こんにちは、ワンキャリ編集部です。
さまざまな職種の中で、広報職への就職を考えている人も多いと思いますが、具体的にどのような知識や対策が必要なのでしょうか。
本記事では、広報職の具体的な仕事内容、広報職に向いている人の特徴や、やりがい、キャリアパス、選考対策などについて詳しくご紹介します。
<目次>
●広報とは?
・広報の基本的な役割
・企業における広報の重要性
・広報とマーケティングの違い
●広報職の具体的な仕事内容
・社外広報
・社内広報
●広報職のやりがい・魅力
・企業ブランドを形作る充実感
・多様な人と関わる楽しさ
・情報発信を通じた、多くの人や社会への影響力
・多くの有用なスキルの習得
●広報職の大変さ
・業務内容が幅広く、さまざまなスキルを必要とする
・自社の業績に関して、責任とプレッシャーを感じる
●広報職のキャリアパス
・マネジャーやプロデューサーを目指す
・広報の上位職への転職
・大企業の広報職に就く
・広報職のスキルを生かして他のキャリアへ
●広報職に向いている人の特徴
・人と関わるのが好き・得意
・トレンドや情報に敏感
・コツコツと作業ができる
・客観的に物事を俯瞰できる
●広報職に有利なスキル
・ライティングスキル
・コミュニケーション能力
・プレゼンテーション能力
●広報職に有利な資格
・PRプランナー資格認定制度
・IRプランナー
・商品プランナー
●広報職を目指すための選考対策
・エントリーシート(ES)対策
・Webテスト対策
・面接対策
・OB・OG訪問
●おわりに
広報とは?
広報は、企業や団体が社会との信頼関係を築くために、企業の活動や価値観を発信する役割を担っています。企業イメージの向上やブランド構築の基盤を作るため、信頼される存在であることは不可欠です。
ここでは、広報職の役割や企業にとっての広報の重要性について詳しく解説します。
広報の基本的な役割
広報の基本的な役割は、企業や団体がステークホルダーとの信頼関係を築き、維持することにあります。組織の活動やメッセージを効果的に伝え、関心を持つ人々からの理解や支持を得ることが目標です。
具体的には、情報発信やイベントの企画、メディアとの連携を通じて、企業のイメージやブランドを向上させることを目指します。
なお、広報は、単に「良いことをアピールする」だけではありません。組織に関わる人々が抱える疑問や課題に対し、誠実に応えることが大切です。広報活動が誤解を防ぎ、信頼関係を強化することで、組織と社会全体にプラスの影響を与える役割を果たします。
また、危機管理(リスクマネジメント)も広報の重要な役割の1つです。万が一、企業にトラブルが発生した場合、迅速で適切な対応をすることで、信頼関係の維持や被害の拡大を防ぐことができます。
企業における広報の重要性
企業が社会に信頼される存在となるために、広報の存在は欠かせません。企業活動に対する理解を深めてもらうことで、持続的な成長やブランド価値の向上に大きな影響を与えます。
ステークホルダーとの信頼関係を築く
広報活動の一環として、ステークホルダーとの信頼関係を築くことは、企業の長期的な成長やブランドイメージの向上に欠かせない要素です。企業が発信したメッセージが社会にどう受け入れられているかを把握し、その反応に真摯(しんし)に対応することが、信頼構築への第一歩です。
一方的に情報を発信するだけでは、真の信頼は得られません。SNSやメディアを通じて、消費者や投資家、メディア関係者と対話を重ね、企業活動に反映することが重要です。
また、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用して、リアルタイムに生活者の意見を収集し、周囲の関心や期待に応える姿勢が求められます。加えて、企業の活動が投資家や行政に与える影響も見逃せません。
多角的にステークホルダーの反応をキャッチし、柔軟にコミュニケーションを工夫することが重要です。
企業のブランディングや評判に直接関与する
企業のブランディングや評判は、広報活動を通じて形成され、企業の成長や信頼獲得に直接の影響を与えます。企業が顧客や従業員から信頼されるには、広報担当者が誠実にステークホルダーと向き合い、寄せられる声を取り入れながら企業イメージを築いていくことが重要です。
例えば、「◯◯社は顧客との対話を重視している」「◯◯社は品質にこだわる」という評価が浸透することで、企業のブランド価値は高まります。これにより、企業の製品やサービスへの信頼感が増し、購入や利用を促進する効果が期待できます。
また、広報活動は企業文化にも影響を与えます。ステークホルダーの意見を尊重する姿勢は、従業員の共感を生み、働く意欲を引き出します。このように企業イメージと企業文化の形成に広報が積極的に関わることは、企業の持続的な成長や評判の向上に貢献します。
世の中のトレンドに真っ先に対応する
広報担当者は、社会のトレンドや変化にいち早く気づき、それを企業活動に反映する役割を担っています。トレンドを積極的に取り入れることで、企業と社会の接点を強化し、ステークホルダーとの信頼関係を構築しているといえるでしょう。
経営陣や従業員が業務に集中している一方で、広報担当者は社会や業界全体の動きをキャッチし、経営層にその変化を共有します。例えば、企業の事業に影響を及ぼす新しい法案や規制の動きをいち早く知り、事前に対応策を検討するように促すことが挙げられます。
このように、広報担当者が社会の流れに即応する姿勢を持つことが大切です。
広報とマーケティングの違い
広報とマーケティングはどちらも「情報を発信する」活動を通じて組織と社会をつなぐ重要な役割を担っていますが、その目的には明確な違いがあります。
広報は、企業や団体がステークホルダーとの信頼関係を築き、社会的な存在意義を確立することを目的としています。これに対し、マーケティングは、顧客のニーズに応じた製品やサービスを提供し、最終的に売上や利益を増加させることが主な目的です(※1)。
また、広報の役割は、社内外へ企業の活動や価値観を誠実に伝え、社会からの長期的な理解と信頼を得ることです。企業がどれほど高い売上を達成していても、信頼を損なうような対応や発信を続ければ、顧客やパートナーとの関係は徐々に薄れ、企業の持続的な発展が難しくなります。そのため、広報は「企業を応援したいと思ってもらえる関係」を構築することを大切にしています。
一方、マーケティングの役割は、顧客のニーズに応え、企業が提供する価値を効果的に伝え、顧客の購買意欲を引き出すことにあります。マーケティング活動では市場リサーチやプロモーションを通じて、製品が売れるように戦略的な計画を練り、売上を伸ばすことを目指します。こうした活動のすべてが、顧客満足と企業の収益向上を目的としているといえるでしょう。
このように、広報は「信頼の構築」、マーケティングは「利益の創出」をゴールとする点で異なり、同じ情報発信でも目的と視点が異なります。
(※1)参考:PR TIMES MAGAZINE「広報とマーケティングの違いは?仕事内容・役割の違いを現役広報が解説します」
広報職の具体的な仕事内容
広報職は、社外へのイメージ発信から社内でのコミュニケーション促進まで多岐にわたる業務を担います。企業の活動やメッセージを社会や従業員に伝え、信頼関係を築くために幅広いタスクをこなすことが求められます。ここでは、広報職の具体的な仕事内容を社外と社内に分けて、詳しく見ていきましょう。
社外広報
社外広報は、企業の情報を社会に発信し、企業の知名度やイメージを向上させることが主な役割です。メディア対応やイベント開催、SNSでの情報発信など、多彩な業務を通じて企業と社会をつなぎます。
プレスリリースの作成・配信
プレスリリースは、企業の重要な情報をマスコミや社会に発信するための文書であり、社外広報の中心的な業務の1つです。企業の経営方針や新商品やサービス、調査結果など、社会にとって意義のある内容を広く伝える役割を担っています。
配信したプレスリリースがメディアに取り上げられることで、企業やサービスの認知度が高まり、企業の信頼やイメージ向上につながります。このように、プレスリリースの作成・配信は企業と社会をつなぐ重要な役割を果たしています。
PRイベントの開催
PRイベントの開催は、新しい商品やサービスの発表を行い、社会に向けて企業のメッセージを直接伝えるための重要な広報活動です。広報担当者は、イベントを通じて企業の魅力や取り組みを効果的に発信するため、綿密な計画を立てます。
イベント企画には、対象となるメディアやマスコミの招待リストを作成し、招待状の送付や日程調整を行うなど、社外との円滑なコミュニケーション力が欠かせません。また、当日は参加者が企業のメッセージをしっかりと受け取れるよう、発表内容や会場演出の工夫も必要です。
自社SNSなどによる情報発信
自社のSNSやWebメディアを通じた情報発信も、社外広報の大切な役割です。企業の公式アカウントで新たな取り組みや商品情報を発信することで、フォロワーや顧客と直接コミュニケーションを取る機会が増え、企業の存在感や信頼度が高まります。
自社SNSなどによる情報発信を行う際は、迅速な情報更新を行うことで企業の新たな活動や取り組みをすぐに伝えられるため、情報の鮮度を保つことが重要です。
自社Webサイト・ホームページの更新
自社のWebサイトやホームページの更新は、広報の重要な仕事の1つです。企業の公式サイトは、社会や顧客が企業について知るための窓口であり、常に最新の情報を提供する場でもあります。
また、Webサイトへの集客を増やすために、SNSや他のメディアでの情報発信と連携させ、より多くの人がサイトを訪れるような工夫も重要です。サイトが常に最新の状態であり、訪れた人が必要な情報をすぐに見つけられるような状態が信頼性を高め、企業のイメージ向上にもつながります。
社内広報
社内広報は、従業員の一体感やモチベーション向上に貢献する役割を担っています。社内報の発行やイベントの企画、外部からの評判の共有など、社内での円滑なコミュニケーションを図り、従業員の満足度を高めるための施策が求められます。
社内報の発行
社内報は、各部署での取り組みや情報を共有し、社員間の一体感を高める役割を果たします。企業によっては、社員の趣味やパーソナルな一面を紹介するコンテンツを取り入れ、社内のコミュニケーションを活性化する工夫も見られます。
ただし、社内報を発行するだけでは十分ではありません。日頃から社員が興味を持っているトピックをリサーチし、アンケートなどで意見を収集して、読まれる企画を立案することが大切です。
さらに、従業員の家族も企業の重要なステークホルダーとして考え、家族向けのコンテンツを社内報に盛り込むことで、企業への理解と親しみを深める取り組みも行われています。
社内向けイベントの企画・運営
社内向けイベントの企画・運営は、従業員同士のコミュニケーションを活性化し、企業全体の一体感を高めるための有効な手段です。広報担当者は、イベントの目的に合わせて人事や総務などの関係部署と協力しながら企画を進めます。
例えば、企業理念や経営方針を社員に浸透させることを目的とする場合、全社を巻き込んだ総会や定例ミーティング、または社内コンペなどが効果的です。
一方で、社員同士のエンゲージメント向上を目指すなら、シャッフルランチやファミリーデーのようなカジュアルな交流イベントが適しています。こうしたイベントは、普段接点の少ない部署間の交流を促し、社内の風通しを良くする効果があります。
社外からの評判やメディア掲載情報の社内共有
広報担当者は、メディア関係者や他の社外ステークホルダーと頻繁にやりとりを行うため、自社に対する外部からの評価や反応をいち早く把握できます。
また、自社の情報を発信する前に、業界や社会情勢に関する調査を行うこともあり、得られた外部のフィードバックやトレンド情報は貴重な資産です。こうした情報を広報部門だけで留めず、社内に広く共有することで、他の部署にも役立つデータとして活用されます。
たとえば、自社の製品やサービスがメディアで注目された場合、その掲載情報を全社で共有することで、従業員の誇りやモチベーションを高める効果が期待できます。さらに、営業部門はこうしたメディア掲載実績を商談の際に活用し、顧客への説得力を増すことができるでしょう。
広報職のやりがい・魅力
広報職は、企業やブランドの認知度を高めるだけでなく、多くの人や社会に影響を与える仕事です。ここでは、広報職ならではのやりがいや魅力について詳しく紹介します。
企業ブランドを形作る充実感
企業ブランドを形作り、企業や商材の知名度向上に貢献できることは、広報職の大きなやりがいです。
広報活動が成功すれば、「売上の増加」「Webサイトの閲覧数の上昇」「求人応募数の増加」など、目に見える形で成果が現れます。このように、広報は数値の変化として効果を実感しやすく、自分の活動が企業に貢献していることが分かりやすい点が魅力です。
企業や商材の知名度向上に直接関わり、その効果を実際に目にできるため、広報職は充実感を持ちながら取り組める仕事といえるでしょう。
多様な人と関わる楽しさ
広報職の魅力の1つは、社内外の多様なステークホルダーとの出会いを通じて広がる人脈です。広報担当者は、企業の情報を発信する役割から、メディア関係者や業界の専門家など、普段なかなか触れることがない人々と積極的にコミュニケーションを取ります。
また、広報担当者同士が情報を交換したり、メディアキャラバン(※2)に一緒に取り組んだりするコミュニティも多く存在し、お互いに励まし合える環境が整っています。こうした交流を通じて、心強い仲間や新たな学びが得られることも、広報職ならではの楽しさです。
(※2)……メディア関係者に直接アポイントを取り、自社の製品・サービスを紹介するために訪問する活動のこと。
情報発信を通じた、多くの人や社会への影響力
情報発信を通じて、世の中の「不満」や「不便」といった課題に寄り添い、企業の価値を提供しながら社会の問題解消に貢献できることが広報の大きな魅力です。
自社の商品やサービスが世の中に広まり、多くの人に役立つことで、企業が社会へ与える影響力を感じられます。また、その価値が社会全体に広がり、生活を豊かにする一助となることは、広報職ならではのやりがいといえるでしょう。
自社の情報が人々の生活に少しでも良い変化をもたらしたとき、その影響を肌で感じられることは、広報の仕事の大きな魅力です。
多くの有用なスキルの習得
広報職は、企画立案や対人折衝、調整業務など、幅広いスキルを習得できる点が大きな魅力です。広報の仕事は、社内外の人々とのコミュニケーションや情報発信を通じて、状況に応じた柔軟な対応力が求められるため、さまざまな場面で汎用性のあるスキルが自然と身につきます。
これらのスキルは、広報業務だけでなく、他職種や他業界でも活用できるため、将来転職を考える場合にも大いに役立つでしょう。
広報職の大変さ
広報職は、企業のイメージや評判に直接関与するため、大きな責任とプレッシャーが伴います。ここでは、広報職に特有の大変さについて詳しく解説します。
業務内容が幅広く、さまざまなスキルを必要とする
広報職は、企業の顔として情報を発信し、多様な業務をこなす必要があるため、幅広いスキルが求められます。特に、文章力やプレゼンテーション能力、情報収集能力は、広報担当者にとって欠かせないスキルです。
文章力は、プレスリリースや社内報、SNSなどで情報を分かりやすく伝えるために必要で、広報の基本ともいえる力です。さらに、プレゼンテーション能力があれば、社内外で企画内容や広報戦略を効果的に伝え、理解を得ることができます。また、常に最新の情報をキャッチし、世の中の動向に敏感であることも重要です。
こうした多様なスキルが求められることは、広報職のやりがいでもありますが、常に自己成長が求められる大変さも伴っています。
自社の業績に関して、責任とプレッシャーを感じる
広報職は、企業のイメージや知名度に直接関わる役割のため、その業績に対する責任とプレッシャーがつきものです。窓口対応や社内調整、競合他社とのメディア掲載状況の比較など、担当業務は多岐にわたり、それぞれが企業の成長に影響を与える可能性があります。
また、メディアの注目度や社会の反応によっては、広報担当者が多大なプレッシャーを感じる場面も少なくありません。企業の業績や評判に対する責任を担いながら、常に最適な対応を求められるため、広報はやりがいと同時に、気を引き締めて臨む必要がある仕事です。
広報職のキャリアパス
広報職でキャリアを積むと、マネジメントや専門職として多方面にキャリアアップする道が開けます。また、他業種への転職や広報スキルを生かした新たな挑戦も選択肢もあります。ここでは、広報職ならではの幅広いキャリアパスについて解説します。
マネジャーやプロデューサーを目指す
広報のキャリアを積んだ後、PR代理店でのマネジャー職や企業の広報部門の責任者といったリーダー的なポジションを目指すことができます。
さらに、広報の経験を生かし、プロジェクトマーケティングマネジャー(PMM)として製品やサービスのマーケティング戦略を担当するキャリアも選択肢の1つです。
広報職で得たスキルや経験は、さまざまな分野に応用が利くため、自分に適したキャリアアップの場を見つけ、成長を続けることが重要です。
広報の上位職への転職
広報職でキャリアを積んでいくうえで、社内で上位職を目指すことは一般的なステップです。
特に大手企業では、役職が多様で、経験を積むことでリーダーやチーフといったポジションに昇進できる可能性があり、最終的には広報課長や部長といったマネジメント職に就くことも目指せます。
一方、ベンチャーや中小企業では少人数で業務を行うため、広報だけでなく総務や人事といったバックオフィス業務も兼務するケースが多く、幅広いスキルが身につきます。こうした環境でスキルアップを図ることも、上位職への道として有効です。
大企業の広報職に就く
中小企業で広報を経験した後、さらなるスキルアップを目指して大企業への転職を志すことも1つのキャリアパスです。
大企業の広報では、PR業務だけでなく、企業のブランドを守るための管理や、危機管理対応といったより高度な業務にも関わる機会が増え、実践的な経験を積むことができます。
また、大企業は予算に余裕があるため、大規模なPRプロジェクトやテレビ取材など、より幅広いメディア対応が求められる場面も多い傾向があります。
自身の裁量だけで業務を進めるのは難しいかもしれませんが、充実したリソースのもとで、規模の大きい広報活動を経験できるため、視野が広がり、スキルアップを実感できるでしょう。
広報職のスキルを生かして他のキャリアへ
広報職で培ったスキルを生かし、新たなキャリアに転身するのも1つの選択肢です。
例えば、広報経験を生かしてイベントプランナーに転身することで、活躍の幅を広げることが可能です。また、SNSの運用経験がある場合には、SNSマーケターとして活躍する道もあります。さらに、グローバルな視点を取り入れて広報活動を行いたい場合には、外資系のPR会社へ転職する選択もあります。
このように、広報のスキルを生かして目指せるキャリアは多岐にわたります。自分の得意分野や興味に合わせた新たな挑戦を通じて、キャリアをさらに広げていくことができるしょう。
広報職に向いている人の特徴
広報職には、社交性や情報感度の高さ、忍耐強さなど、特定の適性が求められます。さまざまな人と関わり、情報を活用しながら信頼を築く必要があるため、自身の性格や強みが広報職に向いているかどうかを考えることが大切です。ここでは、広報職に向いている人の特徴について詳しく見ていきます。
人と関わるのが好き・得意
広報職には、人と関わるのが好きで、積極的に信頼関係を築ける人が向いています。広報担当者は、日々の業務で経営陣や他部署の社員、メディア関係者など多くの人と関わり、コミュニケーションを通じて信頼関係を構築することが求められます。
また、業界の集まりや広報コミュニティに参加することで、新たな出会いや知識を得られるため、社交的でフットワークが軽い人には特に適しているでしょう。
このように、人と関わりながら信頼を積み重ねていくことが多い広報職では、社交的なスキルが大きな強みです。
トレンドや情報に敏感
広報職に向いている人の特徴の1つに、トレンドや情報への感度が高いことが挙げられます。
特に企画を立てる際、流行や世の中の動きを敏感にキャッチする能力は重要です。新しい情報に興味を持ち、自ら情報を収集・整理し、積極的にアウトプットする姿勢が求められます。
流行の背景や他社が取り上げられた理由を考察するなど、日頃からトレンドに敏感でいられる人にとって、広報職は特にやりがいのある仕事といえるでしょう。
コツコツと作業ができる
広報職は、営業のように短期間で目に見える成果が出る仕事ではありません。集めた情報をもとに施策を立て、最終目標に向けてPDCAサイクルを回し続ける粘り強さが求められます。
特に、公的な情報を発信する際の文章作成では「正確性」が求められるため、細かい点まで確認する慎重さも必要です。こうした細かな作業をコツコツと丁寧に進められる人は、広報職に向いており、信頼性の高い仕事ができるでしょう。
客観的に物事を俯瞰できる
広報職に向いている人の特徴の1つに、客観的に物事を俯瞰(ふかん)できることがあります。
広報業務は、企業のブランドやイメージだけでなく、経営にも大きな影響を与えるため、客観的に状況を把握し、広い視野で判断する力が求められます。
広報担当者は、経営者とともに施策を立案したり、メディア対応では企業の代弁者として取材に応じたりすることもあります。そのため、自社がどのような方向を目指しているか、現状の課題や優先事項は何かを常に把握し、全社的な視点で判断することが重要です。
広報職に有利なスキル
ここでは広報職の仕事に有利な能力を紹介します。
ライティングスキル
プレスリリースやWebサイト作成、社内報の発行など、広報職の重要な業務の多くに、文章の執筆が含まれます。文章の正確さや分かりやすさはもちろん、人の興味を引き企業の魅力が伝わりやすい文章を作成する能力が必要です。
また、良い文章を作成するためには、自社製品や事業への理解の深さや最新のトレンドに対応する情報収集が重要で、広報職に必要なライティングスキルとはこういった活動を含めた能力を指します。
コミュニケーション能力
広報職は各メディアなど社外の人と関わる機会がとても多いです。会社の名前を背負って広報活動を行うため、企業の魅力を伝えつつ、相手の信用や評価を得る円滑なコミュニケーションを進める必要があります。
また、広報活動のための各部署との連携や、必要な社外情報の社内への共有など、社内の人たちとのコミュニケーションも多く発生するため、社内外両方での能動的なコミュニケーションが求められます。
仕事におけるコミュニケーション能力はもちろんですが、普段からさまざまな人たちと良好な信頼関係を構築できる人が広報職に向いているといえます。
プレゼンテーション能力
広報職はプレスリリースなど文面での広報活動も多いですが、PRイベントやメディアプロモーションなどで、人前で話す場面もあります。
口頭での広報活動において、分かりやすく企業の魅力を伝えるプレゼンテーション能力は非常に重要です。また、ただ分かりやすいだけでなく人の関心を引くプレゼンを作ることが重要で、内容はもちろんのこと、しゃべり方やスライドの利用などあらゆる工夫を行うことが求められます。
広報職に有利な資格
広報職では、業務に直結する知識やスキルを証明できる資格を持つことで、信頼性の向上やキャリアアップが期待できます。ここでは、広報職に役立つ代表的な資格について紹介します。
PRプランナー資格認定制度
「PRプランナー資格認定制度」は、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(日本PR協会)が実施する検定試験で、広報・PR業務の基礎から実践まで幅広い知識を習得できる資格です。
試験は1次試験から3次試験まであり、基礎的な知識を問う筆記試験や時事問題のほか、「プレスリリースの作成」など実務に直結する課題も含まれます(※3)。
広報の基本知識だけでなく、PRの実務に関する理解を深められるため、広報職を目指す人にとって非常に役立つ資格といえるでしょう。
(※3)参考:PRプランナー資格認定制度「PRプランナー資格認定制度/検定試験」
IRプランナー
「IRプランナー」は、投資家向けの情報発信やコミュニケーションを担当するためのインベスター・リレーションズ(IR)に関する知識を証明する資格です。IRプランナーは、企業にとって重要な投資家や株主からの意見を取り入れ、経営戦略に生かす役割も担っています。
資格には基礎コースと上級コースがあり、スキルやキャリアに応じたコース選択が可能です(※4)。広報職においても、企業の財務や経営方針を理解し、投資家の目線を意識した情報発信を行ううえで役立つ資格といえるでしょう。
(※4)参考:IRプランナーズ協会「資格の取得方法」
商品プランナー
「商品プランナー」は、日本商品開発士会が認定する資格で、商品戦略や販売促進戦略に関する基礎知識とスキルを習得していることを証明できます。受験資格に制限がないため、広報職を目指す人にとっても取得しやすく、広報活動に役立つ知識を身につけられます。
商品プランナー資格の学習科目は、商品・サービス企画の基礎、商品開発マーケティングの基礎、商品開発におけるコミュニケーションとプレゼンテーションの基礎など、実務に直結した内容であることが特徴です(※5)。
市場と企業をつなぐ役割として、広報担当者も商品企画やマーケティングの視点を持って効果的な情報発信ができるようになるでしょう。広報PR業務と商品開発の視点を融合させたい人にとって、キャリアの幅を広げられる資格です。
(※5)参考:日本商品開発士会「■商品プランナー 資格認定試験 実施要項」
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広報職を目指すための選考対策
エントリーシート(ES)対策
企業が志望動機で注目しているポイントは、「会社で活躍できる人材であるかどうか」という点です。そして具体的には以下の3つのポイントを重要視しています。
- 入社意欲がどれほど強いか
- 自社のカルチャーや目指す方向性と合っているか
- 入社後に活躍してくれそうか
これら3つのポイントを含んだ志望動機は説得力があり、過去の選考参加者や内定者のESからも高評価を受けやすいことが分かっています。
私は、広報で貴社の認知度を上げ、イメージ向上を行いたいです。スポーツには感動を届ける力があると思い、特にスポーツ事業推進部で、人々に多くの力を届けたいです。私は高校時代、○○部でパレードに出ました。その時、すれ違う人が演技によって笑顔になることを目にしました。また、Mリーグでは貴社のチームが何度も諦めずに挑戦をする姿を見て、自分自身が奮起させられました。このことから、スポーツは人に幸せを届けると実感しました。スポーツの知名度が上がれば、貴社の認知度も上がると考えています。貴社の広報で働くことで、選手の力を最大限に引き出し、スポーツを通じて人々に幸せを届け、貴社イメージ向上に貢献したいです。 ※出典:セガサミーホールディングス|広報職2025年卒本選考のES
内定者の志望動機をもっと見たい方はこちら
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Webテスト対策
Webテストは多くの企業で実施されており、企業ごとに異なるテストが使用されています。そのため、事前にテスト内容を把握し、対策をしておくことが重要です。
代表的なWebテストとして、「SPI」と「玉手箱」、「TG-WEB」が挙げられます。
SPIは性格と能力の2領域を測定し、能力検査は言語(国語)と非言語(数学や算数)で分かれています。時間制限がついているという特徴があり、受験者の解答状況や正答率によって問題が変わっていきます。正答率が高ければ難易度の高い問題が出題され、高得点につながるので、時間内で的確に問題を解けるようにしておきましょう。
玉手箱は、計数理解(数学)、言語理解(国語)、英語理解、性格テストの4種類に分かれており、問題数に対して解答時間が非常に短いことが特徴です。そのため、満点を目指すのではなく、確実に解ける問題に集中することが求められます。また、玉手箱は毎年似たような問題が出題される傾向があるため、スピード感に慣れるために多くの問題を解いておくことが大切です。
TG-WEBは難易度が高いテストですが、解法を知っていればスムーズに解答できることが特徴です。新型のTG-WEBでは解答時間が非常に短く設定されているため、事前に参考書などで対策をし、制限時間内で解く練習をしておくことが重要です。特にWebテスト形式では電卓を用意しておくといいでしょう。
▼Webテストについて詳しく知りたい方はこちら ・【Webテストとは】主要9種類を網羅!適性検査の特徴、対策本、出題企業一覧 ・【SPI対策】全問題形式を完全網羅!練習問題&解答一覧(言語・非言語・英語・構造的把握力) ・【玉手箱対策】問題&解答集|出題企業と問題形式(計数・言語・英語)まで紹介 ・TG-WEB対策のすべて|例題や解答集、おすすめの問題集まで解説
面接対策
業界や会社によって面接で問われる内容は異なります。そのため、志望する業界に合わせた対策が必要です。以下では、業界や企業ごとに準備を進める際のポイントをご紹介します。
まず、面接選考を通過するためには「企業目線」で考えることが重要です。内定の判断を行うのは、その企業の人事担当者や役員ですので、企業が求める人材像を理解することが不可欠です。経営計画などの企業情報を調べることはもちろんですが、企業側の視点に立ち、「どのような人材が求められているのか」を意識しながら面接準備を進めましょう。
また、面接対策では自己分析を行い、自分をアピールするための材料をそろえることも重要です。しかし、選考対策の順番としては、まず企業や業界の分析を行い、その後に自己分析を進める方が効果的です。企業のニーズを理解した上で自分の強みを整理することで、より説得力のあるアピールが可能です。
ワンキャリアでは、企業ごとの選考ステップや合格の秘訣(ひけつ)を紹介しています。これにより、各企業が重視する評価ポイントや求める人物像を効率的に把握でき、情報収集の手間も省けます。企業研究を進める際には、ぜひご活用ください。
▼面接対策について詳しく知りたい方はこちら ・【面接で聞かれること】新卒就活で頻出の質問一覧と内定者の回答例
OB・OG訪問
OB・OG訪問は、大学の先輩や知り合いを通じて紹介してもらったり、就活イベントを利用して社員と接点を持つことで機会を得たりできます。これにより、説明会では得られないリアルな情報を知ることができ、業界や企業についての理解が深まることは間違いありません。
さらに、業界や企業によっては、OB・OG訪問の有無や訪問時の評価が選考に影響することもあります。訪問の回数が多いと「熱意がある」と評価されたり、質の高い質問をすることで「優秀だ」と思われたりすることがあります。
OB・OG訪問をすべきか迷っている場合は、まずは最初の1人、同じゼミやサークルの先輩など身近な人から始めてみるといいでしょう。
▼OB・OG訪問について詳しく知りたい方はこちら ・OB・OG訪問とは?やり方から内定者が使うアプリまで完全解説
おわりに
今回は、企業において重要な役割を担う広報職について、その具体的な仕事内容ややりがい、キャリアパス、向いている人の特徴などについてご紹介しました。
広報職は企業ブランドを左右するため、大きなやりがいと責任感が伴う魅力的な職種です。ぜひ本記事を職種選定や選考対策にご活用ください。
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