こんにちは、つっきーと申します。IT業界に勤めて6年目、今はマーケティング職の28歳会社員で、副業でコラムを書いたりして暮らしています。
コロナに生活が翻弄(ほんろう)されるようになってからもうすぐ2年、みなさまいかがお過ごしでしょうか。最近、ようやく規制が緩和されてきたけど、オミクロンの影が見え始めてまだまだ予断を許さないこの感じ……パーッと海外旅行行きてえ〜。
連載:アラサー会社員どっこい地方移住日記
「東京で会社員を続けてひとりで老人ホームに入る」以外考えていなかったアラサー会社員が、コロナを機に長野に移住! これからの働き方、地方での生活、お金のことなどなど「リアルな地方移住レポ」を現場からお伝えします!
かく言う私はこの2年間、正直結構限界でした。今の会社に転職してすぐのタイミングで全社的にリモートワークになったので、東京のワンルームの部屋で寝起きし、働き、遊びにも行けないので休みの日もずっと家。最初の頃こそお菓子を手作りしたり、部屋の模様替えをしたりして楽しんでいたものの、いくらインドア派とはいえずっと同じ壁を見て暮らすには限界がありました。
リモートワークができる職種で、仕事がなくなる心配もないという点でこのご時世では恵まれているのだと言い聞かせつつも、しんどいものはしんどい。家族がいれば少しは違ったのかもしれないけれど、独身一人暮らしリモート生活は一年たつ前に挫折しました。圧倒的に寂しい。
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もともと私は一人でなんでもできるたちで、一人旅、一人焼肉、一人寿司、一人飲み、バラエティ番組なんかで「一人でやりにくい」と言われていることは大体やっていたし、むしろ好きです。自分は一人で生きていくのかな〜と25歳くらいからなんとなく思っていたし、そのための備えもやる気も満々でした。
しかし、リモート生活で「圧倒的一人」を味わって気がつきました。
「私、一人は無理!」
今まで一人でいろんなことを楽しめていたのは、職場でたくさんの人と会っている日常の「息抜きとしての一人時間」であったり、バーや観光地など「他人がたくさんいる中での一人」であったりしたわけで、誰にも会わない完全な孤独ではなかったのです。私って一人でも大丈夫だと思っていたけど違ったんだなあ、人間に会いたい……と猛烈に思いました。
人間に会いたくなって頼った場所は、長野の実家です。「なんだよ実家かよ!」と思われるかもしれませんが、すみません実家です。家族に会いたくなったのです。人になるべく会わないよう自主隔離期間を設けて長野に移住しました。クソ寒い2020年の年末のことでした。
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会社は実家でのリモートを許可してくれていたので制度上は問題なかったのですが、正直不便なことは多かれ少なかれあると覚悟していました。すぐ東京に帰りたくなるだろうと思っていたし、そうなった時のために荷物も半分友達の家に置かせてもらって(友達本当にありがとう)、わりと身軽に長野に移り住んだ形です。
しかし、拍子抜けするほど移住のデメリットはありませんでした。むしろ、感染者数が少なく、密にもなりにくい土地で(散歩しても猫と牛にしか会わない日もあった。むしろ疎)感染リスクが減った上に、家族とのコミュニケーションも取れて、近くに自然や温泉などリフレッシュできる場所が多いなどなど……。リモートワークをする環境が、健康的かつ最適にアップデートされた感覚でした。
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よく考えたら、なんとなく懸念していた「不便なこと」は全て解決可能なことでした。
「欲しいものが買えなくなるかも」→「ネットでなんでも買える」
「エンタメの現場に行きにくくなる」→「そもそも都心は公演中止も多いし感染リスクを考えると自分はどちらにせよ行かない選択をする」
「仕事で困るかも」→「会社・業界全体でリモートが進んだので問題なし」
「最新のスポットに行けなくなるかも」→「そもそも東京にいた時から新しい場所にそんなに足を運んでいなかった……」
漠然と頭に浮かべていた「困るかも?」はテクノロジーとご時世柄と、「自分にはそもそも必要なかった」という気づきでクリアになりました。リモートワークで精神的に追い詰められていたはずが、「リモートワークを最大限活用して生活を改善する」という状況になっていました。人生は何がどう転ぶかわからないですね。
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もともと、なぜ東京で働こうと思ったのかといえば、「そこにしかない仕事だから」ということと、「たくさんの人と出会うなかで経験を積めるから」でした。しかし、リモートワークで「そこにしかない仕事」は「PCがあればどこでもできる仕事」に変わり、「人と出会う経験」も、激減あるいは「PC越しで遠くにいても人と出会える」状況に変わったよう思います。
そんな2021年時点では、長野のように東京からそう遠くない地方都市で自然や開けた土地のなかで生活し、リモートワークで仕事を続けることが自分にとってのベストアンサーだと思っています。PCを閉じて外に出れば田んぼや山があって、深呼吸しながら散歩できる環境は最高です。
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コロナが落ち着けばまた出社が基本の生活に戻るのでは? とも思っていましたが、私の会社も含め業界内の複数社が、社員の居住地の範囲を国内で広げていく方向にシフトしはじめました。本社からの移動時間や距離などの規定はあるものの、ここから本格的に、仕事と関係なく生活の場所を選べる時代に変わっていくのかも、と感じています。
会社の方向性が変わったことに合わせ、東京に残していた荷物も長野へ運んで完全に引っ越しました。私の荷物を部屋の一角に保存してくれていた友よ、ありがとう。長野は日帰り温泉施設が日本トップクラスで多いので、毎週末いろんな温泉に浸かっています。山や温泉に行くために車の運転もはじめて、ドライブという新しい楽しみも見つけました(インドア派だったのに!)。
自分の中では人生の「東京編」が終わって、「長野編」になった感覚です。これからまだまだ社会が大きく変化していくなかで、やっぱり東京に戻りたいと思うタイミングが来るかもしれないし、全く別の土地に住んでみたくなるかもしれません(京都はいつか住んでみたい)。どうなるにせよ、仕事と生活の場をある程度分けて考えられるようになったのは、人生の選択を広げてくれたと思っています。
東京以外の場所で仕事をするようになるなんて、コロナ前には考えてもみませんでした。就活生だったころの自分に今の働き方を見せたらびっくりすると思います。ひょっとしたら長野が気に入ってこっちで職を探すなんて展開もあるかも? いずれにせよ「東京で会社員を続けてひとりで老人ホーム入ったる」以外考えていなかった人生にいろんな選択肢が現れて、肩の荷が降りたというか、がぜん楽しくなってきました。
私のようにフルリモートで地方移住OKという会社はIT業界を中心に少しずつ増えています。アフターコロナの仕事・住処どうしよう? と考えている方がいれば、ぜひ選択肢に入れてみてください。東京でしかできないことって、思っているほどもう多くないのかもしれません。
次の記事では、「言うて実家がある土地に移り住んだだけやろ!長めの帰省かよ!」というツッコミにお答えして、「(実家がなかったとしても)長野が地方移住・リモートに最高の土地説」についてお伝えできればと思います。乞うご期待!
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