こちらの記事では、就活でよく聞く「内定」とはそもそもどういう意味なのか、内々定と採用の違いから解説します。内定決定後のステップや内定辞退についてもご紹介するため、今後の就活の参考にしてください。
<目次>
●内定とは
・内定の意味、目的
・内々定との違い
・採用との違い
●内定から入社までの流れ
・内定通知を受ける
・労働条件、労働契約について確認する
・内定承諾書の提出
・内定式に参加する
・内定者研修に参加する
・入社
●企業からの内定通知方法
・面接の場で伝えられる
・電話で伝えられる
・メールで伝えられる
・採用サイトなどのメッセージで伝えられる
・書類を郵送される
●内定の返事をするときのポイント
・期限内に意思表示をする
・内定を承諾するときは慎重に
●内定を辞退するときのポイント
・早めに連絡する
・メールではなく電話で連絡する
●内定取り消しとは
・内定取り消しのケース
●まとめ
内定とは
就活生の中には、就活のゴールの1つである「内定」や「採用」などがどのようなものなのか、イメージできていない人もいるのではないでしょうか。そこで、ここでは内定の意味や目的、内々定との違いなどについて詳しく説明します。
内定の意味、目的
内定とは、企業が学生に対して正式な採用の意思を示す通知のこと。内定は最終面接や最終選考を通過した後、合格通知とともに出されます。
内定の目的は、学生と企業の準備期間を設けることです。内定があることによって学生は仕事内容や労働条件などを再確認して、しっかりと入社の判断ができることがメリット。企業も学生の入社に向けて人員の配置や研修スケジュールなどの計画を立てられます。
なお、内定は「条件付きの労働契約」という法的な意味があり、学生が内定に承諾すると労働契約が成立します。内定は「始期付解約権留保付労働契約」という法的な契約とされているため、企業はやむを得ない理由がない限りは内定を取り消すことはできません。
内々定との違い
内々定は内定とは異なり、正式な労働契約ではありません。内々定とは、正式な内定の前段階で採用の意思を示す通知を出すこと。企業がその学生を採用したいという意向を示すもので、将来的な内定を約束する状態を指します。
2024年現在、正式な内定日は原則的に卒業・修了年度の10月1日以降にするよう政府が要請していることもあり、内定の前に内々定を出す企業が少なくありません。
内々定があることで企業は学生に採用への前向きな姿勢を示せます。内々定のメリットは学生が心理的な安心感を得られることといえるでしょう。
▼内々定との違いについて詳しく知りたい方はこちら ・内々定とは?内定との違いから承諾や辞退のポイント・取り消し事例まで詳しく解説
採用との違い
内定と採用は同じ意味として捉えられがちですが明確な違いがあります。
内定は、あくまで採用意思の表明であり、実際の採用(雇用契約の締結や業務の開始)には至っていません。一方で、採用は内定を受けた候補者が内定承諾を表明した上で雇用契約を締結し、実際に業務を開始することを意味します。
したがって、内定は採用までのプロセスの一部であり、最終的な採用に向けた1つのステップといえるでしょう。
内定から入社までの流れ
内定から入社までの流れは企業によって異なるものの、一般的には内定通知の受け取りからはじまり、入社に至るまでの複数のステップが存在します。ここでは、それぞれのステップについて説明します。
内定通知を受ける
内定から入社までの流れとしては、まず企業から内定通知が届きます。内定の通知は最終面接やメール、書面で行われるのが一般的です。
最終面接で内定が出る場合は、その場で承諾の判断をする必要があります。最終面接の前に内定承諾するか保留するかの意思決定を行うとともに、説得力のある理由も考えておきましょう。
労働条件、労働契約について確認する
内定を受けた後労働契約や勤務条件を確認することが非常に重要です。勤務地や業務内容などの条件をしっかりと理解し、納得の上で承諾しましょう。
通常、これらの労働条件を記載した書類は内定通知書とともに同封されています。内容をしっかりと確認し、不明点があれば人事部に問い合わせて明確にすることが大切です。
内定承諾書の提出
内定を承諾する際は、内定承諾書に必要事項を記入し、必要書類を添えて提出します。書類の準備や送付には期限が設定されていることが多いため、期限を守ることが重要です。万が一、準備が遅れる場合は速やかに企業に連絡し、対応方法を確認しましょう。
▼内定承諾について詳しく知りたい方はこちら ・内定承諾のマナーと対応例。メールや電話の例文についてもご紹介 ・内定承諾書とは何か?目的・出すタイミング・送り方の注意点を徹底紹介!
内定式に参加する
新卒の内定者を対象に行われる内定式と内定者懇親会。内定式は入社意志の最終確認と誓約書の取り交わしが行われます。内定者懇親会は社員と内定者が親睦を深めることを目的としたイベントです。
企業文化やチームの雰囲気を感じる絶好の機会であり、入社前に抱えている不安を解消し、企業への理解を深められるでしょう。なお、これらのイベントの場所や日程は内定承諾後に通知されるため、スケジュール管理が非常に重要です。
内定者研修に参加する
内定者研修は、内定式後から翌年4月の入社式までの間に行われます。会社説明会や課題提出などを含む複数の段階で進行します。
内容は一般的には人間関係の構築や会社と仕事内容の理解、社会人基礎スキルの習得に焦点が当てられます。内定者研修があることで、不安を解消して実際の業務にスムーズに移行できるでしょう。
入社
入社式は新社会人としての一歩を踏み出す重要な行事です。入社式の時点で企業の一員としての自覚を新たにします。入社式は公式な場であるため、服装や持ち物には注意が必要。入社式に必要な書類がある場合は、余裕を持って事前に準備しましょう。
企業からの内定通知方法
内定通知は最終面接や電話、メールなどで通知されるのが一般的です。他にも採用サイトや書類の送付で通知されることがあり、それぞれどのような方法で内定が通知されるのか理解しておくことが重要です。以下では、一般的な内定通知の方法を詳しく説明します。
面接の場で伝えられる
すでに採用が決まっている場合、最終面接の場で内定を伝えられることも少なくありません。
内定が面接の場で伝えられることで、選考の合否が出るまでの不安を軽減できます。採用意志がほぼ確定している企業であれば、最短で合否を確認できる対面での内定通知は魅力的といえるでしょう。
しかし、面接での内定通知はメールや書面での内定通知に比べて不確実性が高く、誤解が生じやすい点に注意が必要。労働条件などのすべての情報が正式な手段で提示されるまでは、慎重に対応することが求められます。
電話で伝えられる
選考後に電話で内定を伝えられる場合もあります。電話での通知はメールや書類と比べて、スピーディに会話でやり取りできるのが大きな利点です。
内定の意思確認や質問がその場でできるため、手続きをスムーズに進められる上、何か心配事があればすぐに質問して解決できるでしょう。また、電話は相手の声のトーンや話し方から言葉だけでは伝わりにくいニュアンスも感じ取られます。
しかし、電話は面接と同様に話した内容を詳細に記録することが難しいため、後々「何を話したっけ?」と混乱する場合があります。電話で内定通知を受け取る際は、メモができるよう必ず筆記用具を準備しましょう。また、メールや書類の郵送などの書面でも情報を送ってもらえるか確認することをおすすめします。
メールで伝えられる
最近では多くの企業がメールで内定通知を行っています。メールは書類を郵送する手間がかからず、正式な通知方法としても十分機能することが理由です。
メールによる内定通知の大きなメリットは、何といっても記録が残りやすいこと。メールは送受信した内容が記録として残るので、何かトラブルが発生した際に証拠として使えます。
ただし、メールで内定が通知される場合は、通知の見落としに注意が必要。メールはLINEやSNSなどのメッセージサービスに比べて情報が埋もれやすいため、日々メールの受信内容や通知設定には気を配りましょう。
また、メールは誤送信のリスクも伴います。特に相手の名前や連絡先を間違えるケースは少なくありません。メールを送る際は、必ず内容に不備がないか確認してから送信しましょう。
採用サイトなどのメッセージで伝えられる
最近では採用サイトやアプリを使って通知を行う方法も一般的になっています。これらのプラットフォームはLINEのようにカジュアルなやり取りができる場合も多く、企業と学生でより迅速かつ気軽に連絡を取り合えることが魅力です。
アプリやサイトでのやり取りに慣れていない人は、少し使いづらく感じる場合もあるでしょう。しかし、応募の初期段階から一貫したプラットフォームを使用することで、スムーズに情報を得られるようなサポートを受けやすいことがうれしいポイントです。
書類を郵送される
書類を郵送する方法は、以前から多くの企業で採用されてきた通知方法です。メールとは異なり、物理的な証拠として情報を残せることがメリットです。学生は内定通知が確実に行われたことを証明しやすくなります。
また、入社に必要な書類が同封されている場合が多く、入社までの手続きも一貫して対応できるので効率的です。
ただし、郵送に時間と手間がかかることがデメリットです。届いた書類を企業に返送する場合は、送付から到着までに時間がかかることを考慮しましょう。また、書類の入れ方や封筒の書き方などのマナーも確認しておく必要があります。
内定の返事をするときのポイント
続いて、内定の連絡をもらったときの返事のポイントを整理していきましょう。内定は口約束とはいえ、内定につながる重要な決定です。そのため、返事の仕方などのマナーには注意する必要があります。
また、内定を受けるのか辞退するのかは、状況によって変わってくるでしょう。最低限のマナーを守りつつ、相手に伝わりやすい意思表示を行うことが大事です。
期限内に意思表示をする
内定を受けた際に重要なのは、企業から指定された期限内に意思表示することです。期限までに返答がない場合、企業は学生が内定を辞退したと解釈する場合もあるため注意が必要です。
なお、複数の企業からの内定を受けていたり労働条件の検討が必要だったりする場合、企業に状況を説明し期限の延長を依頼できることもあります。この際、具体的な理由と返答予定の期限を明確に提示することが大切です。
内定承諾の期限を延長する場合、通常は1週間程度が目安とされますが、内定の時期や企業の状況に応じて適切な期間を設定しましょう。
内定を承諾するときは慎重に
内定を承諾する際は、慎重に考えて決断しましょう。内定承諾は、個人のキャリアパスにとって重要な選択であり、軽率に決めることは入社後の後悔やキャリア計画の乱れを引き起こす場合もあります。十分な理解と納得の上で決断することが重要です。
また、一度承諾した内定を辞退することは、企業にとっても大きな迷惑がかかります。内定の保留は学生の権利とはいえ、連絡の遅れや曖昧な理由での保留は不誠実な印象を与える場合もあるでしょう。就活での印象は人事評価や将来の配属に影響を与えることもあるので、企業への配慮を念頭に置いて内定の承諾は慎重に行ってください。
内定を辞退するときのポイント
就活の状況次第では、内定をもらったものの、やはり辞退したいと思うこともあるでしょう。しかし、せっかく内定の連絡をもらっていると考えると、連絡の仕方には迷うものです。
ここからは、内定を辞退するときのポイントを解説します。内定を辞退したいときは、失礼がないように注意しつつ、以下のポイントを押さえて連絡をしましょう。
早めに連絡する
内定を辞退する場合は、できるだけ早く企業に連絡しましょう。そうすることで、企業も他の候補者に目を向けたり計画を立て直したりするための時間を確保できます。
早く連絡をすることは、誠意ある対応を示せるだけでなく、将来的に企業と良好な関係を築くきっかけにもなります。ビジネスの基本として、内定を辞退すると決めたら入社予定日の直前ではなく、即座に企業に伝えることが大切です。
メールではなく電話で連絡する
内定の辞退を伝える際に一番望ましい方法は、電話で直接連絡することです。メールや書面よりも直接的でより誠意が伝わりやすいからです。また、直接話をすることで誤解が生じにくく、すぐに質問や確認ができるため、企業も学生もスムーズにコミュニケーションを取れます。
電話をかける際は、これまでの選考でお世話になったことへの感謝の言葉を伝えます。続いて、内定を受けたにもかかわらず辞退する決断をしたことへの謝罪を述べ、その理由を丁寧に説明しましょう。辞退理由は具体的で誠実な内容にすることが大切です。できれば将来的な関係性を損なわないよう配慮した表現を使用してください。
なお、電話で辞退する旨を伝えた後は謝罪メールを送ります。そのため、電話での会話は、その後のメールでのやり取りを考慮し、連絡をした日時や相手の名前、話した内容の要点をメモしておくと良いでしょう。
▼内定辞退について詳しく知りたい方はこちら ・内定辞退のメール例文!電話での伝え方や新卒向けのマナーも紹介
内定取り消しとは
口約束とはいえ、内定がもらえれば多くの学生は安心します。しかし、内定取り消しというケースは意外と少なくありません。内定に法的拘束力はないため、企業にとっては、内定取り消しには案外踏み切りやすいともいえます。
頻発することではありませんが可能性はゼロではないため、内定をもらったとしても注意が必要です。
内定取り消しのケース
特定の条件が満たされなかったり、予期せぬ状況が生じたりした場合に内定が取り消しになることがあります。以下では、内定が取り消される一般的なケースを解説します。
・学生が学校を卒業できなかった
企業が学生に内定を出した際、通常は卒業が前提条件です。
もし学生が何らかの理由で卒業資格を得られなかった場合、企業はその内定を取り消す可能性があります。これは、職務を遂行するための基本的な資格や知識が不足していると判断されるためです。
・学生の素行に問題があった
企業は内定後も学生の行動や態度を引き続き評価しており、内定後に不適切な行動や法律違反が発覚した場合、その内定を取り消すことがあります。
企業のイメージや倫理基準を維持するために、このような措置がとられることが一般的です。
・健康上の問題で働けなくなった
内定者が健康上の重大な問題によって予定されていた職務を果たすことが困難になった場合、企業は内定を取り消す場合があります。
ただし、症状が軽度であったり業務への影響が小さかったりする場合は、取り消しにならない場合もあります。内定者の健康を最優先に考慮し、適切なサポートが検討されることもあるため、心配な点があれば企業に相談することも1つの手といえるでしょう。
・企業の業績悪化など経営状況が変わった
経済的な理由や業績悪化など、企業の経営状況が大幅に変化した場合、採用計画を見直して内定を取り消すことがあります。このような状況は、企業にとっても非常に困難な決断となりますが、事業の持続可能性を確保するために必要な場合があります。
まとめ
内定通知が来ると、学生としては安心してしまいがちですが、採用を通知されただけでは、労働契約が締結されているとはいえません。企業に内定の返事をせず放置していると、いつの間にか話が立ち消えになってしまうことも考えられます。自分の意志で就職を決め、内定を承諾したときに、ようやく就活が終わると考えて良いでしょう。
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