※こちらは2017年11月に公開された記事の再掲です。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、働き方に関して変化している部分もあります。
こんにちは、トイアンナです。みなさんは、「コンサルが深夜まで働くのは過去の話」「働き方改革で接待や長時間残業は減った」と聞いたことはありませんか?
デロイト トーマツ コンサルティングの調査によれば、働き方改革を推進している企業は全体の7割以上(※1)となっています。今年からは厚生労働省が「ブラック企業リスト」を公開するなど労働環境へメスが入りました。
(※1)参考:J-CASTニュース「働き方改革、7割超が推進 15年から倍増」
もはや「激務もやむなし」は通用しない? 一見ホワイト化したコンサル・広告業界
実際に、これまでなら「激務もやむなし」とされた業界においてすら、改革の影響は及んでいます。実際に、数社の社員からお話を聞いてみました。
それまで終電も当たり前だったのが、20時には帰れるようになりました。コンサルティングファームという業界では、なかなか信じがたいライフスタイルの変化だと思います(外資系コンサルティング・32歳)
以前は上司が帰らないので、部下も帰れない雰囲気がありました。けれど働き方改革で「まずは部下が帰れ」という指示がお上から降ってきた。トップダウンで変革があると、早いですね(広告代理店・28歳)
外資系コンサルティング、広告代理店と、いずれも激務と言われる企業でここまでの変革があったのはめざましいことです。その影響もあってか、就活生の業界に対する見方も大きく変わりました。以前は「コンサルへ入るからには午前3時退社も仕方ない」という学生が多数いましたが、現在は「22時に帰りたいコンサル志望」など、これまでにない業界と条件の組み合わせを希望する学生がヒアリング調査でも増えています。
でも、業務の総量が減っているわけではない。つまり……
ところが、働き方改革の現状を聞いていると興味深い現象が起きています。同じ企業の社員からヒアリングをしても、部署や役職によって全く異なる意見が出てくるのです。
たとえば先ほどヒアリングしたコンサルティングファームで、別の社員へ話を伺うと……。
コンサル社員:最近は3時帰宅が続いていて、かなり眠いですね。今日(ヒアリング調査の)ここに来られたのも奇跡って感じで……。
確かに働き方改革をプッシュしてる話は来てますけど、結局早く帰らせてもらえるのは下っ端だったり、残業させてもしょうがない無能だけですよ。むしろその分マネージャーにしわ寄せがいっているので、死にそうな社員がめっちゃ増えましたね。ジュニアは早く帰るからその分成長が遅くなるし、しばらくマネージャー層がむっちゃキツイと思います。
トイ:仕事の総量は変わらないんですか?
コンサル社員:変わらないですよ!(笑)
そんなことしたらわれわれのお給料が下がっちゃうじゃないですか。結局コンサルにいる社員は給与も大事だからこの業界を選んでるわけで、これ以上水準が下がったら優秀な人材からいなくなりますよ。ただでさえ人手不足で求人増やしてるのに……。
トイ:なるほど……。働き方改革のトレンドについては、どう思われます?
コンサル社員:コンサルティングファームでは、「1万時間働いてようやく1人前になれる」と言われます。30代になる前にマネージャーになりたかったら、ジュニアの激務は甘んじて受け入れるでしょう。最近のジュニアって、仕事終わってないのに平気で22時に帰ろうとして。「ちょっと待って!」って叱らないと戻ってこないのがほんとに信じられないですね。
……と、早く帰りたがる新卒社員とのギャップに、現場は苦しんでいるようです。
「働き方改革」の人事 vs「負担増」の現場社員、困惑する就活生たち
とはいえ、人事部からは働き方改革のノルマが課されているはず。人事との折衝は、どうしているのか質問してみました。
コンサル社員:HR(Human Resource=人事部)から残業の上限は課されますけど、そもそも真面目にタイムカード書いてる人なんていませんし。うち、タイムカードがExcelっぽいフォームへ入力するシステムなんですよ。09:00〜17:00って一行入力したら、あとは残りの日をコピペするだけ。そもそも残業を計測する文化がないんで、何時間残業してるかなんて分からないです。
この前、HRの同期と話したら「うちって早く帰れるから帰宅後ヒマだよね~」と言われてびっくりしました。まさか本当に17時退社してるって思われてたとは……。HRは俺らの売上で食えてヒマだからいいよなあ、って思いましたね。
さらに別のコンサルティングファームのHRにヒアリングした結果、現在は人事・現場社員の間に、以下のような認識のギャップが生じていると判明しました。
人事部や余裕のあるスタッフは「この会社はホワイトだよ」と語り、残りは過労死ラインを越えて働いている……。それが一部のコンサルティングファームの現状です。もし説明会の言葉だけで「最近はコンサルでも20時退社が当たり前なんだなあ」とエントリーすれば、入社後に大変な目に合うことでしょう。
本当にホワイト? 就活生にできる「真実の確かめ方」
では、激務な企業を避けたい就活生は、どこまで「真実に近い情報」を集められるでしょうか? 激務経験者から、3つのアドバイスを贈ります。
1. 非公式なOB/OG訪問をする
企業側が用意したOB/OG訪問では、現場社員も人事から指示を受けた内容しか話せない可能性が高くなる。友達の先輩や部活のOB/OGなど、なるべく非公式に「ぶっちゃけて」話してくれそうなつながりを探す。
2. 部署ごとに違いがあると認識する
同じ企業でも早く帰れる部門と、日常的に残業の多い部門が共存することはよくある。就活生の段階で、自分が行きそうな部門がどうかを確認する。部門別採用があるところでは、「企業の実態」としてではなく「部門の実態」を調べるよう努力する。
3. あえて激務を避ける質問をする
面接で逆質問を求められたら、あえて「22時に帰りたいのだが可能か?」などホワイト志向な質問をする。激務が当たり前の企業はこういった学生を落とすため、ミスマッチを防ぐことができる。
ここまで調べても、入社してから「しまった」と思うこともあるでしょう。もし「新卒でここには長居できない」と感じたら、今度は会社を辞めた先輩を頼りましょう。そういった企業は離職率が高いため、転職のノウハウを持った先輩も大勢います。肩書や年収より、あなたの働き方にとってベストな企業を選んでください。
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