こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回はマネジャー(マネージャー)職について詳しく知りたい方に向けて、マネジャー職の仕事内容や種類、やりがいやメリットなどを解説します。また、具体的な転職事例を交えたキャリアパスなどもご紹介しておりますので、参考にしてみてください。
<目次> ●マネジャーとは? マネジャー職の仕事内容と魅力 ・マネジャーとは ・リーダーとの違い ・主な仕事内容 ・マネジャー職の種類 ●マネジャー職のキャリアパス・転職事例 ・マネジャー職の主なキャリアパス ・他職種・未経験からマネジャー職へのキャリアパス・転職事例 ・マネジャー職から他職種へのキャリアパス・転職事例 ●マネジャー職のやりがい・働くメリット ・働く上でのやりがい ・マネジャー職の年収・待遇 ・マネジャー職の将来性 ●マネジャー職に向いている人 ・求められる素養 ・必要な経験・知識 ・有利に働く資格・経験 ●マネジャー職での選考に向けた対策
マネジャーとは? マネジャー職の仕事内容と魅力
企業や業界によってマネジャーの役割の違いはありますが、共通するのは組織の成果に責任を持ち、目標達成に向けてチームを導くことです。ここでは、そんなマネジャーの主な仕事内容や魅力について解説します。
マネジャーとは
マネジャーとは、組織内で業務の管理や運営を行い、組織目標の達成に向けた責任を持つ役職です。企業や業界によって役割の範囲は異なることがありますが、一般的には計画の立案や実行、チームの指導や育成、プロジェクトの進行管理など、管理全般を担当します。
具体的には、目標達成に向けて従業員の育成や指導、業務の進捗(しんちょく)状況の確認・調整などの管理業務が含まれます。マネジャーには、経営の視点から組織の目標に責任を持ち、それを実現するための施策を遂行する役割が求められます。こうした職務内容から、一般従業員とは異なる「責任の重さ」がある点が特徴です。
なお、マネジャーという職務は、一般的にプレイヤーとしての現場経験を積み、そのうえでマネジメントスキルを高めてキャリアアップしていく流れで就くポジションです。現場での実務スキルとマネジメントスキルを兼ね備えることが重要とされ、多くの企業で「管理職」として認識されています。
リーダーとの違い
マネジャーとリーダーは似た役職に見えますが、実際にはその目的と役割が異なります。マネジャーは、チーム全体の成果を最大化するために、業務の調整や役割分担を行い、メンバーの成長をサポートする管理職です。組織の目標を達成するためにチーム全体を統率し、適切に管理する役職として、メンバーが成果を上げやすい環境づくりが求められます。
一方、リーダーは、チームの先頭に立ち、メンバーを引っ張る役割を担います。リーダーは職位に関わらず、強いリーダーシップを発揮して、チームの方向性を具体的に示し、メンバーを導いていく存在です。
スポーツチームに例えると、リーダーがキャプテンであるのに対し、マネジャーは監督に近い役割といえるでしょう。監督としてチームの成果を総合的に見守るマネジャーに対し、リーダーはチームの具体的な行動を先導することで目標達成に貢献します。
主な仕事内容
マネジャー職には、目標設定や計画立案、部下の育成、プロジェクトの進捗管理といった、組織運営に欠かせないさまざまな役割があります。それぞれの役割がどのような意義を持つのか、具体的な業務内容に注目して解説していきます。
目標設定・計画立案
マネジャーの重要な業務のひとつに、チームや組織の目標を設定し、それに基づく計画を立案することがあります。組織全体のビジョンや経営戦略に合わせ、具体的なゴールを設定し、その達成に向けた行動計画を作成することが求められます。
例えば、組織全体の目標を達成するために、各部署やチームが担う役割を明確にし、各メンバーに求められる個別の目標を具体的に落とし込みます。
また、計画の立案には、以下のようなステップが含まれます。
- 目標の共有と浸透:組織全体のビジョンや目標をメンバーに共有し、全員が理解できるようにする
- 具体的な行動計画の策定:設定した目標に対して、必要なアクションを段階的に計画し、各メンバーにタスクを割り振る
- 進捗管理:定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画の見直しや目標の再設定を行う
このように、マネジャーは目標設定と計画立案を通じて、組織の目標達成に向けた土台を築く役割を担っています。
部下の育成
人材育成は、マネジャーにとって欠かせない重要な業務のひとつです。マネジャーは、業務スキルや専門知識を持つ立場として、部下が成長しやすい環境を整え、適切なサポートを提供します。
例えば、部下が業務で困難に直面した際には、適切なアドバイスを与え、解決に導く手助けをします。また、成長を見せた部下には、その努力をしっかりと評価し、成果を認めることが大切です。こうした適切な評価とフィードバックが、部下の成長を促し、組織全体の活力を高めることにつながります。
プロジェクトの進捗・業績管理
プロジェクトの進捗管理と業績管理は、マネジャーの重要な業務のひとつです。
プロジェクトが計画通りに進むよう目標や業務内容を定期的に確認し、進捗をチェックすることで、計画に遅れが出ないように管理します。また、業務内容を整理し、必要な作業を明確にしておくことで、効率的な役割分担が可能になります。
加えて、業務効率を高めるために、無駄な作業がないかや改善の余地があるかを見極め、効果的な業務改善を図ります。
さらに、プロジェクトの進行中に起こりうるリスクやトラブルも想定し、メンバーに対策を促すことで、組織の目標達成に貢献するのがマネジャーの役割です。
人材管理・組織づくり
人材管理と組織づくりは、マネジャーにとって重要な業務です。
人材管理の一環として、人材配置や育成を通じて、チームが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが重要です。マネジャーは、従業員のスキルや適性、モチベーションを把握し、最適なポジションに配置することで、組織全体の効率と成果を高めることを目指す必要があります。
また、組織づくりの面では、組織目標を達成するために、メンバーそれぞれの能力や仕事観を理解し、それに応じた業務の割り振りが必要です。適材適所の判断を行うことで、個々のメンバーが持つ強みを引き出し、組織としての成果を向上させられるでしょう。
評価・フィードバック
マネジャーの重要な役割のひとつに、メンバーの業務過程や結果を評価し、成長に向けたフィードバックをすることがあります。
適切な評価は、メンバーのモチベーション管理につながります。成果や頑張りが正しく評価されることで、メンバーのやる気が向上し、逆に改善が必要な点についてはフィードバックによって具体的な改善策が示されるため、次のステップが明確になります。
成果を上げた場合には努力をたたえ、うまくいかなかった場合もメンバーとともに課題を検討し、改善に向けた支援を行うことが大切です。
マネジャー職の種類
マネジャー職には、その業務範囲や専門性によってさまざまな種類が存在します。ゼネラルマネジャーやエリアマネジャーなど、役職によって求められるスキルや管理の幅も異なります。ここでは、代表的なマネジャー職について詳しく解説します。
ゼネラルマネジャー
ゼネラルマネジャーは、マネジャー職のなかでも上位の役職に位置し、組織全体の運営に深く関わる役割を担います。日本企業では「部長」として配置されることが多く、多くの従業員を管理し、現場の指揮ではなく、経営戦略や人事、予算の管理など、組織全体の方針に関わる重要な判断を行います。
ゼネラルマネジャーは、組織の目標達成に向けて、リーダーシップを発揮し、チームや部署全体の方向性を示すことが求められます。企業の経営や成長に貢献する機会が広がるため、責任も大きいですが、やりがいのあるポジションといえるでしょう。
エリアマネジャー
エリアマネジャーは、特定の地域を担当し、そのエリア内にある複数の店舗や支店を管理・運営する役職です。主に販売業やサービス業などの店舗型ビジネスで見られるポジションで、担当エリア全体の売上向上を目標に掲げ、各店舗が円滑に運営できるようサポートします。
エリアマネジャーの業務には、在庫管理や人材育成、スタッフへの業務指導、店舗間の課題把握と改善提案などが含まれます。担当エリアの状況に応じた戦略を立てることで、売上や顧客満足度の向上に貢献することが求められるため、管理能力とともに現場での柔軟な対応力も重要です。
プロジェクトマネジャー
プロジェクトマネジャーは、特定のプロジェクトを成功に導くために指揮を執る役職です。ラインマネジャーの下で活動し、プロジェクトが計画通りに進行するよう、さまざまな管理業務を担います。
具体的な業務には、予算管理や品質管理、納期の調整などが含まれます。プロジェクトの進捗を常に把握し、問題が発生した場合には迅速に対応することで、プロジェクトがスムーズに進むようにサポートします。プロジェクトメンバーと密にコミュニケーションを取りながら、最終的な目標達成に向けて全体をリードする役割を担っています。
プレイングマネジャー
プレイングマネジャーは、管理職としてチームのマネジメントを行いながら、自らも実務に参加して成果に貢献する役職です。スポーツで例えるなら、監督としてチームを指導しつつ、選手としても試合に出場するような役割を担っています。
プレイングマネジャーは、現場での業務をこなしながら、他のメンバーへのサポートや指導も行います。このように、チームの目標達成をリードしつつ、自身も実務で成果を出すため、柔軟な対応力とバランス感覚が求められます。
ラインマネジャー
ラインマネジャーは、組織内の指揮命令系統において、部下を直接管理し、組織の目標を達成するために指揮をとる役職です。ライン組織とは、社長から一般社員までが一貫した指揮系統に基づいた、ツリー構造で結ばれている組織体制のことで、ラインマネジャーはそのなかで指示や管理を行います。
日本企業では、部長や課長といった管理職がラインマネジャーに当たります。特に、現場での管理責任を持つファーストラインマネジャーは、部下との距離が近く、現場の状況に即した意思決定が求められます。現場の課題に対する迅速な対応とともに、指揮を通じてチームの方向性を示す役割が重要です。シニアマネジャー
シニアマネジャーは、通常のマネジャーよりも上位の役職で、部長クラスに次ぐ位置づけにあるのが一般的です。この役職は、豊富な経験と実績を積んだ人材が就くポジションで、組織内で重要な責任を担います。
シニアマネジャーの役割は、中間管理職として上層部の経営方針を理解し、現場のチームに伝達・実行させることです。
具体的には、部下の指導や育成を通じてチームの目標達成をサポートし、必要な意思決定を行います。また、部門の成果や課題を把握し、それを経営層に報告することで、企業全体の戦略改善にも貢献します。
ミドルマネジャー
ミドルマネジャーは、部長や課長などの中間管理職に位置するマネジャーで、経営層と現場をつなぐ重要な役割を担っています。経営層が決定した戦略や方針を現場に伝え、現場での実行につなげることが主な職務です。
ミドルマネジャーの役割がうまく発揮されるかどうかによって、組織全体が一体となって目標に向かって行動できるかが左右されます。経営層のビジョンを具体的な行動計画に落とし込み、現場での実行を促進することが求められるため、組織の中での潤滑油のような存在ともいえるでしょう。
マネジャー職のキャリアパス・転職事例
マネジャー職は、多様なキャリアパスが選べる職種です。ここでは、マネジャーとして経験を積んだ後に描ける代表的なキャリアパスを紹介します。
マネジャー職の主なキャリアパス
キャリアを積むうえで、マネジャー職は現場のスペシャリストとしての道か、組織全体を見渡すゼネラリストとしての道を選ぶことができます。それぞれのキャリアパスの特徴を見ていきましょう。
スペシャリストとして働く
マネジャー職のキャリアパスのひとつとして、専門領域のスペシャリストとして働く道があります。このキャリアでは、特定の分野での深い知識や高度なスキルを生かし、現場でその専門性を発揮しながらチームを支える役割を担います。
スペシャリストとしての知識や技術がチームメンバーからの信頼を集め、頼れる存在としてチームの成長を後押しします。メンバーもスペシャリストの支援のもとで安心して業務に取り組めるため、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
ゼネラリストとして働く
もうひとつのキャリアパスは、ゼネラリストとして働く道です。ゼネラリストは特定の分野に限定されることなく、幅広い知識と多彩なスキルを生かして、さまざまなプロジェクトをマネジメントします。
異なる分野の状況やトレンドを把握し、柔軟に対応できるため、部署を横断するようなスケールの大きな仕事に携わることができるのが特徴です。
ゼネラリストとしての経験を積むことで、経営陣としての視点が身に付きやすく、将来的には経営ポジションにステップアップするキャリアを形成することもできるでしょう。
他職種・未経験からマネジャー職へのキャリアパス・転職事例
ここでは、具体的な転職事例とともに、他職種・未経験からマネジャー職へのキャリアパスをご紹介します。
未経験の職種からの転職事例は多く見られますが、いずれもコミュニケーション能力や問題解決能力、ビジネスマナーなど前職で培った能力が役立っているようです。事業内容としては前職と近い、あるいは同一分野での転職事例もありましたが、未経験の事業での転職事例も多くあり、前職で磨いたスキルが役立っていることが多いようです。
マネジャー職への転職のきっかけは「より大きな裁量権を得たい」といった方が多いようです。また、「新たに挑戦したい職種/業界ができた」ことから転職を考え、マネジャークラスの職へと転職した方も多いようです。
以下に具体的な転職事例を記載しておりますので参考にしてみてください。
業務プロセスコンサルタントからプロダクトマネジャーへの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・ワークライフバランスを整えたい
・より大きな裁量権を得たい
・新たに挑戦したい職種/業界ができた
※参考:アビームコンサルティングからの転職体験談
営業事務・アシスタントから係長・リーダークラスへの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・より大きな裁量権を得たい
・カルチャーがあわない
・新たに挑戦したい職種/業界ができた
※参考:帝国データバンクからの転職体験談
役職なしから係長・リーダークラスへの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・より大きな裁量権を得たい
・目指すべきキャリアゴールに近づけない
・新たに挑戦したい職種/業界ができた
※参考:KDDIからの転職体験談
マネジャー職から他職種へのキャリアパス・転職事例
続いて、他職種へのキャリアパスを具体的な転職事例とともにご紹介します。
マネジャー職から他役職への転職理由としては、他業種や職種に興味が出てきたことや、自身のスキルアップを目指したいなどが多いようです。この場合でも、コミュニケーション能力や分析力などが役に立ったと語っている方も多いようです。その他にも、マネジャー職として勤務していたことで得られたマネジメント能力も評価されていたようです。
以下に具体的な転職事例を記載しておりますので参考にしてみてください。
係長・リーダークラスから役職なしの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・自社の戦略を作ることから複数の業界や企業の戦略を考える仕事に対して興味が出てきたため
※参考:楽天グループからの転職体験談
係長・リーダークラスから役職なしへの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・目指すべきキャリアゴールに近づけない
・年収をあげたい
・業務内容とのアンマッチ
※参考:レバレジーズからの転職体験談
課長・マネジャークラスから役職なしへの転職
転職を考えた理由・きっかけ
・業界を変えて自身のスキルアップ、経験を積みたかった。
※参考:ニトリからの転職体験談
マネジャー職のやりがい・働くメリット
マネジャー職には、単なる業務遂行にとどまらないやりがいがあります。人を動かし、組織を導く責任と達成感を得られるのは、管理職ならではの経験です。ここでは、マネジャーとして働く上でのやりがいや、得られるメリットについて解説します。
働く上でのやりがい
マネジャー職のやりがいは、メンバーを支え、成長させ、チーム全体で成果を上げることにあります。人を育て、ともに目標を達成する喜びは、管理職ならではの充実感です。
人を動かす仕事ができる
マネジャー職のやりがいのひとつは、「人を動かす」役割を担えることです。
自身が直接的に成果を出すのではなく、メンバーを生かし、チーム全体で目標を達成することに意義を感じられるでしょう。人を使って数字を上げることは決して簡単ではありませんが、その分達成感は大きく、管理職としての成長も実感できます。
人を動かしながら仕事を進めることの難しさと充実感は、マネジャー職の大きなやりがいです。
部下の成長が見られる
マネジャー職のやりがいのひとつは、部下の成長を間近で感じられることです。指導やアドバイスを通して部下が成果を上げ、成長していく姿は、管理職としての大きな喜びです。
また、日々のコミュニケーションを通じて、部下それぞれの個性や強みを引き出し、チームの一員として活用できたときにも、大きな充実感を感じられるでしょう。部下の成長をサポートし、それが組織の成果に結びつく経験は、マネジャー職ならではのやりがいです。
チームで労苦を分かち合える
マネジャー職のやりがいのひとつは、チームで目標に向かって努力し、労苦を分かち合えることです。プロジェクトが完了した際、部下や同僚たちとともに達成感を共有できる瞬間は、マネジャーとしての大きな喜びといえます。
また、責任感を持ちながら、チームと苦楽をともにすることで、自分自身も成長できます。目標達成時にはメンバー全員とその喜びを分かち合えるため、チームワークの大切さを実感しながら働ける点がマネジャー職の大きな魅力といえるでしょう。
マネジャー職の年収・待遇
マネジャー職に就くことで年収や待遇が向上する傾向がありますが、役職や業界、企業規模によってもその差は大きく異なります。ここでは、平均的な年収や待遇の実情について詳しく見ていきましょう。
平均年収
厚生労働省が発表した「令和5年度賃金構造基本統計調査」によると、管理職の平均年収は部長級で596万円、課長級で490.8万円、係長級で370.8万円です。
一般の従業員の平均年収が291.1万円であることと比較すると、部長級の年収はその2倍以上となっており、マネジャー職に就くことで収入が大幅に増えることが分かります。
また、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は460万円となっており、課長級以上の役職はこの平均を上回る収入を得られる傾向にあります。
さらに、日本経済団体連合会(経団連)の調査では、管理職の賞与が一般職の倍に近い水準で支給されていることがわかっています(※1)。
ただし、こうした年収の違いには、管理職としての責任や長い勤続年数も関係しているため、給与は役職とともにスキルや経験の蓄積によって増加する傾向があるといえるでしょう。
(※1)参考:一般社団法人 日本経済団体連合会「『2021年夏季・冬季 賞与・一時金調査結果』を発表」
待遇
管理職の待遇は、その権限や業務内容によって異なり、残業代の支給も例外ではありません。
労働基準法では、管理監督者とされる管理職には残業代が支給されないのが原則ですが、実際に管理監督者とみなされるかは、職務内容や待遇の実態によって判断されます。単に役職名だけで残業代がカットされる場合もある点に注意が必要です。
また、働き方改革により一般職の長時間労働は減少傾向にある一方で、管理職の負担は増加しています。これは経営課題の複雑化や人材不足、業務量の増加が背景にあるとされており、特に部下のマネジメントが難しくなっている点が大きな要因です。
現代では、SDGsやデジタルトランスフォーメーション(DX)など新たな社会課題への対応が求められ、管理職の業務は高度化・複雑化しています。経営課題に応じた迅速な対応が必要とされる一方で、これらの責任や課題に見合った管理職の待遇が期待されています。
マネジャー職の将来性
デジタル化が進む現代社会において、マネジャー職の需要は今後も高まり続けると予測されています。その理由は、人と人をつなぐ「ソーシャルスキル」の重要性が増しているためです。
今後のマネジャー職に求められる重要な能力は、「人をつなぐ力」といえるでしょう。具体的には、チーム内の調整や交渉、説得力、さらには社会的な状況を察知する能力が必要とされます。
特に、DX推進が加速するなかで、マネジャーには新たな役割も期待されています。従来の管理業務に加えて、ビジネス戦略の理解や最新技術の活用方法の判断、そして多様な働き方を受け入れる柔軟性が重要になってきています。
このように、マネジャー職は単なる管理者ではなく、組織の中で人と人をつなぎ、プロジェクトを成功に導くキーパーソンとして、その重要性は今後さらに高まっていくでしょう。
マネジャー職に向いている人
マネジャー職は、コミュニケーション力や調整力、問題解決力が重要な役職です。組織の中で成果を出すためには、他のメンバーと協力し、目標達成に向けた柔軟な対応が求められます。ここでは、どのような経験や知識がマネジャー職に生かされるのかについて見ていきましょう。
求められる素養
まずは求められる素養をご紹介します。
目標設定力
求められる素養の1つとして、目標設定力が挙げられます。
目標設定力とは、適切な目標を設定する力のことです。前述の通り、マネジャー職の主な仕事内容に目標設定と計画立案があります。そのため、組織全体のビジョンや戦略や目標に合わせて各部署やチーム、さらにはメンバーに求める目標を落とし込む必要があります。この時に重要になってくるのが目標設定力です。
目的を達成するために目標をたて、試行錯誤する力のことで目標設定力を磨くことができます。また、実際にそのような経験をした場合は自身の強みとして伝えることもできます。目標設定力の他にも、マネジメント力や達成する力なども伝えられると良いでしょう。
コミュニケーション能力
マネジャー職に求められる素養には、コミュニケーション能力も挙げられます。
コミュニケーション能力とは、相手の言うことを正しく理解する能力や伝えたいことを適切に表現し、相手に理解してもらう能力のことを指します。部下の育成や人材管理、評価やフィードバックを行うなど、人と接することが多いマネジャー職にとってコミュニケーション能力は必要な能力といえるでしょう。
コミュニケーション能力については、以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてみてください。
▼コミュニケーション能力について詳しく知りたい方はこちら ・コミュニケーション能力の自己PR例文職業別16選。面接での伝え方も解説
論理的思考力
論理的思考力もマネジャー職に求められる素養の1つです。
論理的思考力とは事象や思考を的確に分類することで構造化し、相手に分かりやすく伝える能力のことです。前述の通り、マネジャー職は人と接することが多い役職です。そのため、相手に分かりやすく伝えるために必要な能力の1つである論理的思考力はマネジャー職にとっては非常に重要な能力であるといえます。
論理的思考力をアピールする場合は、実際にその能力を使って何かを成し遂げた経験の他にも、コミュニケーション能力なども合わせて伝えると良いでしょう。
意思決定力
他にも、意思決定力もマネジャー職に求められる素養です。
意思決定力とはある問題などに対して選択肢を検討し、最適な選択を行うことができる能力のことを指します。目標設定や計画立案などが主な仕事内容に含まれるマネジャー職にとって、自身の選択は組織やチーム、部下などの個人へと大きな影響を与えます。そのため、責任を持って選択を行う能力は非常に重要であるといえます。
意思決定力をアピールする場合は、実際の経験以外にもリーダーシップや推論力、発想力などもあわせて伝えられると良いでしょう。
人材評価力
また、人材評価力もマネジャー職に求められる素養であるといえます。
人材評価力とは、個人の能力や業績、態度や行動に対して客観的に適切に評価することのできる能力を指します。部下の育成や人材管理、組織づくりが仕事内容に含まれるマネジャー職にとっては非常に重要な能力であるといえます。
この能力は学生のうちに身につけ、アピールすることが難しいため、実際に働くようになってから、実践を積みながら身につけていくと良いでしょう。
必要な経験・知識
マネジャー職で求められるのは、他部門や外部組織との連携や人材育成、戦略の企画立案といった経験です。こうしたスキルや経験があれば、マネジメント業務において大きな力を発揮できるでしょう。
外部組織と越えて連携した経験
マネジャー職には、社内だけでなく外部の組織とも連携しながらプロジェクトを進めた経験があると、非常に役立ちます。外部組織との連携は、異なる文化や目標を持つチームとの調整が必要になるため、コミュニケーション力や調整力が問われます。
例えば、取引先や協力会社と共同で進めるプロジェクトでは、相手側のスケジュールや期待に合わせてスムーズに進行できるよう調整する力が求められます。
また、外部との関わりを持つことで、視野が広がり、組織外の新しいアイデアや視点を取り入れられるようになるため、マネジャーとしての成長につながるでしょう。
制度改革、戦略の企画・立案など、変革に参加した経験
マネジャー職には、組織の変革に参加した経験が必要とされています。現状を見直し、新たな目標に向かって組織全体の方向性を定めた経験などがあると、マネジャーとして変化に柔軟に対応し、チームをリードしやすくなります。
例えば、既存の制度を改善するための提案を行ったり、ビジネス目標に基づく新たな戦略を立案したりする経験は、課題発見と解決策の実行力を身につける機会です。
こうした経験がある人は、変化の多い環境においても、成果を上げるために必要な判断力と推進力を発揮できるため、マネジャー職に向いているといえるでしょう。
後輩を育成した経験
後輩を育成した経験は、マネジャー職にとって大きな強みです。人材育成は、組織の成長やチームの生産性向上に直結します。
後輩の成長を促すために、自らが教育担当として指導を行い、スキル向上や成果を達成させた経験があれば、マネジメント経験として高く評価されるでしょう。
例えば、研修の企画や実施、成果の評価などを行った経験があることで、組織内での後輩育成を通じてチーム全体の目標達成に貢献する力があることを示せます。
組織やチームのリーダーとしての役割を果たした経験
組織やチームのリーダーとしての実務経験は、マネジャー職において非常に重要です。
管理職の役割には、部下の労務管理や勤怠管理、人事評価、目標設定、そして業績管理が含まれます。組織の目標達成に向けてチームを率いる責任があり、リーダーとしての意思決定や問題解決能力も必要とされます。
どのような規模のチームを管理し、どのような成果を出したのかといった具体的な実績があれば、企業からの信頼も高まるでしょう。リーダー経験を通じて培ったリーダーシップや問題解決能力は、マネジャー職において求められる大きな資質です。
有利に働く資格・経験
ここからは有利に働く資格や経験を6つご紹介します。
簿記検定(日商簿記)
1つ目は簿記検定です。
簿記検定とは経営管理に役立つ知識として、求められる資格の1つです。経理や会計といった業務で生かせる他、簿記の勉強をすることでビジネスの基本スキルを養え、経済的な面から企業を分析出来るため(※2)、マネジャー職以外にも役立つ資格です。
詳しくは後述の記事にてご紹介していますので、参考にしてみてください。
(※2)参考:東京商工会議所「日商簿記検定とは」
中小企業診断士
2つ目は中小企業診断士です。
中小企業診断士とは国内唯一の経営コンサルタントの国家資格です。コンサル業や営業職などをはじめとしてあらゆる業種で生かせる他、難関の国家資格であるため、取得できればマネジャー職に限らず、どのような職種でもかなり有利に働く資格です。
詳しくは後述の記事にてご紹介していますので、参考にしてみてください。
MBA(経営学修士)
3つ目はMBAです。
MBAは資格ではなく、経営学の大学院修士課程を修了すると与えられる学位です。MBAプログラムでは経営戦略、マーケティング、ファイナンス、リーダーシップなど、企業経営に必要な知識を学べるため、就活で有利に働く経験の1つといえます。また、論理的思考力、課題解決力、コミュニケーション力などのスキルも身につけることができます。
TOEIC
4つ目はTOEICです。
TOEICは英語によるコミュニケーションとビジネス能力を測るための試験で、さまざまな種類がありますが「TOEIC Listening & Reading Test」が最もメジャーです。日本の多くの企業が、TOEICを英語力を測る有力な指標としており、外資系企業の中にはTOEIC高得点を採用条件として要求する企業も多いです。そのため、TOEICは受検した方が良い試験といえます。
詳しくは後述の記事にてご紹介していますので、参考にしてみてください。
メンタルヘルス・マネジメント検定
5つ目はメンタルヘルス・マネジメント検定です。
メンタルヘルス・マネジメント検定とは働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得する試験です(※3)。部下の育成など人と関わることが多いマネジャー職にとっては有利に働く資格と言えるでしょう。
(※3)参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験「試験について」
社会保険労務士
6つ目は社会保険労務士です。
社会保険労務士とは、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。試験を受け、資格を得ることで社会保険労務士になれる場合が多いです。人材に関する専門家であり、「労働および社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者などの福祉の向上に資すること」を主な目的としています(※4)。
(※4)参考:全国社会保険労務士会連合会「社労士とは」
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マネジャー職での選考に向けた対策
マネジャー職などの管理職は、一般的に業務や経験を積み重ねて昇進することで得られる役職ですが、近年では新卒から幹部や管理職コースを設け、募集している企業も多くあります。そのため、マネジャー職を希望する場合は、どの企業が募集しているかを調べてみましょう。
その後、実際にインターンに参加してみたり、OB・OG訪問をし、情報収集を行うなどしてみましょう。詳しくは後述の記事に記載していますので参考にしてみてください。
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