業でのキャリア形成に有利に働きます。
試験では、「作業管理・工程管理・設備管理」「資材在庫管理・運搬物流管理」「品質管理」「原価管理」「納期管理」「安全衛生管理」「環境管理」など、生産管理の幅広い分野を学びます(※8)。
「生産管理」分野全体で等級は、1級・2級・3級・BASIC級に分かれており、級が上がるほど専門的な知識が求められます。特に、実務経験を積んだ後に上位級を取得することで、転職や昇進の際に有利になる資格です。
(※7)出典:Asprova「生産管理オペレーション資格とは? 学べるスキルや取得方法を解説」
(※8)出典:JAVADA 中央職業能力開発協会「『生産管理』分野」
QC検定
QC検定(品質管理検定)は、品質管理に関する知識やスキルを証明する資格です。製造業や生産管理の分野では、品質の維持・向上が重要な課題となるため、この資格を取得することで、生産工程の改善や不良品削減に貢献できるスキルが身に付きます(※9)。
QC検定は1級〜4級までのレベルがあり、受験者の知識レベルに応じて段階的に学ぶことができます。生産管理職として現場で生かすなら、2級以上を取得すると実務で活用しやすいでしょう。
(※9)出典:日本規資格協会 JSA Webdesk「品質管理検定(QC検定)とは?」
中小企業診断士
中小企業診断士は、国内で唯一の経営コンサルタントの国家資格です。この資格を取得すると、中小企業の経営課題を分析し、適切な指導やアドバイスを行うスキルが身に付きます。また、経営戦略の立案や経営上のトラブル対応の相談にも対応できるようになります。
中小企業診断士試験は難関の国家資格と呼ばれるため、計画的な対策が必要です。試験の概要や必要な勉強時間、難易度をまとめると、以下のようになります。
1次試験:経済学・経営学・財務会計・運営管理(生産管理含む)など7科目の知識を問う
2次試験:企業の事例をもとにした論述試験
必要な勉強時間:800~1,000時間(1年以上の学習が推奨)
合格率(全体):10%以下(1次:約30%、2次:約20%)(※10)
生産管理職においても、企業の経営方針や生産計画を戦略的に考える力が求められるため、中小企業診断士の知識は大いに役立ちます。特に、以下のようなキャリアを目指す人におすすめです。
- 生産管理職からマネジメント職にキャリアアップしたい人
- 生産性向上やコスト削減の視点を深めたい人
- 将来的に独立・コンサルタントとして活躍したい人
この資格は、コンサル業や営業職など幅広い業種で生かせるため、生産管理に限らずキャリアの選択肢を広げるのにも有効です。
こちらの記事では他にも就活に役立つ資格について、特徴や対策のポイントを解説しています。ぜひ参考にしてください。
(※10)出典:JF-CMCA 中小企業診断士試験「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」
▼就活で有利な資格について詳しく知りたい方はこちら ・就活で有利な資格10選!業界別・文理別のおすすめとESの書き方
APICS CPIM (Certified in Production and Inventory Management)
APICS CPIMは、生産および在庫管理の専門知識を証明する国際的な資格(※11)で、サプライチェーンとオペレーション管理に関する深い理解を持つことを示します。特に、生産計画や在庫管理の分野でキャリアを積みたい人にとって有利な資格です。
試験では、生産計画・需要予測・在庫管理・調達・品質管理などの幅広いトピックが出題(※12)されます。さらに、マテリアル要件計画(MRP)や容量要件計画(CRP)といった専門知識(※13)も求められます。
なお、合格率は約7割(※14)です。実務的な知識も必要ですが、取得すれば生産管理のプロとしての市場価値を高めることができるでしょう。
(※11)出典:公益財団法人 日本生産性本部「サプライチェーンのグローバル資格 APICS CPIM/CSCP資格」(※12)出典:ASCM「Free Demo of the APICS CPIM Learning System」
(※13)出典:MONOist「SCMプロを証明する"免許証"『CPIM』とは」
(※14)出典:ASCM「よくあるご質問(FAQ)」
生産管理職での選考に向けた対策
エントリーシート(ES)対策
企業が志望動機で注目しているポイントは、「会社で活躍できる人材であるかどうか」という点です。そして具体的には以下の3つのポイントを重要視しています。
- 入社意欲がどれほど強いか
- 自社のカルチャーや目指す方向性と合っているか
- 入社後に活躍してくれそうか
これら3つのポイントを含んだ志望動機は説得力があり、過去の選考参加者や内定者のESからも高評価を受けやすいことが分かっています。
▼エントリーシート(ES)の書き方について詳しく知りたい方はこちら ・志望動機【例文17選】書き方の基本と職種・業界別内定者のES実例 ・ESの書き方&例文集|エントリーシートの基礎から質問別/業界別の回答例まで完全対策
Webテスト対策
Webテストは多くの企業で実施されており、企業ごとに異なるテストが使用されています。そのため、事前にテスト内容を把握し、対策をしておくことが重要です。
また、ワンキャリアでは就活生の体験談やそれをもとにした選考ステップを企業ごとに検索できます。ご自身の受けたい企業がどのWebテストを実施しているのか、選考を受ける前から対策したい方にはおすすめです。
▼Webテストについて詳しく知りたい方はこちら ・【Webテストとは】主要9種類を網羅!適性検査の特徴、対策本、出題企業一覧
面接対策
業界や会社によって面接で問われる内容は異なります。そのため、志望する業界に合わせた対策が必要です。以下では、業界や企業ごとに準備を進める際のポイントをご紹介します。
まず、面接選考を通過するためには「企業目線」で考えることが重要です。内定の判断を行うのは、その企業の人事担当者や役員ですので、企業が求める人材像を理解することが不可欠です。経営計画などの企業情報を調べることはもちろんですが、企業側の視点に立ち、「どのような人材が求められているのか」を意識しながら面接準備を進めましょう。
また、面接対策では自己分析を行い、自分をアピールするための材料をそろえることも重要です。しかし、選考対策の順番としては、まず企業や業界の分析を行い、その後に自己分析を進める方が効果的です。企業のニーズを理解した上で自分の強みを整理することで、より説得力のあるアピールが可能になります。
ワンキャリアでは、企業ごとの選考ステップや合格の秘訣(ひけつ)をご紹介しています。これにより、各企業が重視する評価ポイントや求める人物像を効率的に把握でき、情報収集の手間も省けます。企業研究を進める際には、ぜひご活用ください。
▼面接対策について詳しく知りたい方はこちら ・【面接で聞かれること】新卒就活で頻出の質問一覧と内定者の回答例
OB・OG訪問
OB・OG訪問は、大学の先輩や知り合いを通じてご紹介してもらったり、就活イベントを利用して社員と接点を持ったりすることで機会を得ることができます。これにより、説明会では得られないリアルな情報を知ることができ、業界や企業についての理解が深まることは間違いありません。
さらに、業界や企業によっては、OB・OG訪問の有無や訪問時の評価が選考に影響することもあります。訪問の回数が多いと「熱意がある」と評価されたり、質の高い質問をすることで「優秀だ」と思われたりすることがあります。
OB・OG訪問をすべきか迷っている場合は、まずは最初の1人、同じゼミやサークルの先輩など身近な人から始めてみると良いでしょう。
▼OB・OG訪問について詳しく知りたい方はこちら ・OB・OG訪問とは?やり方から内定者が使うアプリまで完全解説
おわりに
こちらの記事では、生産管理の仕事について、具体的な業務内容から求められる素養まで、多角的に解説しました。
また、生産管理職の選考対策として、ESでの志望動機や研究内容の書き方のポイント、内定者例文などもご紹介しました。
ぜひ、これからの就活に生かし、ご自身のキャリアを築いてください!
(Photo:maroke/Shutterstock.com)