本記事は「ABEMA TIMES」の記事を転載、一部編集したものです。2021年3月1日に「ABEMA」で放送された『どうする?withコロナの就活&働き方【12時間特番】』の模様をお届けします。放送を見た方も見逃してしまった方も、ぜひご覧ください。 (※記事内容を一部変更しました。2022/6/6)
3月1日から始まった2022年卒の就職活動。内定を目指す学生にとって説明会やエントリーシートからライバルたちとの争いはスタートするわけだが、最終的に内定獲得を左右するのは面接である。
そこで3月1日にABEMAで放送された『どうする? withコロナの就活&働き方』では、ZOZOやLINEなどで実際に数多くの面接を行ってきた田端信太郎氏らを面接官に招いて模擬面接を実施。3人の学生とのやり取りを通じて、多くの学生の悩み解決の助けとなるであろう金言が授けられた。
【面接官】
・田端信太郎氏(元ZOZO執行役員でキャンピングカー・シェアリング会社「カーステイ」取締役)
・ミヤッチ氏(Fラン大学から上場企業に入社。1年目から人事関連の部署に配属され就活対策を発信するブロガー)
【参加者】
・Aさん(武蔵野大学建築デザイン科4年生 建築・インテリアデザインを志望 内定ゼロ)
・Bさん(明治大学総合数理学部4年生 広告・IT業界志望 内定ゼロ)
・Cさん(慶応大学法学部4年生 コンサルやIT業界志望 内定1社)
正直に「わからない」はプラスかマイナスか
冒頭、各々の自己紹介を聞いた田端氏が「3人のうち、1人しか受からないとしたら、他の人の受け答えを聞いていて『自分を採った方が会社にとってより利益になりそうだ言える理由』は何だと思うか?」と3人の学生に投げかけた。
この問いに最初に答えたのは、地方創生に興味があるというAさん。「地方の人と都市の人を繋(つな)ぐ活動をしている。現地の人と僕たちが画面越しで見ている世界には格差があり、認識も違う。それを繋ぐ能力を学外ではあるが、4年間養ってきた」などと説明を始めたAさんに田端氏から「地方創生で地方の人と都会の人を繋げるのはいいが、どのように売り上げ、利益につなげるのか」と鋭い質問が入る。具体例として、地方に眠る意外なモノとしてメープルシロップを挙げたAさんだったが、それがいくらになるのかについて突っ込まれると、しばらく空を見つめ「正直言って、まだ分からない」と答えた。
この答えを聞いた田端氏は苦笑いを浮かべたが、必ずしもマイナスばかりではなかったようだ。のちの総評でこの点に触れたミヤッチ氏が「正直さ。正直にわからないというところが、面接の中では重要」と指摘すると、苦笑いを浮かべたはずの田端氏もこの意見に頷(うなず)き「Aさんは言葉の内容それぞれというよりは、一生懸命伝えようとしている熱意。必死になって伝えようとしていることが伝わってきた。その点に関してはいいこと」と意外な評価を口にした。
これを受けたAさんが「嘘(うそ)をつくのがへたくそなので、正直に話そうと決めている」と理由を述べると田端氏は「長所だと思う。嘘をつけなそうだなという。口ばかりうまいやつよりよほどいい」と評価する一方で「自分の持っている引き出しが少ないせいか、どうしても自分の型にハメて答えようとする。もっとリラックスして、幅広に構えるくらいの懐の広さが出てくると違う」とアドバイスも口にした。
またAさんが「個人として仕事をしたいという気持ちが強い。企業に依存しないというか、企業に依存したくはないが、その企業で働きたいというケースでは、どのように伝えればいいのか」などと質問をすると、田端氏は「正直なことを言えば、そこを正直に言いすぎる必要はない。そんなに個人としていきたいのであれば、勝手にフリーランスとしていけば? というのが、面接官のホンネ。社員なんていつでも辞めたいときに辞めることができる。ある程度言うのはいいが、あまり出し過ぎると、会社説明会で福利厚生ばかり聞いてくるやつみたいな、フリーライターのような印象を受ける」と述べ、否定的な見解を示した。
学生時代の努力を定量的に表現できない……どうすれば?
学生時代に体操競技に取り組んできたBさんは「全国大会に出場することはできたが、3、4年では出場することができないなど、挫折が何回もあった」など、体操競技での実績や挫折などの経験を持ちながら、それらを面接の場でどのように定量的に表現し、アピールにつなげるべきかという悩みを率直に打ち明けた。
この悩みに対して田端氏は「どういう風に努力をしたのか。自分が好きな体操選手の映像をコマ送りで見て研究した。会社に入っても必ず競合はいる。競合をそれぐらいのレベルで研究するつもりはあるなど、自分がやってきたことを一度、抽象化した上で置き換える。ビジネスの場でどう生かすかというときに、構造を生かしたまま置き換えるというように変えないとダメだと思う」と答えた。
「見せ方は重要なワード」
そのように受けたミヤッチ氏が「定量的にどのように話せば、というところについては基本的に『全国に出た』という実績の過程でどのようなことをしてきたかということを定量的に話すのも一つの手」など続けると、田端氏は「体操には採点基準がある。それを研究し、基準が変わったときに、自分の分析結果をもとに、同じ練習時間の中で採点基準のウエイトをこういう風に組み替えたなど、そういう部分の発想力、考え方はビジネスでも言える」などと補足した。
「伝えたい部分の声を強調」面接の基本的所作でアピール
学生3人の中で傾聴力と言葉への理解力など、受け手として最も高い評価を受けたCさん。しかしCさんは「面接の中でアグレッシブに自分の熱量を出すことがすごい苦手。聞かれたことに対して理解して答えることは一問一答であればできるが、自分の魅力を出すにはどうすればいいのか」と悩みを口にし、「どれくらいの長さで、どうやって魅力を出すべきなのか」とアドバイスを求めた。
「いい質問だが、絶対にこうというのはない。相手がどういう相手かだと思う」
田端氏はそのように切り出すと「役員面接など、事前に誰が面接をするのかわかっているのであれば、名前を調べたり、著書がある人であれば本を読んだり、過去のインタビュー記事を読んだりは一般教養として絶対にやった方がいい準備。さらにこういうのがウケるだろうというのを、直接的に『本を読んできた』ではなく、会話の節々に滲(にじ)ませていくのがちょうどいい」と面接官の立場としてCさんの悩みに答えた。
一方、上場企業の人事関連部署に在籍し、就活対策を発信するブロガーでもあるミヤッチ氏は「一番言いたいところの声を強調する。基本的な面接の所作だが、基本的な動作を押さえながら面接に臨むのもいいのでは」と的確なアドバイスを送った。
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