就活で行われるグループワークについて、どういったものなのか分からないという就活生もいることでしょう。こちらの記事では、グループワークとは何か、グループワークの種類やグループワークの進め方についてご紹介します。
インターンや本選考でも課されるため、苦手な方や第一志望の企業を受ける予定の方は事前準備もしっかり確認しましょう。
<目次>
●グループワークとは何か?
・グループワークとGDの違い
・グループワークの目的
●グループワークの進め方
・自己紹介
・役割分担&時間配分
・言葉の定義や議論の方向性をすり合わせ
・ゴール設定
・課題・論点の特定
・解決策の洗い出し
・解決策の検討
・結論出し・合意形成
●グループワークの3つの種類
・作業型グループワーク
・プレゼン型グループワーク
・ゲーム型グループワーク
●グループワークのテーマ例
・作業型グループワーク
・プレゼン型グループワーク
・ゲーム型グループワーク
●グループワークにおける4つの役割
・リーダー
・タイムキーパー
・書記
・役職なし
●グループワークでの評価ポイント
・1. ロジカルシンキング
・2. コミュニケーション能力
・3. 協調性
・4. 積極性
・5. 思考体力
・6. 素直さ・思考の柔軟性
●グループワークが苦手な場合のやり方
・他のメンバーの発言で反応を示す
・分からないことは素直に聞く
・初めの段階でお互いのことを知る時間を作る
・自分ができそうな役割を把握しておく
●グループワークの注意点
・1. 結論ファースト
・2. チームの意識を持つ
・3. 相手に配慮した話し方を心掛ける
・4. 全員の発言を促す
・5. 時間配分に気を付ける
●グループワークの事前対策
・1. ロジカルシンキングを強化する
・2. 業界知識や最新トレンドをつける
・3. 日常的に自分の考えを形成する
・4. 自分の意見を述べる能力・人の意見を受け入れる能力を養う
・5. 就活イベントに参加する
・6. ワンキャリアの体験談を活用する
●まとめ
グループワークとは何か?
グループワークとは、複数人のグループを作って議論を交わし、結論や成果物を導き出す作業のことです。企業の採用試験の一部で用いられることが多く、就活以外にもインターンシップや社内研修など、幅広い場面で活用されています。
作業時間や目的はグループを構成する人数や議論内容に応じて異なりますが、一般的に5人前後でグループを形成し、30分~1時間程度で行われることが多いです。
以下では、グループワークと似たワード「グループディスカッション(GD)」との違いや、グループワークを企業が採用試験で実施する目的などを詳しく解説します。
グループワークとGDの違い
グループワークとGDの違いについて内容と評価の2つに分けて解説いたします。
・内容について
GDとは、数人のグループで議論を行う作業のことです。一方、グループワークはGDを通して、なんらかの結論や成果物を作成する作業のことを指します。
つまり、GDはグループワークの中の1つの工程と捉えると、理解しやすいでしょう。
・評価について
就活においてGDは、参加者一人一人の傾聴力やコミュニケーション力、協調性、リーダーシップなどが評価対象です。それに対し、グループワークでは、議論はもちろん成果物の作成、成果物のクオリティまでの全てのプロセスが評価対象とされます。
▼GDについて詳しく知りたい方はこちら ・グループディスカッション完全対策!全テーマの進め方/流れやコツを網羅的に解説 ・【グループディスカッションの役割】全種類の解説とおすすめの決め方
グループワークの目的
企業がグループワークを行う目的は、行うタイミングによって異なります。グループワークが実施されるのは、主に本選考とインターンにおいてです。ここでは、それぞれのタイミングで行われるグループワークの目的の違いについて解説します。
本選考:集団での関わり方や人柄を確認するため
本選考でグループワークを採り入れる目的は、応募者の能力や人柄、思考、集団での関わり方などを見極めるためです。
履歴書などの応募書類や面接だけでは、それら個人の能力は判断しにくいところがあります。
企業はグループワークを実施して、その過程を通して応募者それぞれのコミュニケーション能力や協調性、リーダーシップ能力、課題解決能力、成果物を完成させるスキルなどを見極めていきます。
例えば、面接で「私は責任感が強い」と主張したとしても、グループワークでは議論に積極的に参加しないと、「責任感が強い」という発言は信ぴょう性が下がるでしょう。
グループワークを実施すれば、学生が主張する話が正しいものなのかを実際のふるまいから判断できます。
インターン:自社の事業や実際の業務を体験してもらうため
インターンで行われるグループワークの目的は、自社の業務体験や事業体験をしてもらい、実際の仕事や働くイメージを学生に明確にしてもらうためです。企業はインターンを通して自社の仕事の魅力を学生に伝えられます。
インターンでの評価が良い場合は、特別な選考や社員との座談会に招待される可能性もあります。そのため、インターンも本選考と同様に集中して取り組みましょう。
なお、2022年4月に経団連(日本経済団体連合会)による就活ルールの見直しが実施され、2025年卒の学生から採用直結インターンが解禁となっています(※)。そのため、2025年卒の学生はインターンといっても、本選考と同様の対策をする必要があります。
(※)参考:日本経済団体連合会「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」グループワークの進め方
グループワークでは、自己紹介のほか役割分担、ゴール設定、解決策の検討など、多くの作業があります。ここからは、採用面接で実際にグループワークを実施することになった場合の進め方をご紹介します。
自己紹介
まずは、自己紹介から行いましょう。緊張を和らげたりチームにうまく溶け込んだりするためにも、自己紹介は大切です。お互いの情報をまったく知らない状態で議論や作業を進めた場合と、多少情報を共有した状態で進めた場合では大きな差が出てきます。
基本情報である名前や大学名だけではなく、自分のことを表したキャッチフレーズや特徴などを簡単に伝えておくと良いでしょう。
役割分担&時間配分
限られた時間内で効率良く議論を進めていくためにも、役割分担を行いましょう。基本的に、どの役割を選んでも評価は変わりません。
立候補形式で決めることが多いですが、1つの役割に応募が集中した場合は、率先して他の役割を選ぶと協調性をアピールできます。また、自分がやりたい役割がある場合は、理由を添えて、グループメンバーに伝えて役割を譲ってもらうと良いでしょう。
ただし、必ずしも自分のやりたい役割を担当できるとは限りません。どの役割でもこなせるように、準備しておくことが大切です。
役割を決めた後は、グループワークの持ち時間から、時間配分も決めましょう。ビジネスに置き換えると、「納期を守った対応が取れるか」のチェックともいえます。時間内に意見をまとめられない場合、グループの評価が下がるため注意してください。
言葉の定義や議論の方向性をすり合わせ
グループワークで出されるお題に対して、各自の言葉の認識を合わせる意味でも、言葉の定義や前提、議論の方向性をメンバー間ですり合わせましょう。
事前にすり合わせをせずに進めてしまうと、メンバー間で認識の齟齬(そご)が生まれ、議論にまとまりがなく合意にいたらなかったり、議論が振り出しに戻ってしまったりという事態を招きかねません。
すり合わせる場合は、5W1Hから必要な要素をピックアップして行うようにしてください。5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで) 、Who(誰が) 、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を指す言葉です。
この要素に従って文章を構成すると、情報をきれいに整理できます。
【例】「新しいコーヒーの商品を企画せよ」というお題ですり合わせる場合
・When(いつ):どのシーズン(ホット?クール?)向けの商品か ・Where(どこで):ターゲットとする地域はどこなのか ・Who:ターゲットの年齢は何歳なのか ・What:ブラックコーヒーなのか、微糖など砂糖入りなのか、缶なのかペットボトルなのかなど ・Why:なぜ新しいコーヒー商品を企画するのかといった目的について ・How:販売経路は店舗かECか
「新しい」という言葉だけとっても、人によって捉え方はさまざまです。新しいデザインなのか、新しい味なのかなど、あいまいな言葉の定義をクリアにしてから議論を始めると、かみ合った話し合いができます。
ゴール設定
グループワークでは成果物を出すことになるため、必ずゴールが存在します。議論を始める前に、ゴール設定をして参加者の認識を一致させることが重要です。
上記の例でいうと、関東在住の18歳から30歳までの若年齢が顧客として定着していないため、その年齢層を対象にした、冬に発売するブラックタイプの缶コーヒー(店舗販売)などと定められます。
課題に対するゴールから逆算して、どのようなステップで話し合いを行えば良いか検討すると、効率良く話し合いを進められるでしょう。
課題・論点の特定
議論するテーマとゴールが設定できたら、課題・論点を特定しましょう。「ブラックコーヒーを若者に売るためにはどのような特徴が必要なのか」「関東ならではの需要はどういったところにあるのか」などです。課題と論点を特定できれば、効率的に議論が行えます。
解決策の洗い出し
目指す方向性やメンバー間の共通認識をすり合わせができたら、意見を出して解決策を洗い出しましょう。意見を出し合う初期段階では、さまざまな意見を出していくことで視野が広がります。
その際、発言しない人がいないようにすることが重要です。何もしない人がいると、チームとしての価値を最大化できていない、全員が同じ目標に向かえていない、と判断されてしまう場合があります。
意見を出しやすくするために、「◯◯さんはどうですか?」と互いに話をふるなどして、話しやすい状態を作るのがポイントです。
また、出てきた意見に対して、否定するのは避けましょう。否定的な反応は意見を出しにくい雰囲気になってしまい、一部の人だけしか話せなくなってしまいます。
他者の意見を尊重・肯定して、それぞれが意見を出しやすい環境を作ることがグループワークを成功させるコツです。
解決策の検討
解決策となる意見を出し合うのが終わったら、その意見をまとめる作業に入っていきます。
意見をまとめる際に重要なのが、5W1Hの前提条件にそっているかです。決めた議論の方向性に対してズレた意見があれば、この時点で排除しましょう。
また、解決策を検討する際に多数決で決めることはやめましょう。グループワークの目的は、みんなで議論をしてより良い結論を導くことです。そのため、結論を重要視しているわけではなく、参加者がどのような主張をしてどのように議論するかを見ています。
意見がまとまらないときは、対立する意見と対立する根拠を出し合い、意見をまとめるのに何が障害になったかをグループの検討結果として発表するのも1つの手です。
結論出し・合意形成
最後は、意見を取りまとめて結論出しを行います。意見を整理して、結論に必要な意見をブラッシュアップしましょう。
ジャンル別に意見を分ける、似た意見を統一する、など情報の整理をすれば多くの意見を集約できます。ポイントは、意見を大きく1つに集約しすぎないことです。意見が少ない場合は再度議論して結果につなげられる意見がないか検討したり、まとめ方を狭めてみたりすると良いでしょう。
意見がまとまらないときは、対立意見とその根拠をまとめてグループの結論として発表するのも1つの手です。むりやり1つにまとめてしまうと、グループの評価が下がる原因になりかねないため、注意しましょう。
グループワークの3つの種類
グループワークには大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴やどういった点を重視したグループワークなのかについて、ご紹介します。
作業型グループワーク
1つ目が、作業型と呼ばれるグループワークです。応募者は、グループのメンバーと特定の作業をして、成果物を作成します。
このタイプでは、成果物を完成させることが必須のケースもあるため、時間配分には十分注意しましょう。成果物の質が高ければそれに応じて評価されますが、質そのものよりも完成までのプロセスが重要視されます。
また、参加者それぞれに1つの工程を担当させて責任を担ってもらったり、技術的スキルが必要なツールを使用させたりすることもあります。
プレゼン型グループワークク
2つ目が、プレゼン型グループワークです。応募者は、グループごとに与えられたテーマについて議論し、導き出した結論をプレゼンします。
プレゼン型グループワークでは、いかに説得力のある結論が伝えられるかが重要です。与えられたテーマに対して、どのようにしてその結論に達したのかを理由や具体的な例を組み合わせて説明できるようにしましょう。
そのため、自分のアイデアが採用されるかどうかは目的ではありません。目立った発言をしていなくても、進行役であればグループをまとめてスムーズな話し合いができていれば高評価につながります。
ゲーム型グループワーク
3つ目が、ゲーム型グループワークです。ゲーム型グループワークでは、ゲーム性のあるテーマが与えられるため、他の種類よりも参加者の素の性格や行動を把握できます。
ゲーム型グループワークでは、一般的にグループ間で競い合う形式が採られます。ゲーム形式のため結果が出ますが、重要視されるのはゲームに取り組む姿勢やゲーム中の行動、個性です。
グループワークのテーマ例
ここで、ワンキャリアに掲載されているグループワークのテーマ例をご紹介します。
こちらを参考にし、会社が出題しやすい傾向や、どのような内容が取り上げられるかを把握し、事前に対策を立てましょう。
作業型グループワーク
プラン形成型
「テーマ」 配送業界に対してデジタル施策を考えるもの
※出典:アクセンチュア|デジタルコンサルタント職2025年卒本選考のGD
実物作成型
「テーマ」 机の上にあるもの(ストロー、テープ、トランプ、紙コップ)でトランプタワーを作れ
※出典:Plan・Do・See|総合職2021年卒本選考のGD
プレゼン型グループワーク
課題解決型
「テーマ」 ある企業ではリモート化による働き方を推進している。その弊害として社員同士のコミュニケーションがとりづらくなったという意見が社内会議で上がった。対応策を考えよ。
※出典:アクセンチュア|ソリューション・エンジニア職2025年卒本選考のGD
選択型
「テーマ」 子どもにスマホを持たせるべきか否か
※出典:関電システムズ|システムエンジニア2025年卒本選考のGD
ビジネス型
「テーマ」 オンラインショッピングの利用者を増加させる施策立案
※出典:アビームコンサルティング|テクノロジーコンサルタントコース職2025年卒本選考のGD
自由討論型
「テーマ」 リーダーに必要な素養を3つ挙げる
※出典:川崎重工業|技術系総合職2025年卒本選考のGD
フェルミ推定型
「テーマ」 ファミレスの売り上げをフェルミ推定
※出典:KPMG FAS|M&A・戦略コンサルタント2024年卒インターンシップ選考のGD
ゲーム型グループワーク
「テーマ」 同じチームになった学生と協力して、ボードゲームを使ってクリアを目指す
※出典:R09(アールナイン)|総合職2025年卒本選考のGD
グループワークにおける4つの役割
グループワークでは、成果物作成にあたり、メンバー間で役割分担を行うことが非常に重要です。一般的なグループワークにおける役割には、リーダー、タイムキーパー、書記、役割なしの4タイプが存在します。それぞれの役割を、詳しく見ていきましょう。
リーダー
リーダーとは、いわゆる司会進行役のことです。メンバーの意見をまとめたり、グループの方向性を決定したりと、意思決定に関わることが役割といえます。
グループワークのように、メンバー全員で1つの目標に向かって作業や議論する際には欠かせない存在です。アイデアや考え方などをまとめて、議論の要点や論点を明確にすることが役割のため、中立であることが求められます。
リーダーを担当したからといって、評価されるわけではありません。他のメンバーへの配慮が不足していたり、他の意見を否定して周りと足並みがそろえられなかったりすると、マイナス評価をつけられるため注意が必要です。
リーダーとして評価してもらうためには、メンバーへの配慮やメンバーの良いところを引き出すスキルが求められます。メンバーに気遣いができて、引っ張っていける人が向いているといえるでしょう。
タイムキーパー
タイムキーパーとは、文字通り時間を管理する役割のことです。議論に多くの時間を費やしてしまうと、成果物や結論を導き出せなくなるでしょう。また、時間配分が適切にできていないと、議論の流れが乱れて、全体の評価が下がる可能性もあります。
一方で、タイムキーパーには、時間の管理以外にも議論がそれた際の修正も求められています。状況に応じて適切なフォローをして、ディスカッションをスムーズに進められれば、企業からの評価を高められます。
そのため、議論に参加しつつも、先読みして適切な時間配分と時間管理ができる人がタイムキーパーに適任だといえるでしょう。
書記
書記は、メンバーの意見を記録し、内容をメンバーと共有することで議論の状況を整理しやすくする役割です。単に文字でまとめるだけではなく、時には図形やグラフ、イラストなどを使って視覚的に分かりやすくまとめる能力も要求されます。
プレゼン用の資料や発言内容も書記がまとめた内容を元に作られるため、重要な役割です。 簡潔で誰が読んでも分かりやすいメモを作ることはもちろん、メモにまとめることで気づける議論のズレなどを指摘して、リーダーを補佐できればアピールにつながります。
そのため、書記に向いているのは、全体を俯瞰(ふかん)できる人や並行作業が得意な人といえるでしょう。ただし、メモに集中するあまり、自身が発言することを忘れないようにしてください。
役職なし
役割の数は決まっているため、なかには特定の役割をふられない人や、希望する役割につけない人もいます。その場合でも悲観的にならず、役割を全うすることが重要です。
役割がないメンバーは、積極的に議論に参加したり、成果物作成に取り組んだりするようにしましょう。協調性を持って、チームの目標達成のために他の役割の人たちのサポートでできることがないかを考えて実行すれば、高評価につながります。
リーダーや書記が意見をまとめやすいように端的な説明を心掛けたり、新しいアイデアを提供して議論を前進させたりなど、役割がなくてもグループの重要なピースになれるかどうかが評価ポイントです。
役割なしが向いている人は、積極的に意見できる人や役割のある人の助けができる人といえます。
グループワークでの評価ポイント
グループワークにおいて、評価されるポイントは6つあります。それぞれの特徴を理解して、面接官に好印象を与えられるようになりましょう。
1. ロジカルシンキング
1つ目が、ロジカルシンキングです。ロジカルシンキングとは、物事を結論と根拠に分けて整理し、筋の通った考え方で矛盾のないように結論を導き出す思考法のことを良います。日本語で、論理的思考と呼ばれるものです。
グループワークでは与えられるテーマの難易度が高いこともあるため、テーマに対してロジカルに考えていくことが欠かせません。
ロジカルシンキングができれば、説明する際に説得力が増し、迷わず議論を進められます。他にも、提案力や問題解決能力の向上が見込めるなど、多くのメリットを持つことが特徴です。
2. コミュニケーション能力
2つ目が、コミュニケーション能力です。グループワークでどういった役割を持ち、どのようにコミュニケーションを取っているかが評価のポイントです。
相手の意見を尊重しつつ自分の意見も追加したり、相手の意見を尊重しつつ、自分との差異を主張したりするとアピールにつながるでしょう。周りを巻き込んで、成果に向けたコミュニケーションを取れているかが重視されます。
3. 協調性
3つ目が、協調性です。グループワークでは、自分の意見を押し通そうとせずに、他のメンバーの意見にも耳を傾ける協調性が求められます。1人の意見で結論を導くよりも、複数人の意見を集めて結論にまとめるほうが、より良い成果物が生まれるためです。
自分の役割を全うしながらも、相手の意見にも耳を傾けながら物事を進めていく能力が求められます。
ただし、説得力のない答えやズレた意見に対して、その場しのぎでうなずくことは協調性があるとはいえないため、やめましょう。その場合は、ダメな点がどこで、活用できる点がないかなど、踏み込んだ意見をすれば、評価が高まります。
4. 積極性
4つめ目、積極性です。グループ内のメンバーに積極的に働きかけることで評価を上げられます。たとえ、どんなに良い意見を言ってもメンバーに伝わらなければ意味がありません。活発に発言をして、積極的にグループワークに参加していることを態度で示しましょう。
難しいテーマも多くありますが、自ら意見を積極的に出してコミュニケーションを取るようにしてください。消極的な態度はマイナス評価につながるため、注意が必要です。
5. 思考体力
5つ目が、思考体力です。思考体力とは、「考え続ける力(思考持久力)」のことを指します。持久力といっても、数時間ずっと考え続けるといったような、時間を競うものではありません。ある課題に対して、いかに深く、多面的に考え続けられているかということです。
つまり、グループワーク中、思考の質を最後まで落とさず維持できていれば、評価につながります。最初は議論に積極的に参加していたにもかかわらず、時間が経過するにつれて思考停止してしまって議論に参加しなくなると、面接官に与える印象が悪くなるでしょう。
そのため、そういった状況下でも最後まであきらめずに成果を出そうと議論しようとする思考体力を表現できれば、高評価につながります。
6. 素直さ・思考の柔軟性
6つ目が、素直さ・思考の柔軟性です。面接官は入社後自分の部下になったときに、この人が上司や先輩、同僚からの意見を受け入れられるか、そのうえでどのぐらい成長できるか、を見ています。そのため、上司や同僚からのフィードバックをその後の仕事に取り入れる素直さや思考の柔軟性をアピールできるかどうかは重要な評価ポイントです。
グループワーク中に自分と対立する意見でも、良い意見であれば受け入れて議論に反映させる素直さや思考の柔軟性があれば、好印象を与えられるでしょう。
グループワークが苦手な場合のやり方
就活生の中には、グループワークが苦手な人もいることでしょう。ここでは、グループワークが苦手な場合の対処法をご紹介します。グループワークが苦手だからといって何もしないと、マイナスの印象しか持たれず、内定を勝ち取ることは難しいでしょう。
具体的な対応策を学び、グループワークに対する苦手意識を少しでもなくしておきましょう。
他のメンバーの発言で反応を示す
自分から意見を発言することが苦手な人は、他のメンバーの発言に対して反応するようにしましょう。
テーマによっては知識やアイデアがなく、発言に困る場合もありますが、そのようなときこそ他のメンバーの発言に反応することで、協調性や共感性を表現できます。
発言に対してうなずいてポジティブな反応を示せば、議論へ積極的に参加しているという姿勢や高いコミュニケーション能力のアピールにつながるでしょう。
分からないことは素直に聞く
意見できることがないからと黙っておくのではなく、分からないことがあれば、素直に聞くことも大切な心構えです。
グループワークでは話についていけなかったり、話の方向性がズレたりすることは、よくあります。
話の内容が分からなければ、「今、話に出たことを確認したいのだけれど……」と素直に聞いてみましょう。他のメンバーも同様に分からず躊躇(ちゅうちょ)していることが判明したり、メンバーの状況を改めて整理したりするきっかけになります。
聞くことは、恥ずかしいことではありません。間違った理解のまま進めることのほうが、後々大きな問題となる可能性を秘めているため危険です。
分からないことを恥ずかしがらず確認することは、社会人として活躍するうえでも大切なことと理解しておきましょう。
初めの段階でお互いのことを知る時間を作る
グループワークでは、初対面の人たちと議論して成果物を作り上げることになります。コミュニケーションを取ることが苦手な人にとっては、グループワーク自体が難しいと感じるでしょう。
その場合は、グループワークの初めの段階で、お互いのことを知るための時間を極力作るようにすることが大事です。
お互いを知れれば、緊張が和らいで話しやすくなるほか、意見も言いやすくなります。自己紹介で、それぞれの顔と名前を一致させるところから始めましょう。
自分ができそうな役割を把握しておく
グループワークで役割を決める際は、自分ができそうな役割を事前に把握しておくことが重要です。4つの役割の中で、グループ全体にどう貢献できるかという視点から、自分に合った役割を見極めましょう。
また、他のメンバーの役割も理解し、グループとして取り組めているかもチェックされています。メンバーそれぞれのグループ内での立ち位置を理解し、全体が良い方向へ向かうように立ちふるまうことが高評価への近道です。
グループワークの注意点
グループワークで良い印象を与えるためには、注意点を押さえた行動を取ることが重要です。ここでは、5つの注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. 結論ファースト
意見する際は、結論ファーストで述べることが大切です。面接や志望動機で活用できる文章術であるPREP法を活用するとスムーズに意見が伝わりやすくなるでしょう。
PREP法とは、Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の順番に、話を展開するフレームワークです。最初に結論を述べて、最後にまとめとしてもう一度結論を述べます。
説明が長く結論が見えない話は、聞き手にとってストレスになるほか、発言者の言いたいことが見えてこないため、理解しにくいものです。PREP法を用いれば、相手に発言内容を伝えやすくなります。
2. チームの意識を持つ
グループワークでメンバーになる人のほとんどが、初対面の人たちです。初対面では距離感が生まれてしまいがちですが、円滑にグループワークを進めていくためにも、チームで課題に取り組むというチーム意識を持つようにしましょう。
そのためにも、メンバー同士が話しやすい雰囲気づくりが欠かせません。グループワークが始まる前に、簡単な自己紹介などのアイスブレイクを行うようにしましょう。ただし、盛り上がりすぎても全体の進行を妨げてしまう可能性があるため、注意が必要です。
3. 相手に配慮した話し方を心掛ける
グループワークでは、相手への配慮も忘れてはいけません。グループワークでは限られた時間内で全員で話し合いを進める必要があります。
そのため、議題に対して関係のない話をして時間を浪費させると、相手に不快感を与えてしまってチームの士気を下げてしまったり、雰囲気を悪くしてしまったりする恐れがあります。
結果を意識するあまり、メンバーへの配慮が足りないようなふるまいは避けましょう。企業が見ているのは、協調性を持ってアウトプットを出せるかどうかです。
反対意見があった場合や自分の意見が通らなかった場合は、深呼吸したり相手の立場に立って発言したりして、冷静に対処するようにしましょう。
4. 全員の発言を促す
グループワークでは、全員が発言して結論を導くことが求められます。より良い結論を出すには、議論の活性化が必要です。そのためにも、意見を出しやすい雰囲気を作るようにしましょう。
特に司会を務めるリーダーは、メンバーの意見を引き出す役割です。発言していない人がいれば、「今の話、◯◯さんはどう思いますか?」「今の話題に対して意見はありますか?」と、話題を振ってあげると全員が意見を出しやすい雰囲気になります。
5. 時間配分に気を付ける
議論が白熱することは大事ですが、時間配分に気を付けることも忘れないようにしてください。グループワークでは限られた時間の中で成果物を作成したり発表をしたりすることが目的です。事前にしっかり予定を立てて、有意義な議論ができるようにしましょう。
また、社会人にとって時間を守ることは常識です。チーム(組織)としても、時間を守れるように心掛けておきましょう。
仮にグループワークの時間が30分だとしたら、以下のような時間配分が考えられます。
- 自己紹介、役割分担:2分
- 言葉の定義や議論の方向性のすり合わせ:5分
- ゴール設定、課題・論点の特定:5分
- 解決策の洗い出し、検討:10分
- 結論出し・合意形成:8分
手順ごとに時間を分単位で決めて、それより少し早めに各工程が進むように取り組みましょう。
グループワークの事前対策
グループワークの事前対策をしておけば、面接官にしっかりとアピールできるでしょう。最後にグループワークに向けてできる事前対策を6つご紹介します。
1. ロジカルシンキングを強化する
グループワークでは、PREP法にのっとって結論ファーストで意見することが求められます。そのためにも、ロジカルシンキングを強化することが重要です。
ロジカルシンキングを鍛える方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- 思考を言語化する
- 具体的な表現を使う
- 結論から話す
まずは、思考を言語化しましょう。思考を言語化することは、自分の思考を整理することにもつながります。相手の立場に立って分かりやすい言葉や話の流れを意識することで、トレーニングの効果を得られます。
思考を整理する際は、具体的な表現を用いるようにしてください。抽象的な表現を使用すると伝えたいことが相手に伝わりにくいだけでなく、誤解を招く恐れもあるためです。
また、結論から話すことを心掛けることも、ロジカルシンキングを強化するうえでは役立ちます。日頃からこれらのことを意識しながら取り組むことで、ロジカルシンキングを強化できるでしょう。
2. 業界知識や最新トレンドをつける
事前対策として、業界知識や時事に関する最新知識・トレンドを身につけることが挙げられます。
グループワークでは、その企業の仕事に関する課題が提示される可能性が高いためです。仕事内容、業界動向などを調べておけば、スムーズにグループワークに取り組めるでしょう。
また、テレビや新聞、インターネットなどを通じて普段からニュースに触れる機会も増やすことも大切です。最新のニュースや社会課題を知っておくことも、グループワークの課題に取り組む際に素材として使えます。
3. 日常的に自分の考えを形成する
グループワークでは、自分の意見を持っている人や論理的に主張を展開できる人が評価されるため、いつでも意見できるように日頃から自分の意見を持つ癖をつけておきましょう。
対策方法としては、テーマを決めて、自分の頭で考えてみる時間を設けることです。自分が得意な分野や、興味のあるテーマから始めてみましょう。また、ニュースに対して自分の意見を考えるのも効果的です。
4. 自分の意見を述べる能力・人の意見を受け入れる能力を養う
グループワークでは、意見を述べる能力と人の意見を受け入れる傾聴力の両方が求められます。発言力と傾聴力を養う方法として、友人とグループワークの練習をすることがおすすめです。
本番同様に初対面の人と実施できるように、友人に友人を誘ってもらって初対面の人が多い環境にすると、成果が出やすくなります。
また、異なる世代の人や社会に出ている人と話す機会を作ることも、視野を広げるきっかけとして有効です。大学の教授やバイト先の社員など、多くの人が社会の先輩としてアドバイスをくれるでしょう。
これらの場で経験したことをもとに自分の考えをまとめ、それを伝える練習をするとグループワークのスキルを伸ばせます。
5. 就活イベントに参加する
就活イベントに参加することも、効果的なグループワークの対策方法です。グループワークに特化したイベントもあり、イベント終了後に企業の人からフィードバックをもらうこともできる場合もあります。
積極的に参加して、面接に役立つスキルを身につけましょう。
6. ワンキャリアの体験談を活用する
グループワークのテーマは、企業や業界によって異なるため、準備が難しいと感じることがあります。
そこで、ワンキャリアのサイトでは大手企業や業界ごとに過去のグループワークのテーマや体験談を公開しています。こちらを活用することで、会社が出題しやすい傾向や、どのようなテーマが取り上げられるかを把握し、事前に対策を立てられます。
まとめ
今回は、グループワークの進め方から、グループワークの種類、テーマ、役割、評価ポイント、対策、そして注意点までご紹介しました。
グループワークでの高評価を目指すためには、これらのポイントや注意点をしっかり意識して準備すると良いでしょう。重要なのは、どの役割でも、役割がなくてもグループ全体で貢献し、自分のできることを最大限に生かすことです。また、グループワークに対する苦手意識がある場合は、積極的に経験を積むことも重要です。
インターンシップやキャリアセンター、各企業で行われるグループワーク対策のイベントなどを活用して、自信をつけられます。ワンキャリアのサイトでも、さまざまな情報やイベントが提供されているので、ぜひチェックしてみてください。
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(Photo:metamorworks/Shutterstock.com)