こんにちは。ワンキャリア執行役員の長谷川です。
新型コロナウイルス流行が続く不安定な情勢の中、21卒の就活は本格化、22卒のインターン参加に向けた活動も本格化してきました。
そんな不安な情勢がなかったとしても、悩みが多いのが就活です。私が夏インターンに向けて就活を始めた当時も、「成長ができる環境」として外資系の企業に注目する学生は少なくありませんでした。
よし、受けよう。そう思った私ですが、こんな不安がよぎりました。
「英語が苦手。それでも、外資って受かるんだっけ?」
今回インタビューをするのは、マッキンゼー出身、英語コーチングサービスを提供する「プログリット」代表の岡田さん。
プロサッカー選手として有名な本田圭佑氏など海外で挑戦するアスリートを始め、上場企業からスタートアップまで多くの経営者、コンサルや金融、総合商社などのビジネスパーソンが英語力を高めるためにこぞって利用する英語学習サービスを立ち上げた方です。
この市況なので、オンライン取材で外資のこと、英語のこと、キャリアのこと。時間の許す限り、お話を聞いてみました。
当日はZoomで取材。岡田さんの背景はオンライン校舎
▼ 本記事のみどころ ▼
・英語の選考への向き合い方:超王道の戦略 V.S. 邪道戦略
・英語GD、残り5分。決死の一言「In Japanese,・・・」で通過した意味
・19歳の留学前も22歳のマッキンゼー1年目も、頷くフリの『Yes』しか言えなかった
・元リクルート&マッキンゼーで資金調達0円からピボット。「同期で1番英語ができないヤツ」が英語で起業したワケ
・「週1〜2回英会話スクールだけの努力」はまやかし。Whyから考え直す
・在宅留学を半額にした意味。コントロールできることへの異常な執着
「野球一筋の自分が、マッキンゼーなんて知るわけないやん」からのスタート
岡田 祥吾(おかだ しょうご):株式会社プログリット 代表取締役社長
大阪大学工学部を卒業後、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。日本企業の海外進出、海外企業の日本市場戦略立案など、数々のプロジェクトに従事。同社を退職後、株式会社プログリットを創業。英語コーチングプログラム 「PROGRIT(プログリット)」を運営している。
長谷川:同じ大学出身の友人ということで、2014年卒当時の就活の雰囲気も知っていますが、大阪から外資系戦略コンサル、ましてやマッキンゼーに行く人なんて、全く聞いたことがなかったです。そんな状況で、どうしてマッキンゼーを受けたんですか?
岡田:もともとは総合商社を目指していたんですよ、僕。高校まで野球だけやってきて大学生になったようなヤツが、マッキンゼーなんて言葉そもそも知るわけがない(笑)。恥ずかしながら、当時は雰囲気で生きていて「格好いいから、総合商社」くらいの感覚でした。このノリだと絶対、落ちてたと思いますけど。
それが19歳のときにした留学がきっかけで考え方が変わりました。留学先で出会った、共同創業者の山碕と意気投合して「入社3年で起業しよう」と決意したんです。だから、新卒で入る会社は「最短の成長ルート」を進める場所である必要がありました。
企業選びの基準っていろいろあるじゃないですか。僕自身も「人」「職種」「業界」などいろいろ見なさいと言われました。でも、それだと変数が多くて難しすぎたんですよ。だから、僕は超シンプルに「労働時間が1番長い場所を選ぼう」とだけ決めました。
そこから、結果的に東京では典型パターンだった、3年生の夏にインターンをして、外資系の投資銀行やコンサル、ITなどを片っ端から受けるような就活をしていましたね。それで、縁があったマッキンゼーに入りました。
英語の選考への向き合い方:超王道の戦略 V.S. 邪道戦略
長谷川:今回、岡田さんに聞きたいテーマの1つは「英語が苦手。でも、外資行けますか?」です。僕も就活当時は「外資って英語でしょ。英語の選考、受かるのか?」と悩みました。マッキンゼー以外でも投資銀行などは、英語の選考が多かったと思うのですが、岡田さんはどう乗り越えたんですか?
長谷川 嵩明(はせがわ たかはる):株式会社ワンキャリア 執行役員
大阪大学卒業後、新卒でGoogle Japan Inc.に入社。SMB市場へのインターネット広告営業に従事後、ワンキャリアに参画。現在はto C向けのメディア運営やマーケティング/コンテンツ制作全般の責任者として事業を推進。
岡田:留学で鍛えられたのは大きかったですね。行く前はTOEICが600点くらいでした。センター試験の英語リスニングは全く分からずランダムで回答するレベルですよ。留学を決めた時には、ずっと苦手な英語と向き合おうと心を入れ替えました。実際、留学中は、日本の友人やパートナーとも日本語で連絡しないぐらいストイックな「英語で過ごす環境」を作りました。
その結果、帰国後はTOEICが900点台まで伸び、英語選考も淡々と準備できました。Facebookのアメリカ本社の選考なら多分ダメですが、日本の投資銀行やコンサルの面接官は日本人であることも多い。ちゃんと調べて、想定質問への準備を徹底しました。英語だけでなくケース面接も同様で、よくある書籍の問題は全部解いて、自分なりの準備はしていましたね。
長谷川:「超王道の真っ当な戦略」ですね。僕自身も大学に入ったころはTOEIC725点、留学未経験、典型的な受験英語だけかじっただけ……と岡田さんと似た状況だったのですが、就活では完全に「外道の戦略」でした。
ある企業の英語面接は、ラッキーなことに電話だったんですよ、しかも初めての英語面接で。前日までに60問ぐらい想定質問を準備して、回答内容を帰国子女の友だちに添削してもらって。そのカンペを握りしめて電話してたのに、61問目のような質問が来て「Well...」しか言えない。明らかに喋れない自分がいましたね。とにかく、英語での選考は全然ダメでした。
岡田:あと、昔聞いた「あのグループディスカッション」の話。あれは笑いました。
英語GD、残り5分。決死の一言「In Japanese...」で通過した理由とは?
長谷川:ああ、英語でやったグループディスカッションの話ですよね(笑)。ある外資系企業の英語GDの選考に、関西から意気揚々と行ったわけですよ。6人で20分、僕以外がみんな英語ペラペラ。みんなガンガンしゃべるから、僕なんかが英語で話す隙がなかったんですよ、本当に。
何も話せないまま終わるのは本当にまずいと思ったんでしょうね。残り5分、決死の一言が、「In Japanese...」と前置きして日本語でしゃべってた自分がいて。ひどい話ですよ。
岡田:でもその話は続きがあって、それでも通過したじゃないですか。その裏に、今日のテーマの真理が隠れていると思います。「英語苦手でも、外資行けますか?」は、そもそも課題設定がミスってるんですよ。
大阪出身の方らしい鋭い一言。
長谷川:どういうことですか?
岡田:この話って「英語という難題に向き合う人の姿勢で、その人の課題解決の姿勢が分かる」ということだと思うんですよ。英語ができる、できないじゃなくて、学習のWhyとHowをしっかり設定すれば解決可能な課題だからこそ、その裏の「問題解決への対峙の仕方」を見られている、ということが本質である気がします。
「英語というツールをどう獲得するか?」は、まさにわれわれの会社がやっていることで、あくまで手段の獲得に過ぎない。選考なので、英語力も比較されると考えれば、英語はできた方がいいに決まっていますが、力を持たない中での「In Japanese」は、ある意味、捨て身の戦略だったということですよね。
19歳の留学前も22歳のマッキンゼー1年目も、頷くフリの「Yes」しか言えなかった
長谷川:でも、捨て身の戦略ゆえ、入社後も英語は本当に苦労したままでした。部署の人たちを前に英語の質疑でどもったり。岡田さんも入社後も苦労されたと聞いてますが、どんな感じでしたか?
岡田:留学して英語選考も大丈夫だったので、結構自信はありました。でも、本当に何も分からなかった。
英語の質疑は、事前に全て暗記して挑むも、他の人が英語で何を言ってるか分からないし、突然のフリに応えられず。発言が求められるマッキンゼーにおいて、唯一言えるのは「相手の言葉に頷く仕草の『Yes』」のみ。いわゆる「ノーバリュー」で、留学前の19歳の自分に逆戻りした感覚でした。
若手には会議の議事録を書くという仕事もありましたが、会議で「Yes」しか言えないやつが、ちゃんと書けるわけがない。録音して後から書き起こして。時間がめちゃくちゃかかるので、いつも締め切りに追いつめられていましたね。
あとは「海外出張」です。マッキンゼーで働いてるやつが出張に行くぞと言われて、「英語が分からないから行けません」なんて、言えないでしょ普通。
だから「はい、頑張ります」と返して、ヨーロッパへジュニアコンサルタントの僕と上司の2人で行くことになって。ヨーロッパ各国の支社長が集まった会議が始まり、ファシリテーターもやって、議事録も取りなさいと。もう全然貢献できず、助けをもらうしかなくて、当時は正直地獄でした。
元リクルート&マッキンゼーで資金調達0円からピボット。「同期で1番英語ができないヤツ」が英語で起業したワケ
長谷川:でも、当時から仕事自体は順調だったと話をしていた記憶があります。その裏で苦労もあったわけですね。
岡田:基本的にマッキンゼーでの仕事はやりがいがすごくあって、英語以外は楽しめていました。でも結局、本来の目的だった起業に向け、入社から2年くらい経った2016年にマッキンゼーを辞めました。
当時は「どうやったら起業がうまくいくか?」をひたすら考えていたと思います。「なぜ起業したいのか」も考えないまま。家事代行サービスでの起業を決意し、市場規模や業界の伸び、競合状況、そして差別化できるか。全てをきれいにまとめたコンサル仕込みの資料も作って、さあ投資家を回って、資金調達するぞと。
でも、集められた資金は0円。投資家の方々も、いいプランにはお金を出したくて仕方がないという状況なのに、1円も集められない自分のふがいなさにぶち当たりました。
当時は笑えないぐらい、本当に悩んだそう
長谷川:なるほど。いわゆる「コロナ禍」で投資が止まる今みたいな状況ではなく、ベンチャーにお金が集まりやすかった時代なのに、と。
岡田:そうです。既にリクルートを辞めて一緒に動いていた共同創業者の山碕と理由を探る中で、決めたのは「もうかるかは分からなくても、自分たちがやる理由があるサービス、そしてやりたいことをやる」ということでした。
そこからは早かったですね。マッキンゼー時代の同僚が「同期で1番英語ができない岡田」とイジるくらいだから、本当にめちゃくちゃ困っていたわけです。英語に。英会話スクールや英語学習に50万以上つぎ込んでも、英語を身につけられない現実。おそらくこれに苦しんでいる人は死ぬほどいるのではないか、と。
そこから、「日本で一番英語力を上げるサービス」、つまり「当時の自分の人生が変わったかもしれないサービス」を作る。こう決意しました。
キャリアの「主人公っぽさ」。隣の芝の青さに疲れないために
長谷川:僕が就活生で、岡田さんの経歴を見たら多分こう思います。「英語もお金集めも苦労したとはいえ、マッキンゼーに受かって起業するぐらいなんだから、頭もいいだろうし、典型的なできる人パターンじゃん。僕とは違う『持ってる人』じゃん」と。
でも、この印象って半分間違ってると思うんですよ。失礼かもしれませんが、岡田さんの真の魅力は「主人公っぽさ」だと思うんですよね。主人公って「絶対的なピンチで逃げないガッツ」と「応援したくなる『隙』や『かわいげ』」があるじゃないですか。
岡田:悲しいかな、マッキンゼーの同期を客観的に見て、「自分より頭のいい人しかいないな」と確信しましたよね。内定者のときから、同期が頭良すぎてずっと船酔いしている感覚でした。「頭良すぎるし、ホワイトボードで整理できるし、めちゃくちゃ仕事できる。ヤバいところに来た」と。
正直、論理的に考えるとか、人生で考えたことなかったし、学生時代の野球を通じて鍛えられたガッツ、やりきり力だけで生き抜いた感じです。マッキンゼーで難題にぶつかったときも、起業後もそうだったように思います。
長谷川:その始まり方が、やっぱり「主人公っぽさ」がありますよね。少年ジャンプの連載第一話みたいな。岡田さんは、会社のメンバーの方々はもちろん、サッカー選手兼実業家の本田圭佑さんや水泳の金メダリストの北島康介さんなど、「自分も困ったし、みんなも困っている英語」という共通テーマの下に、人を巻き込めている。
岡田:僕はもともと人付き合いは苦手で、パーティーとかは早々に帰るし、会社の全集会で話すときなんて、最初の2年ぐらいは毎回緊張して、めっちゃ練習していましたしね。
長谷川:そういう点も意外ですよね。弱さというか。もちろん、全員が少年ジャンプのような“王道な主人公”でなくていいと思います。私自身も脇役タイプのキャリアだなと思っていますし。
でも、それぞれのキャラで「主人公っぽさ」を持てるか? は、個人の影響力が増し、SNSなどで成功者が大きく見える「隣の芝が青い時代」において、人をうらやみすぎて疲れずに自分の物語に納得してキャリアを歩んでいくために、すごく大事なこと思うんですよね。
「週1〜2回英会話スクールだけの努力」はまやかし。Whyから考え直す
長谷川:ただ、英語力については「とはいえ、岡田さんは留学していたわけじゃないですか?」と思う部分もあります。意地悪な聞き方かもしれませんが、どう思われますか?
岡田:「日本にいたら英語なんて全然身に付かない」。僕もこう思っていました。でも時代は変わったんです。少なくとも留学で身につく程度の英語力なら、日本でも得られる環境にすること。これがわれわれのサービスであるプログリットの存在意義です。
最近は「在宅留学」を提唱しています。オンライン教材は死ぬほどあるし、英会話もオンラインでできる時代です。家にいながらにして、3カ月のプログラムで英語力を伸ばしている人がたくさんいます。
長谷川:留学に行っていないとか、帰国子女じゃないとか、もう言い訳にならないと。
岡田:「英語が苦手でも、外資に行けますか?」。こうした悩みを持つ人の多くは、「英語が苦手」をダメだった理由に取っておきたいんです。マッキンゼー時代の私もそうだったかもしれません。週1〜2回、英会話スクールに60分通う努力で「やった気」になっていましたが、アホかという話です。マッキンゼーでも非帰国子女で英語ができる先輩は、相当な時間の投資も含めた努力をしてました。
プログリットでは、「英語学習は、能力ではなくやり方で解決できる」として、次の3つのポイントを重視しています。これに素直に従った人ほど、自習も含めた困難な学習を本気でやりきり、英語力を飛躍的に伸ばしています。
(1) Whyへの納得
英語が、自分の人生の中で重要な位置付けであること
(2) Howへの納得
「この学習方法は正しいのか? 効率的なやり方はないか?」と悩まないこと
(3) 成長実感
英語がレベルアップしていることを感じられるように学習が設計されていること
日本で3カ月受講すれば、TOEICのようなコースだと、点数が平均+150点、結果が出る人は200点以上上がることもざらです。
長谷川:もし、自分が本気で目指したいキャリアに英語が必要なのであれば、(1)のWhyは「外資系起業の選考を突破できる最低限の英語力を身につけること」になるわけですもんね。
「在宅留学」を半額にした意味。コントロールできることへの異常な執着
岡田:一方で、僕にとって留学は人生を変えてくれた経験でした。留学に行く意味は絶対あると思ってます。海外の文化を知ったこと、日本の外から見た日本を知ったこと、海外でできた友人が人生の糧になったこと。
しかし、新型コロナウイルスが流行したことで、そうした体験は今は完全にできなくなっています。
「当時の自分が、この状況にいたら、つかめたチャンスが逃していたのではないか?」
「コロナだろうが、一生に一度のチャンスは変わらない」
こうした思いから、2つの施策をやることに決めました。
・【5/17まで】留学予定者向け:先着100名に3カ月プログラムを半額提供
・【5/30まで】自著「英語学習2.0」の無償公開
長谷川:われわれもコロナウイルスによる就活イベントの相次ぐ中止を受けて、YouTube上で行う企業説明会「#ワンキャリアライブ」を3月にスタートさせました。
・3月:新型コロナウイルスによる就活イベント中止を受けて【緊急開催決定】ワンキャリアは3月毎日、YouTubeLIVEにて就活生向け企業説明会を配信します
・5月:【4番組、同時生放送】5/22に日本最大級のYouTube企業説明会「ONE CAREER SUPER LIVE」を実施します
その中で、21卒就活生の方以外でも、22卒の就活生や大学1〜2年生、そして21卒内定者の方々含め、学生の皆さんにコロナによる就活や学業、課外活動への影響を聞く機会がありました。「この春休みのタイミングで留学に行くつもりだった」という声や、「留学していたが、戻ってきた」という声は、少なからず耳にしてきました。
起業するまでは、コントロールできないことにも悩んでいたそう
岡田:1つ目の半額キャンペーンは、留学を予定していた人に向けたものなので、ぜひ活用してほしいですね。僕らが会社をつぶさずできる限りの中で、留学に変わる体験を、日本で家にいながら、また、就職活動をしながらでもできる1つの選択肢だと思ってもらえるとうれしいです。
長谷川:最後に、この記事を読んでくださった方に向けてメッセージをお願いします。
岡田:コロナの影響もあり、就活を始められた方、これから始められる方は不安も多いと思います。就活の答えは本当に分かりませんし、「英語が苦手。でも、外資行けますか?」という問いも、縁や運が絡む話になります。確実なことは言えません。
ただ、起業をして、思い通りにいかないことが続いて、僕はこう考えるようになりました。「コントロールできないものに対してごちゃごちゃ言っても仕方がない。執着をしても不幸になるだけだから、コントロールできることをやるだけだ」と。
英語ができたから就活が成功するかどうかは分からない。でも、英語を身につけるというのは自分でコントロールできることなので、やればいい。面接の準備もコントロールできることなのでやればいい。
結果は神のみぞ知ることなので、そこに執着しても仕方がないかなと思います。アンコントローラブルなことに執着しない。逆に言えば、コントロールできることには、異常なまでに執着をしていいのだと思います。
長谷川:本日はどうもありがとうございました。