こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は研究職について詳しく知りたい方に向けて、研究職についてのメリットやデメリット、向いている人の特徴を解説します。また、研究職での選考対策や転職事例もご紹介しておりますので、就活や今後のキャリアパスを考えるときの参考にしてみてください。
<目次> ●研究職とは ・研究職とは ・開発職との違い ●研究職の種類 ・研究者 ・研究事務 ・研究補助 ●研究職の仕事内容 ・実験・調査の計画 ・実験・調査・分析 ・論文の執筆 ・会議の準備・参加 ・学会への参加 ・大学教授の場合は授業を行う ●研究分野一覧 ・ライフサイエンス ・情報通信 ・環境 ・ナノテクノロジー・材料 ・エネルギー ・ものづくり技術 ・社会基盤 ・フロンティア ・人文・社会 ・自然科学一般 ●研究職の就職先と年収 ・大学・大学院 ・公的機関 ・民間企業 ●研究職のメリットとデメリット ・研究職の魅力とやりがい ・研究職の苦労や課題 ・研究職はやめとけと言われる理由 ●研究職に向いている人の特徴 ・好奇心旺盛で探究心が強い人 ・論理的思考が得意な人 ・忍耐力・精神力がある人 ・チームワークが得意な人 ・異なる視点から考えられる人 ・失敗を生かすことができる人 ●研究職の選考対策【例文付】 ・研究職の選考フローは2種類 ・ES ・技術面接 ●研究職に有利な資格 ・博士号 ・TOEIC ・QC検定 ・知的財産管理技能検定 ・危険物取扱者 ●研究職のキャリアパス ・研究職からマネジメント職に昇進 ・専門職としてのキャリアを深化 ・国際的なプロジェクトへの参加 ・アカデミアへ転向 ・異業種へ転職 ・研究職からの転職例 ●おわりに
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研究職とは
研究職とは
研究職とは、民間企業や大学などの研究機関で研究をする職種を指し、理系の学科を専攻する学生から人気の高い職種です。企業にある研究所や大学内の研究室が職場となることが多いです。
各分野で新しい理論や物質、技術を発見したり、その工業化・事業化したりすることを目標にプロジェクトを進めます。「個人単位」「チーム単位」のプロジェクトがあり、いずれも長期にわたることが多く、深い専門知識が求められます。
研究の種類は2種類
研究の種類は基礎研究と応用研究の大きく2種類に分けられます。
■基礎研究
基礎研究とは、すぐには製品やサービスにはつながらない基礎理論の構築や物質探索を目的として研究する仕事です。未知の分野を研究することで新製品・サービス開発の基礎を作り上げ、10〜20年という長期スパンでビジネスの成果に結びつけていきます。
具体的な製品化などを目的とせず、長期的に未知の素材や物質などを研究することもあります。
基礎研究では未知のジャンルに挑戦するため、日々業界の最新情報を取り入れ、自分の研究に生かす意識が必要です。
■応用研究
応用研究とは、基礎研究で明らかになった知識や理論を生かし、実用的な商品やサービスの開発に結びつける仕事のことです。基礎研究と異なり、「どの成果をどういった商品開発に生かすのか?」という目的が明確に定められています。
直接の利益につなげることを求められるため、企業にとっても重要度が高い職種であるといえるでしょう。
開発職との違い
研究職では、新しい知識や技術、理論を生み出すことを目的として、さまざまな研究を行います。「0から1を作る」というイメージを持っておきましょう。
一方で開発職は、研究職が発見した知識や技術を応用して、新しい製品やサービスを生み出していきます。「1から10を作る」というイメージを持つといいでしょう。
このように、研究職は0から新しい発見をする必要があるため、長期的な視点での成果を求められます。
▼開発職について詳しく知りたい方はこちら ・開発職とは|技術職・研究職との違いや、年収・向いている人を解説
研究職の種類
研究職の種類は研究者、研究事務、研究補助の3つがあります。以下にそれぞれ詳しく説明します。
研究者
研究者とは短期大学を除いた大学課程を修了した、あるいは同等以上の専門的知識を有する者で、特定の研究テーマを持って研究を行っている者を指します(※1)。これはすべての学術分野に該当し、新たな知識を生み出したり、新たな知識の活用方法を模索したりします。
(※1)参考:文部科学省「第2章 研究人材」
研究事務
研究事務とは、研究に関する会計処理などのさまざまな事務仕事を行う職種です。事務仕事を行うだけではなく、研究を支援し、推進するという重要な役割も担っています(※2)。具体的には、報告書・企画書などの書類作成、特許の調査や論文の検索などの業務を行います。
(※2)参考:量子科学技術研究開発機構「職員へインタビュー」
研究補助
研究補助は、研究者の業務補佐などの実験サポートを主に行います(※3)。具体的には、実験道具の洗浄や殺菌、実験データの計測や記録などを行います。研究事務との違いとしては、実験に直接携わるかどうかが大きなポイントです。
(※3)参考:内閣府「C.研究支援の強化」
研究職の仕事内容
続いて、研究職の仕事内容を大まかに説明します。
実験・調査の計画
新規技術の開発や改善などにおいて、実験や調査を行うことは必要不可欠です。これらの実験や調査は通常、長期間にわたって行われることが多く、その際にはしっかりと計画を立て、遂行していくことが重要です。
計画に不備などがあった場合は、研究内容によっては重大な事故につながりかねない他、企業などでは計画を立てた上で予算申請を行うこともあるため、十分な研究を行うためにも必要な業務です。
一方で、実験や研究がうまくいかない場合はその都度変更や修正を行うなどの調整も業務に含まれます。
実験・調査・分析
計画を立てたら、研究職の主な仕事となる実験や調査、分析などの研究活動を行います。内容は業界や企業によってさまざまですが、大学と比べて企業の方が期限が厳しかったり、研究分野の幅が限られたりします。
論文の執筆
また主な研究活動に付随して、結果が出た研究内容については論文を執筆することも業務内容に含まれます。ですが、論文を投稿する場合は会社の承認が必要なことが多いようで、そこまで必須の業務ではないようです。
一方で、大学で研究活動を行っている場合は、論文の執筆が主な業務の1つですので、研究活動を通じて何を行いたいかをしっかり考えた上で選ぶといいでしょう。
会議の準備・参加
研究活動以外にも、会議への参加とそれに伴う準備も業務の1つです。研究活動が主な仕事といっても、同部署でも他部署でも関わりはあり、打ち合わせや進捗(しんちょく)の確認などの会議は研究を進めていく上で必要な業務です。
学会への参加
学会は研究において最新情報など多くの情報が集まる場所であるとともに、人脈を広げることができる場所にもなります。そのため、自身の研究結果を発表する以外にも、情報を得るために参加することも多くあります。
研究結果を発表するためには、論文の執筆以外にも発表用の資料作成も必要です。また、学会で発表した実績は今後のキャリアに関わってくる場合もあります。
大学教授の場合は授業を行う
企業研究員はあまり当てはまりませんが、大学教授の場合は授業を行う必要があります。そのため、授業の準備から実施、課題の提示から評価、試験問題の作成など多くの関連業務も仕事内容に含まれます。
そのため、大学教授の場合は研究活動に割ける時間が必然的に短くなってしまいます。
研究分野一覧
ここからは、代表的な研究分野について紹介します。
ライフサイエンス
ライフサイエンスとは生命現象のメカニズムを解明することで、医療・創薬の発展や食料・環境問題の解決などを試み、生活の向上や経済の発展へとつなげる研究分野です(※4)。特に、21世紀は生命科学の世紀といわれており(※5)、今後さらなる発展を遂げる分野の1つであるといえるでしょう。
代表的な企業としてはロート製薬やカネカ、ソニーグループなどがあります。
(※4)参考:文部科学省「ライフサイエンス」
(※5)参考:内閣府「 ライフサイエンス分野」
情報通信
情報通信分野では、ネットワークやサイバーセキュリティーに関する研究の他にも、電磁波を用いる研究なども行っています。ネットワーク関連ではデバイスの研究や開発、あらゆる環境下でもつながるワイヤレスネットワーク技術の研究開発や普及などを行っています(※6)。電磁波関連としては、電磁波を用いて大気や地表面を測定する技術の研究や開発を行い防災などに役立てる他、産業に役立てる新技術の開発なども行っています(※7)。
代表的な企業としては、NTTドコモやNTT東日本、ソフトバンクなどがあります。
(※6)参考:情報通信研究機構「ネットワーク研究所」
(※7)参考:電磁波研究所「研究室」
環境
環境の研究分野としては、生態系の構造の解明や人との関係の研究や化学物質などの環境中の有害因子の特定やそれらが環境に与える影響、また水や空気、土壌などの環境構成要素を解明し、環境保全に役立てる研究などさまざまあります(※8)。
代表的な企業としては、クボタ環境エンジニアリング(旧:クボタ環境サービス)や三菱重工環境・化学エンジニアリングなどがあります。
(※8)参考:国立環境研究所「研究分野」
ナノテクノロジー・材料
ナノテクノロジー・材料分野は、量子科学や生命科学、情報科学などの基礎科学をベースにナノスケールで生じる現象を対象とするナノサイエンスを土台とし(※9)、それらをもとに新たな材料を創出する技術であり、科学技術の発展を支え、さまざまな分野での技術を支える基盤となる(※10)研究分野です。
代表的な企業としては、住友重機械工業などがあります。
(※9)参考:研究開発戦略センター「研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2021年)」
(※10)参考:文部科学省「ナノテクノロジー・物質・材料研究」
エネルギー
エネルギー分野とは、化石燃料を使用した際に発生する温室効果ガスを扱う(※11)他にも、2050年カーボンニュートラルに向けた技術の開発、研究などを行う分野です。また、環境に配慮しつつも経済成長も止めないようにすることも重要な研究テーマの1つです(※12)。
代表的な企業としては、ENEOS(旧:JXTGエネルギー)や東京ガス、関西電力などがあります。
(※11)参考:環境省「第3章 エネルギー分野」
(※12)参考:文部科学省「環境エネルギー」
ものづくり技術
ものづくりは主に製造業を指しており、ものづくり技術分野は製造技術の開発以外にも、ものの価値を上げられるような科学技術の発展を目指すことも行っています(※13)。ものづくり技術に関する研究は製造業であれば多くの企業が行っています。
(※13)参考:文部科学省「ものづくり技術分野」
社会基盤
社会基盤分野は、人々の生活を支える基盤となっているものを対象とした分野で、防災や都市再生、交通・輸送システムなどを扱っています。これらの社会基盤を対象に、人々の生活を豊かで安全、安心な社会を実現するための研究開発などを行っています(※14)。
代表的な企業としては、NTT DATA(NTTデータグループ・NTTデータ・NTT DATA, Inc.)、日本製鉄などがあります。
(※14)参考:内閣府「Ⅶ 社会基盤分野」
フロンティア
フロンティア分野は、宇宙や海洋など未知のものを調査・探究し、さらなる活用方法を探索していく分野です。具体的には、衛星を用いた通信・測位や多様な資源を有する海洋の新たな利用方法の模索などがあり、これらを用いて人々の生活を豊かにするとともに、安全保障の発展を目指しています(※15)。
代表的な企業としては、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や三井海洋開発などがあります。
(※15)参考:文部科学省「フロンティア分野 」
人文・社会
人文社会科学系分野は、人類が今まで培ってきた諸文化や人間精神、社会のあり方を研究対象としている分野です(※16)。研究対象はさまざまありますが、その観点は国内にとどまらず、東アジアなどを含めたグローバルな観点から考えていくことが求められています(※17)。人文・社会分野は大学での研究が主に行われています。
(※16)参考:国立大学協会「人文社会科学系分野の意義と国立大学の果たすべき役割」
(※17)参考:文部科学省「人文社会系」
自然科学一般
自然科学分野は自然現象を対象とする学問の総称であり、その研究対象は多岐にわたり、物理学や生命学、天文学などがあります(※18)。
(※18)参考:文部科学省「2 学科系統分類表 3 大学院(研究科) その他」
研究職の就職先と年収
研究職の年収は就職先によっても異なりますが、平均は「396万6000円」といわれています(※19)。
具体的な研究職の就職先と年収の目安をチェックしましょう。
(※19)参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 | 産業別」
大学・大学院
大学や大学院に進むと、ポスドクとして採用されます。実績を積み上げることで、講師や助教授などへキャリアアップできる可能性があります。
大学などでは、基礎研究をメインに取り組むことが多いです。営利目的ではないため、研究期間も長くなる傾向があります。その分、成果が出たときの世の中への影響は大きくなるでしょう。自分の興味・関心のある分野をとことん追求したい人にはおすすめです。
公的機関
公的機関への就職先としては、国立研究機関や国立研究開発法人、公設試験研究機関などが挙げられます。
公的機関の研究職では、基礎研究と応用研究の両方に関わることが多いです。研究所の中には独自で採用を実施しているケースもあるため、自分の研究ジャンルがあるかをチェックしましょう。
民間企業
民間企業では、企業の利益へつなげるため応用研究を中心に取り組みます。自身が関わった製品やサービスが市場に広がるため、やりがいを感じやすいでしょう。
ただし、利益につながらない研究は打ち切られることがあるため、専門分野への興味・関心や熱意に加え、市場のニーズを把握する力も必要です。
研究職のメリットとデメリット
研究職を目指すにあたり、メリットとデメリットを確認しておきましょう。
研究職の魅力とやりがい
まずは研究職のメリットとして、以下のような魅力とやりがいを実感できる点が挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
安定した職業である
研究職は世の中にあるさまざまな分野の商品やサービス開発に携わるため、基本的に需要が0になることはほぼありません。また、研究職では専門知識や実験スキル、論理的思考力などの高いスキルを求められるため就ける人材は限られており、企業としても長期的に雇用し続けたいでしょう。
雇用先も企業や政府、大学など多岐に渡っており、長期的なプロジェクトに従事することも多いため、雇用の安定性は高いといえます。
社会に貢献できる
研究職の仕事では、医療や環境、エネルギーといった幅広い分野において新しい知識や技術を生み出します。さまざまな社会課題の解決に貢献する機会も多く、大きなやりがいを実感しやすいです。自分の研究を生かした新製品やサービスが世の中に流通し消費者の生活を便利にできれば、より仕事の成果を肌で感じやすいでしょう。
このように研究職は、さまざまな分野の未来を築く重要な役割を担う仕事といえます。
自分の興味・関心に沿った仕事ができる
研究職では、自分の興味・関心のある分野で研究を続けて新しい知識や技術、仕組みを探求できます。自己の好奇心を満たしながら専門知識を深められるため、仕事へのモチベーションも自然と高まるでしょう。
その上で、自分の成果が新サービスの開発に結びつけば、より充実感と達成感を得られます。
研究職の苦労や課題
研究職のデメリットとしては、以下のような部分で苦労するという点が挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
成果主義の部分もある
研究職では成果が出るまでに、年単位で時間がかかることもあります。どれだけ熱心に研究しても、「商品開発につながる発見」「論文の発表」「特許の取得」といった具体的な成果が出なければ、研究を打ち切る可能性もあるでしょう。
企業であれば利益を求める分、より成果を厳しくチェックされるため、プロジェクトが途中で中止されたり部署移動を命じられたりする可能性もあります。
転職がしにくい場合もある
研究職は特定分野の知識や高いスキルを身につけられる反面、自分の研究テーマ以外の企業へは転職しにくいケースがあります。特に研究テーマが専門的であるほど、他分野や異業種への転職は難しくなるでしょう。
また、研究職の場合は雇用先が研究施設や大学など限定的なため、希望する職種や勤務地で勤務できるとは限りません。
このように研究職では、専門スキルを持つがゆえにキャリアパスが限定されることもあるため注意しましょう。
研究職はやめとけと言われる理由
研究職は魅力が多い仕事ですが、場合によっては「研究職はやめとけ」と言われることもあります。その主な理由は以下の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
就職が難しい
研究職では高い専門スキルを求められるため、就職が難しいことが多いです。
研究職で就職する人の多くは大学院へ進学し博士号などを取得しています。そのため、院進学をしていなければ周囲の学生より知識をアピールしにくく、就活で勝ち残れないかもしれません。
特に研究職の就職先は、研究機関や大学、企業の研究部門など限られているため、必然的に競争率も上がります。
他職種への転職が難しい
研究職では、特定分野における高度な専門知識やスキルを求められるため、研究ジャンルと企業の求める方向性がマッチしていれば転職しやすいでしょう。逆にいえば、ジャンルが異なる業種では評価されにくい可能性があります。
研究の進め方や業務プロセスが他の職種と大きく異なるため、適応が難しいこともあるでしょう。
研究に集中できるとは限らない
研究職は、必ずしも研究のみに専念できるとは限りません。基本的に研究職の業務は、資金調達のための申請書作成や報告書作成、実験室の整備、メンバーの教育など、多岐に渡ります。プロジェクト管理やチーム運営などを任されるケースもあるでしょう。
このように、研究以外の業務にも時間を取られるため、「根っからの研究者タイプ」からすると働きにくさを感じるかもしれません。
研究職に向いている人の特徴
研究職に向いている人の特徴としては、以下の6点があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
好奇心旺盛で探究心が強い人
研究では、まだ世の中に出ていない成果を求めて分析し続けることが求められます。そのため、未知の現象や課題に対して好奇心を持ち、積極的に深掘りする姿勢が必要です。
論理的思考が得意な人
論理的思考力とは物事を筋道立てて考えることのできる能力を指します。実験や調査、分析が主な仕事内容となる研究職にとって、目標に向かって論理的に物事を考えることのできる力は非常に重要です。そのため、論理的思考が得意な人は、研究職に向いているといえるでしょう。
忍耐力・精神力がある人
研究は、長期間にわたって継続する必要があります。特に基礎研究では、10年スパンで未知のジャンルを探求することもあるため、簡単には思うような結果を得られないことも多いでしょう。
こうした試行錯誤や失敗を繰り返す中でも、1つの成果を得るまで忍耐強く取り組む意識が必須です。
チームワークが得意な人
研究職では個人の作業だけでなく、チームメンバーや他の専門家と連携することも重要です。自分のアイデアや成果を正しく共有し周囲の意見を取り入れながら研究を改善することで、より成果に近づけるでしょう。
異なる視点から考えられる人
特に新しい技術や製品を生み出す研究に携わる場合、発想力が必要です。この発想力は、論文や研究結果などに基づいた根拠のあるものである必要があります。このときに重要なのが、物事を多角的に見ることができる能力です。異なる視点から考えることで、今まで見落としていた部分から新たな発見ができる場合があり、それを掘り下げることで新しい技術や製品の創出につながります。
失敗を生かすことができる人
研究は試行錯誤の連続であり、失敗は避けられません。しかし、研究の失敗原因を追求し次の実験や調査に役立てることで、成功への道を切り開けます。そのため、失敗を前向きに捉え改善し続ける姿勢を持つことが重要です。
研究職の選考対策【例文付】
ここからは、具体的な選考対策と例文について紹介します。
研究職の選考フローは2種類
研究職に就く方法は、大きく以下の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自由応募
自由応募とは、希望する研究機関や企業に自分の研究テーマや実績をアピールし応募する方法です。自由応募では、自分の研究分野と応募先の求めるジャンルがマッチしていることが重要になります。
応募書類には、詳細な研究内容や成果、今後の研究計画を明記して自己PRをしましょう。これまでの自身の研究成果や将来的な展望などをアピールすることで、研究機関や企業に自分の魅力をアピールできるため、希望の研究職に就けるチャンスが広がります。
推薦応募
推薦応募は、大学教授などから推薦を受けて研究機関や企業に応募する方法です。自分の能力や研究実績、人柄などをまとめた推薦状をもとに応募できるため、信頼性を高められるでしょう。
ES
研究職のエントリーシート(ES)では、主に志望動機と研究内容について問われることが多いです。それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
志望動機
志望動機を書くときのポイントは以下の3点です。
- 結論から伝える
- エピソードを添える
- 企業で生かせるポイントを伝える
まずは結論から書きましょう。具体的には「将来成し遂げたいこと」を会社の理念や事業内容などと照らし合わせながら書けるといいでしょう。続いて、「成し遂げたいと思ったきっかけ」を具体的なエピソードと併せて書きましょう。また、「成し遂げたいと思ったきっかけ」とともに「なぜ他の業界ではないのか」「なぜ他の企業ではないのか」も書けるとさらにいいでしょう。最後に、企業で生かせる自分の強みや長所などを書きましょう。このときに「入社したら何をしたいのか」を併せて書くことでより具体的なイメージを企業側に与えられます。志望動機の書き方について、詳しく知りたい方は後述の記事を参考にしてみてください。
また、例文を紹介します。
【設問】
あなたがライオンを志望する理由を教えてください。(300字)
【回答】
一人ひとりに寄り添った、「自分らしい健康」の実現につながる製品を作る仕事に魅力を感じたからです。私は◯◯で子どもたちの多様性と向き合い、それに寄り添うことが一人ひとりの自分らしさの発揮につながることを学びました。また先日参加いたしました貴社のサマープログラムにて、人々の習慣を創り出す貴社の多様な製品は、国内No.1オーラルケアメーカーとしての高い技術力だけでなく人々に寄り添う「愛の精神」から生み出されることを実感しました。入社後は、私がこれまで◯◯などで一人ひとりに寄り添ってきた経験を貴社で多様な健康と向き合うことに生かし、お客様が自分らしい幸せな毎日を送れる習慣づくりに貢献したいです。
※出典:ライオン|研究職2025年卒本選考のES
▼志望動機の書き方について詳しく知りたい方はこちら ・志望動機がない?履歴書やESの書き方と見つけ方【例文5選】 ・志望動機【例文17選】ES・履歴書での書き方と職種・業界別の実例 ・志望動機と自己PRの書き方が原因?エントリーシートの失敗例
研究内容
研究内容について書くときのポイントは以下の3つです。
- 結論から書く
- 簡潔に分かりやすく書く
- 質問される想定をしておく
まずは、どのような研究内容・テーマを取り扱っているのかを簡潔に書きましょう。研究内容について書くときは、どうしても長くなってしまいがちです。しかしまずはなるべく簡潔に短い文章で書き始めましょう。
また、研究内容について書くときはどうしても専門用語を使いがちになってしまいます。しかし、専門用語を使いすぎてしまうと逆に分かりにくくなります。そのため、専門用語を使わなくても伝わる範囲の内容はなるべく専門用語を使わないようにしましょう。また、具体的な数値や成果を書いたり、図や表を用いたりすることでさらに分かりやすくできるので、企業によりますが、使用できる場合は積極的に使っていきましょう。
最後に、ESで研究内容について書くときは「今後の選考において質問される」ということを念頭に置いて書きましょう。例えば、「研究の新規性」や「企業に生かせるポイント」などを面接で問われることで研究内容を深掘りされるケースが多いです。そのため、質問に回したいポイントをあえて記載しないようにしたり、逆にESを書くときに質問を想定したりし、回答を準備しておくといいでしょう。
以下に例文を記載しておりますので、参考にしてみてください。
【設問】 あなたの研究内容・専門領域、および、現在の進捗(しんちょく)を簡潔に教えてください。(400文字以下) 【回答】 私の研究は、◯◯が持つ、◯◯活性を維持しつつ、◯◯に着目して◯◯活性という副作用をなくすことである。今までに、◯◯する【タンパク質工学】からのアプローチで改良型◯◯を作製してきた。それを◯◯を用いて、◯◯をする【構造生物学】により、設計通りの◯◯であるという確認を取ることができた。さらに、◯◯により◯◯する【生物学】を駆使することで、研究を遂行している。成果として、改良型◯◯の機能を評価した結果、◯◯活性を無くすことに成功した。その一方で、改良型◯◯の◯◯活性は失活してしまっていた。そのため、この分子設計で両立を図ることはできなかった。しかし、不明であった◯◯の◯◯活性機構の新たな仮説を立てることができた。 ※出典:ファンケル|研究職2025年卒本選考のES
技術面接
技術面接とは、研究内容や研究を通して学んだことや得たスキルを企業からチェックされる面接です。基本的にはプレゼン形式で行われることが多く、面接官も研究職に携わっている社員であることがほとんどです。
技術面接のときのポイントは以下の3つです。
- 面接官が専門知識を持っているかその場で判断する
- 面接官からの深掘り質問に対応する
- 具体的なエピソードを盛り込んで説明する
面接官が研究職に携わっている社員である場合がほとんどですが、自身の研究範囲と同じ研究をしている社員であるとは限りません。そのため、面接官の反応を伺いながら、なるべく分かりやすく伝えられるようにしましょう。
また、面接の場面になりますと研究内容の深掘りも行われます。そのため、あらかじめ想定される質問には答えられるように準備しておきましょう。特に、専門範囲が同じ面接官からは難しい質問をされる場合も少なくありません。その場合に備えて周囲の人や教授などに助けを借りながら準備するといいでしょう。
技術面接はただ研究内容について問われる面接ではありません。面接を通して論理的思考力や課題解決力なども見られている場合が多いです。そのため、具体的なエピソードを盛り込むことで自己PRにつなげられたり、研究内容に具体性を持たせ、専門外の面接官にも分かりやすく伝えることができたりします。技術面接について詳しく知りたい方は後述の記事を参考にしてみてください。
▼技術面接について詳しく知りたい方はこちら ・技術面接【完全版】頻出の質問や落ちる理由、スライド作成術も網羅
研究職に有利な資格
ここからは、研究職の就活で有利に働く資格を紹介します。
博士号
博士号とは、大学院の博士課程や区分制博士課程の博士後期課程を修了すると得られる学位です。博士号取得には、博士論文の審査に合格する必要があり、論文の作成が求められます。修士課程よりも厳しい審査や詳しい研究が求められるため、より専門性が高いと判断されます(※20)。企業によっては、博士号保持者のみ応募できる職種などもあります。
(※20)参考:中央大学「博士号のすごさとは?博士課程で得られる経験や修了後のキャリアを紹介」
TOEIC
TOEICは英語によるコミュニケーションとビジネス能力を測るための試験です。日本の多くの企業では、就活においてTOEICは英語力を測る有力な指標とされています。TOEICで高い点数を取ることで自分の英語力を示し、目標に向かって計画的に努力する力もアピールできます。また外資系企業を受ける場合に、TOEIC高得点を採用条件として要求する企業も多いです。そのためTOEICを受けてなるべく高い点数を取ることで、就活で有利になることができます。
QC検定
QC検定(品質管理検定)とは、品質管理に対する知識をはかる検定です(※21)。品質管理は多くの企業で実施されており、生産工程の検査や検証、保証を行っています。品質管理職だけでなく、技術職や研究職にもその知識を求められることもあるため、受けておくと有利に働く資格の1つであるといえるでしょう。
(※21)参考:日本規格協会「品質管理検定(QC検定)とは」
知的財産管理技能検定
知的財産管理技能検定とは、技術などの知的財産をうまくブランディングし、マネジメントすることで世に売り出す「知財マネジメント」のスキル習得を証明できる国家試験です(※22)。研究職は、新たな技術や製品などの創出が主な業務ですが、生み出した後についても視野を広げることで、よりインパクトのある成果を生み出すことができます。そのため、知的財産管理技能検定は研究職の選考において、有利に働く資格であるといえます。
(※22)参考:知的財産教育協会「知的財産管理技能検定とは?」
危険物取扱者
危険物取扱者とは、消防法で定められている危険物を業務で取り扱える資格を保持している人のことを指します(※23)。危険物取扱者資格にもさまざまな種類がありますが、可能であれば甲種を取得できるといいでしょう。実験において、消防法で定められている危険物を扱う場合もあるため、この資格は研究職の就活において、有利に働くといえるでしょう。
(※23)参考:消防試験研究センター「危険物取扱者について」
研究職のキャリアパス
最後に、研究職のキャリアパスと転職事例を紹介します。
研究職からマネジメント職に昇進
研究職のキャリアパスの1つ目として、マネジメント職に昇進する道があります。マネジメント職にもさまざまありますが、プロジェクトの横断的な運営を任されるプロジェクトリーダーや、会社全体のマネジメントを任される道もあります。
会社全体のマネジメントを行う場合は、研究からは少し遠ざかりますが、研究職であったからこその意見や、戦略立案、さらには会社全体の技術向上に携わることができます。
専門職としてのキャリアを深化
2つ目に、専門職としてのキャリアを深化させ、その分野のエキスパートとなる道があります。エキスパートとなることで、深い知識を求められたり、論文の執筆などが求められたりしますが、その分、そのキャリアからでしか見られない視点や、その分野でのリーダーを任されることもあります。
自身が興味のある分野をずっと研究していきたい場合は、このキャリアパスがいいでしょう。
国際的なプロジェクトへの参加
3つ目に、国際的なプロジェクトに参加する道があります。現在、国内にとどまらず、さまざまな国と共同して進行しているプロジェクトは多くあり、今後もその数は増えていくと予想されます。その場合に、専門的な知識を有する研究職がプロジェクトメンバーの一員として参加することも多いでしょう。そのため、国際的なプロジェクトに携わりたい場合は、このキャリアパスを目指してみるのもいいでしょう。
アカデミアへ転向
4つ目は、アカデミアへ転向する道です。アカデミアとは、大学や公的機関における研究職を指します。企業研究職に就職したが、自分がしたかった研究と異なっていた場合や、研究に割ける時間が少なく、満足できない場合はこの道を選ぶ方が多いようです。また、専門性をさらに深めたいといった場合も、アカデミアへ転向する傾向があります。
異業種へ転職
5つ目は、異業種へ転職する道です。研究職に一度就職したからといって、ずっと研究職である必要はなく、むしろ研究職で学んだ知識や経験をもとに、他業種で生かす道もあります。
研究職からの転職例
ここからは、研究職からのキャリアを紹介します。
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研究職での転職例
研究職から研究職、開発職への転職事例は多く見られます。転職理由はキャリアアップや新たな研究を行いたいなど、さまざまです。そのうちいくつかの事例を紹介します。
研究・開発職から研究・開発職への転職事例
【転職を考えた理由・きっかけ】
これまで糖質を中心に研究しておりました。 なかでも環状糖鎖の研究を続けるうちに、それを資化する腸内細菌に興味をもつようになりました。腸内細菌を中心とした研究に転換したいと思い、転職を考えるようになりました。
※出典:ONE CAREER PLUS「シクロケムバイオからの転職体験談」
研究職から研究職への転職事例
【転職を考えた理由・きっかけ】
海外で医薬品開発の研究をしたかったことが一番の理由。また、血管系の薬品に多く関わってきたので、同じカテゴリーの医薬品に強みを持つ企業に転職して給与の向上を実現したかった。
※出典:ONE CAREER PLUS「アステラス製薬からの転職体験談」
他職種への転職例
一方で、研究職から他職種への転職事例もあります。転職理由としては他職種へと新たに挑戦したいことやキャリアアップなどがあります。そのうちいくつかの事例を紹介します。
研究・開発職から業務プロセスコンサルタントへの転職事例
【転職を考えた理由・きっかけ】
・目指すべきキャリアゴールに近づけない
・評価/人事制度への不満があった
・年収をあげたい
※出典:ONE CAREER PLUS「森永製菓からの転職体験談」
研究・開発からフロントエンドエンジニアへの転職事例
【転職を考えた理由・きっかけ】
きっかけは前職の職種がかなりニッチな職種だったためです。5年後、10年後に新しい分野に挑戦したいとなったとき身動きがとれないことに不安を感じました。
※出典:ONE CAREER PLUS「大日本印刷からの転職体験談」
おわりに
いかがでしたか。
研究職について、内容や開発職との違いやメリットデメリットなどを解説してきました。また、研究職での選考対策として、ESでの志望動機や研究内容の書き方のポイントや内定者例文、技術面接でのポイントなどをご紹介しました。ぜひこれからの就活に役立ててみてください。
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