こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、就活において必須ともいえる自己分析を行うための7つの手法を紹介します。各方法における注意点や効果的な自己分析を行うためのポイントを解説しています。これらの自己分析シートのテンプレも掲載しているので、ぜひ就活にご活用ください。
<目次>
●就活において自己分析は基本中の基本
・自己分析が重要な理由
●自己分析にはシートの活用がおすすめ
・自己分析シートとは
・自己分析シートを使うメリット
●【7選】自己分析シートの例とテンプレート
・(1)自分史
・(2)ジョハリの窓
・(3)モチベーショングラフ
・(4)Will・Can・Must
・(5)ikigaiチャート
・(6)マインドマップ
・(7)SWOT分析
●作成した自己分析シートを就活に活用するためのポイント
・自己分析シートを作成して終わりにしない
・自身の強みも弱みも正直に分析する
・自己分析シートから就活の軸を見いだす
・面接やESで用いるために分析結果を具体的に言語化する
・業界研究/企業分析も並行して行う
●おわりに
就活において自己分析は基本中の基本
就活における自己分析とは、過去の経験や出来事をもとに自分の長所・短所を整理したり、自分に適性があるのはどのような仕事かを探ったりすることです。
企業へ行う自己PRと、企業・職種選びの根本となる役割を担うため、どんな就活生も行うべき基本中の基本の作業だといえます。
自己分析が重要な理由
自己分析が重要な理由としては主に以下のものが挙げられます。
- 就活の軸が定まる
- 自己PRに利用できる
就活の軸を見つけられる
まずは、自己分析の結果を用いて、就活の軸を定める方法をご紹介します。
実践的で簡単な就活の軸の作り方としては、「本音の軸」「建前の軸」と2層に分ける方法があります。
まず始めに明確にするのは「本音の軸」で、自分が本当に求めているものや大切にしたいことを考えます。自己分析によって発見した「将来の理想の姿」や「自分のパフォーマンスが上がる環境」を実現するために必要な要素を明確にしましょう。
「本音の軸」を明確にしたら、次に「建前の軸」を作成します。「建前の軸」とは、面接などで会社に伝える形に言い換えたものです。採用担当者に共感・評価してもらえるように本音の軸のニュアンスを変化させます。注意すべきことは、企業の求める人材像に寄せすぎて、企業とのミスマッチが起こらないようにすることです。
▼就活の軸について詳しく知りたい方はこちら
・就活の軸【例一覧100選】面接/ESでの答え方と業界・職種別の例文
自己PRに利用できる
自己分析はさまざまな方法で自分の強みや弱みを見つけていく作業なので、自己PRへの活用ができます。
また自己分析によって、自分の強みだけでなく強みに関連する過去の経験や、その時考えたことなど、さまざまな自分の情報について深掘りができるので、就活のさまざまな質問に利用できます。
自己分析にはシートの活用がおすすめ
自己分析を効果的に進めるためには、自己分析シートの活用が非常に有効です。このシートは、自分の強みや価値観、キャリアの方向性を整理するのに役立ち、就活において明確な志望動機や自己PRを作成する基盤です。ここでは、自己分析シートとは何か、そしてその活用による具体的なメリットについて詳しく解説します。
自己分析シートとは
自己分析シートとは、自分の過去の経験や出来事を振り返りながら、強みや弱みを明確にするための分析シートです。就活を始める際、多くの人がどの職業や仕事が自分に向いているのか悩むことがありますが、自己分析シートを活用することで、自己理解を深められ、就活の道筋を見つけやすくなります。
このシートは、自分の適性や価値観を整理するだけでなく、面接対策や企業理解を深める際にも役立ちます。自己分析シートを効果的に使うことで、就活のスタートラインにしっかりと立ち、目指すべきキャリアの方向性を明確にできるでしょう。
自己分析シートを使うメリット
自己分析シートの最大の魅力は、情報の整理のしやすさにあります。ただ漠然と自己分析を行うと、後から見直すことが難しく、分析を深めたり追記したりするのが手間になることがあります。しかし、自己分析シートを活用することで、内容が一目で整理しやすく、比較的スピーディーに作成できるため、就活を効率的に進めるうえで非常に有効です。
自己分析シートを埋めていく過程で、今まで考えていなかった新たな視点が生まれることもあります。シートを完成させた後、「こういうことも自分にはいえるのではないか」とさらなる分析の視点が見えてくることもあるでしょう。
自己分析を進める際、シートを使わずに整理を行う人もいますが、自己分析では常に自分と向き合っているため、客観的な視点が欠けてくることがあります。自己分析に一貫性や具体性が欠けてしまうと、エントリーシート(ES)や面接でアピールが伝わりにくくなり、選考で不利になることもあるでしょう。自己分析シートを使うことで、これらの問題を回避し、より効果的に自分をアピールできます。
【7選】自己分析シートの例とテンプレート
自己分析を効果的に行うためには、さまざまなシートやツールを活用するのがおすすめです。これにより、自分自身の強みや価値観、目標を明確にし、就活やキャリア形成に役立てられます。ここでは、自己分析に役立つ7つのシートやテンプレートを紹介し、それぞれの特徴や使い方について詳しく解説します。
(1)自分史
自分史とは、自分の人生や経験を振り返って、年表のように書き表したものです。
自分史で過去の経験やその時の感情を振り返ることによって、自分の考え方や価値観を深く理解できるので、企業選びや就活の軸を決める際に役立ちます。自分の強みや過去の経験を洗い出すことで、ES作成や面接の準備も効率的に行えます。
自分史の作り方
(1)それぞれの時期の自分のタイプを書く
まず、自分が所属していた組織やコミュニティでの当時の立ち位置を明確にすることで、行動や感情をより具体的に思い出せるようにします。特に幼少期などの曖昧になりやすい経験はこういった大まかなタイプなどを参考にすると明確に思い出しやすくなります。
それぞれの時期にどのような特徴を持った人間だったか、思い出せる限り書き出しておきましょう。
(2)幼少期からのエピソード年表を作る
幼少期からのエピソードを時系列に並べて年表の形式にすることで、過去に起きた体験や当時の感情を整理できるため、自己理解を深めるのに役立ちます。
各時期のキャラクターや立ち位置を書いたあとは、自身の中で印象に残る具体的なエピソードを並べていきます。ここではエピソードを洗い出すことが重要なので、1つ1つのエピソードをあまり精査する必要はありません。
(3)モチベーショングラフを作って感情を言葉にする
モチベーショングラフ自体も、後ほど紹介する自己分析ツールの1つです。先ほど洗い出した出来事と、その時の感情の起伏について時系列でグラフにします。
このグラフを作成することで自分のモチベーションが上がることや、影響を受けた出来事が可視化されます。
(4)自分史から分かることを書き出す
ここまで書いてきた出来事やその時の感情の起伏を振り返って、自分について分かることを書き出しましょう。
具体的にいうと、それぞれの出来事から学んだことや、自分の行動と感情から分かる特徴などについて書き出していきます。複数のエピソードから、傾向や共通点を見つけることで書き出しが行いやすくなります。
自分史のテンプレート
自分史の記入例については以下のものをご参考にしてください。
当時のキャラクター・立ち位置 | 出来事・エピソード | 当時感じたこと・考えていたこと | 経験から学んだこと | |
幼少期(小学校入学以前) | ・幼稚園ではしっかり者だが家では甘えん坊 | ・玄関の靴並べや新聞を取ってくるといったお手伝いをした | ・お手伝いをすることで、母や父が喜んでくれるのがうれしかった | ・誰かが喜ぶことをすると、自分もうれしい気持ちになる |
小学生 | ・クラスのまとめ役 | ・小学5年生のときに学級委員を務め、クラスで行うイベントの企画をまとめた | ・クラスメイトの意見をまとめて考えることにやりがいを感じた | ・クラスをまとめるためには、多くのクラスメイトの意見を聞くことが大切 |
中学時代 | ・学校ではサッカー部に所属。周囲を俯瞰して見るタイプ | ・中2の夏休みに、ボランティアとして、地域のクリーン活動に参加した | ・友達に誘われての参加だったため、最初は少し面倒に感じたが、歩道などがきれいになっていくともっと頑張ろうという気持ちになった | ・学校と家以外の活動に参加することで、自分の視野が広がった |
高校時代 | ・勉強そっちのけで部活にはまっていたサッカー少年 | ・サッカー部で県大会出場を目指して練習に励んだ | ・日々の練習はつらかったが、同じ目標に向かって部活のメンバーと一緒に努力をするのは楽しかった | ・高い目標を掲げて努力をするとモチベーションが上がる ・掲げていた目標には届かなくても、努力したことで得られるものは大きい |
大学時代 | ・周囲からよく相談を受けるタイプ | ・コンビニエンスストアのアルバイトで、指定されたたばこをすぐに出せるように銘柄をインターネットで調べて覚えた | ・指定されたたばこをスピーディに出せると、お客さまが満足した顔をしてくれる | ・少しの工夫で人の満足を引き出せる |
また、ワンキャリア会員限定で自分史のテンプレートのpdfを無料公開しておりますので、以下のリンクからぜひダウンロードしてご利用ください。
・自分史のテンプレートはこちら(2)ジョハリの窓
ジョハリの窓とは自己分析と他己分析を同時に行う手法です。自分について4つの領域から自己分析と他己分析を行うことで、自分と他者の認識のズレを見つけます。
例えば、自分のことを他人に話さないタイプの人がジョハリの窓を行うと、自分の中でのイメージと周囲の人が抱いているイメージは大きく異なる可能性があります。ジョハリの窓の自己分析では、自身が認識している自分だけでなく、他人から見た自分についても分かるため、自分についての理解がより深まります。
具体的には以下のような4つの領域に分けて自分の特徴を分類します。
- 「開放の窓」:自分も他人も知っている自己
- 「盲点の窓」:自分は気づいていないが他人は知っている自己
- 「秘密の窓」:自分は知っているが、他人は気づいていない自己
- 「未知の窓」:誰からもまだ知られていない自己
ジョハリの窓の作り方
ジョハリの窓は、紙とペンを使ってシンプルに行えます。
まず、2種類の用紙と筆記用具を用意してください。1枚目は4つの窓に分けて分析結果を記入する用紙で、1人につき1枚用意します。2枚目は、自分や他の人の能力や性格を書き出す用紙です。それぞれに参加する人数分を用意しましょう。例えば4人で行う場合、1人が4人分の評価を行うため、2枚目の用紙は16枚(4×4人分)必要です。
1枚目の紙は4つの窓に区切り、左上は開放の窓、左下は秘密の窓、右上は盲点の窓、右下は未知の窓とします。
各自に人数分用意した2種類目の紙には、自分と他のメンバーの性格や能力、特徴を考えて記入します。1人にかける時間を5〜10分程度に設定して、決まった時間内に思いつく限り書き出すことが大切です。
重要なのはあまり時間をかけすぎないことです。時間を制限することで、対象者に対する強く明確な印象だけが洗い出されるでしょう。記入した紙は、それぞれ評価した対象者に渡して、自分で評価した用紙と他のメンバーから渡された用紙がそろったら、以下の基準で記入された特徴などを1枚目の用紙に集計します。
- 開放の窓:自分も他者も記入した項目
- 盲点の窓:自分は記入せず、他人が記入した項目
- 秘密の窓:自分は記入したが、他人は記入しない項目
- 未知の窓:自分も他人も記入しない項目
この集計作業によって、自己と他者の認識のズレが見つかります。
集計後は、全員で結果を共有します。認識していなかった自分の性格や特徴があれば、評価した人に「なぜそう思うのか」を質問してみましょう。認識のズレに注目して理由を聞くことで自分への理解が深まります。
ジョハリの窓のテンプレート
ジョハリの窓のテンプレートは以下の通りとなっております。それぞれ設定された「窓」に、自己分析や他己分析の結果を記入しましょう。
自分は知っている | 自分は気づいていない | |
他人は知っている |
「開放の窓」 自分も他人も知っている自己 |
「盲点の窓」 自分は気づいていないが他人は知っている自己 |
他人は気づいていない |
「秘密の窓」 自分は知っているが、他人は気づいていない自己 |
「未知の窓」 誰からもまだ知られていない自己 |
(3)モチベーショングラフ
モチベーショングラフとは、人生におけるモチベーションの変化を曲線のグラフを用いて表す、自己分析の手法の1つです。過去の出来事とその時の感情を振り返り、グラフにすることで感情を可視化し、自分の感情の起伏について深掘りすることで、自分の価値観や性格などを洗い出すことが主な目的です。
具体的には、モチベーションが高い時と低い時を曲線でつないでグラフを作成して、今までのさまざまな出来事におけるモチベーションの変化を可視化します。ただ作成するだけでなく、可視化された感情の起伏について、なぜそのような感情を抱いたのか深掘りすることで、自分の価値観や信念が見えてきます。
モチベーショングラフの作り方
モチベーショングラフを作成する手順は、5つのステップから成ります。5つのステップを順に見ていきましょう。
(1)グラフの縦軸に「モチベーションの高さ」横軸に「年齢」を設定する
モチベーショングラフは左端に縦線を1本引き、「モチベーションの高さ」を設定します。また、中央に横線を1本引いて「年齢」を設定します。
縦軸のモチベーションの高さは、プラスとマイナスに100%まで設定します。具体的な数値を設定することで、モチベーションの高さについてより正確に表せます。
横軸の年齢は1年刻みである必要はなく、大まかな時期が分かるものでいいです。年齢を基準にしても出来事が思い浮かばない場合は、幼少期・小学生・中学生・高校生・大学生という区切りを設けると考えやすいです。
(2)モチベーションの高低を曲線グラフで描く
グラフの枠が完成したら、過去の出来事や経験を振り返り、その時のモチベーションの浮き沈みを曲線のグラフで書き表しましょう。
ポイントはあまり深く考えすぎないことで、楽しかった時期やつらいことが多かった時期などを感覚的に思い出し、直感で書く方が的確に書き表せるかもしれません。
(3)時期ごとに出来事を記入する
グラフの中で特にモチベーションが上がった、もしくは下がった出来事を具体的に記入します。まず、グラフに大きな変化があった時期の出来事を思い出しましょう。
ただ出来事の内容を書くだけではなく、どのような状況だったかなどできるだけ詳細を記入することが、自己分析を深めるポイントです。ただし、詳細に書こうとしすぎて全体像が分からなくなることもあるため、出来事の大枠を書き込んでから、モチベーションの浮き沈みにつながる情報を書き加えましょう。
(4)出来事が起こったときの感情や行動を振り返る
出来事を記入したら、そのときの感情を思い出して、どのような原因でモチベーションに変化があったのかを深掘りします。自分の行動と感情を振り返ることで、自分はどのような出来事にモチベーションや感情を左右されるのかといった自己理解を深められるので、この作業はモチベーショングラフの作成でも特に重要な部分です。
感情を振り返る際に、「楽しかった」「落ち込んだ」などの曖昧な感情しか出てこない場合は、出来事の5W1Hを深掘りすることをおすすめします。「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」について考えていくことで、より細かく具体的な感情を見つけられます。
(5)モチベーショングラフ全体を見て、感情、思考の共通点を探す
モチベーショングラフが完成したら、全体を見て、モチベーションが高いときの共通点、低いときの共通点を見つけて言語化しましょう。この共通点は自分の強みや弱みの発見に直結します。さらに記入しておいた出来事が具体的エピソードとしてそのまま強みの根拠づけとなるので、面接などにおいて説得力のあるアピールができるでしょう。
重要なのが、強みだけでなく弱みもしっかり分析しておくことです。就活の面接において、自分の弱みについて質問されることも多いです。これは、自分の改善すべき点を理解して、それを克服する意欲があるかを確認するためです。
モチベーショングラフのテンプレート
モチベーショングラフの記入例は以下のようになっています。
また、ワンキャリア会員限定でモチベーショングラフのテンプレートのpdfを無料公開しておりますので、以下のリンクからぜひダウンロードしてご利用ください。
(4)Will・Can・Must
Will・Can・Mustは、自分の好きなこと(will)、自分の得意なこと(can)、自分に求められていること(must)の3つの軸から自分の特徴を書き出していき、特に3つの軸が重なる特徴を中心に分析する手法です。
Will・Can・Mustの作り方
(1)3つの円で重なるベン図を描く
紙とペンを用意して、3つの円によるベン図を紙に大きく描きます。ベン図とは、円を重なり合わせて作る図のことです。それぞれの円には、自分が「好きなこと」「得意なこと」「需要があること」と記していきましょう。
(2)それぞれのベン図に、当てはまる「自分の特性」を書いていく
図ができたら、それぞれの円に当てはまる自分の特徴を書いていきましょう。
例えば絵を描くことが得意で、文化祭でポスターのデザインを担当した経験があれば「得意なこと」「需要があること」に書き加えます。読書が好きという場合には「好きなこと」だけに書き加えましょう。
ここで大切なのは、自分を人と比べないことです。自己分析の目的は、あくまで自分の中にある特徴を見つけることなので、「自分の中で得意なこと」で構いません。
(3)3つの軸が重なる特徴に注目する
ベン図が埋まったら、円が3つとも重なり合う部分に書いた特徴を抽出しましょう。過去のエピソードを振り返った上で、「好きなこと」「得意なこと」「需要があること」の全てを満たしているこの部分が、就活で使える自分の強みといえます。
抽出した自分の特徴について、「この特徴がある人は、どんな人材といえるか」ということについて考えます。これによって、あなたの強みを言葉にして説明できるようになります。
Will・Can・Mustのテンプレート
Will・Can・Mustのテンプレートは以下のようになっています。このそれぞれの円に自身の特徴を記入し、自分の本当の強みを見つけましょう。
(5)ikigaiチャート
「ikigaiチャート」は、自分が何に価値を見いだし、どのように社会に貢献できるかを視覚的に整理するためのツールです。このチャートは、仕事における満足感や生きがいを見つけるために役立ち、特に自己分析の一環として就活においても効果的です。
自分の「好き」「得意」「世の中のニーズ」「報酬」など、重要な要素を関連づけて考えることで、将来のキャリアの方向性を明確にする手助けになるでしょう。
ikigaiチャートの作り方
ikigaiチャートを作成するためには、まず「好きなこと」「得意なこと」「得たい報酬」「社会貢献になること」という4つの視点から自分を分析します。それぞれの項目について、思いつく限り具体的に洗い出してみましょう。
例えば、好きなこととして「運動すること」「スポーツ観戦」「漫画を読むこと」「人と話すこと」「市場分析」などが挙げられます。得意なことには「人とのコミュニケーション」「交渉」「計画を立てる」「人を楽しませる」などがあります。得たい報酬には「毎年2回は海外旅行に行きたいため、30代で最低でも年収500万円」など、具体的な金額や目標を設定しましょう。社会貢献になることとしては「人を笑顔にすること」「人々の資産形成」などが考えられます。
4つの視点から分析ができたら、それぞれの要素を組み合わせて、自分に合った仕事を考えます。各項目のなかで特に重視するものを選び、それを満たす仕事を見つけることが目標です。
例えば、上記の例では「運動すること」「人と話すこと」「人とのコミュニケーション」「高収入」という要素を重視した場合、高収入が期待できる証券会社などでの営業職が考えられます。このように、ikigaiの4つの項目を網羅する仕事を見つけることで、長期的にやりがいを感じながら働けるキャリアを築くことが可能になります。
ikigaiチャートのテンプレート
ikigaiチャートのテンプレートは以下のようになっています。4つの円に自身の周囲の物事を記入し、4つの項目を網羅するものを見つけましょう。
※出典:Héctor García, Francesc Miralles『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』をもとにワンキャリ編集部が加工
(6)マインドマップ
マインドマップとは、特定のキーワードを中心として、関連する言葉やイメージを放射状につないだ図のことで、自己分析にも用いれます。
就活で自己分析をする際にマインドマップを用いると、思考を可視化して整理できるため、自分の強みや得意なことが明確になります。
マインドマップの作り方
(1)テーマを決めて中心に書く
まずはマインドマップで深掘りするテーマを決めて、用紙の中心に記入しましょう。
はじめて自己分析を行う場合のテーマは、「自分」がおすすめです。自分というテーマから、「好きなこと」や「つらかったこと」、「性格」など自分の内面や経験へと派生させられます。一方で、「自分の強み」や「やりたいこと」など、自己分析を行いたい特定のテーマが決まっている場合は、それらのテーマを中心にして深掘りしましょう。
(2)テーマに対して関連するキーワードを派生させる
テーマを中心に書いたら、周囲に関連するキーワードを放射線状に派生させていきます。
例えば、テーマが「自分」である場合は、「好きなこと」や「アルバイト」といったように、自分を構成する要素をテーマの周りに書きます。そして、好きなことが「読書」である場合は「好きなこと」から線を引き、「読書」と書き加えましょう。
(3)「なぜ?」を繰り返して項目を深掘る
テーマから派生して書き足した内容について、「なぜ?」を繰り返して深掘りを行います。内容に関して深掘りをすることが重要なので、「なぜ?」という問いだけでなく、「それから?」「そのときの気持ちは?」といった深掘りの仕方もあります。
このとき短い文章や単語で簡潔に気づいたことを記していきましょう。長い文章で深掘りを行うと時間がかかり、全体像も見失いやすくなります。
(4)強みや価値観を見つけ出し、自己PRを作成する
マインドマップを使って自分の性格や経験、やりたいことを掘り下げていくと、自分の強みや価値観などが浮き彫りになっていきます。それらをもとに、自己PRを作成しましょう。
マインドマップを使って自己分析を行うことで、網羅的に自分の内面を反映できて、しっかりとした根拠を持つ自己PRが作れます。
マインドマップのテンプレート
マインドマップの記入例は以下のようになっています。ぜひご参考にしてください。
※出典:MindMeister Japan「マインドマップで面接対策!就活に役立つマインドマップを使った自己分析の方法とは」
(7)SWOT分析
SWOT分析は、自己分析において自分の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、そして脅威(Threats)を整理するためのフレームワークです。この分析手法は、もともと企業の戦略策定に用いられてきましたが、自己分析にも応用でき、自分の内面と外部環境を総合的に評価できます。SWOT分析を活用することで、自分の強みを最大限に生かし、弱みを克服するための戦略を見いだせます。
SWOT分析の作り方
SWOT分析を自己分析に活用する場合、次の4つの視点から自分を分析します。
S(Strength)=自分の長所
自分の強みや得意なことを洗い出します。たとえば、「気配りができる」「創造力がある」「チャレンジ精神がある」「コミュニケーション能力がある」といった点です。
W(Weakness)=自分の短所
自分が苦手なことや改善が必要な部分を見つけます。たとえば、「融通が利かない」「楽観的すぎる」「単純作業が苦手」「優柔不断」といった点です。
O(Opportunity)=自分にとってプラスの機会
自分にとって有利に働く外部環境やチャンスを考えます。たとえば、「売り手市場で内定が出やすい」「リモートワークが普及している」「志望企業がスキル重視の傾向にある」などです。
T(Threat)=自分にとってマイナスの機会
自分に不利に働く外部環境やリスクを洗い出します。たとえば、「志望職種がAI(人工知能)の発達により採用が減っている」「志望業界の市場が縮小している」「終身雇用が崩壊している」などです。
次に、SWOT分析で得られた4つの視点を組み合わせ、自分に合ったキャリアや企業での貢献方法を考えます。
- チャレンジ精神がある × プラスの機会:海外進出が増えている→海外で挑戦できる環境に適した仕事
- 行動力がある × 短所:単純作業が苦手→事務職などルーチンワークが多い環境は避ける
- 創造力がある × マイナスの機会:変化が激しい時代→変化が激しい時代にも適応できるクリエイティブな仕事を選ぶ
このように、SWOT分析を通じて広い視野で自分を分析し、適したキャリア選択ができることで、入社後の後悔を減らせます。自己分析の際は、「自分が望む姿」を明確にしてから各項目を洗い出すことで、より具体的で効果的な分析が可能になります。
SWOT分析のテンプレート
SWOT分析でよく用いられているフレームワークは以下のようなものとなっています。各項目の内容を洗い出して、自分に適したキャリア選択につながる自己分析を行いましょう。
作成した自己分析シートを就活に活用するためのポイント
自己分析シートを作成することは、就活において非常に重要なステップですが、それをどう活用するかが鍵です。作成したシートを単に終わりにせず、さらに深掘りすることで、就活の軸を明確にし、自己PRや志望動機の作成に役立てられます。ここでは、自己分析シートを効果的に就活に活用するための具体的なポイントを解説します。
自己分析シートを作成して終わりにしない
自己分析シートを作成した後に、そのまま放置してしまうことは避けましょう。自己分析シートは、就活を成功させるための手段であり、作成して終わりではなく、積極的に活用することが重要です。選考対策や長期的なキャリアを考える際に、自己分析シートを参照し、自己理解を深めていきましょう。
特に面接の場では、自己分析シートをもとに自分の強みや価値観を的確に伝えることが求められます。自己分析が不十分なままだと、面接で質問された時に答えに詰まってしまう可能性があります。作成後は何度も読み返し、自分の中でしっかりと消化することが大切です。
また、友人にシートを見せてフィードバックをもらうことで、新たな視点を得たり、自己理解をさらに深めたりできます。自己分析シートを効果的に活用して、就活を有利に進めましょう。
自身の強みも弱みも正直に分析する
自己分析シートを作成する際、会社が求める理想像に合わせることを意識しすぎず、自分の強みや弱みを正直に分析することが大切です。
理想像に合わせて強みを過度にアピールすることは一見有利に思えるかもしれませんが、実際にその職場で働いたときに、想像していた自分と現実の自分とのギャップに苦しむ可能性があります。強みを理解し、それを生かせる環境を見つけることが大切ですが、同時に弱みも正直に見つめ直し、自己理解を深めることが重要です。
選考の場では「短所は何ですか」と質問されることがよくあります。これは、応募者が自分自身をどれだけ正確に理解し、現実的に対応できるかを確認するための質問です。会社が求める理想像に合わせた答えを用意するのではなく、自分の短所をありのままに把握し、その克服方法を考えておくことで、選考時に信頼性の高い人材として評価されるでしょう。
逆に、自分の弱みを無視して理想像に合わせようとすると、入社後にミスマッチが生じ、ストレスや不満がたまる可能性があります。短所を正直に認識し、それをどう克服するかを考えることが、自分に適した職場を見つけ、長期的なキャリアを築くための第一歩です。
自己分析シートから就活の軸を見いだす
自己分析シートを作成したら、その情報をもとに、自分自身の就活の軸を明確にしましょう。自己分析シートから見えてくる自分の強みや価値観、興味関心などを整理することで、就活において譲れない条件や優先すべきポイントが浮かび上がってきます。
例えば、「社会課題を解決したい」「ワークライフバランスを大切にしたい」「グローバルに働きたい」「実力主義の企業で勝負したい」といった具体的な就活の軸が設定できるでしょう。これらの軸が明確になれば、次はそれにマッチする企業を選ぶ段階へ進められます。
また、就活の軸は面接でも必ず聞かれる項目の1つなので、早めに用意しておくことが重要です。もし、「自分では就活の軸を決められない……」と感じる場合は、就活のプロである就活アドバイザーに相談するのも1つの手です。自分に合った軸を見つけ、それに基づいて企業選びを進めることで、就活の成功に近づけるでしょう。
面接やESで用いるために分析結果を具体的に言語化する
自己分析シートを通じて企業選びの軸が見つかっても、それだけで満足せず、その結果を具体的な言葉に落とし込むことが重要です。企業選びの軸が曖昧なままでは、選考の際に自分の強みやキャリアビジョンを効果的に伝えることが難しくなります。以下のように、自己分析の結果を具体的に言語化する練習をしましょう。
【自己分析の結果を具体的に言語化する例】
・軸:チームで協力しながら大きなプロジェクトを成功させたい
1. 具体的に何がしたいのかを考える
2.「リーダーシップとコミュニケーション能力が強みなので、大規模なプロジェクトを率いる役割を担い、チームメンバーとの協力を通じて目標達成を目指し、プロジェクトの成功に貢献したい」といった具体的な言葉に落とし込む
自己分析シートは選考対策に生かせるツールですが、曖昧な分析結果では、採用担当者にとって「この人は本当に自社で働くことを望んでいるのか」と不安を抱かせる可能性があります。具体的な言葉にすることで、面接官に対して「この会社で自分が何をしたいのか」が明確に伝わり、企業で活躍する未来をイメージしてもらいやすくなります。
また、具体的な言葉にすることは、自分のキャリアビジョンを明確にすることにもつながります。言葉を具体化することで、自分が描くキャリアの解像度が上がり、より現実的で実現可能な目標設定ができるようになります。選考前には、自己分析の結果を具体的な言葉で表現できるよう、しっかりと準備を整えましょう。
業界研究/企業分析も並行して行う
自己分析を進めるうえで、自分自身を深く理解することは重要ですが、それと同時に、どの業界や企業が自分に合うのかを調べることも欠かせません。自己分析シートを作成した後は、業界研究や企業分析を並行して行いましょう。
自己分析は永遠に続くプロセスであり、完璧な理解に至ることは難しいものです。しかし、企業研究を進めるなかで、「この企業に違和感がある」「この業界に興味を持った」といった感情が生まれることがあります。これらの感情を大切にすることで、新たな自分を発見し、さらに深い自己理解につながるでしょう。
業界や企業理解が進むと、自己分析シートもより効率的に作成できるようになります。例えば、SWOT分析やikigaiチャート、will・can・mustといったフレームワークを活用する際に、「社会から求められていること」を分析することが求められます。これを「志望業界・企業が社会から求められていること」と置き換えると、より具体的に考えやすくなり、自己分析が深まります。
業界研究や企業分析を通じて、自己分析シートをさらに充実させ、自分に最適なキャリアを見つけることに役立てましょう。
おわりに
今回は、就活における自己分析の助けとなる、さまざまな自己分析シートとその活用法について紹介しました。
今回紹介した自己分析シートを使って、就活の基本となる自己分析にご活用ください。
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