エニアグラムは人の性格を9つのタイプに分け、自分の性格や特徴を診断するツールです。就活の自己分析に役立ち、適職を知るための判断材料になります。
本記事では、エニアグラム診断と全9タイプの特徴・おすすめ職業を解説します。MBTIとの違いも説明するため、参考にしてみてください。
<目次> ●エニアグラムについて ・エニアグラムとは ・エニアグラム診断で分かること ●エニアグラム診断を行うメリット ・自分に向いていること・向いていないことが分かる ・自身が行動を起こすきっかけ(動機)が分かる ・自分の価値を発見・再認識できる ・人と円滑なコミュニケーションを取れるようになる ・就活における自己分析に役立つ・適職が分かる ●エニアグラムの9つのタイプ解説・適職やおすすめ職業 ・タイプ1:改革する人 ・タイプ2:助ける人 ・タイプ3:達成する人 ・タイプ4:個性的な人 ・タイプ5:調べる人 ・タイプ6:忠実な人 ・タイプ7:熱中する人 ・タイプ8:挑戦する人 ・タイプ9:平和をもたらす人 ●エニアグラムとMBTI ・エニアグラムとMBTIの違い ・エニアグラムとMBTIの相関性 ●エニアグラム診断ツール2選 ・日本エニアグラム学会 ・エニアグラム研究所 ●エニアグラム診断の注意点 ・質問数が多いものを選ぶ ・自分の可能性を狭めない ・他のツールも試してみる
エニアグラムについて
エニアグラムとは、人間の人格特性を9つのタイプに分類する理論のことです。エニアグラム診断では自分がどのタイプに属するかを知れて、就活の自己分析に役立ちます。
ここでは、エニアグラムの概要や診断で分かることを解説します。
エニアグラムとは
エニアグラムとは、9つの点を持つ円周と、それをつなぐ線からできた幾何学図形のことです。エニアグラムはギリシャ語で、「9」を意味する「エンネア」と「書かれたもの」を意味する「グラーマ」が語源とされています。
エニアグラムの幾何学図形をシンボルとして、性格判断に応用したものがエニアグラム診断です。幾何学図形の9つの点はそれぞれ人間の性格に分類され、自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで性格や特徴が分かり、自己分析や適職診断ができます。
エニアグラム診断で分かること
エニアグラム診断を受けることで、自分が9つのタイプのどれに当てはまるかが分かります。タイプごとの性格や思考・価値観が分かり、それに基づいた適職を知ることも可能です。
また、エニアグラム診断により、意思決定や行動を起こすときの直接の要因となる動機や、肯定的に自分のことを捉えられる「自己価値」も分かります。
エニアグラム診断で分かる9つの性格タイプには優劣がありません。それぞれのタイプに強みや弱みがあり、それらを分析することで自己理解が深まります。
エニアグラム診断を行うメリット
エニアグラム診断では、自分に向いていること・向いていないことが分かり、企業選びの軸ができるというメリットがあります。
自分の価値観を発見したり、コミュニケーションを円滑にしたりできるのも利点です。
ここでは、エニアグラム診断を行うメリットを詳しくみていきましょう。
自分に向いていること・向いていないことが分かる
エニアグラム診断により「自分に向いていること・向いていないこと」が分かり、どのような仕事が向いているのかの判断ができます。
エニアグラム診断をすれば、9つのタイプ別に強みと課題が診断され、自分の性格や考え・価値観を客観的に把握できるためです。
それにより自己理解が深まり、業界・業種、企業選びに役立ちます。また、自分に向いていることが分かれば何を伸ばすべきかを把握でき、今後の成長にもつなげられるでしょう。
自身が行動を起こすきっかけ(動機)が分かる
エニアグラム診断を通して自分の性格タイプを知ることで、自分が行動を起こすきっかけ(動機)が分かり、モチベーションを高めたいときに役立ちます。
エニアグラムでは、人が行動を起こす直接的な要因を「動機」とし、9つの性格タイプごとに異なる動機の内容を示しています。
行動を起こす動機が分かれば、やる気を出したいときの対処法を考えることもできるでしょう。
自分の価値を発見・再認識できる
エニアグラム診断で自分の性格タイプを知れば、そこから新たな自分の価値を発見・再認識できます。
自分の価値が分からなかったり評価が低かったりすると、自信をなくして何事にも消極的になり、仕事もうまく進められないでしょう。
エニアグラム診断で自分の価値を知ることで自信が高まり、さまざまなことに積極的に取り組めるようになるのがメリットです。
人と円滑なコミュニケーションを取れるようになる
エニアグラム診断で自分の性格を把握すると、人と円滑なコミュニケーションを取れるようになります。
診断によって自分が人をどのように認識し、どのようにしてコミュニケーションを取る傾向があるかが分かるためです。
どのようなタイプの人と相性が良いか、苦手な人はどのようなタイプで、どう対応すべきかなども分かり、より良い人間関係を築くための方法を確認できます。
就活における自己分析に役立つ・適職が分かる
エニアグラム診断は就活における自己分析ツールとしての役割を果たし、自分の適職が分かります。
診断を通して自身の強みや弱み、価値観などを把握でき、新たな発見を得られるでしょう。
自己分析を深めることで、自己PRや志望動機の質を高め、より説得力のあるものにできます。
自身の強みや弱み、価値観が分かれば、自分が向いている仕事を知り、数ある業界・職種の中から自分に合ったものを絞って企業選びを進められる点もメリットです。
エニアグラムの9つのタイプ解説・適職やおすすめ職業
エニアグラムの9つの性格タイプをみていきましょう。ここでは、各タイプの性格の特徴と、次の項目をご紹介します。
- 行動を起こす直接的な要因(動機)
- 自己価値
- ストレス時の特徴
- 強み・弱み
- それぞれの適職やおすすめの職業
行動を起こす直接的な要因(動機)では、自分がやる気を出せるのはどのような意識のときかが分かります。
自己価値とは、肯定的に自分のことを捉えている感覚のことです。
ストレス時の特徴では、ストレスを感じたときに、「本能・感情・思考」のうち、どのエネルギーを一番使うかが分かります。
9つのタイプについて、詳しく解説します。
タイプ1:改革する人
タイプ1の性格は「改革する人」です。
タイプ1の特徴
タイプ1は完璧主義で理想が高く、自分の理想に向かって努力を惜しまない性格です。常に、より良い方法を模索しながら行動します。責任感・正義感が強く、計画を立てて几帳面(きちょうめん)に物事を進めることが得意です。
タイプ1の動機
行動を起こす動機となるのは、「自分なりの基準にのっとり、間違いのないことをしたい」という気持ちです。
タイプ1の自己価値
タイプ1は、理性的・客観的で正しいという点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
タイプ1は本能エネルギーを頼りにしているタイプで、ストレスがかかったときはまず動こうとする傾向にあります。
タイプ1の強み
- 完璧主義
- 責任感がある
- 努力家
- 正義感が強い
- リーダーシップがある
タイプ1の弱み
- 他者にも完璧を求めてしまう
- 自分のしたことについて後悔することが多い
- 現状に不満を持ちやすい
タイプ1の適職・おすすめ職業
タイプ1の人は目的意識を持ち、目標に対して努力する真面目さがあるため、規則やマニュアルに沿い、専門分野を極める職業が向いています。
業種 | 職業 |
教育 | 教師・講師・カウンセラー |
公共サービス | 公務員・整備士・警察官 |
医療・福祉 | 看護師・医師 |
インターネット・通信 | システムエンジニア・ウェブデザイナー |
タイプ2:助ける人
タイプ2の性格は「助ける人」です。
タイプ2の特徴
タイプ2は、他者への思いやりがあり、献身的に行動する性格です。身近に困ったり悩んだりしている人がいると、手を差し伸べずにはいられず、人を助けることに喜びを感じます。寛大で社交的であり、周囲の人との関係性を重視するのが特徴です。
タイプ2の動機
タイプ2が行動を起こす動機となるのは、「人の役に立つことで、愛を得たい」という気持ちです。
タイプ2の自己価値
タイプ2は、人の面倒を見る愛情深い人間であるという点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
感情のエネルギーを頼りにするタイプで、ストレスを感じたときは自分の気持ちを優先しようとする傾向があります。
タイプ2の強み
- 社交的
- 人に対して寛容
- 誠実
- 思いやりがある
- 謙虚
タイプ2の弱み
- 独占欲が強い
- 八方美人
- 感傷的になりやすい
タイプ2の適職・おすすめ職業
タイプ2の人は他者と協力することが得意であり、信頼関係を築くことが必要な仕事に向いています。また、人の役に立つことを実感できる仕事にやりがいを感じることが多いでしょう。
業種 | 職業 |
教育 | 教師・講師・カウンセラー |
医療・福祉 |
看護師・医師 |
コンサルティング |
コンサルタント |
人材サービス | キャリアアドバイザー |
タイプ3:達成する人
タイプ3の性格は「達成する人」です。
p>タイプ3の特徴
タイプ3は、成功したり達成感を得たりすることを重視する性格です。目標や目的を設定し、それを達成するために適した手段・方法を考えることを得意とします。高い理想を持って結果にこだわり、高いリーダーシップを発揮するタイプです。
タイプ3の動機
タイプ3が行動を起こす動機となるのは、「成果を出して、称賛を得たい」という気持ちです。
タイプ3の自己価値
タイプ3は、際立っていて称賛に値するという点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
ストレスを感じたときは感情のエネルギーを頼りにして、自分の気持ちを優先しようとする傾向があります。
タイプ3の強み
- 頭の回転が速く行動的
- 楽観的
- 行動力がある
- 自立心が強い
- リーダーシップがある
タイプ3の弱み
- 見えをはりやすい
- 失敗を過度に嫌う
- 自分より優秀な人が苦手
タイプ3の適職・おすすめ職業
タイプ3の人は人から評価されることにモチベーションを感じるため、成果が目に見えやすく、評価に結びつく仕事が向いています。
業種 | 職業 |
商社 | 営業職 |
広告 | マーケター |
コンサルティング | コンサルタント |
士業 | 弁護士・税理士など |
タイプ4:個性的な人
タイプ4の性格は「個性的な人」です。
タイプ4の特徴
タイプ4は独創的な考えを持ち、感覚的な部分を大切にする性格です。豊かな創造力があり、理論より情緒を重んじる傾向があります。芸術家気質で、人とは異なる考えや価値観、能力があり、常に個性的な自分を表現しようとするのが特徴です。
タイプ4の動機
行動を起こす動機となるのは、「自分らしさを表現し、感動を味わいたい」という気持ちです。
タイプ4の自己価値
タイプ4は、独創的で感受性が強いという点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
感情のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスを感じたときは、自分の気持ちを優先しようとする傾向があります。
タイプ4の強み
- 創造的でユニーク
- 独自性がある
- 好奇心旺盛
- 洞察力が鋭い
- 忍耐強い
- 感受性が豊か
タイプ4の弱み
- 自分は特別だと思い、対等な関係を嫌う
- 好き嫌いがはっきりしている
- 感情の振れ幅が大きい
タイプ4の適職・おすすめ職業
タイプ4の人は独創的・芸術的なセンスがあるため、クリエイティブな仕事に向いています。また、感受性が高いため、人の気持ちに寄り添う仕事も適職といえるでしょう。
業種 | 職業 |
専門職 | デザイナー |
芸能 | 芸能人・ミュージシャン |
フリーランス | 作家・ライター |
経営者 | 起業家 |
タイプ5:調べる人
タイプ5の性格は「調べる人」です。
タイプ5の特徴
タイプ5は、何か物事を行う前にしっかり準備を行い、慎重に行動する性格です。衝動的に行動することはほとんどなく、論理的に道筋を立ててから動きます。情報収集や分析に手間や時間を惜しまず、豊富な知識を持つという特徴があります。
タイプ5の動機
タイプ5が行動を起こす動機となるのは、「物事の情報を分析し、本質を見極めたい」という感覚です。
タイプ5の自己価値
タイプ5は、理解力があり知的であるという点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
思考のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスを感じたときは、まず考えることを優先しようとする傾向があります。
タイプ5の強み
- 分析が得意
- 客観的な視点を持つ
- 知識欲が高い
- 集中力がある
- 冷静沈着
タイプ5の弱み
- 良くも悪くもマイペース
- 消去法で悪いものを省く
- 価値観が合わないものはすぐに手放す
タイプ5の適職・おすすめ職業
タイプ5は学者・研究者気質で好奇心旺盛な人が多く、研究職や1人で黙々と仕事をこなすエンジニアなどの仕事が向いています。
業種 | 職業 |
研究職 | 大学・公的機関・民間企業の研究職 |
ソフトウエア・通信 | プログラマー・エンジニア |
メーカー | 開発職(商品開発・技術開発) |
コンサルティング | コンサルタント |
タイプ6:忠実な人
タイプ6の性格は「忠実な人」です。
タイプ6の特徴
タイプ6は、真面目で周囲との協調を大切にする性格です。現実主義で安定志向があり、周りとの関係を重視します。責任感が強く組織の中での役割やルールを大切にし、一人で行動するよりも仲間やチームとの行動を好むという特徴があります。
タイプ6の動機
タイプ6が行動を起こす動機となるのは、「責任を果たし、仲間として認められたい」という気持ちです。
タイプ6の自己価値
タイプ6は、信頼され、責任感がある点に自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
思考のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスを感じたときは、まず考えることを優先する傾向があります。
タイプ6の強み
- 誠実
- 真面目
- 協調性がある
- 温厚で愛情深い
- 洞察力がある
タイプ6の弱み
- 考えすぎる
- 自分で結論を出したくない
- 優柔不断
タイプ6の適職・おすすめ職業
タイプ6の人は真面目で堅実なため、正義感を持てる仕事に向いています。職人気質(かたぎ)なところもあり、専門職も適職です。
業種 | 職業 |
専門職 | 美容師・調理師・大工など |
サービス | 営業・銀行員・コンサルタント |
公共サービス | 公務員 |
ソフトウエア | プログラマー・エンジニア |
タイプ7:熱中する人
タイプ7の性格は「熱中する人」です。
タイプ7の特徴
タイプ7は、人生を明るく過ごし、多様性を求める性格です。細かいことや失敗にはあまりこだわらず、楽しいことを志向します。友人との交流を好み、豊富な話題で場を盛り上げるのが得意です。退屈を嫌い、新しい経験を求めるという特徴があります。
タイプ7の動機
タイプ7が行動を起こす動機となるのは、「いろいろな可能性に挑戦し、人生を楽しむ」という気持ちです。
タイプ7の自己価値
タイプ7は、のびのびと振る舞い、幸せであることに自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
ストレスを感じたとき、思考のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスが強いと、まず考えることを優先する傾向があります。
タイプ7の強み
- 楽観的
- チャレンジ精神がある
- 計画性がある
- 明るい
- 柔軟性がある
タイプ7の弱み
- あまり内省をしない
- 確実にやり切ることが苦手
- 苦しいことを避けようとする
タイプ7の適職・おすすめ職業
タイプ7の人は、場を楽しく盛り上げるのが好きなため、人前で話す仕事に向いています。また、飽きっぽいところがあり、変化のある仕事が適しているでしょう。
業種 | 職業 |
商社 | 営業職 |
マスコミ | タレント・司会者 |
ソフトウエア・通信 | プログラマー・システムエンジニア |
教育 | 教師・塾講師・運動コーチ |
タイプ8:挑戦する人
タイプ8の性格は「挑戦する人」です。
タイプ8の特徴
タイプ8は、マイペースで自分の強さに自信がある性格です。活力やエネルギーに満ち、困難なことに挑戦することに喜びを感じます。難しい問題に直面したときは自分の能力を最大限に発揮し、壁を乗り越えていきます。周囲にいる人にも大きな影響を与えているでしょう。
タイプ8の動機
タイプ8が行動を起こす動機となるのは、「自分の影響力を行使し、存在を感じる」という気持ちです。
タイプ8の自己価値
タイプ8は、自分に力があり、有能であることに自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
ストレスを感じたとき、本能のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスが強いと、動くことを優先する傾向があります。
タイプ8の強み
- リーダーシップがある
- 正義感がある
- 勇気がある
- 直観力がある
- 独立心旺盛
タイプ8の弱み
- 敵を作ることが多い
- 人に共感することが苦手
- 人付き合いがあまりうまくない
タイプ8の適職・おすすめ職業
タイプ8の人はマイペースでチャレンジ精神があるため、リーダーシップを求められる仕事や意思決定・素早い行動が求められる仕事、人を教え導く仕事に向いています。
業種 | 職業 |
教育 | 大学教授・教師・塾講師 |
法曹界 | 弁護士・司法書士・行政書士 |
医療・福祉 | 医師・看護師・社会福祉士 |
経営者 | 起業家 |
タイプ9:平和をもたらす人
タイプ9の性格は「平和をもたらす人」です。
タイプ9の特徴
タイプ9は、落ち着きがあり、情緒が安定した性格です。人と争うことを嫌い、穏やかで平和な生活を願います。平和で円満に暮らすことを好み、自分から何かを起こすよりも、起こることに沿って行動することが得意です。
タイプ9の動機
タイプ9が行動を起こす動機となるのは、「他者と融和し、平和な気持ちでいたい」という気持ちです。
タイプ9の自己価値
タイプ9は、穏やかで安定していることに自己価値をみいだします。
ストレス時の特徴
ストレスを感じたとき、本能のエネルギーを頼りにするタイプです。ストレスが強いと、まず行動することを優先する傾向があります。
タイプ9の強み
- 協調性がある
- 感情的にならず冷静
- 人と比較しない
- 創造力が高い
タイプ9の弱み
- 自分の気持ちを乱されたくない
- 自己主張をせず、周りに合わせてしまう
- 自分の個性を表現するのが苦手
タイプ9の適職・おすすめ職業
穏やかな生活を望むタイプ9の人は、チームプレーや協調性が求められる仕事に向いています。自分のペースで作業が進められる仕事も適職です。
業種 | 職業 |
医療・福祉 | 医師・看護師・ソーシャルワーカー |
公共サービス | 公務員・警察官・消防士 |
第一次産業 | 農業・林業 |
ソフトウエア・通信 | プログラマー・システムエンジニア |
エニアグラムとMBTI
エニアグラム以外で性格診断できるツールに、MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)があります。MBTIは、人の性格を16のタイプに分類して分析する方法です。
ここでは、エニアグラムとMBTIの違いや、相関性を解説します。
エニアグラムとMBTIの違い
MBTIとは、回答をもとに、16タイプの性格に当てはめて診断する性格テストです。エニアグラムとMBTIは、診断でフォーカスする指標が異なります。
MBTIは「外向・内向」「直観・感覚」「思考・感情」など対立する性格指標を16通りに分類するのに対し、エニアグラムは個人の深層心理や動機にフォーカスする手法です。
MBTIは個人の行動パターンや思考の流れを探る診断であり、エニアグラムは心の動きを探り、自己分析する診断であるという違いがあります。
エニアグラムとMBTIの相関性
エニアグラムとMBTIは診断の焦点が異なりますが、一定の相関性がみられます。エニアグラムの9タイプとMBTIの16タイプの中で、類似しているタイプが複数みられるためです。
例えば、MBTIのINTP(研究者タイプ)の多くがエニアグラムのタイプ5(調べる人)に当てはまるという統計があります。
アプローチの異なる2つの診断を行うことで多角的な判断ができ、より自己理解を深められるでしょう。
エニアグラム診断ツール2選
エニアグラム診断ツールの種類は数多く、ネット上でもさまざまな無料ツールが提供されています。
精度の高い有料版もありますが、「まずはエニアグラムを気軽にやってみたい」という方は、無料版から試してみるとよいでしょう。
ここでは、無料で試せるおすすめの診断ツールをご紹介します。
日本エニアグラム学会
日本エニアグラム学会では、次の4つの診断を無料で提供しています。
90問回答式チェックは、各タイプの特徴的な文章を10問ずつ、計90問掲げられている診断です。自分に当てはまると思う項目をチェックした後「診断する」をクリックすると、チェック数が集計されて自分のタイプが推定できます。
3つの文章から自分にもっとも近い文章を選ぶ「文章三択式」や、設問に「はい」か「いいえ」で答える「Yes/Noチャート式チェック」は、より簡単で手軽に自分のタイプが分かる診断です。
エニアグラム研究所
エニアグラム研究所では、有料版の「リソ=ハドソン式性格タイプ診断テスト(RHETI)」と、その1/4の項目からなる無料のサンプル版を提供しています。
無料版は36項目からなり、二者択一式です。各設問で、2つの文章の中から自分にもっとも近いと思う文章を選びます。
人生の多くで自分に当てはまると思えるものを選びましょう。設問に対して考えすぎず、直感のままに答えることがポイントです。
2つの文章のどちらも近いと思える設問もあります。これは、似たような行動・態度を取るタイプのどちらに当てはまるか、微妙な違いを見極めるためです。
すべて回答するには、10分程度かかります。 回答後に「診断する」ボタンを押すと、性格タイプの上位3つがグラフと一緒に表示されます。
エニアグラム診断の注意点
エニアグラム診断を行う際は、質問数が多いツールを選ぶなど、いくつか注意したい点があります。
ここでは、エニアグラム診断の注意点を3つ解説します。
質問数が多いものを選ぶ
エニアグラム診断の精度を高めるためには、質問数が多いものを選ぶことが大切です。質問数が少ないと、正確な診断結果が出ない可能性があります。
無料版のツールは短い質問で結果が出るタイプもあり、気軽に試せますが、それだけで自己分析をするのは難しいでしょう。
より正確な結果を得たい場合は、90問以上の質問数があるものをおすすめします。
自分の可能性を狭めない
エニアグラム診断は就活の自己分析に役立ちますが、それだけで判断することはおすすめできません。他の診断ツールと同じく、診断結果は確実というわけではないためです。
診断結果がすべてだと決めつけて、自分の可能性を狭めないようにしてください。
エニアグラム診断では適職やおすすめの職業も提示していますが、あくまでも参考にとどめましょう。企業研究やインターン参加などで、自分に合う仕事かをしっかり確認することが大切です。
他のツールも試してみる
自分の可能性を狭めないためには、MBTIといった他のツールを併用することも必要です。人間の性格や特徴は複雑で、さまざまな要素で構成されています。その時々の状態や環境、周囲との関係性などでも変わっていくでしょう。1つのツールですべてが分かるわけではありません。
エニアグラム診断とは異なる視点からの診断を併せて行うことで、さまざまな角度から自己分析ができます。
(Photo:AIsR , rikkyall , Rose-Mary/Shutterstock.com)