※こちら2017年10月に掲載された記事の再掲です。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、働き方に関して変化している部分もあります。
こんにちは、トイアンナです。
「コンサル」という響きに、どんな印象を抱くでしょうか。知的、コミュニケーションの達人、高収入、されど激務。こうした一般的なイメージは、おおよそ正解でしょう。その一方で、各社の差についてはあまり知られていないのが実情です。
そこで今回はマップ形式でコンサル業界を図解しつつ、就活生が抱きがちな誤解を元外資系コンサルタントの力をお借りしてひも解きます。
「人気のコンサルほど体育会系?」学生の業界イメージ
まずはトップ大学の就活生にヒアリング調査を実施し、知名度の高いコンサルティング・ファームのイメージをマップ上に配置していただきました。
まず気になったのが、全体的に「みんなが受ける、チーム重視」の企業、もしくは「ニッチな人気」の「個人主義な企業」へ偏ったことです。学生の脳内には外資系コンサルティング業界で「チーム重視のニッチな人気企業」や「個人主義の誰もが応募する企業」は存在していないようです。
これではあたかも「みんなが受ける人気企業は、体育会系である」という因果関係を導いてしまいかねません。しかしトップ就活生の人気企業ランキングを見ると、学生にとってチーム重視な印象のベイカレント・コンサルティングがランキング圏外。必ずしも体育会系の社風が受けるとは限らないようです。
実際、就活生からはこんなコメントが。
学生A:体育会系だから受ける、というよりも体育会系コンサルティング・ファームの募集人数が多いからみんな受けているんだと思いますね。ベインやマッキンゼーは東大生を中心に採るって知ってるから、早慶以下なら最初から受けないでしょうし。
トイ:じゃあ、すべてのファームへ内定したとしたら、どこに行きたいですか?
学生A:それは間違いなくベインです。ホワイト企業だって有名なので。コンサルティング・ファームって、激務をよしとする風土があると思うんですけど、それを喜ぶ学生って今は全然いないと思います。コンサルを受けるからってむちゃくちゃな残業したいわけじゃないですし。
トイ:激務は嫌だけれどコンサルを受けるのは、ちょっと上の世代から見ると興味深いですね。ちなみに「ホワイト企業」の定義って何ですか?
学生A:「ホワイト企業」の定義は残業代が出ることです。
トイ:それ、ただの法律順守。企業として最低限のことだから。
就活生にはコンサルティング・ファーム全体が「残業代を払いもせず、激務に就かせる」ブラック企業群に見えていることが垣間見えました。どの企業が人気か以前に、これは由々しき事態です。
個人主義でいたい学生に差別化できている3社
一方、学生が作ったコンサルティング・ファーム図で個人主義に寄った企業を見てみましょう。突出していたのは、ZSアソシエイツとA.T. カーニー、そしてローランド・ベルガーの3社です。
学生B:A.T. カーニーは個人主義の印象が強いです。ジョブ(最終選考の課題)を学生1人でやらせるので。他社はだいたいグループワークなので、目立ちますよね。
学生C:僕はZSアソシエイツの内定者が知り合いにいて、少数精鋭で楽しそうだってのをかなり聞いていました。応募者数は少なくても刺さる層には刺さっている印象があります。ローランド・ベルガーも友達が最終まで残ってたんですけど、そいつがかなり個人主義寄りのキャラだったんで、そっちかなと。
元社員が斬る! コンサルティング・ファーム像
さてここからは、実際にコンサルティング・ファームでの勤務経験を持つ元社員2名のお力を借りて作ったコンサルティング業界マップを見てみましょう。
就活生のマップと比較して、全体へ均等に分散しています。その中でも特に差が大きい企業についてコメントしていただきました。
元社員A:まず、ローランド・ベルガーはチーム重視寄りだよね。個人で引っ張る人も多いけど、よりアクセンチュアと社風が似ているというか、激務礼賛って感じがある。
元社員B:いっとき過労で有名になって学生が遠のいてしまったんで働き方はかなり改善されたっぽいけど、それでもベルガーの社員と飲むと「激しいな」って思うよ(笑)。
元社員A:あとはデロイトが学生の印象より個人主義寄りです。デロイトは温和な人が多いからぱっと見「チームで仲良し」って感じに見えるけど、実際は個々の力で成り立ってるよね。ただ最近コミュニケーション力を重視してるから、以前よりチーム重視になったね。「やわらかいコミュ力」があるかどうかで採用を決めている印象があります。
トイ:ちなみに、これからどのファームでも転職していいって言われたらどこへ行きたいですか?
元社員A:BCGのデジタル部門だね。BCGの注力部門だし、領域として伸びることも期待されているから。アクセンチュアのデジタル部門も気になるけれど、そこはミーハー心でBCGを選びます(笑)。ただ、ここまで言っておいてなんだけど、別業界に移った今はコンサルに戻りたいという気持ちはないです。作った戦略を最後までデリバーして、アウトプットの責任を取れることが楽しくてしょうがないので。
元社員B:僕はマッキンゼーですかね。一度は入っておきたいという気持ちはあります。総合系ファームを経験した人が、戦略系ファームを経験したいと思って転職するケースは結構あるんじゃないでしょうか。その逆もありえるでしょうしね。
これからのカギを握る「デジタル」とは?
ここまでを踏まえると、就活生は内定者に抱く印象に引きずられて社風を誤解しがちなことが分かりました。特に戦略コンサルタントは採用人数が少ないため、内定者の印象が企業全体の印象へつながりやすいようです。
上記の例ではローランド・ベルガーが個人主義の企業と学生には見られていましたが、体育会系と認識を修正できないまま入社すればとんでもない人材のミスマッチへつながります。ローランド・ベルガーは少数精鋭のため受ける企業のOB/OG訪問は厳しいかもしれませんが、せめて業界経験者に一度お話を伺うとよいでしょう。
最後に、コンサルティング・ファームの元社員さんへ「これからの学生がコンサル業界で内定を目指すならどうすべきか?」を質問してきました。
元社員A:デジタル領域の知識は戦略・総合に限らず強みになると思います。一般的な経営戦略立案においても、ITの領域が分かるのと分からないのでは、大きな差ができてしまうからです。
デジタルというと非常にざっくりした表現ですが、即戦力として評価されるのは (1)データ解析のツールを使った分析ができる (2)今のデジタルサービスに詳しい の2点でしょう。前者は難しいかもしれないので、アプリを作ってみたり、IoTを自分でプログラミングしてみたりと好きなことから今のデジタルサービスに触れていくことをオススメしたいですね。
コンサルティング業界で内定を目指すとなれば、ついケース面接やフェルミ推定など目の前の対策にとらわれがち。ここからは長期的に業界全体で生き抜く力を手に入れるためにも、デジタル領域のトレンドにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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