企業選びや選考対策に欠かせないのが自己分析です。しかし、「この自己分析が本当に合っているか分からない」「自己分析に自信がない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。他己分析も同時に行えば、客観的な視点を取り入れられ、自己理解がより深まります。
本記事では、他己分析のやり方やツール、質問相手の選び方を解説します。自己理解に効果的な質問や他己分析の生かし方もご紹介しますので、参考にしてみてください。
<目次>
●他己分析とは
・他己分析と自己分析の違い
・他己分析のメリット
●他己分析はいつ始める?
●他己分析のやり方
・1. さまざまな属性・関係性の人に依頼する
・2. 他己分析用のツールや質問リストを用意する
●他己分析に適した相手と質問例
・1. OB・OG・身近な社会人に他己分析を依頼する場合の質問リスト
・2. 同じコミュニティの仲間に他己分析を依頼する場合の質問リスト
・3. 家族・長く付き合いのある友人に他己分析を依頼する場合
●他己分析の結果の活用方法
・自己分析での活用方法
・エントリーシートや面接での活用方法
●他己分析を人に頼まれたら?
●この記事のまとめ
他己分析とは
他己分析とは、他者に質問し、他者から見た自分の印象や評価を知ることです。自己分析に客観的な視点を取り入れるために行います。
自己分析だけでなく他己分析を行うことで、自己理解がより深まるでしょう。
ここでは、他己分析と自己分析の違いや、他己分析を行うメリットを解説します。
他己分析と自己分析の違い
他己分析は、他者から見た自分の印象や特徴を知ることです。 自己分析は主観的な視点で自分自身を分析するのに対し、他己分析は客観的な視点で分析する点が異なります。
他己分析で他者からの視点を取り入れることで、主観的な視点では気付けなかった自分の特徴が分かります。
自己分析は自己理解を深めるために欠かせませんが、他己分析は自己分析の内容を裏付け、補完するという役割があるといえるでしょう。
自己分析と併用すれば、より高い効果を期待できます。
▼自己分析に関する記事はこちら ・【自己分析のやり方】たった4通り!簡単にできる方法・ツール・シートを解説
他己分析のメリット
他己分析は客観的な視点により自己分析の結果を裏付け、あるいは補完する役割があります。分析の結果、自分のアピール方法が分かるといった点がメリットです。
他己分析のメリットについて、詳しくみていきましょう。
客観的に自分を見ることができる
他己分析は、他者から見た自分が分かり、自己分析に客観的な視点を加えられる点がメリットです。
就活で行う自己分析は、就活の軸を定め、自己PRや志望動機に説得力を持たせるために重要です。しかし、1人で行うためどうしても主観的になり、思い込みが入りやすいという問題があります。
自分に自信がなくてあまり長所がないと思っていても、他者からは長所と思われている特徴があるかもしれません。他己分析をすれば、そのような自分では気付かない部分を知るきっかけになります。
他己分析により客観的に自分を見ることで、より精度の高い自己分析ができるでしょう。
今まで気付かなかった自身の長所・短所を知れる
他己分析により、これまで気付かなかった自分の長所・短所が分かる可能性があります。自分が認識している自分と、他者の目に映る自分は一致しているとは限りません。むしろ、自分では気付いていないことが多い場合があります。
自分ではコンプレックスに思っていたことが、他者から見ると長所に捉えられていることもあるでしょう。例えば、自分では「優柔不断だ」と思っていることが、他者から見ると「柔軟性のある人」と思われていることがあるかもしれません。
反対に、自分では長所だと思っていたことが、他者からはネガティブな印象を持たれている場合もあります。自己分析では気付けなかった部分を発見できれば、自分について、より的確なアピールができるでしょう。
選考における自身のアピール方法が分かる
他己分析を取り入れることで、より自分についての理解が深まり、選考でのアピールに説得力が生まれるのもメリットです。
自己分析と他己分析の結果が同じであれば、自己分析で分かった自分の性格や特性を確信できます。認識にずれがあれば、新たな自分を発見できるでしょう。自己分析の精度が上がり、アピールにも説得力が生まれます。
他己分析はいつ始める?
他己分析は、自己分析をひととおり終えてから始めることをおすすめします。自己分析の前に行うと、その評価が無意識のうちに入り、自己分析に影響する可能性があるためです。
まずは自己分析で十分に自分を深掘りしてから他己分析を行えば、正確に自分と他者の評価の違いを比較できます。
他己分析も自己分析と同じく「いつまでにやる」という明確な決まりはありませんが、早めに終わらせておくのが良いでしょう。
分析結果は志望動機や自己PRの内容に大きく影響し、面接対策でも重要な要素になるためです。
他己分析のやり方
他己分析は1人に聞くのではなく、複数人に聞くことで効果を高めます。また、多角的な視点の回答を得るために、多様な関係性にある人に依頼することがポイントです。
他己分析のやり方について解説します。
1. さまざまな属性・関係性の人に依頼する
他己分析は、仲の良い友人など決まった範囲の人だけでなく、さまざまな属性・関係性にある人に依頼しましょう。属性や関係性が異なれば、人を判断する視点も変わるためです。
普段から親交のある人であれば、自分について理解が深く、より掘り下げた回答を得られるでしょう。あまり親交のない人の場合は、客観的に見た自分の印象について知れます。年齢や立場で人の見方は変わるため、幅を持たせると良いでしょう。
ヒアリングする人は多ければ多いほど、さまざまな視点から回答が集まります。家族や友人、大学の先輩・後輩、アルバイト先の同僚や大学のキャリアアドバイザーなど、可能な限り多くの人に依頼することが他己分析の精度を高めるポイントです。
2. 他己分析用のツールや質問リストを用意する
他己分析は、他己分析ツールに回答してもらう方法と、自分で作成したフォームに入力してもらうという2つの方法があります。
他己分析ツールを用意する
インターネット上にある無料の他己分析ツールを用意して回答してもらう方法です。すでに質問が用意されている他己分析ツールを利用すれば、いつでも手軽に他己分析を依頼できます。
こちらは、ジョハリの窓が手軽にできるツールです。
ジョハリの窓とは、「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報を分けて分析する手法です。「他者は自分をどう捉えているのか」という気付きを通して、自己理解を深めます。自分も含めて4人〜8人のグループを作り、実施しましょう。
▼ジョハリの窓に関する記事はこちら ・ジョハリの窓とは?診断を就活に生かせる自己分析のやり方を解説
質問リストを用意する
自分で質問リストを用意し、アンケートフォームを作成して回答してもらう方法です。既存の他己分析ツールは質問項目が決まっているため、必ずしも的確な回答を得られるとは限りません。
相手に合わせたきめ細かい質問をしたい場合には、自分で質問リストを用意した方が良いでしょう。Googleフォームを利用すれば、アンケートフォームを作成でき、独自の質問を設定できます。選択式や記述式などの回答形式も自由です。
他己分析に適した相手と質問例
他己分析の質問は、質問する相手ごとに具体的で適切な内容を考えましょう。質問内容が漠然としていると、回答も漠然としたものになってしまいます。自分について具体的に分かる回答が得られるような、具体的な質問を考えておきましょう。
ここでは、他己分析に適した質問相手と質問例を解説します。
1. OB・OG・身近な社会人に他己分析を依頼する場合の質問リスト
他己分析で質問するのに適切な相手として、まずOB・OG・身近な社会人があげられます。
これらの人たちは就活を経験し、他己分析の重要性を把握しています。他己分析について説明しなくても目的を理解し、依頼を承諾してくれる可能性が高いでしょう。質問に対しても、求める的確な回答をしてくれることが期待できます。
また、「働く」視点から自分の特徴を答えてくれるでしょう。
他己分析の質問例
OB・OG・身近な社会人に対する質問例は、次のとおりです。
・自分の外見に対してどのような印象を受けたか
・第一印象と話したときの印象に違いはあるか
・自分に向いていると思う職種や業界は何か
・自分はどのような社風の企業が合いそうか
・将来どのようなキャリアを歩んでいると想像できるか
・自分の話し方をどう感じるか
・自分の態度についてどのように感じるか
・就活に関するアドバイスをするならどのような言葉を伝えるか
2. 同じコミュニティの仲間に他己分析を依頼する場合の質問リスト
大学の同級生やアルバイト、サークルの仲間など、同じコミュニティにいる人たちも他己分析の質問相手に適しています。コミュニティの仲間は比較的一緒に過ごす時間が長く、普段の自分をよく知っているため、有益な回答が得られる可能性があるでしょう。
アルバイトで一緒に働く仲間や上司は、自分が仕事をしているときの振る舞いや姿勢を知っています。就活では「入社後にどのような貢献ができるか」を示すことが必要であり、自分の仕事に対する取り組みや姿勢を把握することは、自己理解に役立つでしょう。
同年代だけでなく、ゼミや部活動の先生など、年齢の異なる人にも質問してください。ゼミや部活動での取り組みを見ている人の、新たな視点による回答を得られます。
他己分析の質問例
大学のクラスやアルバイト、サークル、ゼミなどの仲間には、そのコミュニティの中で自分がどのような印象を持たれているかを掘り下げて質問しましょう。
・コミュニティの中で、自分が他の人と違うのはどのような部分か
・コミュニティで自分が力を発揮していることは何か
・コミュニティに自分がいて良かったと思うことは何か
・自分がもっと頑張らなければいけないことは何か
・自分が活躍していると感じるのはどんなときか
・自分は何をしているときに楽しそう・あるいは苦手そうに見えるか
・自分についてひと言で表すとすれば?
・印象に残っている自分のエピソードは?
・コミュニティの中の自分は、どのような立ち位置にいると思うか
3. 家族・長く付き合いのある友人に他己分析を依頼する場合の質問リスト
家族や付き合いの長い友人は、自分について最も理解のある質問相手です。自分のことを親身になって考えてくれる人たちであり、他己分析でも真剣に対応してくれるでしょう。
親や兄弟などの家族は昔から身近にいる存在であり、幼少期から現在までの一貫した特徴や、過去と比べて変化した部分を知っています。家族でしか分からない自分の特徴を知れるでしょう。
長い付き合いの友人、もしくは恋人は、素の自分を知っています。家族のように自分について知っているだけでなく、家を離れた自分も見ている存在です。家族が知らない自分を知っている人たちから得られる回答も、大いに参考になるでしょう。
他己分析の質問例
家族や長い付き合いの友人・恋人には、他では聞けない踏み込んだ内容の質問をしてみましょう
(家族への質問リスト)
・幼少期に夢中になっていたことは何か
・普段何気なく習慣にしていることは何か
・自分が人生で一番変化したときはいつで、どのような内容だったか
・学校の先生からはどんな生徒だと言われていたか
・自分の機嫌が悪いのはどんなときか
・自分の教育で心がけていたことは何か
(長い付き合いの友人・恋人への質問リスト)
・自分がここ数年で変化したのはどのようなときか
・自分との付き合いで、最も印象的だったエピソードは何か
・自分について、第三者にはどう説明するか
・自分と長く付き合っている理由は何か
・自分が改善したほうがいいと思うことは何か
他己分析の結果の活用方法
他己分析は、自分についての他者の印象を確認して終わりではありません。結果を有意義なものにするためには、上手な活用が必要です。
他己分析の活用方法は、「自己分析で活用する」「エントリーシート(ES)や面接で活用する」の2点です。
ここでは、それぞれの活用方法について解説します。
自己分析での活用方法
他己分析の活用方法の1つ目は、自己分析の結果と照らし合わせ、共通点と違う点を見つけることです。
また、それまで自分が志望していた業界や業種が本当に自分に向いているのかを確認する機会になります。
自己分析との違い・共通点を見つける
他己分析の結果を自己分析と比較し、違いと共通点を見つけます。
違っている部分は、自分自身で気付かなかった客観的視点によるもので、それが強みであれば自分の新たな可能性となります。職種・業界選びの範囲が広がるでしょう。
反対に、弱みや短所など、自分の知らないネガティブな部分が出てくるかもしれません。それが自分では納得できないものであっても、まずは受け入れてみましょう。改善策を考えることが成長につながります。面接で弱みを聞かれた場合に、どのように克服しようとしているかも伝えられれば、十分な自己アピールになるでしょう。
一方、自己分析と他己分析で共通している特徴は、自他ともに認める自分の要素であり、自信を持ってアピールできます。
志望する業界・職種が自身に向いているかを再検討する
他己分析の結果は、現在志望している業界・職種の再検討に活用できます。まだ業界・職種を決めていない段階であれば、自分に向いている業界・職種の確認ができるでしょう。
他己分析の結果、自分では気付かなかった特徴について、どのような業界・職種が向いているのかを考えてみてください。
新たに発見した自分の持つ特徴と、業界・職種で必要とされる特性やスキルを照らし合わせ、自分に合う仕事・企業を見つけましょう。
エントリーシートや面接での活用方法
他己分析の結果は、ESの志望動機や自己PRの作成、面接で活用できます。
他己分析でいろいろな角度から見た自分を知っておくことで、「周りからどのような人と言われることが多いか」といった質問にもスムーズに答えられます。
学生時代に頑張ったエピソードや自己PRに説得力を持たせる
他己分析では、「あのときの働きは助かった」「みんなが大変だったときに励ましてくれた」など、具体的なエピソードに沿った回答を得られることもあります。エピソードにひもづけられた自分の強みは、自己PRや志望動機に説得力を持たせるために役立つでしょう。
また、他己分析の結果を面接に生かすためには、他己分析から得られた自分の強みをそのままアピールするのではなく、強みを入社後の仕事にどう生かすかという視点が必要です。
例えば、他己分析の結果、自分には協調性がありチームをまとめる能力があることが分かった場合、面接での回答に生かせます。自分の強みについて聞かれた際の回答例をみてみましょう。
「自分の強みは、協調性とチームをまとめる能力です。これらの強みを生かし、御社のプロジェクトでもメンバーをまとめ、目的達成に貢献したいと考えています」入社後の貢献・活躍につなげることで、入社意欲をアピールできます。
▼自己PRに関する記事はこちら ・【自己PRの書き方&例文】新卒就活で履歴書/ESに書く強みと例文集
他己分析を人に頼まれたら?
就活では、友人から他己分析を依頼されることがあるかもしれません。自分が人に依頼して助けられるのと同様に、相手の依頼を快く引き受けてあげると喜ばれるでしょう。
他己分析に協力するときは、次のポイントを意識します。
- 具体的なエピソードを交えながら友人の強み・弱みを回答する
- 弱みを指摘するときも、前向きに捉えられるよう言葉の選択に注意する
- 相手の認識が自分の認識と異なっていても否定しない
相手の他己分析も、自分が自己分析を行うときのように、真剣に取り組みましょう。
また、他己分析を依頼されるのは、自分の他己分析をお願いするチャンスでもあります。相互に行うことでお互いに遠慮のない指摘をしやすくなり、より他己分析の効果が高まります。
この記事のまとめ
就活で自己分析を進める際に、客観性に不安を感じる方もいるかもしれません。ぜひ自己分析の後に、他己分析も行うことがおすすめです。他己分析を行うことで、他者の視点を取り入れ自己理解を深められます。
本記事では、自己分析との違いやメリット、他己分析を始める時期、やり方について詳しくご紹介しました。
他己分析を行うことで、他者の視点からも自分の長所や短所、アピール方法が明確になり、自己理解や自己PRに役立つでしょう。
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