※こちらは2017年6月に公開された記事の再掲です。
就活をするにあたって、あなたはどれくらい親の意見を聞いていますか?
Students lab編集部の調査によると、就活で受ける企業を決めるときに、22%の学生が「親の意見」を最も参考にしているそうです。
多いように感じますが、最も多かったのは「自分だけで決める」(28%)でした(出典:スマートキャンパス「親の意見に左右される就活生の割合とは?22%の就活生は親の意見を参考にする」)。
私も、自分の意志だけで、就活で受ける企業を決めました。
父親と仲が悪かったため、父親の「東京はいつか卒業するところ。地味でも堅実な職業を選んだ方がよい」というアドバイスを、中身を考えることをせずに、条件反射的に否定してしまったのです。
そのことを今は後悔しています。
そこで、皆さんが私のようにならないよう、反面教師として、失敗談とそこからの教訓を伝えたいと思います。
人生には落とし穴があり、想定しなかったUターンをすることになった
私は、地方から東京の大学に進学しました。
地元を出た原因の一つに、父親と仲が悪かったため実家を離れたかった、という理由がありました。
そのため、地元にどんな企業があるのか分析することもなく、東京の企業だけを受けて、出版社に就職しました。
ですが、出版社で数年働いた後、過労で病気になって退職せざるを得なくなりました。
病気が治った後、再び東京で働いていたこともありましたが、物忘れが多くなった母親を精神的に支えるため、2年前から地元で働いています。
そう、学生時代には全く想定していなかったUターンをすることになったのです。
「なぜ、新卒の就活時に、うちを受けなかったの?」
私は、就活時に地元の企業分析をしなかったため、地元にどんな企業や職種があるのか知りませんでした。
さらに、出版社の編集職という、地元にはない職種を選んだため、地元での仕事がありませんでした。
いや、実を言うと、地元に出版社が1社あり、Uターン時に受けました。
その時、面接で指摘されました。
「なぜ、新卒の就活時に、うちを受けなかったの?」
「都落ちして落ちぶれたから、うちを受けているの?」
就活時に、その会社を受けたかどうか、履歴を調べられていたのです。
正直、返答に詰まりました。
そして、落ちました。
(実際の落ちた理由は、病気によるブランクだと思いますが、印象が悪かったことは間違いないでしょう)
現在は、編集者時代にたまたま片手間にやっていた、Webデザインや翻訳の仕事をメインでやっています。
経験年数が最も多い、編集者としてのキャリアが全く使えないのは、とても不利です。
就活時に地元の企業を分析すらしなかったことを、いまは後悔しています。
地元で就職する気がなくても、地元の企業分析だけはやっておこう
私が最も不運、いや愚かだったのは、「編集職」という地元にない職種、または、あるけど都会に比べて給料が激安な職種を選んだことに無自覚だった点でした。
地元で就職する気がない人も、最低限これだけは押さえておいた方が、私のような失敗をしないですみます。
・地元にはどんな企業があるのか
・地元にはどんな職種があり、職種別の給料はどのくらいか(逆にどんな職種はないのか)
さらに、ここまで考えておくことができたなら、私のように人生の落とし穴に落ちて、想定外のUターンをすることになっても、焦らずにすむでしょう。
・もし将来、Uターンすることになった場合、何歳くらいまでなら間に合いそうか
・そのために、都会でどんなキャリアを積むべきか
・(親と仲が悪い場合)親が年を取って気が弱くなって、Uターンしてほしいと言ったら自分はどうするか
・結婚相手を探す際に、地元に戻る可能性をどこまで考慮するか
Uターン時に地元の企業を調べたら、地味だけどある分野で世界的なシェアを誇る会社があったり、田舎なのに大きな外資系の会社があったりと、意外な発見がありました。
就活当時、もしその存在に気づいていたら、入社したくなっただろう魅力的な会社もありました。
このように、企業分析するだけでもしておいた方が、選択肢は広がります。
私にも、現時点でもっと多くの選択肢があったかもしれません。
まとめ:親への反発から、自分の人生を狭めることのないように
父親の「東京はいつか卒業するところ。地味でも堅実な職業を選んだ方がよい」というアドバイスは、結果的に、私の現状を予言することになりました。
新卒時に東京の企業に就職すること自体は変わらなかったとしても、父親のアドバイスを検討だけでもしていれば、いまの私にはもっと多くの選択肢があったことでしょう。
今思えば、親への反発と、親からのアドバイスの検討は、分けて考えるべきでした。
親は自分よりも人生経験があるため、1つのサンプルとして、「なぜその価値観を持つに至ったか」は聞いておいた方がよいでしょう。
おそらく、実際の成功体験または挫折に基づいているでしょうから。
そして、頭ごなしに否定する前に、その価値観に従った場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
さらに、親だけではなく、友人や先輩、先生、会社訪問で出会ったOB・OG、キャリアカウンセラーなど、できるだけ多くの人の考えを聞きましょう。
いろいろな考えがある中で、親の価値観は全体のどの位置にあるのかを客観的に判断し、良い点は取り入れ、悪い点はスルーできるようになりましょう。
その上で、「やっぱり自分の考えに従って就職する」という結論を出すことは、既に親の価値観を検討した後なので、問題ありません。
将来の自分がより多くの選択肢を持てるよう、嫌いな人の考えも、良いものであればフラットな気持ちで取り入れることができるようになりたいものです。
「キャリアを考える 親のこと」特集|記事一覧
Vol.1 トイアンナ:就活を邪魔する親と、感謝される親の違いとは?LINEで見るトップ学生の本音
Vol.2 りょかち:「大人サンプル」を親以外に増やすことの効能
Vol.3 ニャート:地元で就職する気がなくても、地元の企業分析だけはやっておこう
Vol.4 北野唯我(KEN):父よ、母よ。まずはお前が仕事を楽しめ。「就活のアドバイス」はその次だ。