こんにちは、Maryです。
近年就活生の間で人気の「長期インターン」。これは就職活動の際に武器になるという話をよく聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。
長期インターンシップに関しては、ネガティブな情報は少ないです。実際に「長期インターン」で検索してみても、ネガティブな情報はあまり出てきませんよね。
友人のFacebookなど、SNSに流れてくる長期インターン絡みの情報もどれもが「激推し」するものばかりで、あまりにも長期インターンが美化されすぎていると感じることもあります。
その理由の一つとして考えられるのは、ほとんどが自社のインターンに誘導するための記事であることが多く、悪い部分は積極的に書かれないことです。
今回は、長期インターンのメリットとデメリットの両方に触れ、その真の姿を紐(ひも)解くことで、皆さんが冷静に長期インターンを捉えるきっかけになればと思います。
<目次>
●長期インターンって何? アルバイトとどう違うの?
●なぜ学生は長期インターンを始めるのか?
●長期インターンをする上での留意点 ──単位との戦い、板挟みになる大学生──
●長期インターンに横たわる「3つの闇」
●長期インターンはあなたにとって本当に必要ですか? 手段の目的化を避けるために。
長期インターンって何? アルバイトとどう違うの?
長期インターンの話を始める前に、そもそも、長期インターンシップとは何かについて確認しましょう。
長期インターンとは、1dayインターンやサマーインターンといった短期のインターンとは違い、一般的に3カ月以上の就業体験を行うインターンを指します(※1)。
以下の図は、長期インターンと短期インターンの違いを簡単に比較したものです。
次にアルバイトと長期インターンでは何が違うのかを比べます。
まず、両者ともに有給で働く点では同じです。その中でもアルバイトならではの特徴、長期インターンならではの特徴があります。
アルバイト
アルバイトの特徴は何といっても、さまざまな仕事が選べることでしょう。
居酒屋やカフェといった飲食系から、コンビニエンスストアや100円ショップなどの店員イベントスタッフ、他にもコールセンターなど、非常に幅広い職種を経験できます。加えて時給が高い求人も多く存在します。ただし、アルバイトは裁量権が与えられることが少なく、多くの場合、自分で意思決定する機会が得られないことが多いです。
長期インターン
これに比べて長期インターンはベンチャー企業の求人が圧倒的に多く、時給は1,000円程度が相場です。
長期インターンでは与えられる裁量が大きい傾向にあり、実際に社員と同等の裁量で意思決定を行う機会が与えられることもあります。
また、業務内容も高度なものが多く、実務レベルの経験ができる長期インターンでは学生ながらにビジネスに触れることができます。課題解決力や対人コミュニケーション力などのソフトスキルにおいて、大きく成長できるでしょう。
(※1)参考:Infra インターン「長期インターンとは?メリットや面接のコツ、企業の選び方まで解説」
なぜ学生は長期インターンを始めるのか?
長期インターンは大学生の「必修科目」になりつつあるのでしょうか。ひと昔前には、長期インターンはあまりメジャーではありませんでしたが、今では多くの就活系メディアで取り上げられ、長期インターンを経験する学生も非常に増えています。
では、なぜ学生は長期インターンを始めるのか。その理由としては、以下のようなものが考えられます。
お金のため
長期インターンをアルバイトのように「お金を稼ぐ手段」と考えて始める人もいます。基本的に週2〜3日フルタイムで勤務することが多く、シフトにがっつり入ることができるので、他のアルバイトに比べ、安定した収入が期待できるでしょう。
スキルアップのため
「スキルアップ」を狙って長期インターンを始める人も多いです。先ほど触れたように、長期インターンはかなり大きな裁量権が与えられるケースもあります。学生のうちに実践的なビジネス経験を積めるのは魅力的。デザイナーやプログラマーとしての仕事などを通じて、専門的なスキルを伸ばすことも期待できます。
ビジネスの実戦経験があると、就職活動時の短期のインターンシップや選考でも有利にはたらきそうです。
何となく就活に役立つと思うから
上記のように「長期インターンをやっておけば就職活動に役立つ」という話はよく耳にするようになりました。「何となく就活に強そうだから」という理由で長期インターンを始めようと考える学生も多いのではないでしょうか。
長期インターンをする上での留意点 ──単位との戦い、板挟みになる大学生──
このように
- 安定した収入を得られる
- スキルアップができる
- 就職活動で有利にはたらく
という点で、長期インターンは確かに魅力的な面が多いです。一般的な長期インターンとアルバイトを比較して「長期インターンは最高!」「絶対にやるべき!」などの情報が目立ちますが、実際はどうなのでしょうか。
私自身、大学生活を通して5社で長期インターンを経験し、友人からも長期インターンの経験談を聞いていますが、その上で言わせてもらえば、長期インターンは良い点ばかりだとは思いません。
例えば「単位」の問題。長期インターンを優先するあまり、大学の授業に出席するのが困難になってしまい、その結果単位を落としてしまうケースは少なくありません。
先に述べた通り、長期インターンを募集している多くの企業は、最低の勤務条件を週2〜3日(平日)のフルタイム勤務としているため、週2〜3日しか大学に行けないという状況となります。
また、どうしても長期インターンに参加したいという思いから、大学の授業を欠席したり、単位の取得を諦めたりした人もいました。そのため、学部生でも一般的に必修の授業が多い1〜2年生や、研究が忙しい大学院生はなかなか条件が合わず、参加すること自体が他の学生に比べて困難です。
さらに、テスト期間にシフトが入っていると、ヒーヒー言いながら単位取得と戦うことになるでしょう。このように、「長期インターンに参加したいけれど、単位を落としたくない」という、大学とインターンの板挟み状態に陥る学生は意外と多いです。
このような場合、「週に2日でOK」など勤務条件がゆるい、または土日でも勤務可能なインターン先を探すか、大学の単位を工夫して取ることが必要です。
実際、私が長期インターンシップをしていた企業では、テスト期間にシフトを減らすことが可能でしたが、全員が休むわけにもいかないため、週3日ほどインターンに行きながらテスト勉強をすることになり、非常に苦労した思い出があります。
休学をして長期インターンに参加する学生もいますが、大学によっては、非常に高額な休学費用を負担する必要がでてくるため、簡単なことではないでしょう。
長期インターンに横たわる「3つの闇」
このように、学生にとって条件が非常に厳しい長期インターンですが、仮に働き始められても「実際に働いてみると思っていたのと違った……」というギャップに苦しむ人もいます。
ここからは、実際に私や友人の体験を元に「長期インターンの闇」を3つ紹介します。
長期インターンの闇(1):結局、身につかないスキル
最初に紹介するのは、スキルアップのために長期インターンを始めたのに、思っていたようなスキルが身につかなかったというケース。長期インターンでなくてもいえる話ですが、働き始めて、すぐに自分のやりたいことができるとは限りません。
もちろん、初めは誰にでもできるような簡単な仕事から始まっても、数カ月たつとサービスやビジネスの知識が身に付き、その後は新しい仕事や、さらに上流の仕事をやらせてもらえることはあります。しかし、初めから自分のやりたい仕事をしたいならば、インターン先を慎重に選ぶ必要があります。
しかし、実際には長期インターンは選考があるため、より好みできないこともあると思いますし、長期インターンは最低でも半年以上の継続を条件として採用されることが多いため、途中で辞めることもなかなか難しいです。
やりたくない仕事をやらされ、時間だけを浪費してしまったというケースに陥らないよう、対策をすることが重要でしょう。
長期インターンの闇(2):最低賃金をはるかに下回る給料
続いては、低賃金で働かされていたケースです。実際の求人を見てみたところ、ある企業では日当制で支払いが行われていました。1日あたり6,000円の日当で、勤務時間は8時間。時給換算で750円という最低賃金(※2)をはるかに下回った賃金での労働です。
(※2)……2019年10月現在、東京都の最低賃金は1,013円
これならば、普通にアルバイトを探した方が良いかもしれません。「成長」や「やりがい」を求め、低賃金でも働くという方もいらっしゃいますが、果たして、本当にその条件でしか手に入らないものなのでしょうか。私の友人で、ひどい場合には給与が支払われないケースもありました。結局、その後雇い主とは連絡が取れなくなったそうです。
私たち学生は、安価な労働力として企業にいいように使われる筋合いはありません。限りある時間を使うのですから、長期インターンをする際には、より良い条件の企業を探すことに力をいれた方がいいでしょう。
長期インターンの闇(3):ウソだらけの求人情報
最後は、求人情報に記載してある内容と実際に入社後に行う業務が全然違うというケース。
企画職などと記載してあるのに、実際にはずっと営業をやらされることになるなど、「 優秀な経営陣直下で働ける!」などと記載されているのに、実際は全然関わる機会がなかった、などの例もあります。
ウソに気付いて「この企業やばいな……」と思っても、ズルズルと社員の口車に乗せられ、無給で数カ月働き続けたという話を聞いたこともあります。
長期インターンは決してボランティアではありません。幸いにも、長期インターンを実施する企業が増えてきたため、条件のいい求人は見つかりやすくなりました。このような場合には、勇気を持ってインターンをやめるか、正当な権利を主張しましょう。
長期インターンはあなたにとって本当に必要ですか? 手段の目的化を避けるために。
私は就職活動をする上で、長期インターンの経験が特に有利に働いたと思ってはいません。実際に面接で「インターンで◯◯をやっていました!」など、自分のスキルをアピールしても、それ自体が評価されることはありませんでした。
それもそのはず。企業側からすれば、本当に即戦力になる人間が欲しければ、中途で採用する方が効率は良いですし、総合職や一般職として、新卒採用を募集する場合、即戦力になるスキルを持っていることよりも、入社後に活躍するポテンシャルがあることの方が評価されるのだろうと思います。
従って、長期インターンで少しばかりビジネススキルが身についたところで、それを面接で高らかに語ると「撃沈」することになるでしょう。長期インターンは就職活動に勝つ「裏技」ではなく、あくまで、有利に進められるかもしれない一つの手段。それ自体は目的ではありません。
確かに「キラキラした経歴の人たちと一緒に働けている自分はすごい!」と感じて、気分がいいかもしれない。でも、そこで働く自分はしっかりと実力を伸ばせているのでしょうか? 他のアルバイトに比べて、スキルも身につかない仕事を低賃金でやらされてはいないでしょうか?
もし、お金や条件、単位の取得との両立などで悩みながらも長期インターンに固執している方がいるなら、いま一度冷静に考えてほしい。イベントスタッフや居酒屋のバイトなど、時給の高い稼げるバイトはたくさんありますし、長期インターンは大学の必修科目でも何でもありません。
コンビニのバイトをやっていたら就活がうまくいかず、IT系のベンチャー企業でインターンをやっていたら就活がうまくいくのでしょうか? そんなはずはありません。別に長期インターンをやっている人が、バイトをやっている人よりすごいわけでも、優れているわけでも、強いわけでもないのです。
周りのみんながやっているのに、自分が長期インターンを経験できていないことに焦る必要もないでしょう。人はそれぞれに抱えているモノや前提条件は違うのです。その中で、自分を他人と比較して落ち込むことはありません。大切なのは、自分にとって最善の策は何かを考え、自分が本当に優先すべきことを優先することなのだと思います。
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(Photo:ESB Professional , fizkes , pathdoc/Shutterstock.com)
※こちらは2019年10月に公開された記事の再掲です。